胎教の効果は?始める時期はいつから?方法もご紹介【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/10/15
更新日:2019/11/05
胎教の効果は?始める時期はいつから?方法もご紹介【産婦人科医監修】
監修
松峯寿美先生
東峯婦人クリニック名誉院長

胎教は具体的に、何のために必要なのか、知っていますか?「胎教をしたいけれど、どうしたらいいのかわからない」というママたちに、産前産後ケアの第一人者として知られる産婦人科医の松峯寿美先生からアドバイスをいただきました。

胎教とは

胎教と聞いて、早期教育をイメージする人もいるかもしれませんが、胎教の目的はおなかの赤ちゃんを教育することではありません。いちばんの目的は、妊娠中から親子のコミュニケーションを楽しんで、“絆づくり”を始めること。そして、“子育ての土台”をつくることです。つまり妊娠中に胎教をすることは、ママとパパの“産前ケア”として、親になるための心の準備を担うという側面もあるのです。

ママは妊娠中に赤ちゃんと一体感を感じて過ごし、命がけで産むので、わが子に対して「自分の一部」という感情を持ってしまいがち。でも、わが子は別の人格であり、ひとりの人間として尊重すべき存在です。胎教をすることで、親子の絆づくりとともに、わが子を尊重する気持ちが育まれていき、産後の育児をスムーズにスタートすることができるのです。

胎教って、なんのためにするの?

近年、「生まれてきた赤ちゃんに、どうやって話しかければいいのかわからない」という人たちが増えています。

妊娠中は、おなかの赤ちゃんと直接対話することができませんが、赤ちゃんに思いをはせて話しかけるなど、コミュニケーションを日課にしていると、赤ちゃんに対する愛情が育っていき、出産が待ち遠しくなります。そして、産後は自然と赤ちゃんに話しかけることができるようになっていきます。

胎教って効果があるの?どんな効果があるの?

おなかの赤ちゃんにとって、ママの存在は社会とつながるための最初の窓口です。次にパパ、双方の親族を経て、周囲の社会へと絆づくりの輪が広がっていきます。つまり、親と子の絆をしっかりと育むことが基本。わが子が安心できる“ホームベース”を整えてあげることで、やがて安心して社会にはばたいていけるようになるのです。

胎教を行うと、生まれる前から親子の絆づくりをスタートできるので、親になる心の準備を整えて、赤ちゃんを迎えることができます

ママとパパが「わが子をかわいい」と思う気持ちは、いわば“無償の愛”です。両親の愛情は胎教を通じて赤ちゃんの潜在意識に刷り込まれていき、「自分は親から愛され、望まれて生まれてきた」という自己肯定感として根付きます

自己肯定感を持っている子は、たとえ困難なことがあってもへこたれない、やさしい心を持つ子どもに育っていくのです。おなかの赤ちゃんが自分に自信を持って、すくすく、伸び伸びと育っていくように、妊娠中からママとパパの愛情を伝えてあげてください。「生まれてくるのが待ち遠しいよ」「大好きだよ」と、たくさん話しかけてあげましょう。

胎教はいつから始めたらいいの?

胎教の始めどきは、一般的には“胎動”がスタートする妊娠5~6ヶ月が目安とされています。赤ちゃんがおなかの中でキックするなど、元気な胎動があると、赤ちゃんの存在を意識しやすくなるからです。胎動を“赤ちゃんからの働きかけ”と受けとめることで、コミュニケーションがとりやすくなります。

ただ、「胎教は妊娠○ヶ月からやらなくてはいけない」というものではありません。「●週目からでは早すぎる」とか「△週目からでは遅すぎる」ということはないので、あまり時期にはこだわらなくても大丈夫です。

たとえば、つわりの時期に赤ちゃんに思いをはせたり、「赤ちゃんのために規則正しい食事や睡眠をとろう」「安産を目指すために運動しよう」など、生活習慣や体づくりを意識するようになるのも、広い意味で胎教に通じるといえます。

赤ちゃんに対して気持ちを向けることができるようになったら、それが、あなたにとっての胎教の始まりです。

胎教の方法は?

音楽を聴いたり、おなかの赤ちゃんに絵本の読み聞かせをするなど、胎教にはさまざな方法がありますが、いずれの方法も、ママがゆったりとリラックスすること、楽しい気持ちを赤ちゃんと共有することが基本。ここでは、産前産後ケアセンター「東峯サライ」の胎教クラスで、ママたちにすすめている胎教の方法について紹介します。

語りかけは、どのようにしたらいい?

最初は「どうしたらいいのか、わからない」と思う人もいるかもしれませんね。まずは「おはよう」「おやすみ」などのあいさつから始めましょう。すでに赤ちゃんの名前が決まっている場合は名前を呼びかけてあげてください。胎児ネームや「赤ちゃん」と呼びかけてもいいのです。

「どんなことを話しかけたらいいのかな?」と戸惑ったときは、「今日はよい天気だね」「ごはんの時間だよ」「一緒にお風呂に入ろうね」など、ママが感じたことを伝えたり、ママの行動を予告してもいいのです。「今日の夕食のメニューはどうしようか」と赤ちゃんに相談するのもいいでしょう。

ネガティブな言葉や悪口は言わないようにして、赤ちゃんとハッピーな気持ちを分かち合うつもりで話しかけてみましょう。

絵本の読み聞かせをするときは?

「話しかけるのが恥ずかしい」という場合は、絵本の読み聞かせをしてみませんか。小さな子どもが好むような音のリズムが楽しい絵本、ママ自身が楽しい気持ちになったり、やさしい気持ちになれるようなストーリーを選ぶといいでしょう。また、ママが子どもだったころに大好きだった絵本を読んであげるのもおすすめです。

ママの声はママの骨格や内臓を通して、子宮の中の赤ちゃんに聞こえていくため、音読するときは、ゆっくりとていねいに、やや高めの声で読むと伝わりやすくなります。絵本の読み聞かせタイムを親子で楽しく共有しましょう。

キックゲームって、何をするの?

キックゲームとは、胎動を通じてママと赤ちゃんがコミュニケーションをするゲームのこと。赤ちゃんは、寝たり起きたりを繰り返しているので、いきなりゲームを始めて驚かせないように、始めるときは、赤ちゃんの胎動に応える形で行うのがルールです。

<キックゲームのやり方>

① 赤ちゃんの胎動を待って、「キック!」と声をかけながら、おなか(胎動を感じたところ)にママの手のひらでやさしく触れて、赤ちゃんがキックで返事をしてくれるのを待ちます。

② ママの合図に反応するように、赤ちゃんが胎動を返してくれたら。「キック!」と言いながら、胎動があった場所とは反対側を手のひらでやさしく触れます。赤ちゃんの反応には個人差があり、反応が早い子、ゆっくりな子、様子をうかがうかのようにじーっとしている子もいて、さまざまです。それもわが子の個性と考えましょう。

③ 「ひとーつ」「ふたーつ」と、数を数えながら、胎動があった場所に2回触れて、胎動の返事を返してくれることにトライします。数を数えて理解するのは難易度が高いため、「返事をしてくれたら、いいな」というくらいの気楽な気持ちで行ってください。

キックゲームで得られる効果って?

キックゲームは、あくまでもおなかの赤ちゃんと楽しく遊ぶためのもの。赤ちゃんを教育することが目的ではないので、返事をするまでしつこく繰り返したり、無理強いするのはNGです。むしろキックゲームは、親としてわが子に思いをはせ、“待つ”ことの大切さを学ぶひとときでもあります。

妊娠中は常に赤ちゃんと一緒にいる一体感を感じることができて、愛おしさが増していくことでしょう。その際、ひとつだけ忘れてはいけないのは、赤ちゃんはママの所有物ではなく、人格を持ったひとりの人間だということ

産後の育児は赤ちゃんのリズムに寄り添って、赤ちゃん中心の生活となっていきます。だからこそ、妊娠中からわが子を“待つ”気持ちを育てていくことが大切。産後の育児をするうえで、きっとプラスになるはずです。

ママが、パパと赤ちゃんの橋渡し役をしてあげて

パパは直接胎動を感じることができないので、赤ちゃんが動いたタイミングをママが教えてあげて、おなかに触れてもらいましょう。パパが触れたとたんに、赤ちゃんが胎動をストップして静かになってしまうケースもありますが、パパが毎日話しかけることによって、赤ちゃんはパパの声を覚えていくので、心配いりません。

近年では赤ちゃんに胎内記憶があることが知られるようになりました。「生まれてくるのを楽しみにしているよ」と、たくさん話しかけてあげることで、両親の愛情が赤ちゃんの潜在意識に刷り込まれていくと考えられています。

妊娠5ヶ月以降は聴覚が発達して、おなかの外の音が聞こえるようになり、妊娠9ヶ月には聴覚が完成して、ママとパパの声を聞き分けることができるようになります。

胎教によい音楽は?

昔は、モーツァルトの管弦楽やオルゴールの音色がすすめられていましたが、ママが好きな音楽、心地よくリラックスできる音楽であれば、ジャンルは問いません。ポップスやロックを聞いてもいいでしょう。

胎教として行う音楽の楽しみ方には“間接法”と“直接法”という2通りの方法があります。

間接法とは

ママ自身が心地よく感じるクラシックの高音域の音楽を聴いて、赤ちゃんにママの心地よさを共有してもらう方法。妊娠7ヶ月までの期間にすすめられます。

直接法とは

童謡やわらべ歌など、赤ちゃんがうれしくなるようなリズミカルな曲をチョイスして、ママが共感する方法。妊娠8カ以降にすすめられています。ママのおなかが大きくなる8ヶ月以降は、母体のおなかの皮膚→子宮筋→羊水→胎児へと音が伝わっていくので、童謡や低音域のクラシック、ポップスがおすすめです。

ママの五感を育てるのも、よい胎教に

妊娠中のママたちは感性が豊かになり、クリエイティブな作業に喜びを感じる人が多いもの。絵をかいたり、ベビーグッズを手作りしたり、クリエイティブな作業に没頭すると、心が解放され、不思議とリラックスできるのです。赤ちゃんと一緒に楽しむ気持ちで行うと、あらゆる作業が胎教となります。

五感をみがく方法はいろいろありますが、東峯婦人クリニックの胎教クラスでは「箱庭づくり」や「塗り絵」を取り入れています。

箱庭づくり

通常、箱庭づくりは心理療法のひとつとして行われますが、胎教クラスでは治療としてではなく、あくまでも“ママとおなかの赤ちゃんが一緒に楽しく遊ぶ”ことがコンセプト。さまざまなフィギュアを用いて、赤ちゃんと一緒の生活やお出かけをイメージしたり、童心に返って砂の手触りを楽しみ、おなかの赤ちゃんと箱庭の世界を共有するのです。

塗り絵

色鉛筆などで好きな色を自由に塗る塗り絵は、心を癒やす効果があるとされています。胎教クラスでは、大きないちごに色を塗りながら、おいしそうな見た目や、色、香り、実際に食べたときの味わい、ママの気持ちなどを言葉にして、赤ちゃんに伝えながら塗り絵の作業をすすめています。ママのイメージをふくらませて、視覚や味覚を赤ちゃんと共有しつつ、塗り絵を楽しみます。

※松峯先生が運営するクリニック併設型産前産後ケアセンター「東峯サライ」では、胎教の権威として知られる森本義晴先生(HORACグランフロント大阪クリニック院長)から引き継いだ胎教のメソッドに、松峯先生の考えを融合したM・M(森本・松峯)式胎教をママたちに伝えています。

取材・文/Milly編集部
校正/主婦の友社校正室

監修
松峯寿美先生
東峯婦人クリニック名誉院長
東京女子医科大学卒業後、同大学病院に10年間勤務し、「不妊外来」を創設。1980年に東峯婦人クリニックを開業し、女性専門外来の先駆けとなる。2014年より産前産後ケアセンター「東峯サライ」をクリニックに併設。妊娠・出産・産前産後ケア、更年期以降まで、女性の一生をトータルで支える医療を実践。近著に「やさしく知る産前・産後ケア 産婦人科医が教える、ママと赤ちゃん こころとからだ」(高橋書店)など。ママたちの不安や疑問にていねいに応えてくれる先生です。
東峯婦人クリニック公式HP東峯サライ公式HP

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