【専門家監修】中学生のタブレット学習の効果は?おすすめ講座もご紹介


木村修平先生
タブレットを使って勉強する中学生が増えています。「すき間時間にできるから学習習慣がつきやすい」と言われますが、親世代にはなかったタブレット学習に「どれぐらい効果があるの?」「ほんとうに勉強しているの?」と不安や疑問を抱いている親も少なくありません。中学生のタブレット学習のメリット、デメリットについて、ITに詳しい立命館大学の木村修平先生に伺いました。
目次
中学生のタブレット学習とは?
紙の教材が主流だった通信教育が、タブレットに変わってきたのはここ最近のこと。時間も場所も選ばず使えて、学習履歴をもとにした目標設定やそれぞれの生活に適した学習スケジュールなどを活用して、効率的に勉強できると人気が高まっています。
最近は、エデュケーションとテクノロジーを掛け合わせた“エデュテック”という分野が、ビジネスにおいても盛況です。またオンラインでは、無料で手に入る学習コンテンツがたくさんあることは、みなさんもご存知のとおり。
タブレット学習には、専用のタブレット端末を使うタイプと、家庭にある通常のタブレット端末からアプリをダウンロードして学ぶタイプのものがあります。
前者の専用のタブレット端末は、インターネットの閲覧制限や使用時間を制限する機能など、子どもが安全に使えるよう工夫されていますが、後者の通常のタブレット端末はインターネットにも自由につなげることができるため、子どもが利用する場合は保護者の監視がある程度、必要になってきます。
タブレット学習は、子どもにどんな影響があるの?
「タブレットが登場してから、まだ10年も経っていません。最近できた情報端末で試行錯誤が続いていますから、タブレットは10歳に満たない子どもと同じように未完成であるという認識を持つことがまず大事です。タブレットが子どもに与える影響については、いろいろな調査がされていますが、今の段階では断定的なことは言えません。賛否両論があり、やや否の方が多いという状況ですね」
そう話すのは、立命館大学准教授の木村修平先生。上記のような状況を認識した上で、親が知っておきたいこととして、次のように続けます。
「アプリが更新されると、使い勝手がよくなり、新しいサービスやコンテンツもどんどん生まれ、 それはそれで素晴らしい技術的な躍進です。その一方で、セルフコントロールのきかない年齢の子どもに、い年齢の子どもに、そういう娯楽的要素に無制限にアクセスできる端末を渡したら、当然そればかり使ってしまい、生活に悪い影響が出てしまいかねないことは感覚的にわかりますよね。単なる情報の受け手になってしまう生活ですし、はまってしまうと睡眠不足にもなります。それでも子どもは触りたがります。子どもにとっては、それぐらい魅力的なものだと、まずは親御さんには知ってほしいですね」
いわゆる“中毒”に陥る可能性は、子どもだけでなく大人にもあります。
「大人の場合は自己責任で片づきますが、子どもは被保護者ですから、やはり保護者が責任をもってアクセスの仕方を調整する必要があるでしょう」
保護者はどうやって監督する?
木村先生は親が見守る方法として“ペアレンタルコントロール”と“スクリーンタイム”を挙げます。
ペアレンタルコントロール
子どもが閲覧するインターネット上のアクセスを制限する機能。保護者がアプリやサイトの利用状況や利用時間を確認でき、端末の位置確認にも使えます。
スクリーンタイム
スクリーンを見ていられる時間を制限する機能。1日1時間までといっても守らなければ、機械に強制シャットダウンさせることができます。
「タブレットがこうした制限機能を備えるのは、自動車メーカーがシートベルトのついていない車を売らないのと同じぐらい当たり前のことになってきています。リスク管理できる可能性が飛躍的に高まりますから、保護者の方はこの2つの機能で、しっかりと見守ってほしいですね」
中学生がタブレット学習をするメリットは?
それを踏まえて、タブレット学習のメリットを見ていきましょう。
①とにかく安い
スタディサプリの月額980円(税別)に代表されるように、塾に比べると圧倒的に料金が安く、オンライン上には無料のコンテンツもたくさんあります。5教科を学べるのもポイント。
➁合理的に学べる
コンテンツが徹底的にブラッシュアップされているため、要点やポイントがわかりやすく、学校で勉強した内容を振り返ることができます。つまづいた単元にさかのぼることも可能。
➂自分のペースでできる
タブレットひとつあれば、場所を選ばず、すき間時間に学習できるため、自分のペースで進められるのはメリット。部活や習い事で忙しく、塾に通えない子向き。親の送迎が不要な点もメリットでしょう。
中学生がタブレット学習をするデメリットは?
反対にデメリットは、どんな点でしょうか。メリットがそのままデメリットになることもありそうです。
①モチベーションがキープしにくい
仲間との競争意識や先生の指導などでモチベーションアップしやすいのが塾の利点。その点、1人でコツコツ取り組むタブレット学習は、モチベーションがキープしにくい。
➁親の管理が必要
いつでもどこでもできるということは、いつでもどこでもやらないということ。ある程度、親が管理していなければ、気がついたらゲームで遊んでいた……ということも。
➂ネットワークがつくりにくい
塾に行けば、何かと情報交換する仲間がいますが、タブレット学習だとそういったネットワークがつくりにくいのがデメリット。オフラインで積極的に仲間づくりが必要。
親もITリテラシーを身につけて
タブレット学習が増えているように、時代はよりIT化が進化しています。しかし先の経済協力開発機構(OECD)の国際学力調査「PISA」2018年の結果(https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf)によると、日本の15歳の読解力と科学的リテラシーが低下していることが判明。これは教育現場でデジタル環境がととのっていないことも原因のひとつと考えられています。
「デジタルで何か物をつくるとか、ブログを書くといった経験値が、今の日本の教育では圧倒的に足りないんですね。今後、強化されることが期待されていますが、将来、子どもたちが食いっぱぐれないためにはIITはマストです。さらに中学生までに英語で検索できる英語力もつけておいてほしいですね。なぜITと英語が重要かというと、どちらも互換性があるからです」
互換性があれば、世界中で通じる。ITと英語は、どこにでも行けるパスポート、と言い切る木村先生。
「親の見守りが必要な思春期ころまでは、良質な情報を子どもの生活の中に配置するのは親の大きな責任です。子どもにタブレットを使わせるなら、まずは親自身もITリテラシーを身に着けて、子どもといっしょに勉強してほしいですね。親自身がリスクを正しく把握して、ただ取り上げるだけでなく、じょうずに活用するようにしましょう」
やみくもに恐れるだけでなく、親自身がITを勉強して、生活にうまく取り入れると人生がもっと豊かになりそうです。
「今は自分の撮った写真をInstagramに投稿する人が多いですが、そんなふうにデジタルで自己表現していくと、さらに自分の可能性が広がっていきます。単なる情報の受け手に留まる人は、踊らされて搾取されつづける可能性がある一方、そういった知的創作を面白がれる姿勢を持っている人は、これからどんどんできることが増えるでしょうね。子どもには、どちらの人間に育ってほしいか、その答えは聞くまでもないと思います」
※木村先生の監修は上記の解説部分となります。
編集部おすすめ!中学生用タブレット学習
【スタディサプリ 中学講座】
【対象年齢】新中学1年、中学1年、中学2年、中学3年
【教科】5教科
【特徴】5教科・4万本見放題の映像授業と授業テキストがついたベーシックコース(月額980円+税)、それに加えて担当コーチの指導やスケジュール作成がついた個別指導コース(月額9,800円+税)の2コース。「プロ講師陣の映像授業はとにかくわかりやすい」と評判。
【Z会の通信教育 中学生】
【対象年齢】新中学1年、中学1年、中学2年、中学3年
【教科】5教科、作文
【特徴】新中1生向けの中学準備コースのほか、各学年に高校受験コースを用意。“iPadスタイル”か“テキストスタイル”から選べる。iPadスタイルは、映像授業の視聴後、参考書に取り組むのが基本。1人ひとりに合った添削問題の配信やスケジュール生成などがポイント。
【デキタス】
【対象年齢】小学校1年生~中学校3年生
【教科】5教科
【特徴】城南進研グループの講師監修のタブレット通信教材。教科書の内容に沿ったプログラムなので、確実に理解できるのはもちろん、さかのぼり学習と先取り学習にも最適。アニメを使った授業動画は1本2~5分なので、子どもは飽きずに楽しく取り組める。
取材・文/池田純子

木村修平先生
ミシガン州立大学 社会科学部社会学科卒業、立命館大学大学院 言語教育情報研究科 言語情報コミュニケーションコース 修了。外国語教育メディア学会関西支部(LET関西)、コンピュータ利用教育協議会(CIEC)所属。研究テーマは高等英語教育における情報通信技術(ICT)の利活用。立命館大学プロジェクト発信型英語プログラム(pep-rg.jp)コア運営メンバー。
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