130万の壁とは?交通費も含まれる?条件や期間、学生との関係を解説

コラム
公開日:2020/02/10
更新日:2020/02/26
130万の壁とは?交通費も含まれる?条件や期間、学生との関係を解説

社会保険の扶養に入る場合、年収130万円が分かれ道だということは何となく知っているけれど、詳しくはわからない人も多いと思います。損することなく賢く収入を得たい人のために、この記事では130万円の壁とは何か、被扶養者のメリットや扶養内で上手に働くためのポイントなどを紹介します。

130万の壁とは? 扶養内で働くメリットは?

テレビなどでもよく耳にする「130万の壁」という言葉。これは、年収が130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、自分で健康保険と年金に加入しなければいけないというボーダーラインのことです。そのため、年収130万円以内で働いている人は少なくありません。では、その社会保険上の扶養でいるメリットとは何でしょうか。

保険料の負担が必要ない

大きなメリットは、社会保険上の扶養に入れば、健康保険料と年金保険料の負担をする必要がないことです。

日本では、国民全員が義務として公的医療保険制度(健康保険)に加入しなければなりません。特に健康保険は暮らしに大きく関わるため、どこに加入するかが重要です。健康保険は、会社員や公務員が加入する「健康保険」と、個人で支払いをする「国民健康保険」、75歳(寝たきりの場合は65歳)以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」の計3種類あります。

仮に、夫が会社勤めで、妻は主婦もしくはパート勤務など、扶養内で働いている場合では以下のようになります。

会社は健康保険制度を利用できる事業所として「保険者」と呼ばれ、そこの会社員である夫は給与から社会保険料を納めるので「被保険者」となります。妻は配偶者として夫の扶養に入っていることで「被扶養者」と定義されます。子どもたち家族も同様です。

健康保険証(被保険者証)が会社を通して配布され、家族全員が健康保険を利用できます。扶養に入っていれば、社会保険料の支払いは夫の給与を通して扶養者分も支払われるので、妻の支払う義務がない分、負担が減るのです。

年金に関しても、年金の支払義務対象である家族の分もまとめて、年金保険料が給与から天引きされます。わかりやすくいえば、家族の代表者ひとりが会社員として会社に属していると、家族分の年金の手続きも支払いも必要がありません。

夫が支払う厚生年金に被扶養者である妻の基礎年金(国民年金)分も含めて納められるので、一世帯としての負担も少ないのです。

ただし、厚生年金は基礎年金よりも受給額が高いので、あえて配偶者も厚生年金に入りたいという理由で扶養を外れる選択肢をとる人もいます。その際は、配偶者も自身の勤め先で社会保険料を納めることになります。

個人の考えによるものの、のちのち後悔しないためにも下調べをしっかり行い、判断は慎重に行いましょう。

社会保険上、扶養に入る際の注意点

妻がパートやアルバイトで家計を夫と共に支えたい、子どもや自分たちのために貯蓄したいなど考えていても、年間の収入(年収)が基準よりオーバーしてしまうと、扶養を外れなければなりません。そうなると、国民年金の支払いや国民健康保険料を払う義務が生じます。夫の稼ぎ以外にも収入があってうれしい反面、保険料の負担が増えることになります。

ちなみに、年金の将来的な受取り額が違うことも理解しておく必要があります。

年金には、「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」というものがあり、自営業や学生、配偶者などの被扶養者は老齢基礎年金のみ対象です。会社勤めや公務員であれば、老齢厚生年金も追加で加入義務があります。

つまり国民全員が老齢基礎年金を納め、老後に受け取る仕組みですが、会社員や公務員だった場合、そこに老齢厚生年金を支払っていた分の年金額が加算されます。

扶養に入っていた場合は、老齢基礎年金をベースにした受給額のみ。ただし扶養に入る以前に自分で会社勤めをして積み立てた老齢厚生年金は、年金受給の際に計算される仕組みになっています。

関連リンク⇒⇒⇒扶養控除申告書とは?控除の種類や記入例、用紙ダウンロードを解説!

扶養の判定条件とは?

扶養内で働くなら、条件を把握しておくことが重要。覚えておきたいポイントを紹介します。

130万円とは年間の見込み収入額

130万円という額は、正確には予定額を指しているので注意が必要です。これは、被扶養者に認定後の収入に対し、年間の見込み額を基準に判断されます。アルバイトやパートで、繁忙期などシーズンによって収入が増えるような場合には、注意が必要です。勤務時間を増やしたことで扶養から外れてしまわないよう、気を付けましょう。

ちなみに年末調整の対象となる期間は、1月の支払い分から12月の支払い分まで。12月働いた分が翌年1月に支払われる場合は、年末調整の対象になりません。

また、妻が前職から退職して新たに夫の被扶養者になる場合、雇用保険の失業手当もこの年間収入に計算されるので注意が必要です。ほかに、年金額や健康保険による出産時、傷病時の手当金も妻の収入に該当するので、そのあたりが盲点です。

被扶養者の住まいは同居と別居が認められる2パターン

被扶養者は、同一世帯の家族が条件というイメージをもっている人も少なくはないでしょう。しかし、被扶養者と認められるために、同居は必ずしも条件ではありません。

被保険者と同じ世帯にいないと扶養と判定されないのは、3親等に含まれる親族やその配偶者、内縁の場合の相手方の父母や子どもです。同居していなくても被扶養者と判断されるのは、戸籍上の配偶者と子ども、きょうだい、直系尊属の父母・祖父母です。

扶養の壁の種類は?

扶養の壁といわれるものには、社会保険上の壁と、所得税における配偶者(特別)控除に関わる壁があります。それぞれ確認してみましょう。

社会保険上の扶養の2つの壁「130万円」と「106万円」

社会保険上の扶養には、「130万円の壁」と「106万円の壁」があります。これは被扶養者の1年間の稼ぎがどの程度かによるものです。

130万円の壁とは、収入がトータルで130万円以上もしくはオーバーする見込みとなった場合には、「扶養の条件から外れてしまうこと」を指します。ちなみに、この場合の収入には交通費も含まれます。

一方、106万円の壁とは、被扶養者が勤めに出ている場合、「勤め先で社会保険に入る必要が出てきてしまうこと」を指します。これは、パートやアルバイトなどで年間での収入が106万円に達してしまうと、その会社の社会保険への加入義務が生じてしまうものです。

社会保険は二重加入が不可なので、当然どちらかをとる必要があり、扶養から外れざるを得なくなります。

社会保険に加入する条件は下記のとおりです。

●所定労働時間が週20時間以上
●1ヵ月の労働賃金が8万8000円以上(年収106万円以上)※交通費は含みませんが、交通費込みの時給の場合は注意
●雇用期間の見込みが1年以上
●学生ではないこと
●従業員501人以上の会社に勤務、もしくは従業員500人以下の会社に勤務して社会保険加入(健康保険・厚生年金保険)について労務合意なされている

所得税の配偶者控除・配偶者特別控除の2つの壁「103万円」と「150万円」

所得税とは、個人のその年の収入から控除額といわれるものを差し引いたうえで、所得税額がそれぞれ個人に対して計算されるものです。この控除の項目は種類が多いのですが、その中に配偶者(特別)控除があります。

対象となる配偶者がいれば一定額の控除が受けられるものの、その控除額は単純なものではなく、被扶養者の年間の収入状況によります。

配偶者控除の103万円の壁とは

被扶養者である配偶者の年収が103万円を超えると、超えた分に対して税金を納める義務が発生。配偶者控除の適用外になります。

配偶者控除とは、年収38万円以下(令和2年分以降は、48万円以下。給与のみの場合は給与収入が103万円以下)の配偶者がいる世帯主に対して、所得税の控除が行われる制度のことです。103万というのは、「給与所得控除額65万円」に「年収38万円」を足したもの。これが「103万円の壁」といわれる所以です。

配偶者特別控除の150万円の壁とは

2018年に配偶者特別控除制度が変更になり、控除をうける世帯主の総所得が900万円以下で、配偶者控除対象者の年間の収入が150万円以下であれば、配偶者控除と同様に38万円の控除が受けられます。これを配偶者特別控除といいます。150万円を超えても、年収201万円までなら、控除額は変わりますが、適用されます。

扶養内で効率よく稼ぐには?

保険料や年金の支払いなど、扶養内でやりくりするほうがいいと考えるなら、時間調整に融通が利く在宅ワークなどもいいかもしれません。年間の見通しを立て、収入の状況をみながら仕事量を調整できるのがポイントです。

アルバイトやパートをする場合は、年間の収入額が130万円をオーバーしないよう計算しながら働くことが肝心。およそ、月に10万円前後を見込んでシフトを入れられるところが望ましいといえます。交通費や通勤手当も130万円に含まれるので、月10万ギリギリでシフトに入ってしまうと、オーバーする可能性があり、注意が必要です。

関連リンク⇒⇒⇒配偶者特別控除とは?税制改正で変わった内容や申請書について解説!

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130万円や103万円の壁のほかにも、住民税がかかる100万円の壁もあり、収入の壁はいろいろあってややこしいもの。扶養内で働くのもひとつの方法ですが、長い目で考えると、しっかり稼いで社会保険料を負担することで、将来、厚生年金分の受給が上乗せされる、という考え方もあります。将来設計を含め、どのスタイルがいちばんいいか、働く前に家庭でじっくり検討することが大切です。

文/ティニー

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