『おしゃぶり』いつから使う?歯並び&心の発達への影響は?【臨床心理の専門家監修】

 専門家監修
公開日:2019/11/27
『おしゃぶり』いつから使う?歯並び&心の発達への影響は?【臨床心理の専門家監修】
監修
塩崎尚美先生
日本女子大学人間社会学部心理学科教授

この記事は、おしゃぶりをいつからいつまで使うか、ということについてまとめたものです。
「おしゃぶりはいつから使うもの?」「いつまで使っていい?」「どんなときに使うの?」など、おしゃぶりに関するママたちの疑問と、おしゃぶりのメリット・デメリット、使うときの注意点などについて、臨床心理学の専門家、塩崎尚美先生にお聞きしました。

『おしゃぶり』とは

『おしゃぶり』は、ママの乳首の形をまねてゴムやシリコンなどで作られた育児グッズです。

おしゃぶりの形や素材にはさまざまなものがあり、新生児のころから使えるものも市販されています。

赤ちゃんは『おしゃぶり』を吸うことでママのおっぱいを吸っているような安心感を得られ、落ち着くと考えられます。

『おしゃぶり』は、いつからいつまで使うもの?

『おしゃぶり』をいつからいつまで使うかは人それぞれ

『おしゃぶり』は育児に必須のものではなく、「いつから使うといい」「いつから使わなければならない」というものではありません。

『おしゃぶり』は一度使い始めると習慣化しやすく、毎日使い続けるようになることも多いですが、赤ちゃんが長時間くわえたままでいることや、使い続けることが習慣化することには、赤ちゃんにとってよくない影響もあるといわれています。

指しゃぶりと違い、『おしゃぶり』は、周囲の大人が与えなければ出会わないものです。使うときにはメリット、デメリットをよく理解したうえで与え、長時間使い続けることがないよう注意することが必要です。

また、長く使い続けるほど、そして、子どもが大きくなるほど、やめるときに苦労することが多いため、1歳半~2歳ごろまでにはやめることが望ましいでしょう。

『おしゃぶり』の効果は?どんなときに使う?

離乳のサポートとして、おっぱいの代わりに使う

『おしゃぶり』の一つの役割として、離乳のときに、赤ちゃんの不安を解消するために使うことが考えられます。

母乳の赤ちゃんは、月齢が進み、離乳食が進むと、だんだんとおっぱいが「栄養源」ではなく、「安心材料」になっていきます。

卒乳のとき、おっぱいがなくて不安な赤ちゃんに『おしゃぶり』をくわえさせると、安心して眠ったり、ご機嫌になったりするメリットがあります。

不安解消やグズリ対策として、ママのストレス軽減に

『おしゃぶり』を使うことのいちばんのメリットは、赤ちゃんが「安心できること」。

『おしゃぶり』を吸うことで、ママのおっぱいを吸っているのと同じ感覚になり、精神的に安定するのでしょう。寝つきやすくなったり、おとなしくなったりして助かるというママも多いようです。

寝かしつけるときのほか、外出先でグズッたとき、ママが家事をしたいときなどに使うと、赤ちゃんが落ち着いて、ママのストレスが軽減されるというメリットもあるでしょう。

『おしゃぶり』のデメリットは?

発達に大切な動作やコミュニケーションが妨げられることが

「赤ちゃんが落ち着く」「ママの育児がラクになる」などのメリットがある反面、『おしゃぶり』にはデメリットもあります。

赤ちゃんは生後5ヶ月ごろになると、手で持ったものを口に持っていくようになります。

これは、目で見たものを手で触れて確かめたり(目と手の協調運動)、なめることで物の形や性質を確かめたりという、赤ちゃんの発達上とても大切な学習行動です。

でも『おしゃぶり』をしていると、手で持ったものをなめることができません。

また、赤ちゃんがおとなしいからとママの話しかけが減ったり、おしゃぶりが口に入っていることで赤ちゃんが声を出しにくかったりして、コミュニケーションの機会も減ってしまいます。

さらに不安なとき、落ち着かないときに『おしゃぶり』をくわえると安心するという状態が長期間続くと、おしゃぶりがないと自分の感情をコントロールできなくなってしまうこともあるかもしれません。

『おしゃぶり』を長期間使うと歯並びに影響することも

『おしゃぶり』を使うことのデメリットには、歯並びや噛み合わせに悪影響をおよぼす心配もあります。

赤ちゃんのころから長期間『おしゃぶり』を使い続けることで、上下の歯を噛み合わせたときに歯と歯の間にすき間があいてしまい、うまくかむことができない「開咬」という状態になりやすくなるといわれています。

長期間おしゃぶりを使い続けるほど、歯並びに与える影響は大きくなりやすい傾向があります。

開咬の症例写真上下の歯の間にすき間ができ、うまくかむことができない「開咬」の状態。
出典:『はじめてのママ&パパの病気とホームケア』(主婦の友社)

『おしゃぶり』を使うときの注意点は?

『おしゃぶり』がなくても安心できるように働きかけて

寝かしつけるときは、『おしゃぶり』がなくても安心して眠れるように、添い寝をして背中をトントンする、絵本を読み聞かせるなど、子どもの月齢や年齢に合った「安心して眠れる方法」をいろいろ試してみて、『おしゃぶり』がなくても眠れるように習慣づけることが大切です。

不安やときや落ち着かないときも、いずれは『おしゃぶり』がなくても子どもが自分で感情をコントロールできるようになることが大事。

そのためには、抱っこしてあげたり、好きな歌を一緒に歌ったり、外を見せて気分転換させたりと、子どもが落ち着けるようにママが働きかけることが必要です。

『おしゃぶり』に頼りすぎず、赤ちゃんとコミュニケーションを

『おしゃぶり』は赤ちゃんにとって「どうしても必要」なものではなく、使い始めると習慣になりやすく、なかなか手放せなくなる傾向もあります。

使うとしても、ずっとくわえっぱなしにさせるなど、『おしゃぶり』に頼りすぎるのはやめましょう。

例えば、外出先でグズグズいうときなど「どうしても」のときだけ短時間使い、すぐはずすようにするなど、上手に使えるといいですね。

関連リンク⇒⇒⇒新生児のおしゃぶりのメリット・デメリット いつからいつまで?【小児科医監修】

文/出村真理子

監修
塩崎尚美先生
日本女子大学人間社会学部心理学科教授
専門は臨床心理学。あと追いや人見知りにもかかわりが深い、母子の分離不安が研究テーマ。1男1女の母。著書に『乳幼児・児童の臨床心理学』(放送大学出版社)など。

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