これってモラハラ?職場でできる対処法は?女性モラハラの特徴も紹介

コラム
公開日:2020/01/14
これってモラハラ?職場でできる対処法は?女性モラハラの特徴も紹介

社会的に根強い問題であるハラスメントには、パワハラやセクハラ、マタハラなどをはじめとするさまざまなものが存在しています。その中でも精神的な苦痛を与えるモラハラは、なかなか表面化しにくいこともあり、モラハラかそうでないのかの境界線がわかりづらいために、人知れず悩む人が多い問題です。
この記事では、職場でのモラハラの特徴や事例、モラハラ行為を受けた際にどう対処すべきなのかについて解説します。モラハラなのかどうか悩んでいる人、どこに相談すればいいのかわからない人も参考にしてください。

モラハラとは? パワハラとの違いについて

モラハラとはモラル・ハラスメントの略で、相手に嫌がらせやいじめなどにより精神的な苦痛を与える行為のことを指します。モラハラは言葉や態度で行われるため、殴ったり蹴ったりする肉体的な暴力行為はこれに該当しません。
精神的ないじめは表面化しづらい面があるため、あまり問題として取り上げられる機会はありませんでしたが、フランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌによって広く知られるものとなりました。

夫婦や恋人間の問題として頻繁に取り上げられている印象が強いですが、実は職場でのモラハラに悩む人も非常に増えていて、異性からだけではなく、同性からのモラハラも数多く存在しています。

また、モラハラの二次的な被害として、セカハラといわれるセカンド・ハラスメントも深刻な問題になっています。セカハラとは、ハラスメントを訴えた被害者に対して、会社や上司、周りの人などが逆に被害者を責めるようなことを言ったり、相談しても相手にしなかったりすることを指します。

セカハラをおそれて誰にも相談することができなかったり、我慢してしまうことによって、モラハラ問題がより悪化してしまうケースも少なくありません。

モラハラとパワハラの違いは?

モラハラと同様に、職場での問題としてたびたび取り上げられるハラスメントのひとつに、パワハラがあります。パワハラとはパワー・ハラスメントの略で、その名の通り立場や権力(パワー)などの力関係を利用して相手に精神的、肉体的な苦痛を与えるいじめや嫌がらせのことです。

職場でのパワハラは一般的に、上司や先輩、取引先など上の立場にいる人間から、部下や後輩、下請けなどの自分よりも立場が弱い人間に対して行われます。そのため、パワハラを受けた側は逆らったり、被害を訴えたりしにくいのも大きな特徴です。

モラハラの場合は権力や立場などは一切関係なく、加害者が部下で被害者が上司のように上下関係が逆の場合でも行われることがあります。モラハラ加害者の多くは、被害者以外には人あたりよく接するため、第三者から気付かれやすいパワハラとは異なり、問題が表面化しにくいといった側面も。

また、加害者側が悪意や罪悪感を持たず、無自覚でモラハラを行っているケースが多いのもパワハラとの大きな違いです。そのため、被害者が加害者ではなく自分自身を責めてしまい、ひとりで悩んだり追い詰められたりして、問題が深刻化してしまうことがあります。

ただ、上司や先輩など上の立場の人が、下の立場の人を周囲から気付かれないようにいじめや嫌がらせを行っていた場合は、パワハラとの線引きが難しいこともあります。

モラハラによって会社の責任が問われる場合も

モラハラ行為について直接規定している法律は今のところなく、モラハラの基準が曖昧になってしまい、解決に繋がらないことが多いのが現状です。ただし、会社には労働者が安心して働けるよう労働環境に配慮する「職場環境配慮義務」があります。

これは労働契約法や男女雇用機会均等法を根拠とした企業が負う義務であり、会社がモラハラなどのハラスメントに対して問題を放置したり、適切な措置を行わなかった場合は、義務違反として被害者から損害賠償請求をされたり、社会的な信用を失うなど、会社にとって大きな損失となることがあります。

職場でのモラハラの特徴とは? 事例もあわせて確認!

職場におけるモラハラは、夫婦や恋人間でのモラハラとは少し異なり、苦痛を与える言葉や態度などを直接向けられるほか、メール・文書などを用いたり、まわりの人を巻き込んだものが見られるのも特徴です。

業務の進行や、良好な人間関係の構築などを妨げて労働環境を悪化させ、最終的には退職へと追い詰めるケースも少なくありません。ここからは職場でのモラハラの特徴について、具体的な例を挙げながらいくつか紹介していきます。

ケース1暴言や態度による精神的攻撃

発言や態度などによるモラハラです。例としては「バカ」や「クズ」などの暴言を直接相手に言ったり、わざと本人に聞こえるように悪口を言ったり、人を侮辱するような動作や行為をすることを指します。自分が発言するときにだけ必要以上にため息をついたり、仕事上での失敗を執拗に責めたりするケースもみられます。

ケース2無視や仲間外れによる孤立

仲間から孤立するように仕向ける行為です。挨拶や発言などが日常的に無視されていたり、社内イベントや社内旅行、飲み会などに自分だけ誘われなかったりするほか、会議の時間や場所など、業務に必要な情報をもらえずに自分だけ遅れてしまうなど、業務に支障が出てしまうケースも多いようです。表立って行われないことが多いため、なかなか目立ちにくく、周囲の人が気付かないことも少なくありません。

ケース3必要以上のプライベートへの干渉や侮辱

業務の範囲を超え、必要以上にプライベートを干渉したり、侮辱するのもモラハラにあたります。この場合、被害者側に悪気がなく、本人は無自覚であることが多いのが特徴。具体的な例としては、休日や就業時間外に勝手に予定を入れられたり、自宅に強引に押し掛けたりするなどのケースがみられます。また、趣味や嗜好のことを持ち出してバカにするなどの侮辱行為も該当します。

ケース4仕事を振らない、または押し付けるなど業務の妨害

仕事をまったく振らなかったり、逆に過剰な量の仕事を押し付けたりするなどで、仕事の妨害をする行為です。わざと仕事の資料を渡さなかったり、間違った指示を出したりするケースもあるようです。さらに悪質になると、仕事を妨害して失敗させ、会社に必要がない人間だと思わせた上で、退職を迫るというケースもみられます。

ケース5周囲を巻き込んだ攻撃や侮辱

大声で叱責したり、他の人がいる前で侮辱する行為です。飲み会などの席で自分だけがいつもいじられたり、笑い者にされたりするという事例もあります。このようなモラハラをする加害者は、自分を正当化したいために、周囲を巻き込んで相手を攻撃することが多い傾向です。

これが日常化してしまうと周囲がその光景に慣れてしまい、ますますエスカレートしていく可能性があるため注意が必要です。ケースによっては「侮辱罪」が認められ、損害賠償請求できることもあります。

女性に対して行われるモラハラの特徴

モラハラは男女問わず行われるものではありますが、女性へのモラハラに関しては特徴や背景について、男性に対するものとは少し異なる点があります。

近年、女性の社会進出が顕著になり、徐々に風潮が変わってきましたが、日本では男尊女卑の考えがいまだに根強く残っていたり、まだまだ男性が優位の会社も多くあります。そのため、男性の中には出世したり成果を出す女性に対して、嫉妬心からモラハラなどのハラスメントに発展してしまう人もいます。

また、産休や育休の取得に際して退職を促されたり、休暇を取らせてもらえなかったり、育休から復帰したあと、仕事を任されなくなったりするなどの「マタハラ」(マタニティハラスメント)に悩む人も多く存在します。女性ならではの問題であるこのようなケースでは、加害者は男性だけというわけでなく、同じ女性であることも少なくありません。

モラハラを受けやすい人の特徴は?

あくまでもひとつの目安ですが、モラハラの標的になりやすいといわれている人にはいくつかの特徴があり、最も多く挙げられるのが、真面目で責任感が強い性格ということです。

モラハラの加害者は、自分を正当化して相手に責任があるように誘導していくため、最後まで物事をやり遂げようとするタイプは、比較的コントロールしやすいと思われがちです。何か問題が起こったとき、自分に非があると思ってしまう人は注意しましょう。同様に我慢強い性格の人も、モラハラを増長させてしまうおそれがあります。

モラハラの加害者は感情的になりやすく、立場の強い人には下手に、弱い人には上手に出ることが見られます。また、責任を転嫁したり恩を着せたりすることが多い一方で、逆の立場になることを非常に嫌がります。

ほかに、他人のプライベートに立ち入ったり、仕事で非常に高いレベルを求める傾向などもあるようです。あくまでも傾向なので、目安のひとつとして意識しておきましょう。

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職場でモラハラを受けたときの効果的な対処法は?

実際にモラハラ行為を受けてしまった場合は、すぐ対処するようにしましょう。仕事の進行に影響がないなら、無視するのもひとつの方法ですが、同じ社内では難しいことも多く、モラハラを放置するとさらにエスカレートしてしまう可能性もあります。

周囲の人に理解を求めたり、モラハラの加害者となるべく距離を置くことも有効な手段です。自分の身を守るために、思い切って転職を視野に入れるのもいいでしょう。

自分だけで解決するのが難しいと感じた場合は、しかるべき機関に相談したり、法的な手段を取ったりすることも考えておかなければなりません。

ここからはモラハラに対する具体的な対処法についていくつか紹介していきます。病気になってしまったり退職に追い込まれてしまう前に、しっかり対策をとっておきましょう。

対策1モラハラ行為を録音する・メールやLINEのデータを記録する

モラハラは、周囲の人から気付かれにくいという性質があるため、モラハラを訴えても信じてもらえなかったり、理解してもらえなかったりする場合があります。

周囲の協力を得て解決へと繋げるためには、モラハラを受けていることを証明するための証拠が必要です。例としては、嫌味や暴言などの録音、侮辱行為などの動画や写真、モラハラがわかるメールやLINEのデータなどがあります。

データにはモラハラを受けた日にちやその相手、場所や内容についてもわかるように、それぞれ情報を記載しておくとさらにいいでしょう。

自分がモラハラを受けている期間、継続的に書き残したメモなども非常に有効です。記録を残す際には、モラハラを受けた年月日や加害者の名前、モラハラまでの流れや内容、場所や第三者の有無、自分の気持ちや心身の状態についてなど、できるだけ詳細に記録しておくことで有利な証拠となり、早期解決にも役立ちます。

対策2カルテや診断書をもらう

証拠には、モラハラによって受けた被害がわかるものがあるとよりいいでしょう。精神疾患など心身の不調がある場合は、医療機関を受診した際の診断書やカルテがあると有効な証拠になります。その際、モラハラが原因による不調であることがわかるよう、モラハラを記録した証拠とあわせて照会ができるようにしておくことが大切です。

対策3周囲に相談する

証拠が集まったらしかるべき機関に相談しましょう。モラハラの相談は、社内に設置された相談窓口のほか、各都道府県に設けられている厚生労働省所管の出先機関である労働局や、ハラスメント問題に精通している弁護士にもできます。

社内にハラスメントの相談窓口が設置されている場合は、早い対応や措置が望めるのがいい点ですが、セカハラなどの二次被害が怖くて、なかなか相談できないという面も。また、そもそも自分の職場に窓口がなく、相談できないケースも多め。その場合は、行政機関への相談を検討してみましょう。各都道府県に複数設置されている労働局では、働いている労働者であれば誰でも無料で相談することが可能です。

ただし、労働局では助言をもらえたり、両者の間に入って和解の場を設けてもらうことはできますが、あくまでも解決への手助けをする機関のため法的な強制力はなく、話し合いも会社と被害者の合意の上で行われます。

もし、話し合いを拒否されたり和解が難しい場合や、加害者を訴えたい場合には弁護士へ相談を考える必要があります。弁護士に相談するのは有料になりますが、加害者側に内容証明などでモラハラをやめるように請求することや、裁判になったときの手続きなども一任することができます。

対策4電話やメールなど、無料で相談できる機関を利用する

自分が受けているのがモラハラなのかわからなかったり、不安や疑問があったりする場合、まずは無料で相談できる機関を利用してみましょう。加害者を訴えることも視野に入れている場合は、法テラスなどで相談したあとに、弁護士事務所に問い合わせてみるのもひとつの方法です。

モラハラ問題について無料で相談できる窓口には、ハラスメントなどの人権問題についての相談窓口である「みんなの人権110番」や、会社に関するセクハラやパワハラ、マタハラなどのハラスメント行為に関する相談を受け付けている「なんでも労働相談ホットライン」のほか、労働に関するメンタルケアを行う相談窓口の「こころの耳」などがあります。

どの窓口も職場での悩みを聞いてもらったり、モラハラ解決に向けてのアドバイスを受けたりすることができます。インターネットからの相談を受け付けているところもあるので、気になることがあったり、証拠がそろっていなかったりする場合でも気軽に相談してみましょう。

対策5加害者を訴えることを視野に弁護士に相談する

窓口での相談や話し合いをしても解決が難しい場合や、モラハラによって精神疾患を患ったり、退職を余儀なくされるなどの深刻な被害を被ってしまった場合は、加害者を訴える手段もあります。

モラハラは労働基準法での規定はありませんが「名誉毀損罪」や「侮辱罪」にあたる可能性があります。加害者に損害賠償請求するためには、モラハラがあったことの証明やそれによって受けた被害などを証明する証拠が必要です。しっかり証拠がそろっている場合には一度、弁護士事務所へ相談してみるといいでしょう。

弁護士にも得意な分野がそれぞれあるため、職場でのモラハラ問題に明るい弁護士を選ぶと相談もスムーズです。また、モラハラが原因のうつ病やPTSD、恐怖性障害、ストレス障害といった精神疾患と診断された場合は、傷害罪で刑事告訴できることもあります。

モラハラを受けたら我慢せず早めの対処を

モラハラは他のハラスメントよりも周囲に気付かれにくく、なかには加害者側だけではなく、被害者側も無自覚な場合があるため、非常に解決が難しい問題といえます。会社側にとっても、モラハラを放置することは損害賠償請求をされたり、信用が落ちてしまったりするなどのリスクに繋がります。

モラハラを受けてしまった場合、一番大切なのは無理をしないことです。深刻になると退職や心身の病気にも繋がってしまいます。長い時間を過ごす職場だからこそ、ひとりで思い悩んだりしないよう早急に対処をするようにしましょう。

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小さい子供がいるワーママは、子供の病気や行事などで会社を休むこともあるため、その引け目から何かあっても我慢してしまうことがあります。ひとりで抱え込む前に、客観的に判断できる友人や家族などにまずは話を聞いてもらうだけでも、いい方法が見つかるかもしれません。

文/エスタ

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