母子手帳はいつ、どこでもらえる? 紛失したら再発行してもらえる?

この記事では、母子手帳(正式名称:母子健康手帳)について特集します!母子手帳は妊娠したらもらうものというイメージですが、「いつ、どこでもらえるの?」「なくしたときは?」「引っ越しや里帰り出産ではどうなる?」などわからないことも多いですよね。そこで今回は、母子手帳の基本知識やよくある疑問まで、詳しく解説します!
目次
母子手帳とは
母子手帳のもとになったのは、ママと赤ちゃんの命を守ることを目的として1942年に交付が始まった「妊産婦手帳」。この妊産婦手帳を持つことで、モノ不足の戦時中にも優先して配給を受けられたのだとか。
戦後は、栄養失調や感染症に倒れる子どもたちを救うため、対象を小児まで広げた「母子手帳」に発展。その後、1965年に現在の「母子健康手帳」という名称になり、およそ10年ごとに内容の見直しが行われてきました。
今日ではママと赤ちゃんの命を守る優秀なツールとして、発展途上国から先進国にいたるまで、世界80の国や地域で活用されています(2016年11月時点)。
なぜ母子手帳が必要なのか
母子手帳でもっとも大切な意義は、妊産婦と乳幼児の健康についての情報が1冊の手帳で管理できること。
妊産婦や乳幼児は急に体調が変化することもあるので、保健上で特に配慮が必要とされています。
母子手帳は、妊娠中~産後と新生児~乳幼児の健康の記録を医療関係者や保護者が記載したり参考にしたりできるよう工夫されている優秀なデータ集といえます。
また、母子手帳には妊産婦や乳幼児に必要な知識や情報もたくさん載っていますよね。
さらに、妊娠中や赤ちゃんの出生時&成長の節目ごとに専用の記録欄があるので、子育て記録として活用することも可能です。
母子手帳の対象者は?
母子手帳の対象者は「妊産婦」と「乳幼児」です。
「妊産婦」と「乳幼児」は、母子保健法では次のように定められています。
・妊産婦:妊娠中又は出産後1年以内の女子
・乳児:1歳に満たない者
・幼児:満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者
出典:厚生労働省「母子保健法」一部抜粋
つまり母子手帳の対象者は「妊娠中~産後1年以内のママ」と、「新生児~就学前の幼児」が対象ということになります。
母子手帳はどんなときに使うのか
母子手帳を使うタイミングとしては、大きくわけて次の6つがあります。
①妊娠中
妊婦健診のとき、体重・血圧・尿検査・血液検査・感染症検査などの結果を医療機関で記入してもらい、出産にむけた体調管理に役立てます。また、医療機関で母親学級や歯科検診などを受けるときにも必要です。
②出産後
出産時~退院までのママや赤ちゃんの状態、各種検査結果などを医療機関が記入します。赤ちゃんの出産時の体重や健康状態については、乳幼児健診や予防接種などでも必要になるので、しっかりチェックしておきましょう。
③新生児期
新生児訪問や1ヶ月健診、その後の保健指導や定期健診などを受けるときに必要です。また、「便色カード」や「事故の予防マニュアル」などは、赤ちゃんの健康や安全を守るための参考になります。
④乳児期~幼児期
首すわり・はいはい・ひとり歩きなどの体の成長や、ことばや対人関係などの発達などを保護者が記入し、乳幼児健診で確認するために必要です。また、子育ての心配ごとや感想、かかった病気などを記入しておくスペースもあります。
⑤予防接種時
生後2ヶ月~就学前までに行う予防接種でも必要で、予防接種のスケージュール管理や接種し忘れがないかのチェックに役立ちます。薬剤や食品などのアレルギーがあれば、予防接種の前に記入して相談できるようにしておきましょう。
⑥身長や体重などの測定時
母子手帳には、0~18歳までの子どもの発育についての各種データが載っています(乳幼児身体発育曲線・幼児の身長体重曲線・成長曲線)。乳幼児期に身長や体重を測定したら曲線上に記録しておくと、発育の状態をみるときの参考になって便利です。
母子手帳をもらう時期はいつ?
母子手帳をもらうタイミングは、市町村長に「妊娠の届出」をしたあとになります。
ただし、妊娠検査薬で陽性反応が出たからといってすぐに母子手帳をもらえるわけではなく、産婦人科を受診して医師から指示があるまで待つのが一般的です。
その理由は、産婦人科医の多くが「母子手帳は、妊娠初期の赤ちゃんの状態が安定してからもらいに行ったほうがよい」と考えているからです。
なお、赤ちゃんの状態が安定するまでには個人差があるので、「母子手帳は〇週目からもらえる」という明確な決まりはありません。
産婦人科によっても、もらう指示をされるタイミングはまちまちなので、不安な場合は医師や助産師に確認しましょう。
母子手帳はどこでもらえる?
よくある誤解は、母子手帳はかかりつけの産婦人科でもらえるというもの。
しかし実際は、母子手帳は現住所のある市区町村の役所でもらえます。
自治体によっては保健センターや出張所などでもらえることもあるようなので、一度住んでいる市区町村の役所に確認するといいでしょう。
母子手帳のもらい方
出典:伊丹市公式HP
ここでは、一般的な母子手帳の交付の流れについて解説します。
① 妊娠届の提出
医療機関で妊娠が確認できたら、住んでいる市区町村の役所の担当部署へ行き、「妊娠届」を提出します。妊娠届は役所の窓口で妊婦さん自身が記入するケースが多いですが、医療機関の医師が作成することもあるので、医療機関や役所に事前確認しておきましょう。
② 母子手帳や付属品の配布
妊娠届が受理されると、母子手帳やそれに付属する母子健康手帳別冊(妊婦健康診査受診票、乳幼児健康診査受診票や予防接種の接種券など)、マタニティマーク、妊娠中や出産後の参考になる冊子などが交付されます。
③ アンケート回答&面談
妊娠届の記入とともに回答した妊娠中の状況についてのアンケートをもとに、助産師さんや保健師さんと面談をします。このときまでに妊娠・出産の悩みや、子育ての疑問などを整理しておくと、いろいろ質問ができます。育児サービスの情報も教えてもらえますよ!
母子手帳をもらうのに必要なものは?
医師から指示が出て母子手帳をもらいに行くとき必要なものを、妊婦本人が行く場合と代理人が行く場合とにわけて、それぞれ解説します。
妊婦本人が行く場合
妊婦本人がもらいに行くときは、マイナンバー(個人番号)カードの有無によって必要なものが違います。
【マイナンバーカードを持っている場合】
マイナンバーカードのみでOKです。
【マイナンバーカードを持っていない場合】
次のいずれかひとつあればOKです。
・個人番号通知カード
・個人番号付きの住民票
・本人確認書類(※下記★参照)
代理人(妊婦本人以外の人)が行く場合
妊婦に代わって別の人がもらいに行くときは、代理人の種類によって必要なものが若干変わります。
【法定代理人の場合】
法定代理人とは、本人の意思ではなく法律にもとづいて任命される代理人のこと。未成年者の親権者や後見人などがこれにあたり、次のものが必要です。
① 妊婦本人の個人番号がわかるものorその写し
(個人番号カード、個人番号通知カード、個人番号が書かれた住民票の写しなど)
② 代理権が確認できるもの(例:戸籍謄本)
③ 代理人の本人確認書類(※下記★参照)
【任意代理人の場合】
任意代理人とは、本人の意思にもとづいて選ばれる代理人のこと。委任代理人とも呼ばれます。
① 妊婦本人の個人番号がわかるものorその写し
(個人番号カード、個人番号通知カード、個人番号が書かれた住民票の写しなど)
② 委任状
③ 代理人の本人確認書類(※下記★参照)
★(参照)本人確認書類
〈顔写真付きのものなら1点でOK〉
・運転免許証
・運転経歴証明書
・旅券(パスポート)
・身体障害者手帳
・精神障害者保健福祉手帳
・療育手帳
・在留カード
・特別永住者証明書
・顔写真付き身分証明書 など
〈顔写真のないものなら2点必要〉
・顔写真のない身分証明書
・国税・地方税・社会保険料・公共料金の領収書
・納税証明書
・印鑑登録証明書
・住民票の写し(謄本・抄本も可)
・住民票記載事項証明書
・母子健康手帳
・公的医療保険の被保険者証
・年金手帳
・児童扶養手当証書
・特別児童扶養手当証書
・プレ印字申告書 など
母子手帳の種類
母子手帳の内容は全国でほとんど同じですが、市区町村によって若干の違いがあります。
サイズ
母子手帳のサイズは市区町村ごとに違っていて、横浜市が大きいのは有名ですよね。大きくわけて、つ次の3種類があるようです。
・A6版:14.8 × 10.5cm(Sサイズ)
・B6版:18.2 × 12.8cm(Mサイズ)
・A5版:21.0 × 14.8cm(Lサイズ)
母子手帳ケースを買うときは、母子手帳のサイズを確認してから購入するのがよいでしょう。
デザイン
出典:神戸市公式HP
表紙のデザインも全国でいろいろ。たとえば、東京23区では「ミッフィー」、横浜市では「ペネロペ」、神戸市ではfamiliarのキャラクター「ファミちゃん」などがデザインされたかわいい母子手帳が交付されています♡
また、有名人デザインの母子手帳もあり、「ちひろ美術館・東京」がある東京都練馬区は水彩画作家で絵本作家でもあるいわさきちひろさん、奈良市は地元出身のKinKi Kids堂本剛さんが手がけています。
点字版、外国語版などもある
また、母子手帳には点字版や、英語・中国語・スペイン語などの外国語版もあるんです!
詳しくはこちらをご覧くださいね。
点字版:一般社団法人日本家族計画協会
外国語版:株式会社母子保健事業団
関連リンク⇒⇒⇒母子手帳ケースはポーチでおしゃれに代用!人気&おすすめ10選
母子手帳の交付にかかる時間
母子手帳をもらったことのあるママたちに聞いたところ、交付にかかる時間は30分~1時間くらいという人が多かったです。
なかには、「仕事があって15分くらいしか時間がなく、概要だけ説明してもらった!」というママも。
母子手帳は妊娠中~乳幼児期まで使う機会の多いとても大事なものなので、しっかり時間が取れるときにもらいに行くのがおすすめです。
母子手帳交付の手数料は?
母子手帳の交付に手数料はかかりません。
母子手帳についてくる、母子健康手帳別冊やマタニティマークなどの付属品もすべて無料です。
以前にくらべて妊婦健康診査受診票や予防接種の接種券の枚数が増えていて、手厚い助成があるのは本当にありがたいことですよね。
母子手帳の書き方は?
ここでは、母子手帳でママやパパが記入するページの書き方について解説します。
①【表紙】の書き方
母子手帳をもらったら、まずは表紙の「交付日」(市区町村の役所で担当者が記入する場合も)と「保護者の氏名」の欄に記入しましょう。保護者の氏名の欄に書くのはママの名前。パパの名前を書く欄は別のページにあるので、表紙には記入しなくてもOKです。
また、子の氏名(ふりがな)と生年月日、性別の欄は出産後に記入します。
②【妊婦の健康状態等、妊婦の職業と環境】ページの書き方
既往歴や妊娠中の健康状態などは、妊娠を安心して継続させ、ママの体調に何かあって受診するときのためにも必要になるもの。
また、職業欄や職場環境などの欄に書いた情報をもとに、産婦人科で医師や保健師から妊娠中のアドバイスをもらえたりすることも☆どちらも忘れずに記入しておきましょう。
③【妊婦自身の記録】ページの書き方
「妊婦自身の記録」のページは自由に書いてOK!妊娠中の体調や心の変化、初めて胎動を感じた日や性別が判明した日のことなどを書いておくと、後で子どもに教えてあげられます。また、初期&後期のつわりや、腰痛・便秘などのマイナートラブルとその対処法を記入しておくと、次の妊娠のときに役立ちそうですね。
ちなみに、ママの体調に何かあったときのためにも、医療機関や家族の情報がわかる「連絡先メモ」への記入はマストです!
④【乳幼児期】ページの書き方
身体発育曲線に保育所や幼稚園などで測定した身長や体重を記入したり、いつどんな病気やケガになったかを書いておいたりすると、子どもの成長や健康状態を把握する大切なデータとして使えます。
月齢ごとや誕生日などの節目にはママやパパからのメッセージが書かれていると、子どもが大きくなってから見たときうれしいはず♡
母子手帳を紛失した際に再発行はできる?
結論からいうと、母子手帳をなくした場合は再発行できます。
受診から5年以内であればカルテが保管されているので、医療機関に再度記載をお願いすることも可能です。
ただし、記載は義務ではないので、忙しい医療機関だと断られることもあるよう。
なお、母子手帳についてくる母子健康手帳別冊(妊婦健康診査受診票、乳幼児健康診査受診票や予防接種の接種券など)は再発行できません。
こちらはなくさないように、しっかり保管しておきましょう。
引っ越しの際、母子手帳の手続きはどうすればいい?
基本的には、引っ越しても母子手帳の変更手続きは不要で、引っ越し先でもそのまま継続して使えます。
引っ越し前と後で表紙デザインやサイズなどが変わることもありますが、母子手帳の内容自体はほぼ全国共通になっているためです。
ただし、母子健康手帳別冊は引っ越し先の市区町村で交換してもらう必要があります。その理由は、自治体ごとに助成の内容が違う場合もあるため。
引っ越し先で住民票の異動届を提出するときにでも、役所で交換の手続きをしておきましょう。
里帰り出産の際、母子手帳はどうしたらいいの?
里帰り出産しても、現住所で交付された母子手帳はそのまま使えます。
ただし、先ほどの引っ越した場合と同じく母子健康手帳別冊を使うためには手続きが必要。
現住所のある市区町村の方針によって、手続きの方法は2パターンあります。
①償還払い制度を利用する場合
償還払い制度とは、里帰り先の産婦人科や小児科で一旦は実費で支払っておき、その後、住民票のある市区町村で手続きをしてかかった医療費を返還してもらうものです。
ただし、現住所&里帰り先の市区町村や、かかる予定の医療機関とあらかじめ書類のやり取りをしなければならない場合もあるので、まずは現住所のある市区町村の役所に問い合わせてみてくださいね。
②そのまま使えるようにしたい場合
現住所のある市区町村が里帰り出産先でも母子健康手帳別冊を使える制度を整えている場合、里帰り出産先の医療機関がOKして役所と契約してくれれば、そのまま使えます。
こちらの場合、医療機関の窓口で一定額以上の支払いをせずにすみ、後で償還払い制度の手続きも必要ないのでラクチン!産後は何かと忙しいものなので、こちらの制度があれば利用するのがおすすめかもしれません。
母子手帳の基本を押さえて賢く管理&活用を!
もらい方や紛失・引っ越し・里帰り出産の場合にすべき対応など、母子手帳にまつわる疑問は解消できましたか?妊娠や出産のときはもちろん、子どもが小学生になるまで使う大事なものなので、使うタイミングや活用のポイントを押さえてしっかり管理していきたいですね!
文/いけだひとみ
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