生命保険料控除とは?計算や上限、対象を知れば確定申告もあんしん!

コラム
公開日:2020/02/03
生命保険料控除とは?計算や上限、対象を知れば確定申告もあんしん!

生命保険料控除は年末調整や確定申告に関わるものの、細かな点が曖昧なままでいる人も多いのではないでしょうか。控除のあるなしで課税額が違うので、意外と節税ポイントを秘めています。生命保険料控除について理解すれば、所得税や住民税が低くなる可能性も! この記事では、生命保険料控除の説明をはじめ、対象となる種類や制度の区分による計算方法、生命保険料控除の対象者など、控除の手続きも含めて解説していきます。

そもそも生命保険料控除とは?

「控除」は一般的に金額や数量などを差し引くといった意味がありますが、税金についてもよく控除という言葉が登場します。税金に関わる控除にはいくつか種類があり、「生命保険料控除」とは所得控除の対象である項目のひとつです。

所得税はその年の所得に対してかかる税金で、1年間の個人の収入(年収)から課税対象外の金額を差し引いたものをベースに課税額を算出します。この「課税対象外の金額」に該当するのが、控除額や経費です。

日本では、納税者個々の生活を考慮し、事情を加味したうえで所得税額を決定することが所得税法で「所得控除」の制度として定められています。そのため、所得控除の項目に当てはまるものは控除額として、課税額を決定する計算の前に所得から差し引いてもらえます。

つまり、所得控除はわかりやすくいえば、税金負担を少しでも軽くするために個人が活用できる制度!だからこそ把握しておくことが大事なのです。

所得控除には多くの種類があり、納税者であればもれなく適用される「基礎控除」のほか、要件を満たす場合には対象となる13項目が決められています。国税庁のホームページで確認してみましょう。

生命保険料控除を受けられると、年間の所得から控除対象の保険料分が差し引かれるので、税率が掛けられる所得額が本来の所得より低くなります。

計算のもとになる所得が下がれば、所得税と住民税が軽減されます。ちなみに所得税控除の申告を行うと、住民税にも対象控除の内容が反映されます。なので、改めて住民税のために控除の手続きを行う必要はありません。

どんな人が生命保険料控除の対象になるの?

生命保険料控除の対象者は誰でしょう? 実は、単純に契約者が控除の対象者というわけではありません。保険金の受取人が誰かというのがポイントです。生命保険料控除の対象は、保険料の支払いをする本人もしくはその配偶者、親族が保険金の受取人となっている生命保険料と定められています。

ここでいう親族とは、血族であれば6親等以内、姻族では3親等以内の人が該当します。たとえば、夫が妻の契約している生命保険の保険料を代わりに支払っている場合、その保険料は生命保険料控除の対象となります。

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生命保険料控除の対象となる期間は? 申告の時期はいつ?

生命保険料控除の対象となる契約の期間は、その年の1月1日から12月31日までを指します。年末調整と確定申告、申請時期がそれぞれ設けられています。

確定申告

確定申告の時期は翌年の2月16日~3月15日と定められており、提出先は納税地(基本は居住地)を管轄する税務署です。指定されている税務署に記入を終えた確定申告書と生命保険料控除証明書を提出します。さかのぼっての申告も可能で、5年前までの分は還付の確定申告の対象です。

年末調整

企業に勤めている場合は、毎月の給与から源泉徴収として給与額に応じた所得税額が天引きされています。雇い主(事業主)が支払いの都度徴収した税金は、翌月10日までに国に納めることが義務づけられています。さらに年末には、実際にその個人が1年間に支払うべき所得税額と、源泉徴収された差を、個人の生命保険料控除額などを含めた申告をもとに、雇い主側で調整するのが年末調整です。

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生命保険料控除の対象となる保険の種類を知ろう!

契約中の保険が「生命保険料控除」の対象かどうか、その判断にはポイントが2つあります。まず知っておくべき点は、控除の対象となる保険は種類が決まっていること。そして、どの保険が対象であるか定めている「生命保険料控除の制度」には新旧があり、どちらの制度が適用されているのかで内容が若干異なり注意が必要なことです。

契約している生命保険の新旧制度は? 契約日がポイント!

生命保険料控除の制度は内容の見直しが行われ、平成24年(2012年)1月1日を区切りに新旧制度に分かれています。改正前の平成23年(2011年)12月31日までに結んだ契約であれば旧制度の適用が保持され、平成24年以降の新規の契約は新制度の内容に基づくので、契約日がポイントなのです。

新旧で違う生命保険料控除の種類

生命保険料控除の種類は、旧制度では「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2種類でしたが、新制度には新たに「介護医療保険料控除」が加わり3種類になりました。

生命保険の主契約と特約の保障内容に準じて、どの保険料控除になるのか分かれます。保険の名称ではなく、あくまで保障される内容をもとに分類される点が少しわかりづらいようです。不明点は生命保険会社に確認しておくと安心でしょう。それぞれの生命保険料控除に該当する保険料は次の通りです。

【一般生命保険料控除の対象】
生存もしくは死亡に対して支払われる一定額の保険金や、給付金の支払いに関わる契約分の保険料が対象です。

【個人年金保険料控除の対象】
「個人年金保険料税制適格特約」を付けた場合の個人年金保険契約の保険料が対象。退職年金は該当しません。個人年金保険料控除を受けるための「個人年金保険料税制適格特約」は無料で後づけも可能ですが、付加すると制限が付帯するので注意が必要です。特約のみの中途解約や個人年金保険料控除の条件から外れるような変更はできません。

また、契約の一部を解約して年金額の減額を設定しても、満期まで返戻金の受取りは不可。生命保険会社の利率に基づき積み立てが継続されます。年金支給の開始時に年金額に加算されるので、それまで待たなくてはなりません。

【新制度から加わった介護医療保険料控除の対象】
傷害を負った際や疾病による通院、入院に関わる医療費などが支払い対象となる契約分の保険料が対象です。医療保険や介護保険、がん保険などが該当。支払い済みの保険料が控除の対象であるかは、生命保険会社から送付される生命保険料控除証明書で確認できます。

契約を変更した場合、生命保険料控除はどうなるの?

契約したタイミングにより採用される制度が違うものの、場合によっては平成24年以前に契約した生命保険に新制度が適用となるケースもあります。

契約中の生命保険がもとは旧制度であっても、平成24年1月1日以降に変更の手続きをとった際には、内容の一部もしくは契約全体にかかる保険料に新制度が用いられます。該当するケースとして挙げられるのは、契約の更新や転換、特約の中途付加など。このような変更を平成24年以降に行うと、基本的に変更後は新制度が適用された保険料になります。

ただし、転換と特約に関しては手続き内容によって例外もあるので理解しておきましょう。ちなみに生命保険の転換制度は、現行の契約を新規の契約に活用することが可能な仕組み。保険会社を変えずに契約を切り替えたいときに利用できる制度です。

これまでの積立額を新規契約(転換先)の下取り部分(転換価格)として取り扱うのが大半ですが、転換制度の方法や基準は生命保険会社によって異なります。もしも契約内容を部分的に転換した場合は、転換した新規の契約のみが新制度、継続となるもとの契約は旧制度の扱いです。

特約については、中途付加をしても新制度が適用されないケースがあります。たとえば「リビング・ニーズ特約」や「指定代理請求特約」のほか、不慮の事故や指定されている疾病によって身体的な傷害を負った際などに備える特約「災害割増特約」や「傷害特約」などです。

これらの特約は新たに追加しても契約は旧制度のまま継続となります。生命保険料控除証明書に記載される金額には、当然ながらこれらの控除対象外分の保険料は含まれないことを覚えておきましょう。

契約の更新を平成24年以降に行ったときには、更新月が制度の新旧を区分するので、その月からの支払い額は新制度を用いた保険料です。人によって、生命保険料控除の対象基準が旧制度であったり、新制度であったり、中には新旧ふたつの制度をそれぞれ適用している保険契約をもっていたりするわけです。まずは今一度契約を確認し、関わっている制度を把握しましょう。

生命保険料控除の計算方法は? 上限はある?

生命保険料控除の適用限度額は新旧制度で異なります。新旧制度それぞれのケースと、新旧が混在している保険契約で支払い中のケースに分けて見ていきましょう。控除額の計算方法は、控除の種類に関係なく同一です。

旧制度の場合の適用限度額

平成23年12月31日以前に契約した旧制度での生命保険料控除の適用限度額は、以下の通りです。

●生命保険料控除を1種類受けた場合:所得税が50,000円、住民税は35,000円
●生命保険料控除を2種類受けた場合:所得税が100,000円、住民税は70,000円

介護や医療に関わる保険料も一般生命保険料に含まれます。

新制度の場合

平成24年1月1日以降に契約した新制度において、生命保険料控除の適用限度額は次の通りです。

●生命保険料控除を1種類受けた場合:所得税40,000円、住民税28,000円
●生命保険料控除を2種類受けた場合:所得税80,000円、住民税56,000円
●生命保険料控除を3種類とも受けた場合:所得税120,000円、住民税70,000円

新旧制度が混在している場合

新旧制度が混在している場合には、新旧制度全体での適用限度額として所得税が120,000円、住民税が70,000円と定められています。

控除額の計算式は?

【新制度での生命保険料控除額】

【旧制度での生命保険料控除額】

新旧制度が混在している契約では、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除をそれぞれ新旧の制度で計算したものを合算でき、その合計の金額が生命保険料控除額となります。

【新旧制度混在の場合の生命保険料控除額】

※いずれも引用元:【公益財団法人 生命保険文化センター】税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」

生命保険料控除の計算ツール

生命保険料控除額を割り出すのに便利な計算サポートツールもあります。インターネットで「生命保険料控除 計算」などのワードで検索をかければ、多くの生命保険会社などのwebサイトで紹介されているので利用してみましょう。

生命保険料控除の手続きの方法

生命保険料控除の手続きは新制度、旧制度どちらも同様です。会社に属している人と、自営業の人では手続きの仕方が異なります。

会社員やパートの場合は年末調整の提出と一緒に!

会社から給与を得て働いている場合は、年末調整の際に社員に配布される給与所得者の保険料控除等申告書に「生命保険料控除証明書」を添付します。勤務先に提出すれば、あとは会社の総務を通して控除の手続きをしてもらえます。保険料を給与から天引きで支払いしているのであれば、生命保険料控除証明書の添付は不要です。ただし、年末調整で生命保険料控除を受けていない、もしくは年間の給与が2,000万円以上の人は確定申告が必要です。

自営業の人は確定申告で!

自営業者は年末調整がないので確定申告の際に、生命保険料控除証明書を確定申告書に添付して提出します。所得税の確定申告の時期(翌年の2月16日~3月15日)に確定申告書の「所得から差し引かれる金額」という欄の生命保険料控除の箇所に記入し、証明書とともに申告すれば控除が受けられます。

生命保険料控除の手続きに必要な証明書

生命保険控除の手続きには、保険会社から発行される生命保険料控除証明書が必要です。証明書は10月頃に送付されるのが一般的です。もしも紛失などトラブルがあった場合には、再発行を依頼できるので、保険会社に速やかに連絡を入れましょう。

生命保険料控除を申請するときの注意点

生命保険料控除の申告の際に注意すべきところは、保険の契約内容が生命保険、介護医療保険、個人年金保険のどの種類に該当するか、そして保険料は新旧どちらの制度が適用されるかという点です。

また、保険会社から届く生命保険料控除証明書にある証明額と、申告額を混同しないようにしましょう。証明額はその年に支払い済みの分、申告額は12月末までの支払い予定の保険料のトータルなので、手続きでは申告額を記入します。

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子どもが生まれるとより身近になる生命保険。家族が加入している保険の内容など、確定申告や年末調整の際に改めて確認しておくのもいいかもしれませんね。

文/ティニー

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