【FP監修】大学の費用はいくらかかる?学資保険や奨学金について解説!

 専門家監修
公開日:2020/01/30
更新日:2020/02/21
【FP監修】大学の費用はいくらかかる?学資保険や奨学金について解説!
監修
山田静江先生

「教育費のピークは大学進学時。この時期に備えて計画的にお金を貯められるのが学資保険です」。ファイナンシャル・プランナーの山田静江先生は、そう話しますが、いったい大学4年間にかかる費用はどれぐらいなのでしょうか。そのためは、いつまでにどれぐらい貯めておけばよいのでしょうか。足りなければ奨学金を利用するのもありなのでしょうか?

大学卒業までの費用はいくらかかるの?

文部科学省のデータによると、大学4年間でかかるお金は以下の通り。

●国立……243万円
●私立文系……397万円
●私立理系……540万円

*出典:私立大学は「平成29年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果について」より作成。国立大学の授業料、入学金は、平成29年度の標準額

「教育費は子どもの成長とともにかかりますが、いちばんかかるのは大学進学時。高校までは就学支援金もあるので、原則的に家計から出し、大学にかかる費用を貯めることになります。大学は進むコースで金額が変わりますが、国立でも200万円以上はかかることがわかります」

そう話すのは山田先生。また親元から離れて一人暮らしをするとその分のお金がかかります。全国大学生活協同組合連合会の「第54回学生生活実態調査の概要報告」によると、下宿性の仕送りは7万1,500円。子どもの住む場所にもよりますが、家から離れて下宿をするなら、7万1,500円×12カ月×4年間=342万2,000円分が、学校以外にかかると覚悟しておいたほうがよさそうです。

さらに留学や大学院に進学したりすると上乗せされるほか、パソコン代や教科書代、運転免許代、成人式や就職活動の費用などもかかります。

大学費用は、いつまでにどれぐらい貯めておくべき?

最低でも大学進学までに200万円、できれば500万円は貯めておきたい」と山田先生。

「500万円のうち、200万円は学資保険で貯められるとよいでしょう。18歳のときに200万円の満期保険金を受け取るなら、保険料は月々1万円程度。もう1万~1万5,000円は、積立NISAなどを利用して貯めていくのがおすすめ。確実に貯められる学資保険と大きくお金を増やせる可能性のある運用、その両方を行うことで、リスク分散にもなります」(山田先生)

ちなみに200万円は、児童手当をすべて貯めれば準備できる金額。児童手当は基本的に手をつけず、学資保険に回せば、その分負担は軽くなるでしょう。

「児童手当を使わないと子どもを育てられないというのは、家計の管理に問題があるかもしれません。やりくりを見直すか、専業主婦なら働くことを検討しましょう」(山田先生)

大学費用を貯めるのには学資保険がおすすめなの?理由は?

そもそも学資保険とは、子どもが被保険者、親が契約者となって加入し、子どもが一定の年齢になると、まとまった金額の満期保険金が受け取れる貯蓄性の保険。親に万が一のことがあると、その後の保険料が免除されるという特徴もあります。最近は厳しい経済環境により、返戻率(支払った保険料に対して受け取る金額に対する割合)が低く、元本割れを起こす商品もありますが、確実にお金が受け取れると、まだまだ根強い人気があります。

学資保険のメリットは?

【1】「学費を貯める」という目的がはっきりしている

子どもに最もお金のかかる大学進学時に、満期保険金を確実に受け取れるのは大きなメリット。18歳満期で一括で受け取れるもの、22歳満期で分割で受け取れるもの、小学校、中学校、高校の入学時にお祝い金が出るタイプもあります。

「最近多いのが、22歳を満期に大学入学時に受け取り、その後、在学中に4回に分けて、トータル5回受け取るタイプ。18歳満期か22歳満期か、どちらがよいとは言えず、好みの問題です。18歳満期にして一括で受け取ると、使ってしまいそうな人は22歳満期にしておくとよいでしょう。お祝い金が出るタイプは、大学進学前に使ってしまい、あとで困る可能性があるので、あまりおすすめできません」(山田先生)

【2】途中解約は損するので、使ってしまう危険がない

途中で解約すると“解約返戻金”が戻ってきますが、これまで支払った保険料の全額が戻ってくるわけではないので、多くは元本割れしてしまいます。これは反対に言うと、途中で解約しにくいということ。簡単に解約してしまう可能性が低いのは、メリットと言えるでしょう。

【3】契約者が亡くなっても、満期保険金などが受け取れる

たいていの学資保険は契約者である親が保険期間中に死亡したら、それ以降の保険料の払い込みは免除され、満期時には満期保険金が支払われます。とはいえ、免除されないタイプもあるので、加入するときによく確認しておきましょう。
満期金の他に、親の死亡時から満期時まで年金が受け取れる“育英年金(養育年金)”タイプの学資保険もあります。ただし保障を厚くすると、戻るお金が少なくなる可能性があります。

【4】支払った保険料より、受け取る金額が多い場合がある

支払った保険料に対して受け取れる金額の割合をあらわしたものが“返戻率”。受取総額÷保険料払込総額×100で算出され、100%を切ると元本割れということ。かつては返戻金120%以上という商品もあったようですが、最近はどんなに高くても110%以下、商品によっては100%以下のものも少なくありません。とはいえ、100%を超えるものもあります。保険料の支払い方や払込期間、受取時期を工夫することで返戻率を上げることもできます。

【5】節税効果がある

学資保険は生命保険の一種なので、生命保険料控除の対象になります。生命保険料控除とは、支払った保険料に応じて所得金額から差し引かれる所得控除のこと。所得控除が多いほど、課税対象となる所得の金額が減少し、所得税と住民税が軽減されます。つまり学資保険に加入していれば、税金が少し安くなるということ。学資保険は“一般生命保険料控除”の枠で最大4万円まで控除が受けられます。会社員は年末調整、自営業は確定申告で手続きすればOKです。“保険料控除証明書”を添えて申告しましょう。

もし貯められなかったら、奨学金を利用するのもアリ?

「まず前提として、安易に『足りなければ、奨学金を借りればいい』という考えはやめましょう。奨学金は、子ども自身が返さなければいけないもの。子どもに借金を背負わせて社会人生活をスタートさせるのは、なるべく避けたいものです」(山田先生)

とはいえ、返さなくてもよい給付型もありますので、どうしてもお金が用意できないときは検討してみてもよいかもしれません。まずは奨学金のしくみについて解説しましょう。

奨学金ってどんなもの?

日本学生支援機構(JASSO)をはじめ、地方公共団体や育英団体、学校、企業など、さまざまな団体が奨学金制度を行っています。

奨学金には原則的に返さなくてもいい“給付型”と、返さなくてはいけない“貸与型”があります。

最も知られているのが、国の運営する日本学生支援機構(JASSO)の奨学金。返還不要の“給付奨学金”は、2020年4月から新制度がスタート。いわゆる“大学の無償化”と言われるものです。
一方、“貸与奨学金”には、返すときに利子のつく“有利子”と利子のつかない“無利子”があります。在学中は本人名義の口座に毎月、振り込まれ、卒業後は自分で返していくことになります。

◆給付奨学金とは?

2020年4月から、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生を対象に、授業料・入学金の免除または減免に加えて、給付型奨学金が支援される「高等教育の修学支援新制度」、いわゆる“大学の無償化”がスタート。対象となる学校は、大学、短期大学、高等専門学校(4年・5年)、専門学校。すでに在学している学生も対象になります。

●入学金・授業料はどれぐらいもらえる?

住民税非課税世帯の学生の場合、国公立大学(昼間制)で入学金約28万円、授業料約54万円、私立大学(昼間制)で入学金約26万円、授業料約70万円が支援されます。住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は、住民税非課税世帯の学生の2/3または1/3の金額になります。大学2年生から支援を受ける場合は、入学金は対象外。

●給付型奨学金の金額は?

住民税非課税世帯の学生の場合、国公立大学(昼間制・夜間制)なら自宅生2万9200円、自宅外6万6,700円、私立大学(昼間制・夜間制)なら、自宅生3万8,300円、自宅外7万5,800円が支援されます。住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は、住民税非課税世帯の学生の2/3または1/3の金額になります。

◆貸与奨学金とは?

貸与奨学金には、無利子の“第一種奨学金”と有利子の“第二種奨学金”の2種類があり、それぞれに学力基準と家計の所得制限があります。

●借りられる金額は?

・第一種奨学金(無利子)
自宅か自宅外かで借りられる上限が変わります。大学院在学中に優れた成績を残したら、奨学金の全額または半額の返還を免除する制度も。

大学…
国公立の場合(月額)
自宅:2万、3万、最高4万5,000円
自宅外:2万、3万、4万、最高5万1,000円

私立の場合(月額)
自宅:2万、3万、4万、最高5万4,000円
自宅外:2万、3万、4万、5万、最高6万4,000円

・第二種奨学金(有利子)

2万~12万円(1万円単位)
私立大学、医・歯学課程12万円を選択したら4万円の増額可
私立大学、薬・獣医学課程12万円を選択したら2万円の増額可

*入学時特別増額:第一種奨学金、第二種奨学金に加えて、国の教育ローンを借りられなかった世帯を対象に、10万、20万、30万、40万、50万から選んで利用できる“入学時特別増額貸与奨学金(一時金・利息付)”もあります。

●どうやって返すの?

・第一種奨学金(無利子):

返還完了まで月々決まった金額を返す“定額返還方式”と、年収に応じて返す月額が変わる“所得連動返還方式”の2種類があります。

・第二種奨学金(有利子):

利率の算定方式は、返還完了まで利率の変わらない“利率固定方式”か、おおむね5年ごとに見直される“利率見直し方式”があり、どちらかを選択します。利率は国の財政融資資産の借入金利に連動しています(上限年3%)。

ホームページでいくら借りたら、いくら返せるかをシミュレーションできるので、借りる前は必ず利用したほうがよいでしょう。

奨学金のメリットは?

何といっても利息が低いのがメリット」と山田先生も語るように、第二種奨学金(有利子)の利率は、一般的なローンに比べるとかなり低く、平成31年4月に貸与終了した人の貸与利率(平成19年4月以降の採用者)は、利率固定方式は0.153%、利率見直し方式は0.002%となっています。

奨学金のデメリットは?

デメリットとして上げられるのは『保証』」と言う山田先生。

「奨学金を借りるには、連帯保証人と保証人を立てなければいけませんが、これを人的保証と言います。それが無理なら保証機関に保証料を支払って、連帯保証してもらう必要があります。これが機関保証ですが、この保証料が高い! 毎月の奨学金から先に取られるので、負担感が大きいのです」(山田先生)

“人的保証”か“機関保証”かは、申込時に選ぶことになります。機関保証の保証料は、貸与月額、貸与月数、貸与利率、返還期間などで異なります。ちなみに2019年度第一種奨学金(無利子)の保証料は、私立大学(自宅外・貸与月額4万円・貸与期間48ヶ月・貸与総額192万円・返還回数156回)で月額1,262円、第二種奨学金(有利子)なら、同条件で月額1,490円となります。なお第一種奨学金(無利子)の“所得連動返還方式”を選ぶと、機関保証になります。

教育ローンってどんなもの?

奨学金と同様、学費が足りないときに、利用を検討することになるのが教育ローン。奨学金は子どもが借りるものですが、教育ローンは親が借りるものです。教育ローンは“国の教育ローン”と“銀行のローン”があります。

「国の教育ローンは利率と保証料がかかりますが、銀行の教育ローンは保証料の負担がなかったり、その銀行で住宅ローンを組んでいると金利が割引になるなど、少しオトクに組める場合があります」(山田先生)

国の教育ローンってどんなもの?

●誰でも借りられるの?

保護者の所得制限があり、上限は子どもの人数によって異なります。子どもが1人なら、上限額は790万円(所得590万円)、2人なら890万円(680万円)、3人なら990万円(770万円)と、子どもが多いほど上限額は増えていきます。
ただし子どもが2人以内であっても、勤続年数が3年未満など一定の要件に該当すれば、上限が990万円(770万円)に緩和されます。

●いくら借りられる?

子ども一人につき最高350万円まで。海外留学資金は、一定の条件付きで最高450万円。

●金利や返済期間、返済方法は?

金利は固定金利で年1.66%。返済期限は最長15年。ただし母子家庭や父子家庭、交通遺児家庭、子ども3人以上の一部世帯、世帯年収200万円以下なら、金利や返済期間などについて優遇措置があります。
返済方法は元利均等返済。ただし、在学中は利息のみの支払いとすることも可能。

●保証は?

連帯保証人を立てる場合は、子どもの4親等以内の親族を。連帯保証人がいなければ、(公財)教育資金融資保証基金による保証を利用できます。ちなみに令和元年8月1日以降の保証料は、融資額100万円あたり、返済期間5年、利息のみ返済(元金据置)期間がなしの場合で総額2万3,413円。一括で差し引かれてから融資されます。

●手続きは?

インターネットか郵送で申し込み可能。申込フォームか申込書に記入し、その後、必要書類を用意して、日本政策金融公庫に郵送します。来店での申し込みもOK。申し込みから審査の結果が出るまでに10日前後、さらに口座に振り込まれるまでに10日前後。必要になる時期の2~3ヶ月前に申し込みましょう。入学時の費用が必要な場合は、合格発表前でも申し込みできます。入学資金については、入学月の翌月末までの融資となります。

銀行の教育ローンってどんなもの?

銀行の教育ローンも、金利1%台と低金利なところが多くなっています。国の教育ローンに比べると、借入可能額の上限が1,000万~3,000万円と大きく、即日回答など審査が早いのもメリット。保証料は無料のところもあれば、借入金利に含まれているところもあります。住宅ローンのように団体信用生命保険がつけられるところも。多くがネットで完結できるため、気軽に利用できるのがメリットでもあり、デメリットでもあると言えそうです。

教育ローンのメリットは、一時的に大きなお金の支出が避けられる、元金返済の据え置きが可能なので返済期間に余裕ができるといったことでしょうか。デメリットは、返済が家計を圧迫すること。元金返済を据え置きすることで、利息を支払う期間が長くなり、総返済額が大きくなるのも要注意ポイントです」(山田先生)

奨学金と教育ローンは併用できるの?

「併用は可能です。入学時は教育ローン、在学時は奨学金と併用をする人もいますが、どちらも借金なので、極力避けたほうがよいのは言うまでもありません」(山田先生)

いざお金がいる大学進学時に困らないためにも、学資保険などでしっかりと学費を準備しきたいものです。

※掲載の内容は2019年現在のものです。

文/池田純子

監修
山田静江先生
「損得だけではない、豊かな暮らしを送るためのマネープラン」をモットーに、講演や執筆など幅広く活躍中。

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