『マイコプラズマ肺炎』子供の症状やうつる原因とは?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/11/29
『マイコプラズマ肺炎』子供の症状やうつる原因とは?【小児科医監修】
監修
片岡 正先生
かたおか小児科クリニック院長

この記事は『マイコプラズマ肺炎』についてまとめたものです。
肺炎にはウイルスによるもの、細菌によるもの、そしてマイコプラズマによるものがあります。
今回はマイコプラズマによる肺炎=『マイコプラズマ肺炎』になった場合の、症状や原因、感染経路、対処法などについて詳しくご紹介します。

『マイコプラズマ肺炎』とは?

マイコプラズマという病原体が肺に炎症を起こす肺炎

『マイコプラズマ肺炎』は、「肺炎マイコプラズマ」という病原体が原因で起こります。

風邪の原因となるウイルスは、鼻からのどにかけての上気道に感染しますが、マイコプラズマは気管支から肺までの下気道に感染します。

発熱から始まり、せきが長く続く

マイコプラズマに感染すると、まず熱が出ますが、熱は子どもによって微熱程度だったり、38度以上の熱が出たりとさまざまです。

それと同時ぐらいに、体のだるさや頭痛といった風邪のような症状が現れ、3~5日間ほど続きます。

3日目ぐらいからは、気管支の炎症によってせきが出始め、だんだんひどくなっていきます。せきは熱が下がったあとも、数週間続くことがあります。

炎症が気管支にとどまっている場合は「マイコプラズマ気管支炎」と呼びますが、肺にまで及ぶと『マイコプラズマ肺炎』と呼ばれます。

マイコプラズマに感染しても気管支炎で済むことが多いですが、せきが長く続く場合は『マイコプラズマ肺炎』を疑います。

肺炎になっていると、X線撮影で肺にハッキリした影が映ります。

関連リンク⇒⇒⇒【小児科医監修】マイコプラズマ気管支炎と風邪の違いは?うつるの?症状は?

マイコプラズマに感染すると、まず熱が出ます

患者の約80%は14才以下の子ども

マイコプラズマ感染症は子どもに多く見られます。

少し古いですが、国立感染症研究所の2012年(第35週まで)のデータによると、『マイコプラズマ肺炎』にかかった患者のうち、0~4才は30.2%、5~9才は31.4%、10~14才は18.6%です。

つまり、患者の約80%は14才以下の子どもで、この年以前も同様の傾向だったので、現在も変わっていないと考えていいでしょう。

『マイコプラズマ肺炎』の発症時期は?

秋~春先にかけて感染者が増える

マイコプラズマによる感染症は、基本的には1年中見られますが、秋~春先にかけて感染する人が多くなります。

また、上気道感染とも呼ばれる風邪の場合には、潜伏期間が1週間程度なのに対して、マイコプラズマ感染症の場合は2~3週間と長いのが特徴です。

『マイコプラズマ肺炎』の感染経路は?

主にせきやくしゃみによって感染します

風邪などを引き起こすウイルスは、寄生する細胞がないと増殖できません。それに対して、同じように体内に侵入して悪さをする細菌は自分で増殖することができます。

マイコプラズマは自分で増殖することができるので、細菌の仲間に分類されています。(ただしほかの細菌にある「細胞膜」はなし)。

人から人に感染するのは、主にせきやくしゃみによってで、一般的な風邪などの感染症と同じですが、感染力自体はそれほど強くありません。

例えば、はしかを起こす麻疹ウイルスや水ぼうそうを起こす水痘帯状疱疹ウイルスはとても感染力が強く、同じ部屋にいただけで感染することがあります。

しかし、マイコプラズマの場合は、きょうだいで同じ布団に寝たり、保育園や幼稚園、学校などで体を近づけて遊ぶなど、接触が密な場合をのぞいて、うつる確率は低いのが一般的です。

ただし、マイコプラズマは潜伏期間が長く、症状が出る前2~8日ごろから菌を排出し始めるため、その間に気づかないままほかの子どもにうつしたり、うつされたりする可能性はあります。

体を密着させて遊ぶと、感染する確率が高くなります。

『マイコプラズマ肺炎』にかかったら、保育園や小学校にいつから通える?

熱が下がって元気があれば登園・登校できる

『マイコプラズマ肺炎』や気管支炎などマイコプラズマ感染症は、学校保健法によって出席禁止とは定められていません。

しかし、発熱から始まることがほとんどで倦怠感や頭痛などの諸症状もあるため、熱が下がるまでは通園、通学はしないほうがいいでしょう。

症状が改善して、元気があれば、登校することができます。

ただし、病状によっては園長または学校長が園医または学校医に相談のうえ、感染を広めないように出席停止の措置をとることもあります。

その場合は、保育園や幼稚園、学校からお知らせがあると思いますが、わからない場合は園や学校に問い合わせてください。

また、マイコプラズマの排出は症状が出たときがピークですが、1週間ほどは高い感染力があり、その後も4~6週間以上続きます。

せきが長く続くことも多いので、登園、登校するときには、ほかの子どもにうつさないように注意しましょう。

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熱が下がれば登園・登校はOK

『マイコプラズマ肺炎』にかかったときの対処法は?

まずは小児科を受診しましょう

「マイコプラズマに感染したかも?」と思ったら、まずはできるだけ早く小児科を受診しましょう。

「風邪?」と思って受診しても、小児科医の元には近隣の保育園や幼稚園、学校等での流行状況が集まっているので、きちんと診断してもらえるはずです。

早い時期に治療を始めることで、マイコプラズマに感染しても気管支炎だけで肺炎にならずに済みます。

治療にはマクロライド系の抗菌薬を使う

『マイコプラズマ肺炎』の治療には、マイコプラズマ気管支炎も同様に、抗菌薬を使います。

ただ、通常の細菌感染時に処方するペニシリンなどのセフェム系の抗菌薬は細胞膜をつくるのを妨げる薬です。

マイコプラズマには細胞膜がないため効果がありません。

そこで、クラリスやジスロマックなどのマクロライド系の抗菌薬が処方されます。

抗菌薬のドライシロップはお湯で溶くと苦味が出るので、水で溶く。
薬用ゼリーなどを活用しても。

耐性のあるマイコプラズマには、別の抗菌薬を

一方、最近ではマクロライド系の抗菌薬に耐性のあるマイコプラズマも出現しています。

一般的には、マクロライド系の抗菌薬を飲み始めて1~2日で熱が下がりますが、3日過ぎても熱が下がらない場合は、耐性菌と考えられます。

耐性菌に対しては、ミノマイシンなどテトラサイクリン系の抗菌薬を処方することがありますが、この薬には「黄染歯」といって、歯のエナメル質の形成を妨げ、黄色くもろい歯にする副作用があるので、注意が必要です。

そのため、通常は永久歯が完成するといわれる8才以上でないと処方はしません。

とはいえ、耐性菌に対して有効な薬なので、副作用のリスクが低くなるように短期間処方される場合は、それほど問題はないでしょう。

処方する薬について不安がある場合は、医師によく確認してください。

家庭では、せきやたんをラクにしてあげる工夫を

【たん】には

『マイコプラズマ肺炎』は、肺炎とはいっても比較的元気でいられます。家庭では、熱があっても元気な場合、布団にじっと横にさせないように気をつけましょう。

熱があると「安静にしなくては」と思うかもしれませんが、実は横になってばかりいると、たんが切れにくくなります。

たんが切れやすくなるよう、適度に体を動かすようにさせ、背中をトントンと軽くたたいてあげるのもいいでしょう。背中をトントンとしてあげると、気道の中のたんが動いて出やすくなります。

【せき】には

せきがつらそうな場合は、室内の湿度を高くしてあげるとラクになります。室内が乾燥すると気道の粘膜も乾燥し、刺激に敏感になってせきが出やすくなるのです。

特に寒い時期は暖房を使うため、部屋の中が乾燥してしまうので、加湿器を使う、濡れタオルを1枚干すなどして、加湿しましょう。

日中に横になって休むときや夜間寝るときには、布団の下にクッションなどを入れ、上半身を少し起こすと、せきこみにくくなります。

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子どもに多い『マイコプラズマ肺炎』ですが、長引くせきは大人でもつらいもの。気になる症状があるときは早めに小児科を受診するようにしましょう。

取材・文/荒木晶子

監修
片岡 正先生
かたおか小児科クリニック院長
日本小児科学会専門医。東京大学医学部非常勤講師。信州大学医学部卒業。東京大学医学部小児科助手、日本赤十字社医療センター小児科医院などを経て、1996年「かたおか小児科クリニック」開業。
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