雛人形はいつから飾る? 片付ける時期や正しい片付け方法も【縁起のいい日・悪い日カレンダーつき】

 専門家監修
公開日:2019/11/07
雛人形はいつから飾る? 片付ける時期や正しい片付け方法も【縁起のいい日・悪い日カレンダーつき】
監修
安藤桂甫さん
京都『安藤人形店』3代目

3月3日の桃の節句に行われる雛祭り。ママたちも小さいころ自宅にお雛様を飾っていたのではないでしょうか。ところで、そんな雛人形のことどれくらい知っていますか? 古くから続く風習にはいろいろしきたりや言い伝えがあり、 飾る時期や片付ける日、いつまで飾ればいいのか…など、知れば知るほど「へ~」の連続! 今回は雛人形を作り続けて百余年、京都『安藤人形店』の3代目・安藤桂甫さんに雛人形の扱い方や楽しみ方を伺いました。

そもそも雛人形を飾る意味は?

雛祭りは女の子の誕生を祝い、その健やかな成長と幸せを願う年中行事。「桃の節句(上巳の節句)」と呼ばれ、3月3日に雛人形を飾って家族みんなでお祝いする風習が今も残っています。

雛祭りの歴史は古く、遡ること平安時代。当時は自分の生年月日を書いた紙の人形(ひとがた)を川に流し、無病息災を祈っていたといいます。雛祭りの「ひな」の語源は、その頃の上流階級の少女たちが行っていた”ひいな遊び”からきたもの。現在のように雛人形を飾って初節句をお祝いするようになったのは、江戸時代中期ごろといわれています。

雛人形は生まれてきた赤ちゃんの分身

雛人形を飾るようになったのは、生まれてきた赤ちゃんの身代わりとして災いや不幸を引き受けてもらうため。つまり雛人形はその子にとってお守りのような存在です。そのため雛人形は一生に1人1つ。姉妹で共有したり、お下がりを飾ったりすることは、本来はタブーとされています。

ではなぜ隣にお内裏様がいるのでしょうか?? それは雛人形が宮中の結婚式を表しているからなんです。ここにも理想とされている天皇・皇后のように良縁に巡り合えますように…という祈りが込められています。つまり、お内裏さまは女の子の未来の旦那さん、というわけですね。

雛人形は何歳まで飾るもの?

子供が小さいうちは毎年飾っていても、成長するにつれていくつまで飾るのか疑問に思うママも多いかもしれません。一体何歳になるまで飾るのが正しいのでしょうか??

「雛人形はいつまで飾るという決まりは特にありません。20歳まで、結婚するまで、と家庭によっては区切りをつけている方もいます。お雛様は自分を見守ってくれている守り神ですから、大きくなって飾っていても問題はないんですよ」と安藤さん。

いつも近くで神様が見守ってくれているというのは、大きな安心感をもたらしてくれるもの。いくつになっても飾って楽しめるのはうれしいですね。

雛人形を飾るのはいつから? 

3月3日が近付いてくるとそろそろ雛人形を出そうかな…と頭をよぎりますよね。この時、気になるのが雛人形を飾る日のことについて。雛人形はいつ飾るのがいいのでしょうか?

「節分の翌日にあたる立春のころに飾るのが一般的ですが、最近はもう少し長く飾りたいとお正月を過ぎた1月10日ごろから飾る方もいらっしゃいます。雨の日は避け、天気のいいおだやかな日に飾るといいですよ」と安藤さん。

実はこちらも特に決まりはなく、ママたちに聞いても「お正月が終わってから飾る」「いつも2月の半ばくらい」と家庭によってさまざまなようです。そんな中「大安に飾るのがいいんじゃないの?」「雨水(うすい)の日に飾るっておばあちゃんに聞いた」という意見も。

というわけで、ママたちから出てきたいろいろな説を検証してみましょう。

大安に飾る

「大安」は六曜の一つで縁起のいい行事を行うのに最適な日。お雛様を飾るうえでもカレンダー上で大安の日を選ぶといいかもしれません。ちなみに『安藤人形店』では雛人形をお届けする際にも、大安の日を選ぶのだそう。やはりお祝いごとには縁起を担ぐのが昔からの日本人の慣わしなんですね。

雨水(うすい)の日に飾ると良縁になる?

「雨水」とは二十四節季の1つ。立春の次にあたり、毎年2月19日ごろ、その年によって前後します。立春を迎えて雪が少しずつ雨に変わり、雪も解けて水になっていくこの季節。水はすべての生命の源と考えられていたことから、地域によっては女の子が良縁や子宝に恵まれるという願いが込めて、この日に雛人形を飾る風習があったようです。

雛人形を飾るのに時間帯も大切?

さらに時間帯についても、雛人形を飾るのに縁起がいいとされている時間があります。縁起を担ぎたいママは、下記も参考にしてみてください。

大安…一日中
友引…朝と夕方
先勝…午前中
先負…午後
赤口…正午ごろ

雛人形を飾るのに縁起が悪い日は?

桃の節句の前日または当日に飾る

雛人形は基本的にいつ飾ってもいいとされていますが、3月3日の前日や当日にあわてて飾るのはNG。昔から「一夜飾り」といわれ、縁起が悪いとされています。

仏滅に飾る

仏滅は六曜の中で最も縁起が悪いとされる日。子どもの無病息災を願う守り神ですから、仏滅にあたる日はなるべく避けたいものです。

2020年に雛人形を飾るならこの日!

では来たる2020年は、何月何日に飾るのがベストなんでしょうか?? 下記を参考に、良き日を選んで飾って下さいね。

大安

2020年1月18日(土)、1月24日(金)、1月29日(水)、2月4日(火)、2月10日(月)、2月16日(日)

雨水

2020年2月19日(水)

ひな祭りが終わったら、いつ片付ける?

桃の節句を祝う雛祭りが無事終了したら今度はお雛様のお片付け。節句が終わったらできるだけ早く片付けるのがいいとされています。

片付ける日の天気も重要!

「雛人形はカビの発生を防ぐために、湿気のない状態でしまうのが一番。雨が降る日に片付けるのは避けた方がいいでしょう」と安藤さん。ベストなのは空気が乾燥した天気のいい日。雛人形のためにも、お天気をみながら片付ける日を選びましょう。

片付ける日についても別段決まりはないようですが、飾る日と同様、片付ける日にもいろいろと言い伝えがあります。本当のところはどうなのでしょうか?

啓蟄の日に片付けるのが吉

「啓蟄」とは二十四節季の1つで、毎年3月6日頃。雨水の次の節目にあたります。だんだんと暖かくなり、地中にいた虫たちが蠢きはじめる季節で、昔からこの日に雛人形を片付けるのがいいといわれてきました。なぜかという理由はよくわかっていないようですが、節季を意識して季節の訪れを感じながら丁寧に暮らすのは、すてきなことだと思いませんか?

片付ける時期が遅れるとお嫁に行けない?

このジンクスはママたちも耳にしたことがあるのではないでしょうか。安藤さんに伺うと、「昔からよく言われていますが、これはあくまでも俗説。片付けるのが遅れたからといって結婚できなくなるわけではありませんからご安心ください」とのこと。きっと”片付けのできない女性はいいお嫁さんになれませんよ”という昔の人の教えが言い伝えとなって今も残っているのでしょうね。

雛人形の片付け方

雛人形は基本的に、元々入っていた状態に戻すかたちで片付けるのが理想。長期間収納しておくものなので、湿気や虫は大敵です。安藤さんに伺った雛人形の片付け方がこちら!

準備するもの

・布手袋
・羽根バタキ
・細筆
・人形用防虫剤
・人形を包む布・やわらかい髪

片付け方

①天気がよく、空気が乾燥した日を選ぶ。

②雛人形は羽根バタキでやさしくほこりを払い、細かい箇所は細筆などを使用。人形の頭や手足に直接手をふれないように、布手袋をはめる。

③髪や衣装についたほこりは、毛バタキかやわらかい小型の洋服ブラシで払うと◎。

雛人形をしまう前にブラシで払う写真

④頭や手足は型くずれしないようにやわらかい白紙で包む。

雛人形しまう前に白い紙で包む写真

⑤防虫剤を少なめに入れる。ただし、お道具セットやぼんぼり、桜など樹脂製のものはナフタリンが溶けることがあるので防虫剤は使わない。

⑥箱に入れ終わったら、過度の乾燥や湿気の多いところを避けて丁寧に保管を。納戸や押し入れの上段など、高い場所がおすすめ。

画像:京都『安藤人形店』より提供

片付けるのが遅くなってしまったらどうする?

お雛様はお節句が終わったらできるだけ早く片付けるのが理想ですが、なかなか忙しくてなかなか片付ける時間がない…というママも多いはず。共働きなどでなかなか時間がとれない場合はできるだけ早めに、と心掛ければ問題ありません。とはいえ「雛人形の片付けが1日遅れると1年婚期が遅れる」というジンクスもあるくらいなので、遅くとも3月中旬くらいまでには片付けを終えたいところです。

ちなみに結婚したら雛人形はどうしたらいい?

京都『安藤人形店』の雛人形画像画像:京都『安藤人形店』より提供

女の子の健やかな成長を祈って飾られる雛人形は、女の子が無事成長するとそのお役目を終えると考えられています。その1つの区切りが結婚。お嫁に行った後、雛人形はどうすればいいのでしょうか?

子供の雛人形と一緒にかざる

嫁ぎ先に雛人形を持って行き、毎年桃の節句に飾るというのもあり。”結婚したら飾ってはいけない”という決まりがあるわけではないので、いつまでも雛人形を大切に飾って楽しむのもいいものです。女の子が産まれたら、女の子の雛人形と一緒にママの雛人形を飾れば、桃の節句がとっても華やかになりますよ。

実家で祖父母が飾る

雛人形を実家に保管して、ご両親が飾ってもいいでしょう。お役目を終えたお雛様は我が子が無事成長した証として大切にしたいものです。

供養する

神社やお寺で供養するという方法もあります。雛人形を供養するお祭りも全国で開催しているのでこちらを利用してもいいかもしれません。

雛人形を誰かに譲り渡すのはタブー

お役目を終えた雛人形を飾り続けることは問題ありませんが、誰かの雛人形を子供や親戚に引き継ぐという行為はNGとされています。前に述べたように雛人形は分身であり、1人1つ用意するもの。女の子が産まれたら、新しい雛人形を用意してあげましょう。

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知れば知るほど奥が深い雛人形の世界。安藤さんは「雛祭りは本来、ご両親やおじいちゃんおばあちゃんが集まってみんなでワイワイと楽しむもの。最近は家族で集まる行事が少なくなっているように思います。桃の節句に子供の幸せを願い、ご家族そろって雛人形を囲んでいただけら作り手としてもうれしいですね」と語ります。

忙しい日々に追われ、「雛人形すら持っていない!」 「もらったけど飾ってない…」なんてママも多いかもしれませんが、ちょっと立ち止まって季節の移ろいや節句に目を向けてみると、子育てにも余裕が生まれるかもしれません。

文/齋藤久美子

監修
安藤桂甫さん
京都『安藤人形店』3代目
雛人形着付師として内閣府から黄綬褒章を受けた伝統工芸士。美しく着付けられた着物、穏やかなお顔立ち、しなやかな手指と匠の技が集結した芸術品ともいえるお雛様は、そばに置いておくだけで幸せな気持ちになります。伝統を守りつつ新たな趣向を取り入れる『安藤人形店』の雛人形は、すべて現代の名工として最高峰の技術を誇る職人たちが手掛けた傑作です。
「不老長寿を願う5節句の1つである重陽の節句(9月9日)の新たな楽しみ方として、長寿と幸せを祈る大人のための雛人形も作っています。色は厄除けや魔除けの意味が込められる還暦の赤。現在は還暦といってもまだまだこれから人生を楽しむ年齢です。ずっと健康で幸せでいられるようにと願いを込めて飾っていただけたらうれしいですね」(安藤さん)。


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