卵アレルギーの原因と症状は?治るの?写真つき体験談も紹介【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2020/01/27
更新日:2020/02/07
卵アレルギーの原因と症状は?治るの?写真つき体験談も紹介【小児科医監修】
監修
鳥海佳代子先生
とりうみこどもクリニック副院長

この記事は、卵アレルギーについてまとめたものです。
食物アレルギーの中で最も多いのが、卵アレルギー。卵は栄養価の高い食べ物ですが、アレルギーになるのでは?と不安に思っているママ&パパは少なくありません。卵アレルギーの正しい知識を身につけておきましょう。

卵アレルギーとはどういうもの?

免疫機能の誤作動で起こる

人間には、有害なものから体を守るシステムがあります。そのひとつが「免疫」です。

たとえば、あるウイルスに感染すると、免疫細胞がそのウイルスに対する武器(抗体)を作ります。そのウイルスが再び体の中に入ってくると抗体がこれに気づき、撃退して病気を防ぐのです。

食物アレルギーは、この免疫の働きの誤作動です。本来は体に無害な食べ物を有害だと判断して、過激に反応してしまうのです。卵アレルギーも、免疫の誤作動で発症します。

初めて卵の成分が体に入ったときには、問題は起こりません。でも、このときに免疫細胞が「卵は敵だ!」と誤解して抗体を作ると、次に卵と接触したときにアレルギー反応が起こります。

食べていなくても抗体はできる

「うちの子は、初めて卵を食べさせたときにアレルギーが出ました」と言う人は多いですね。それまで卵を食べたことがなかったのに、アレルギー反応が出るのはおかしい。もしかして、卵アレルギーじゃないのかも!?

実は、卵の成分が体に入るのは、口からとは限りません。空中に浮遊する成分を吸い込んだり、肌に触れたりすることで、食べていなくても抗体ができている可能性があるのです。

卵は、どこの家にもあるごく一般的な食品です。それだけ成分に触れる機会が多く、知らないうちに抗体ができていることがあるのです。

皮膚から吸収されるとリスクが高くなる

近年、「新生児期からのしっかりしたスキンケアが食物アレルギーを予防する」という研究が注目されています。

健康な皮膚は体の内と外とを区別するバリアで、ちょっと食物がふれたぐらいで成分は吸収されません。でも湿疹などのトラブルがあるとバリア機能が働かず、食物の成分が吸収されて抗体ができやすくなるのです。

一方、腸はなるべく多くの食べ物を栄養として取り入れようとするので、抗体の作られ方は皮膚に比べてゆるやかです。

赤ちゃんが初めて卵の成分を体に取り込んだのが皮膚からなのか腸からなのかで、卵アレルギーが起きるリスクは変わる可能性があります。

関連リンク⇒⇒⇒卵、小麦、牛乳…赤ちゃんの食物アレルギーで知っておきたい4つのこと

卵アレルギーになっちゃった!先輩ママの体験談

悪化の原因はゴミ箱の卵の殻だった!

卵を食べるとじんましんが出て、8ヶ月の時に卵アレルギーと診断されました。卵は食べさせないようにしていたのに、あるときひどいじんましんが。機嫌の悪い子供を抱き上げたら、手に卵の殻がついていました。あわてて確認すると、卵の殻を捨てたゴミ箱を子供がいたずらした形跡が。生の卵白をじかにさわって口に入れたようなもので、あわてて病院に駆け込みました。幸い大事にならずにすみましたが、それ以来、卵の殻は直接捨てず、必ずビニール袋に入れて捨てるように心がけています。

卵をさわった手でふれたら顔に発疹が

5ヶ月のとき、私が生卵をさわった手をタオルでふき、そのあと娘の口をふいたら顔に発疹が出ました。別の日、私が生卵を食べた後に授乳したら、また湿疹が。ほっぺと、眉間~額にかけて、細かく赤いブツブツが広がりました。病院で血液検査をしたところ、卵アレルギーが判明。卵だけは除去しましたが、離乳食は具だくさんのおかゆを中心にして栄養が偏らないように心がけました。1歳6ヶ月の今、元気に成長しています。

新生児期から肌が荒れ気味で……

0ヶ月のころから顔にニキビのような細かい発疹が出たり、脂漏性湿疹で顔中に黄色いうろこ状のものがびっしりできたりと肌が荒れ気味でした。保湿剤や病院でもらった薬を塗っても、一時的に症状がおさまるだけ。9ヶ月の時に食物アレルギーと診断されました。牛乳や小麦、ごまにも反応がありましたが一番ひどかったのは卵。徹底的な除去を指導されました。つらかったのは、お友達と同じものが食べられないこと。かわいそうでしたが、幼稚園ではアレルギー用のおやつを出してくれるなど、周囲の人に支えられました。7歳の現在、他のものは食べられるようになりましたが、卵だけはまだ除去が続いています。

関連リンク⇒⇒⇒卵を食べるとアレルギーになりやすいってホント?

卵アレルギーの原因は?

前述のように、卵アレルギーは免疫システムが卵を「敵だ」と誤解することで発症します。

アレルギーを引き起こすのは卵に含まれるタンパク質

免疫が反応するのは、食品に含まれるタンパク質です。このタンパク質は、しっかり加熱するとアレルギーを起こしにくい成分に変化します。離乳食で初めて食べさせるものによく火を通すのは、アレルギー予防の意味もあるのです。

卵の場合、黄身よりも白身の方がアレルギーを起こしやすいことがわかっています。離乳食で固ゆで卵の黄身からスタートするのは、このためです。

親がアレルギー体質でなくても発症する

親子の体質は似ている部分もありますが、食物アレルギーそのものが遺伝するわけではありません。

アレルギーになりやすい体質は遺伝することがありますが、親がアレルギーだから子供も食物アレルギーになる、あるいは親がアレルギーではないから子供も食物アレルギーにならない、という科学的根拠はありません。食物アレルギーを発症する可能性は、誰にでもあります。

ママが卵を制限しても発症する

卵アレルギーとはっきり診断された場合、授乳中のママも卵を制限するように指導されることはあります。が、発症していない赤ちゃんの予防のために、ママが食事制限をすることは意味がありません。

完全母乳で育てていても発症する

母乳は赤ちゃんの免疫機能を高め、アレルギーの予防になると言われてきました。しかし現在では、この説は否定されています。

厚生労働省が2019年3月に改訂した『授乳・離乳の支援ガイド』には、「母乳栄養は、小児期のアレルギー疾患の発症に対する予防効果はない」と明記されています。

関連リンク⇒⇒⇒ママが卵アレルギー。赤ちゃんにも遺伝する?

卵アレルギーの症状

皮膚、呼吸器などに、さまざまな症状が

食物アレルギーの症状はさまざまです。口の周りがちょっと赤くなるだけといったケースもあれば、呼吸困難を起こして命に関わるケースもあります。卵アレルギーだけに特有の症状というものはありません。

皮膚症状

赤くなる、腫れる、じんましんが出るなど。食物アレルギーの症状としては最も多く、体のどの部位にも現れます

目の症状

白目が充血する、まぶたが腫れるなど

鼻の症状

くしゃみ、鼻づまりなど

呼吸器の症状

声がかすれる、咳き込む、息が苦しそう、ゼーゼーするなど

消化器の症状

吐く、下痢をする

循環器の症状

手足が冷たい、唇や爪が青白いなど

神経の症状

ぐったりする、意識がもうろうとするなど

このうち、特に呼吸器・消化器・循環器・神経の症状が現れた場合、いくつかの症状が重なっている場合、症状が非常に激しかったり範囲が広かったりする場合は、急いで病院に行く必要があります。夜中でも救急車を呼んで大至急受診しましょう。

卵体全卵を食べた2時間後。体中に発疹が出て熱を持ったように熱くなった

卵首首の後ろに細かい発疹がたくさん

卵足裏アレルギー反応はこんなところに出ることも。足の裏が真っ赤に腫れている

アレルギーかどうかを勝手に判断しないで

「卵を食べたら口の周りが赤くなった」のがアレルギーなのかどうか、親が判断するのは難しいものです。赤ちゃんの肌はデリケートで、よだれや食べ物がついた刺激だけで赤くなることもあるからです。勝手に卵アレルギーと判断するのは禁物です。必ず医療機関を受診し、きちんと診断を受けてください。

卵アレルギーの検査はどんなことをする?

赤ちゃんの食物アレルギーは、症状が軽ければ様子を見ながら成長を待つことがよくあります。しっかりと診断をつけるには検査が必要ですが、低月齢ではわからないことが多く、確定には時間がかかる場合もあります。

卵アレルギーが疑われる場合の検査には、次のようなものがあります。

血液検査

アレルギーの程度や、原因物質を調べる検査です。アレルギー反応を引き起こす抗体の量を測ります。採血は注射器で行います。ムチムチした赤ちゃんの腕は採血しにくいため、手や足の甲から血をとることもあります。

皮膚テスト・パッチテスト

どのような物質にアレルギー反応を起こすのか、皮膚に刺激を与えて確認します。ごく小さな傷をつけた皮膚に、原因物質のエキスをつけて反応を見ます。

食物除去試験・負荷試験

除去試験は、アレルギーが疑われる食物を一定期間食べないで症状の変化を見るもの。

負荷試験は、原因と思われる食物を徐々に与えていくものです。

WARNING!
除去試験や負荷試験を、受診せずに自宅で行うのは大変危険です。専門医を受診し、医師の指導に従いましょう。

卵アレルギーがわかった時の注意点

卵アレルギーだということがはっきりしたら、離乳食に卵を使うのはNG。タンパク質はほかの食品でとりましょう。アレルギーの程度が強いと、場合によってはショック症状を起こすこともあるので注意して。

食品の表示をよく確認する

赤ちゃんが食べるものの食品表示をよく確認しましょう。意外なものに卵が使われている場合があります。

卵をさわらせない

赤ちゃんはいろいろなものに興味津々で、何にでも手を出し、口に入れようとします。生卵や卵料理を放置しておかないこと。大人は、卵をさわったらしっかり手を洗ってから赤ちゃんとスキンシップを。

授乳中のママは卵を制限する場合も

ママが卵を食べると、その後5時間ぐらいは母乳中に卵の成分が出てきます。ただその量は、ママが食べた量の10万分の1~100万分の1とごく微量です。

クッキーやケーキなどの場合は、母乳中に出てくる成分はもっと微量なので、多くの場合はママが厳しい食事制限をする必要はありません。

ただ、アレルギーの程度が強く注意が必要なケースもあるので、医師の指導に従いましょう。

離乳食は普通に進める

離乳食のスタートを遅らせたり、卵以外のものを自己判断で除去したりしないこと。食べるものは医師とよく相談しますが、アレルギーを起こす食品以外は普通に食べさせるのが基本です。

多くの場合、予防接種も受けて問題ない

はしかのワクチンはニワトリの胚細胞を用いて製造されており、インフルエンザのワクチンには微量の卵蛋白が含まれています。卵アレルギーの場合は、必ずそのことを医師に告げましょう。

はしか(麻疹風疹混合ワクチン)

以前は問診票に卵アレルギーかどうかを聞く項目がありましたが、現在ではなくなっています。非常に強い卵アレルギーや、アナフィラキシーショックを起こしたことがあるなどの場合は要検討ですが、多くは問題なく接種できます。

インフルエンザ

問診票には、卵アレルギーかどうかを聞く項目があります。医師の判断によるので、よく相談しましょう。受けられる場合も少なくありません。

関連リンク⇒⇒⇒【医師監修】食物アレルギーはスキンケアで予防できる?卵を与える時期を遅らせるのは逆効果?

卵アレルギーは治るって本当?

小学校入学までには8割の子が克服

食物アレルギーは成長とともに減っていきます。中でも卵、牛乳、小麦、大豆のアレルギーは治りやすいと言われています。

卵アレルギーは、3歳で約50%、6歳で約80%の子が治るとされています。多くの子は、小学校入学のころまでに卵が食べられるようになるのです。

免疫機能の誤作動が減ってくる

では、なぜ治るのでしょうか。それは、未熟な消化吸収機能が発達し、免疫システムが食べ物を異物だと判断することがなくなるからです。赤ちゃんの卵アレルギーの対処の基本は、卵の除去を続けて体の機能が発達するのを待つことなのです。

積極的な治療はしないことが多いのですが、食物アレルギーとの付き合いでは医師の指導が欠かせません。自己判断で「これくらいなら」と食べさせてみたり、「念のためにあれもこれも除去」したりしないで、医師と相談しながら成長を見守りましょう。

関連リンク⇒⇒⇒気になります!赤ちゃんの食物アレルギー、これってホント?

文/中根佳律子
写真出典/『はじめてママ&パパの 0~6才病気とホームケア』

監修
鳥海佳代子先生
とりうみこどもクリニック副院長
島根大学医学部卒業。島根県や千葉県の小児科に勤務後、2010年に夫とともにとりうみこどもクリニックをオープンさせる。カラフルな診療着とおおらかでやさしい人柄が、患者さん親子に人気のママドクター。
とりうみこどもクリニック

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