授乳中に赤ちゃんが暴れる理由「乳頭混乱」て何?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2020/02/16
授乳中に赤ちゃんが暴れる理由「乳頭混乱」て何?【小児科医監修】
監修
鳥海佳代子先生
とりうみこどもクリニック副院長

この記事は、授乳中に暴れる赤ちゃんについてまとめたものです。
授乳は赤ちゃんの命をつなぐ行為。体と心の成長に必要不可欠なものです。落ち着いておっぱいを飲んでくれないと、心配になりますよね。なぜ暴れるのか、その理由を探ってみましょう。

授乳中に赤ちゃんが暴れる原因

授乳は本来、赤ちゃんにとって嬉しく心地よいもの。うっとりと満足げな顔でゴクゴクとおっぱいを飲む姿に、ママも癒されますね。

そんな授乳タイムに赤ちゃんが暴れたり落ち着かなかったりするのには、いくつかの原因が考えられます。

母乳が出ない

全く出ないわけではなくても、赤ちゃんが満足するだけの量のおっぱいが出ていない可能性があります。おっぱいは、赤ちゃんが吸う刺激でだんだん出がよくなります。生後しばらくはママと赤ちゃんとの授乳の呼吸が合いにくいので、根気よく吸わせてあげるといいですね。

ただし、おっぱいを飲むのは赤ちゃんにとって、エネルギーを使う大仕事です。母乳の出が悪いと疲れて飲めなくなったり、欲求不満で泣き出したりすることが。体重が発育曲線のカーブに沿って増えているかどうかを確認しましょう。増え方が悪いようなら母乳にこだわりすぎず、ミルクを足してみて。

体重の増え方の目安は、生後3ヶ月までは1日25~30g、それ以降生後6ヶ月までは1日15~20gです。生後3ヶ月までの間に、1週間で100gも増えていないようなら、飲む量が不足している可能性があります。

おなかがすいていない

大人でも、おなかがすいていないときに出された食事は、モリモリ食べられませんよね。ちょっとつまんでは箸を置き、といったことを繰り返すのではないでしょうか。赤ちゃんも同じです。乳首はくわえても遊び飲みをしたり、顔をそむけて乳首を口から離したりするでしょう。

3時間おき、4時間おきといった授乳間隔は目安にして、あまり飲みたがらないときには無理をしないで少し時間をおいてみましょう。

離乳食の影響

おなかがすいていないのと同様に、離乳食でおなかがいっぱいだとその後の授乳はあまり気が進まないかもしれません。たっぷり食べて満足しているのなら、食後に無理に授乳する必要はありません。

離乳食が始まる5~6ヶ月には、授乳リズムが整ってきてママと赤ちゃんの呼吸も合っていることでしょう。産後すぐのころに比べれば、ママの気持ちには余裕があるはず。赤ちゃんが喜んで飲むタイミングを見計らってください。

飲むのが苦しい

鼻づまりがあると、おっぱいを飲むときに息が苦しくて落ち着かなくなります。鼻をあたたかいタオルであたためたり、鼻くそをとってあげたりするといいかもしれませんね。

おっぱいを飲むときには空気も飲み込むので、授乳後にげっぷをさせないと苦しくて飲みにくいケースもあります。赤ちゃんによってはげっぷをしない子もいますが、授乳後は縦抱きでしばらく軽くトントンして、胃に入った空気を出してあげましょう。

便秘

授乳中に暴れることは少ないかもしれませんが、おなかが苦しいので飲む量が減る可能性はあります。

乳頭混乱

乳頭混乱とは、赤ちゃんが哺乳瓶の乳首を好み、ママの乳首からおっぱいを飲みたがらない現象です。混合育児(混合栄養)では、たまに乳頭混乱を起こす赤ちゃんがいます。

◼混合育児(混合栄養)で心がけたいこと

おっぱいを飲むのは、実はとても力がいります。母乳は、口の筋肉をしっかり使わないと出てきません。哺乳瓶の乳首は母乳にくらべると中身が出やすいことが多いので、ラクに飲めることを覚えるとそちらを好むようになることがあるのです。

混合育児(混合栄養)の場合は、次のようなことを心がけましょう

・授乳は母乳→ミルクの順番で

最初に哺乳瓶を使うと、飲むのに力がいる母乳をいやがるかもしれません。最初は母乳から与え、乳房がカラになったところでミルクに替えましょう。

・授乳と授乳の間があくときは搾乳する

おっぱいは、吸われることでどんどん出るようになってきます。出がよくなれば赤ちゃんも飲みやすく、おっぱいだけで満足するかもしれません。授乳と授乳の間があくときは搾乳して、おっぱいが出やすい状態をキープしましょう。赤ちゃんがあまり飲んでくれなかったときも搾乳して乳房をカラにしておきます。

・乳首を締める、種類を変えてみる

哺乳瓶を逆さにして、何もしないのにミルクがポタポタ落ちてくるようなら乳首の締め方が緩すぎるのかもれません。少しきつめに締めて、あまりラクに飲めないようにしましょう。

まずは母乳がちゃんと出ていることを確認しましょう。その上で乳頭混乱を起こしているようなら、哺乳瓶の乳首を変えてみるのも手。口の周りの筋肉や顎に、しっかり力を入れないと飲みにくいものを選ぶといいですね。

原因として考えにくいもの、わかっていないもの

授乳中に暴れる原因と言われることが時々ありますが、実はよくわかっていないこと、原因とは考えにくいこともあります。

・母乳の質

お母さんの食べたもので母乳の味が変わる、まずいおっぱいだと赤ちゃんが飲まない、といったことが言われますが、明確な科学的根拠はありません。

動物性の脂肪をとり過ぎると母乳がややドロッとするといったことはありますが、赤ちゃんがいやがるほど明らかに味が変わるとは考えにくいです。スパイシーなカレーを食べたからおっぱいにカレーの匂いがうつる、スイーツを食べ過ぎるとおっぱいの甘みが強くなるといったこともありません。

「これをしなければ/これをすると母乳の質が悪くなる」と神経質にならず、なるべく栄養の偏りがないようにバランス良く食べ、水分をしっかりとりましょう。常識的な「健康的な暮らし」を心がければ十分です。

・歯がかゆい

歯が生え始めでかゆいために、授乳中に暴れることはあまり考えにくいですが、実際のところはよくわかりません。

授乳中に赤ちゃんが暴れるときの対策

・母乳が出ていない(出が悪い)→頻回授乳を心がける、ミルクを足す

・おなかがすいていない→少し時間をおく

・鼻づまりがある→鼻を掃除する

など、原因がわかっている場合はその対処をします。

それ以外に、いくつか心がけておきたいことがあります。

飲むことに集中できる環境を整える

テレビがついている、周囲で人が話しているなどガヤガヤしているとおっぱいに集中できず、暴れたり落ち着かなかったりすることがあります。

暑くなく寒くなく、できるだけ静かで気持ちよくおっぱいが飲める環境を整えてあげましょう。

赤ちゃんが安心できる姿勢に

赤ちゃんは子宮の中では、丸く縮こまって過ごしていました。ですから、たとえば手足がダラッと伸びた姿勢は落ち着かないもの。月齢の低い赤ちゃんほど、全身をしっかりホールドして安心できる姿勢にしてあげましょう。

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授乳はママと赤ちゃんとの共同作業。ときにはうまくいかないこともありますが、1回2回の失敗で赤ちゃんの成長に悪影響が出ることはありません。1~2週間ぐらいのスパンで体重の増え方を見ながら、自分たちなりの授乳の仕方を見つけてくださいね。

文/中根佳律子

監修
鳥海佳代子先生
とりうみこどもクリニック副院長
島根大学医学部卒業。島根県や千葉県の小児科に勤務後、2010年に夫とともにとりうみこどもクリニックをオープンさせる。カラフルな診療着とおおらかでやさしい人柄が、患者さん親子に人気のママドクター。
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