【FP監修】大学4年間で500万円!? 学資保険は毎月いくらかけるべき?

 専門家監修
公開日:2020/09/20
【FP監修】大学4年間で500万円!? 学資保険は毎月いくらかけるべき?
監修
山田静江先生

文部科学省のデータ*によると、大学4年間にかかる費用は国立243万円、私立文系390万円、私立理系530万円。選ぶ進路で大きく変わりますが、いずれも高校までの費用とはケタ違い。また、留学や大学院進学などの可能性を考えるなら、さらにかかることになります。
そう考えると、教育費として貯めておくべき金額は、大学進学時に最低200万円、500万円あれば確実と言えそう。では、この500万円はどうやって貯めたらよいのでしょうか。

貯金の半分は学資保険で貯めよう!

「仮に0歳から18歳まで毎月2万5,000円貯めたら、

2万5,000円×12ヶ月×18年=540万円

になります。月々2万円貯めれば、大学進学時には400~500万円貯められます。このうち半分くらいは学資保険で貯められるといいですね」

そう話すのはファイナンシャル・プランナーの山田静江先生。

そもそも学資保険とは、子どもを被保険者、親を契約者とし、親の万一に備えながら、子どもにかかる教育費を準備する貯蓄型の保険。最近は「支払った保険料より受け取るお金が少ない元本割れの商品もある」と敬遠され気味ですが、学資保険ならではのメリットはある、と山田先生は話します。メリットと合わせてデメリットも見ていきましょう。

学資保険のメリットは?

【1】「学費を貯める」という目的がはっきりしている

子どもに最もお金のかかる大学進学時に、満期保険金を確実に受け取れるのは大きなメリット。18歳満期で一括で受け取れるもの、22歳満期で分割で受け取れるもの、小学校、中学校、高校の入学時にお祝い金が出るタイプもあります。学資保険のお祝い金や満期保険金を受け取るタイミングは、大きくは3パターン。

①小学校・中学校・高校の入学時にお祝い金として受け取る
②18歳満期時に一括で満期保険金を受け取る
③22歳満期で大学在学中に分割して満期保険金を受け取る

「最近多いのが、22歳を満期に大学入学時に受け取り、その後、在学中に4回に分けて、トータル5回受け取るタイプ。

18歳満期か22歳満期か、どちらがよいとは言えず、好みの問題です。18歳満期にして一括で受け取ると、使ってしまいそうな人は22歳満期にしておくとよいでしょう。お祝い金が出るタイプは、大学進学前に使ってしまい、あとで困る可能性があるので、あまりおすすめできません」(山田先生)

【2】途中解約はソンをするので、使ってしまう危険がない

途中で解約すると“解約返戻金”が戻ってきますが、これまで支払った保険料の全額が戻ってくるわけではないので、元本割れしてしまいます。これは反対に言うと、途中で解約しにくいということ。簡単に解約して使う危険性がないのはメリットと言えるでしょう。また途中で解約せずにすむように、家計に負担なく払い続けられる保険料を設定しておくことも大切。

■解約返戻金とは■

解約返戻金とは保険契約が解約されたときに、契約者に払い戻されるお金のこと。契約者が支払った保険料の一部は、保険会社が将来支払うために積み立てたりするだけでなく、契約を維持する費用にあてたりするため、解約返戻金の金額は、払い込んだ保険料よりも少なくなることがあります。金額は保険期間、契約年齢、加入年数などで異なります。

【3】契約者が亡くなっても、満期保険金などが受け取れる

たいていの学資保険は契約者である親が保険期間中に死亡したら、それ以降の保険料の払い込みは免除され、満期時には満期保険金が支払われる満期金の他に、まれに免除されないタイプもあるので、加入するときによく確認しておきましょう。満期金の他に親の死亡時から満期時まで年金が受け取れる“育英年金(養育年金)”タイプの学資保険もあります。ただし保障を厚くすると、戻るお金が少なくなる可能性があります。

【4】支払った保険料より、受け取る金額が多い場合がある

支払った保険料に対して受け取れる金額の割合をあらわしたものが“返戻率”。受取総額÷保険料払込総額×100%で算出され、100%を切ると元本割れということ。かつては返戻金120%以上という商品もありましたが、最近はどんなに高くても110%以下、商品によっては100%以下のものも少なくありません。とはいえ、100%を超えるものもあります。保険料の支払い方や払込期間、受取時期によっても変わるので、より返戻率を上げる工夫も必要です。

【5】節税効果がある

学資保険は生命保険の一種なので、生命保険料控除の対象になります。生命保険料控除とは、支払った保険料に応じて所得金額から差し引かれる所得控除のこと。所得控除が多いほど、課税対象となる所得の金額が減少し、所得税と住民税が軽減されます。つまり学資保険に加入していれば、税金が少し安くなるということ。

学資保険は“一般生命保険料控除”の枠で最大4万円まで控除が受けられます。会社員は年末調整、自営業は確定申告で手続きすればOKです。“保険料控除証明書”を添えて申告しましょう。

「会社員でも年末調整で書類を出すのを忘れたら、住んでいる地域の税務署で確定申告すれば問題ありません。なお学資保険の加入時期が年末に近いと、保険料控除証明書が年末調整に間に合わず、翌年、自分で確定申告をしなければいけない場合もあります。また契約者は妻だけど、実質的に支払っているのは夫という場合は、夫の所得控除になります」(山田先生)

学資保険のデメリットは?

【1】途中で解約するとソンをする

学資保険は途中解約すると、お金が戻ってきます。しかしメリット【2】で触れたように、支払った保険料から経費やそれまでの保障部分を差し引いて戻されるため、大きく損をする可能性があります。これが、いちばんのデメリットです。特に加入してからの時期が短いと、解約返戻金がかなり少なくなるので、よく考えてから加入しましょう

途中で解約してお金を使ってしまう危険がないという意味ではメリットですが、長期間にわたってお金を自由に引き出せないと、何かの事情でまとまったお金が必要になったときに困るかもしれません。そういう意味ではデメリットですね」(山田先生)

■途中解約で多いパターンは?■

途中解約の理由に多いのは「家計が厳しくて保険料を支払えなくなった」「あとから契約内容がわが家に合わないことに気づいた」など。

学資保険は10年以上の長期間にわたり、続けていくものですので、加入前に以下の項目はしっかりとチェックしておきましょう。

・契約者は誰か
・子どもが何歳まで支払うのか
・月々の保険料はいくらか
・合計でいくら支払うのか
・満期保険金はいくらなのか
・受取時期はいつか(一括か分割か)
・保障内容はどんなものか

いちばん大切なのは、最後まで支払い続けられること。無理な金額設定で途中解約してしまうことほど、もったいないことはありません。保険料支払いを、月々1万円ベースで考えてほしいのはこのためです。児童手当はそのまま貯めれば200万円になりますので、児童手当を保険料にあてるのもよいでしょう。その場合、18歳満期の学資保険を15歳までなど短期で払い終えれば、返戻率をア少しップさせることもできます」(山田先生)

【2】受け取ったお金に税金がかかることがある

学資保険の満期保険金には税金がかかる可能性があることもデメリットにあげられるでしょう。まず確認しておきたいのは「誰が保険料を払っているか」「誰が満期保険金を受け取るのか」。払う人と受け取る人が同じなら“所得税”、違うなら“贈与税”がかかります。また所得税のなかでも「どうやって受け取るか」でも変わり、一括で受け取るなら“一時所得”、年金で受け取ると“雑所得”になります。

【3】インフレリスクがある

インフレになると物価が上がり、相対的にお金の価値は下がります。物価が2%上がると、100円で買えたものが、102円になるということ。つまり100円の価値が下がっているのです。学資保険の場合、契約時に利回りが確定するため、加入後にインフレが進行すれば、実質的な資産価値は下がってしまいます。また契約時の学費より満期の学費のほうが高くなっている可能性があり、想定していた学資金では足りなくなる恐れもあります。

「インフレリスクに備えるなら、インフレに強い株式投資と組み合わせて積み立てていくのも手。たとえば月2万円貯めるなら、1万円は学資保険、もう1万円はつみたてNISAなどで運用することで、確実に貯めながらリスク分散にもなります」(山田先生)

学資保険はいくらもらえるプランがいいの?

毎月いくらかけるべき?

大学4年間で500万円かかるなら、学資保険も500万円受け取れるようにしておいたほうがよいのでしょうか。山田先生の答えはノーです。

「満期金200万円ぐらい受け取れるプランが理想です。というのも満期金を500万円にすると、月々の保険料の支払い負担が大きくなってしまうからです。200万円なら月々に支払う保険料は約1万円程度なので無理がありません」(山田先生)

学資保険でいちばん大事なことは“払い続ける”こと、と山田先生は強調します。繰り返しになりますが、学資保険は途中で解約すると、支払った保険料より戻ってくるお金のほうが少なく、元本割れする可能性があるからです。

「保険料が支払えず、途中解約することほどもったいないことはありません。ですから最初から確実に支払える金額を設定しておくことが大切。児童手当をすべて貯めれば200万円になりますから、児童手当分を学資保険に回してもよいでしょう。児童手当を使わないと子どもが育てられないのは、家計管理に問題があるのかもしれません。やりくりを見直すか、専業主婦なら働き始めるか、検討しましょう」(山田先生)

200万円は児童手当→学資保険で貯め、それに加えて月1万5,000円貯めれば、大学入学時には500万円という目標額が達成できます。学資保険以外なら、つみたてNISAで運用しながら貯めるのもおすすめとか。

「学資保険は返戻率の高いものを選べば、支払った分以上のお金が戻る確実性はありますが、収益性は期待できません。収益性を求めるなら、つみたてNISAなどを利用して、運用して増やすことも考えましょう。両方併用することで、リスク分散になります」(山田先生)

結局、学資保険はオトクなの?

とはいえ学資保険は、選び方を間違うとソンする可能性があるのも事実。オトクかどうか判断するには“返戻率”のチェックが欠かせません。

返戻率とは払い込んだ保険料総額と受取総額を計算して戻ってくる割合をあらわしたもの。受取総額÷保険料払込総額×100で算出できます。

たとえば100万円支払い、110万円受け取れるとすると、返戻率は110%ということ。返戻率が100%を超えると、支払った以上の金額が戻るということですが、100%を下回ると支払った金額よりも少ない金額しか受け取れない=元本割れということ。ですから学資保険でソンしないためには、まずは返戻率が100%を超えるものを選ぶことです。

また、さらにオトクに利用するなら、この返戻率を少しでもアップさせる工夫をしましょう。次の3つの方法で上げることができます。

①保険料の支払いを早く終わらせる

保険料の支払いをいつ終わらせるかで返戻率は変わります。早く終えれば、返戻率は高くなり、遅ければ低くなります。児童手当を支払いに回し、18歳満期の保険を15歳までなど短期で支払いを終了させるのもおすすめ。

②満期保険金を遅く受け取る

満期保険金を受け取る時期によっても、返戻率は変わります。早く受け取れば低くなり、遅く受け取れば高くなるため、18歳満期よりも22歳満期のほうが高くなります。お祝い金がついているものは低くなります。

③保障を減らす

保障がたくさんついていると、その分利回りが悪くなり、返戻率は下がるので、保障を見直して減らすのも手。ただし返戻率が低くても、必要な保障が付帯されていることもあるので、じっくりと吟味して。

「返戻率を高くするには、上記3つの要件をクリアすればOKですが、返戻率のためだけにくれぐれも無理をしないように。早く払い終えるためには、資金に余裕がないと無理ですし、受け取りを遅くするには、必要な時期にお金がもらえないかもしれません。

また保障もメリットのひとつです。返戻率の高さだけにフォーカスしすぎず、トータルで見て、自分に合うものを選ぶことが大切ではないでしょうか」(山田先生)

*出典:私立大学は「平成28年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果について」より作成。国立大学の授業料、入学料は、平成29年度の標準額

※掲載の内容は2019年現在のものです。
文/池田純子

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山田静江先生
「損得だけではない、豊かな暮らしを送るためのマネープラン」をモットーに、講演や執筆など幅広く活躍中。

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