【FP監修】マイナス金利って何? 学資保険に影響するの? 

 専門家監修
公開日:2020/01/31
【FP監修】マイナス金利って何? 学資保険に影響するの? 
監修
山田静江先生

子どもが生まれたら、周囲の人から“学資保険”の加入をすすめられることが多いでしょう。気をつけたいのは、昔の学資保険といまの学資保険とでは、利回りが全く違うということ。かつては支払った保険料を上回った保険金が支払われていましたが、いまや元本割れの商品も…。その原因のひとつは“マイナス金利”にあるようです。

マイナス金利とはどういうもの?

マイナス金利とは、民間の金融機関が日本銀行にお金を預けるときに、利息をもらうのではなく、逆にお金を支払わなければいけない状態をさします。

2016年1月にマイナス金利政策は導入されましたが、対象となったのは、個人の預金ではなく金融機関の預金の一部。金融機関が日本銀行に預けているお金を、企業への貸し出しや投資に資金を回すことを狙いに、この政策は実施されました。

マイナス金利のメリット、デメリットは?

低金利になると、当然個人の金利も低くなります。銀行に預けてもほとんど金利がつかないことはデメリットですが、反対に住宅ローンなど借りやすくなったことはメリットかもしれません

金利が低くなると、保険の利回り(1年あたりの収益の割合)も悪くなります。利回りが悪ければ、結果的に保険料は高くなります。返戻金(支払った保険料総額に対し、将来受け取れる満期保険金の割合)は大きく下がり、元本割れする恐れもあります。

なぜ利回りが悪いと、保険料が高くなるのでしょうか。

そもそも保険会社の保険料は、次の3つの予定基礎率を用いて計算されます。

①予定死亡率……年齢、性別ごとの死亡率
②予定利率……保険料の運用による利回り
③予定事業費率……保険事業運営のためにかかる経費

保険料の一部は運用に回されますが、運用で得られるであろう収益は、あらかじめその分だけ割り引いて保険料は決められます。このときに用いられる割引率が➁予定利率であり、予定利率が高ければ、契約者の支払う保険料は安くなり、予定利率が低ければ保険料は高くなります。

ちなみに保険会社は、これら3つの予定基礎率を多めに見積もって運用するため、余剰金が生じたら配当金として契約者に分配されます。この余剰金を分配するのが有配当保険、これに対して余剰金を分配しないのが無配当保険です。無配当保険は予定死亡率と予定事業費率を低めに、予定利率を高めに、と余剰金が生じる余地をギリギリに設定することで、保険料を安くしています。

その他、最近5年ごとに利差益(予定利率による剰余金)のみまとめて配当する、有配当保険と無配当保険の中間に位置する準有配当保険(5年ごと利差配当付保険)もあります。

結局、マイナス金利は保険に影響するの?

「“マイナス金利によって低金利になると保険料は高くなる”という意味では、マイナス金利が保険に影響していると言えます」と話すのはファイナンシャル・プランナーの山田静江先生。

「保険会社は保険料の大半を債券で運用しています。高い利回りを求めるなら、株や外資を運用する保険を検討するのもひとつの手かもしれません。ただし、利回りは運用環境に左右されます」(山田先生)

マイナス金利時代の学資保険の選び方は?

これから学資保険に加入するなら、次の3つのポイントをおさえておきましょう。

①早めに加入する
②利回りのよいものを探す
③お金のプロに相談する

早めに加入する

金利が低く保険料が高いなら、なるべく早めに加入したほうがよいのでしょうか。

「もともと学資保険は運用メリットの低い商品。いつか加入しようと思っているなら、金利を期待するよりも、なるべく早く入ったほうがよいでしょう。契約者である親が大病を患うなどすると、保険に何年も入れないことがあるからです。契約者の健康状態がよいうちに入ったほうが安心でしょう。

最近は、子どもが生まれる前から入れる学資保険もありますが、そこまで急がなくても、生まれて赤ちゃんの顔を見から入るというのでOKです」(山田先生)

利回りの良いものを探す

貯蓄性をあきらめたくないなら、学資保険の外貨建てを選ぶのも手。

「外貨建て保険は、米ドルやオーストラリアドルなどの外貨で運用されるもの。外貨建て保険は、外国の債権で運用されることが多いので、一般的に円建てよりも予定利率が高いことがメリットです。保険料や保険金は、外貨ベースで確定しているものの、円換算の保険料や保険金額は、そのときどきの為替レートで決まるため、受取時に保険料払込時より円安になるとプラスαになる可能性もあります。

一方で、円高になると元本割れになるリスクもある点は注意が必要です。円で支払ったり、受け取ったりする金額は、為替の動きに左右されると知っておきましょう。また為替手数料はもちろん、その他の手数料が余分にかかる場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう」(山田先生)

その他、支払期間を短くする、まとめて支払うなどして、利回りをよくする工夫を考えてみましょう。

お金のプロに相談する

どうやって選べばいいかわからないという人は、お金のプロであるファイナンシャル・プランナー(FP)に相談してみるのもおすすめです。

「まずは、日本FP協会のホームページをぜひチェックしてみましょう。相談できるFPを探せたり、イベントの情報も載っていたりします。個人的にFPに相談する場合、値段の目安は1時間3,000~10,000円ですね。保険ショップなど無料相談窓口は、やはり保険を売ることを目的としているので、たとえ必要なくても『あなたに保険はいりません』とは言いにくいもの。もちろん良心的な人もいますが、ただより高いものはないと覚えておきましょう。保険会社各社の販売員は、他社とは比較できないため、販売員と会うときは、その会社の保険に入る覚悟で会ったほうがよいでしょうね」(山田先生)

※掲載の内容は2019年現在のものです。
文/池田純子

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山田静江先生
「損得だけではない、豊かな暮らしを送るためのマネープラン」をモットーに、講演や執筆など幅広く活躍中。

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