【専門家監修】幼児教室って行ったほうがいいの? おすすめはどこ?


江藤真規さん
「わが子の可能性を伸ばすために通わせたい」と、子どもが1歳になったころから幼児教室に通わせる家庭もあるようですが、いったい幼児教室ではどんなことをするのでしょうか。やはり行かせてあげたほうがよいのでしょうか。2人の娘さんの子育てを終えた後にご自身の学びを再スタート、昨年東大大学院で教育学の博士号を取得された江藤真規さんに、幼児教室の必要性について、自身の子育てを振り返りながら語っていただきました。
目次
幼児教室の必要性が知りたい
幼児教室と一口に言っても、いわゆる小学校受験対策のものから、パズルやそろばん、カード遊びなどを取り入れる能力開発系、集中力を高めて知能や記憶力を伸ばす育脳系などさまざま。また体操や英語、音楽などの個別の習い事も幼児教室に含まれます。
2人の娘さんも幼児期には、あらゆる幼児教室に通ったと話す江藤さん。
「3歳前からスイミング、ピアノ、その後体操、テニス、スケート、編み物………。とにかく娘たちには教室を通して、さまざまな体験させました。うちは女の子ですが、女の子だからできないとか、女の子だからやらないというのではなく、ひと通り経験したうえで、その中から本人が選べる土壌をつくりたいというのが私の目的でしたから、お金と時間が許す限り、片っ端から経験させましたね」
その必要性について「幼児教室に通うことで、家庭における親子間のみでは開発されないような、子どもの能力が開発されることがあるので、子どもが楽しめれば必要」と語ります。
目的を明確にすることが大切
ただし選ぶときには、なぜそれをさせたいのか家庭の目的を明確にしておくことが大切だそう。
「お友だちと交流させたいのか、親以外の大人と関わらせたいのか、いろいろな体験をさせたいのか、ご家庭で目的を明確にしてから教室を選びましょう。なぜかというと幼児の場合は、教室だけで完結することはなく、家庭との連携があって初めて能力開発につながるからです。この教室はどういう力を開発するための教室なのか、親も知ったうえで、ともに環境をととのえていくということですね」
目的が明確なら、やめるときもやめやすい、と続けます。
「よくあるのが、一から始めて、ここまできているからもったいないと、子どもがクタクタになっているのに、やめられないジレンマです。でも目的が明確なら、やめるというより、これは合わないから次にいこうと言えます。子どもにネガティブな気持ちを持たせずに次に進めるので、目的はしっかりと決めたほうがいいですね」
江藤さんが娘さんたちに通わせたのは、ひと通り経験した中から本人たちが選べる土壌をつくりたかったから。そう決めていたので、本人が合わなくてやめたいといったときも、すんなりとやめることができたそうです。
「特に何かがプロとして残っているわけではありませんが、いろいろやって楽しかったね、と楽しい経験につながっているので、やってよかったなと思います」
迷ったときは紙に書き出す
子どもを幼児教室に通わせる目的、わが子を通わせたらどんなメリット、デメリットがあるか……。迷ったときは紙に書き出してみることを江藤さんはすすめます。
「ネット検索すると魅力的なものがたくさん出てきますので、気になるものがあったら、申し込む前に、なぜこれをやらせたいのか、一度紙に書き出してみましょう。紙にどんどん書き出すうちに目的も明確になりますし、他のアイデアも湧いて湧いてきます。また書いておくと残るので、あとあと見返したり、パートナーと共有したりするのにも役立ちます。ぜひ書いてアウトプットしていきましょう」
幼児教室の選び方。メリット・デメリットを比べよう
幼児教室のメリットは?
改めて幼児教育に通うメリットについて、江藤さんに聞いてみました。
①家でできないことができる
多様な経験を通して、家では開発されない子どもの能力が開発されるのがいちばんのメリット。ただし家庭の目的に叶ったもの、子どもが楽しめるものであることが大前提。
➁他の子どもと関わりができる
幼児教室には同年代の子どもたちが集まるので、子ども同士のコミュニケーションが増えます。特に子どもは競争が大好き。遊びの中で競うことで、どんどん伸びていきます。
➂やり抜く力が育つ
やり抜く力は、幼児教室の指導者がいてこそ育つ力。“やったらできる”という成功体験が、1つひとつ自信の種として育ち、その後の受験や仕事にも役立ちます。
④親も子育てが学べる
教育のプロの接し方を間近で見ることで、子どもとの関わり方やモチベーションの上げ方など、親も子育てに必要な知識を増やすことができます。
➄同じ志のママ友ができる
価値観の似ている親たちと出会いやすいのも幼児教室のメリット。孤独になりがちな子育てに、親同士のネットワークは貴重です。よい距離感でつき合えるのが理想的。
幼児教室のデメリットは?
反対にデメリットとして考えられることは、どんなことでしょうか。
①子どもが自信をなくす恐れがある
親が頑張りすぎると、つい周りと比べて成果を求めてしまいます。そうすると子どもは楽しくなくなり、やがて自信を失ってしまいます。当然、親子関係も悪くなるでしょう。
➁費用がかかる
幼児教室に通うとなると当然、費用がかかります。しかし成果はすぐに見えるわけではありません。費用が気になるなら、無料のアプリなどをじょうずに活用する方法もあります。
➂送迎の時間がかかる
通信教育なら家にいながらできますが、幼児教室は通わなければいけないのがデメリット。送迎には時間と手間がかかりますが、反対に一定時間、預けられるのはメリットとも言えます。
幼児教室へ通わせるときに気をつけたいこと
いざ幼児教室に通うことになったら、次の5つの点には気をつけましょう。
①費用対効果を考えない
『これだけ払うのだから、絶対にものにしなければいけない』と費用対効果を考えてしまうと、子どもも親も苦しくなってしまいます。幼児のうちは、遊びの一環ととらえておくぐらいがうまくいくでしょう。
➁アウトプットする時間をつくる
時間のある限り詰め込んでしまうと、子どもには何の力も身につきません。たとえば教室でくまさん歩きを習ったら、家で遊びながらやってみるなど、習った時間と同じぐらいアウトプットする時間を取ることは大切です。
➂プログラムに余裕をもたせる
新しいものを入れるには、スペースを空けなければなりません。アウトプットとは、まさにこのスペースをつくること。子どもの時間を客観的に見て、詰め込み過ぎていると感じたら、プログラムを減らしましょう。
④子どもの時間軸で考える
子どもの時間軸と大人の時間軸は違います。大人の時間で考えれば、そこにどんどん詰め込んでいくことができますが、子どもはそううまくはいかず、心が疲れてしまいます。ゆとりを持って考えることは最低限必要でしょう。
⑤親子の対話を大切にする
対話というのは、言葉のキャッチボールであり、子どもの考えを引き出していくもの。子どもが幼児教室で習ってきたら「どんなことを教わったの?」「今日は何が楽しかった?」と親は子どもにどんどん質問を投げかけて対話をしてみてください。
目指すのは生きる力をつけること
「子育てでいちばん重要なのは、子どもが自分で考え、自分の言葉で表現する力を育てること。生きる力と言われるものです。そういうものを目指した幼児教室が出てきているのは間違いありませんが、それをすべて親がマネジメントして、スケジュールを埋め尽くすと結局、子どもは何も考えることができないと思うんです。私の娘も小さい頃に『ママ、次は何をやるの?』と言い出したことがあり、そのときはすごくドキッとして『私が全部決めてしまっている』と反省しました。ですからやはり、子どもが自分で選んだり考えたりできる余裕を持つことは大切ですね」
幼児期こそ大切なのは、不思議だなという体験をしたり、ワクワク感をもったり、できた!という経験をすること。これらの経験が、その後の人生を大きく変えていきます。だからこそ余裕をもったプログラムで、やり抜く力や自信を感じさせることが重要だと言います。
「子どもって、ほんとうに面白いほど伸びていきます。その伸び方も、カーブを描いて伸びていく子もいれば、淡々と伸びていく子もいます。どこにそのポイントがあるか、親にはわかりませんが、その能力は親が思う以上に高いもの。幼児教室での経験を通じて、どんなことができるようになるのかな、次はどんなことに興味をもつのかな、そういう感覚を楽しんでいかれたらいいと思います」
幼児教室のもう1つの役割
共働きが当たり前になりつつある今の時代、幼児教室は親たちを助ける重要な役目を果たしつつある、と江藤さんは話します。
「今は共働きが主流で、親だけが子育てに関与するという考えが、そぐわない時代。第三者の支援は絶対に必要です。そこで幼児教室や習い事で出会うプロのかたというのは、よき支援者になっていくと思うんです」
いまや幼児教育は子どもの技術を習得させることだけでなく、親の支援という意味合いも兼ねています。
「お母さん1人が全部、請け負おうとしないで、利用できるものはどんどん利用するとよいでしょう。その1つとして幼児教室があるのではないでしょうか」
※江藤さんの監修は上記の解説部分となります
編集部おすすめの幼児教室
【ソロタッチ】
【対象年齢】1歳~高校生
【所在地】日本国内86校、海外7校
【料金】月額1万円+税(教室によって異なる)
【特徴】
iPadを利用し、イメージ暗算(そろばん式暗算)を習得できる教室。カリキュラムを積み重ねると、約2年で暗算上級レベルに。カリキュラムはゲーム形式なので、子どもは楽しみながら取り組める。教室だけでなく、オンラインでも受講可能(月額3,600円+税)。
【コペル】
【対象年齢】0歳~小学6年生
【所在地】全国70教室
【料金】エリアで料金が異なる。<東京エリアの場合>幼児コース:月額1万6,000円+税(3歳クラス以上は施設教材費2,000円~)、きょうだいやダブル受講で割引も。
【特徴】
0~6歳対象の幼児コースのほか、小学生コース、幼稚園受験コース、小学校受験コースも。幼児コースは大量の教材で子どもの好奇心や探求心を引き出す6名以下と少人数なのも特徴。発達の遅れが気になる子には「児童発達支援スクール コペルプラス」も。
【くぼたのうけん】
【対象年齢】0~6歳
【所在地】東京、神奈川、千葉に7教室。
【料金】乳児コース(0~3歳):入会金2万円、授業料月額2万円、教材費月額500円(別途バインダー費用500円)、保険料年額560円、体験授業4,000円。幼児コース(年々少~年長): 入会金2万円、授業料月額2万2,000円、教材費月額1,000円、保険料年額560円、体験授業4,000円
【特徴】
子どもの脳の成長に合わせて、言葉や運動など必要な働きかけを行う幼児教室。0~2歳までは親子いっしょに、3歳からは子どもだけで先生とコミュニケーションしながら取り組む。子どもとどうやって遊べばいいのかわからないというママの参考になりそう。
【ペッピーキッズクラブ】
【対象年齢】1歳~高校生
【所在地】全国1,300教室
【料金】教室によって異なる
【特徴】
ソルマーク式PRC-Methodとフォニックスを組み合わせて指導する英語教室。4回のレッスンのうち、3回を日本人講師、1回を外国人講師が担当。カードや絵本にタッチすると、ネイティブの発音を聞けるタッチペンは、子どものモチベーションアップに。
【ベビーパーク】
【対象年齢】Aクラス:0歳2ヶ月~8ヶ月、Bクラス:0歳9ヶ月~1歳3ヶ月、Cクラス:1歳4ヶ月~1歳10ヶ月、Dクラス:1歳11ヶ月~2歳5ヶ月、E・Fクラス:2歳6ヶ月~3歳0ヶ月
【所在地】全国各地
【料金】入室金1万4,000円+税、A~Dクラス:月レッスン料1万4,000円+税、E・Fクラス:月レッスン料1万5,800円+税、教材費月1,000円+税(Cクラス以降のみ)、施設維持管理費月500円+税、きょうだい・双子などの割引制度もあり。
【特徴】
脳の80%が完成する3歳までに着目し、思考力や創造力、解決力などの土台形成を目指す教室。「マザーリング」と言われる勉強会や育児相談で、ママたちが育児方法を学べるのがポイント。子どもの脳を育てるアクティビティは、家庭で実践できるものばかり。
取材・文/池田純子

江藤真規さん
東京大学大学院教育学研究科博士課程修了 博士(教育学)
自身の子育て経験からコミュニケーションの大切さを実感し、コーチングの認定資格を習得。講演や執筆活動を通して、家庭での親子のコミュニケーションの重要性や第三者の家族支援の必要性などを訴えている。『勉強ができる子の育て方』『合格力コーチング』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ママのイライラ言葉言い換え辞典』(扶桑社)など著書多数。
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