【症例写真・小児科医監修】『いちご舌』で舌がピリピリ痛そう!何の病気?

 専門家監修
公開日:2019/12/05
更新日:2019/12/12
【症例写真・小児科医監修】『いちご舌』で舌がピリピリ痛そう!何の病気?
監修
片岡 正先生
かたおか小児科クリニック院長

この記事は『いちご舌』についてまとめたものです。
いちごは、真っ赤な果肉にプツプツがあるのが特徴。『いちご舌』は舌がそのように赤くなってプツプツができた状態のことです。
病気にかかると体にいろいろな症状が出ますが、この『いちご舌』もそうした症状の一つ。
『いちご舌』になる病気は何か、どのような治療をするのかなどについて、小児科ドクターに話を伺いました。

『いちご舌』とは?

『いちご舌』は病気のサインの一つ

『いちご舌』は、舌が赤く腫れて全面にプツプツが見られる状態のことです。

一般的に、いちご舌はそれだけが単独で現れるものではなく、ほかにも熱が出たり、リンパ節の腫れやのどの痛み、発疹などの症状が出ます。

舌が赤くなり、プツプツが目立つようになるのが特徴
写真出典:はじめてママとパパの病気とホームケア

『いちご舌』の症状は?

『いちご舌』になるとピリピリ痺れて痛みが出る

『いちご舌』は舌が腫れている状態なので、痛みを感じたり、不快感がある場合もあり、赤ちゃんや子どもが不機嫌になったりします。

のどの痛みも重なり、食べたり、飲んだりするのをイヤがることもあるので、プリンやゼリー、茶わん蒸しなど、つるんとしたのどごしのいいものを食べさせてあげましょう。

『いちご舌』になる原因は?

『いちご舌』になった場合に考えられる病気は、主に「溶連菌感染症」と「川崎病」です。

子どもがいちご舌になっていたら、なるべく早く小児科を受診しましょう。

医師は、全身の状態や症状、保育園や幼稚園、学校での流行の状況などから診断します。

溶連菌感染症について

■溶連菌とは

溶連菌とは、溶血性連鎖球菌という細菌のこと。溶連菌感染症は、A群溶血性連鎖球菌によって起こる感染症です。

「不顕性感染」といって保菌者が多い病気でもあり、健康に登園してきた園児の4人に1人が保菌していたというデータもあります。

■好発年齢は

2~3才の幼児や大人もかかりますが、4~7才ぐらいの子どもに多く見られます。

■症状は

溶連菌に感染すると、1~4日間の潜伏期間後に突然発熱し、のどの痛みや嘔吐、腹痛、リンパ節の腫れ、『いちご舌』のほか、赤い発疹がわきの下や胸、おなか、太ももの内側、手首などを中心に、全身に出ます。

発疹が治まると、手や足の皮膚がむけてくることも。

38度台の熱とのどの痛みから風邪と思うママやパパもいますが、風邪に比べてのどの痛みが激しく、飲み物を飲むのもイヤがったりします。

ただ、全身の症状は4才以上の子どもに多く見られるもので、それ以下の子どもの場合はのどが赤くなって痛むだけで、熱や発疹などが出ないことも少なくありません。

特に0~1才の乳児は、感染しても『いちご舌』や発疹など特有の症状は現れにくいです。

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川崎病について

■川崎病とは

川崎病は全身の血管が炎症を起こす病気です。

正式には「小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群」といいますが、発見者の川崎富作博士の名前から、一般的には川崎病と呼ばれています。

■好発年齢は

5才未満の子ども、特に1才ぐらいの子どもに多い病気で、年間10000~15000人がこの病気にかかっています。

■原因は

今のところ原因はわかっていません。何らかの病原体と関わりがあるのではないかと、研究者は躍起になって原因を探していますが、発見から50年以上経った今もまだ原因は突き止められていません。

■症状は

川崎病の主な症状は次の6つです。

・高熱が続く:溶連菌感染症の場合は、抗生剤を服用するとすぐに熱が下がりますが、川崎病の場合は抗生剤を服用しても下がりません。

抗菌剤を服用しても熱が下がらない場合は、溶連菌感染症ではなく、川崎病の可能性があります。

・首のリンパ節が腫れる:発熱と同時か、その少し前に首のリンパ節が腫れ、外から触ってわかる状態になります。

・白目が充血している:発熱後2~5日ほどすると、両方の白目が充血して赤くなります。

・唇が充血し、舌が赤く『いちご舌』になる:唇が真っ赤に充血し、『いちご舌』になることも。

・全身に赤い発疹が出る:全身に赤い発疹が出て、BCGの痕が赤くなることもあります。

・手足がむくむ:発疹が出る前後から、手足がパンパンにむくんだり、充血して手のひらが真っ赤になったりします。

これらの症状は、一度にすべてが出るわけではなく、数日のうちにだんだんと現れてきます。

このうち5つ以上当てはまる場合、もしくは4つ+心臓の冠動脈にこぶができた場合は、川崎病と診断されます。

『いちご舌』の治療法は?

『いちご舌』になるのは、溶連菌感染症や川崎病にかかった場合なので、病気自体を治す治療をすれば、『いちご舌』も改善します。

溶連菌感染症の治療について

溶連菌感染症と診断されると、サワシリンやパセトシンなど、ペニシリン系の抗菌薬が10~14日分処方されます。

抗菌薬を服用すると1~2日のうちに熱が下がり、症状が治まってきます。

最も大切なことは、処方された抗菌薬をすべて飲み切ることです。

溶連菌感染症は再発しやすい病気で、抗菌薬を途中でやめると体内から溶連菌が完全に消えないため、再発することがあります。

抗菌薬を服用するとすぐに症状が治まってくるので、「治った」と思うママやパパが抗菌薬の服用をやめてしまうことがありますが、以下のような重い合併症を引き起こすこともあるので、医師の指示どおりに服用させてください。

■溶連菌感染症の合併症

・リウマチ熱:関節や心臓、皮膚、神経などに炎症が起きる病気です。溶連菌感染症の症状が治まってから2~3週間後に関節痛や心臓の炎症による胸痛、発熱、発疹などの症状が起こります。最近ではほとんど見られなくなりましたが、油断は禁物です。

・急性腎炎:溶連菌感染症の症状が治まってから2~3週間後に腎臓に炎症が起こり、肉眼で見てわかる血尿やむくみなどのほか、血圧が上がる、頭痛などの症状が見られます。

リウマチ熱と違い、急性腎炎は抗菌薬を服用しても発症することがあります。溶連菌感染症の症状が出なくなって2~3週間したら、子どもの様子をよく観察してください。

尿の色は通常と変わりがないか、頭痛やまぶたのむくみがないか、機嫌が悪くないかなどに目を配りましょう。

抗菌薬を処方された日数分服用したあと、かかりつけ医で尿の検査をしてもらうと安心です。

川崎病の治療について

川崎病と診断された場合は、すぐに入院して治療を始めます。

川崎病の原因は不明ですが、炎症を抑え、血液が固まるのを防いで、心臓の冠動脈にこぶができないようにすることが大事です。

そのため、まずは心臓の超音波検査などを行ない、冠動脈流ができているかどうかを調べます。

治療はアスピリン、免疫グロブリン、ステロイドなどで行ないます。これらが効かない場合には、免疫抑制剤やステロイドパルス療法などが行われます。

・アスピリン療法:血管の炎症を抑え、血液が固まるのを防いで血栓を予防する効果があるアスピリンを服用する方法です。

・免疫グロブリン療法:免疫グロブリン製剤を1~2日間点滴し、炎症を抑えて心臓の冠動脈にこぶができるのを防ぐ方法です。この方法を併用したほうが、アスピリン療法だけの場合よりも、冠動脈にこぶができる頻度が少なくなります。

免疫グロブリンを投与しても効果が出ない場合には、ステロイド薬を使ったり、血漿交換療法などを行なうこともあります。

免疫グロブリン療法を行ったあと6ヶ月間は、BCGとロタウイルス以外の生ワクチンの予防接種は受けられないので、注意しましょう。

■川崎病の治療の入院の目安は

冠動脈のこぶは、発症して7日目ごろから大きくなり、2~3週間で最大になります。こぶができなければ2~3週間で退院できますが、こぶができた場合の入院期間は1ヶ月前後になります。

退院しても、1~3ヶ月後ぐらいまではアスピリンの服用をすることがあります。

また、3ヶ月後、半年後、1年後など、定期的に主治医を受診し、心電図などの検査を受けることが必要です。

とはいえ、一般的には日常生活や運動などの面での制限はないので、きちんと受診していれば、それほど気にしなくても大丈夫です。

冠動脈にこぶができた場合も、心臓の血管が詰まることはほとんどありません。主治医の指示を守り、治療方針に従いましょう。

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取材・文/荒木晶子

監修
片岡 正先生
かたおか小児科クリニック院長
日本小児科学会専門医。東京大学医学部非常勤講師。信州大学医学部卒業。東京大学医学部小児科助手、日本赤十字社医療センター小児科医院などを経て、1996年「かたおか小児科クリニック」開業。
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