2020年から小学校でプログラミング教育が必修化!プログラミング的思考って何?

コラム
公開日:2019/10/29
更新日:2019/11/04
2020年から小学校でプログラミング教育が必修化!プログラミング的思考って何?

いよいよ2020年度から、すべての小学校でプログラミング教育が必修化されます。そもそもプログラミングとは、コンピューターに命令を与えること。プログラミング教育の狙いは“プログラミング的思考”を育むこと、と言われますが、いったいプログラミング的思考とは、どういうものなのでしょうか。プログラミングに詳しい、ソニー株式会社の萩原丈博さんに聞いてみました。

「プログラミング的思考」とは考え方のひとつの種類

「小学校で行う“プログラミング的思考”というのは、プログラミングそのものを学ぶことではなく、あくまでもプログラミング的な考え方を学ぶこと。身のまわりにはプログラムで制御されているコンピューターがたくさんありますが、そういったものがどう動いているのかをまず知って、それを使ってそれぞれの教科の学びを深めましょう…というのが小学校のプログラミング教育の大前提です」

そう話す萩原さん。いまの社会では、入社時にプログラミングスキルを必須としている企業もありますが、子どもが将来、社会で生き抜くためには、プログラミング的思考は絶対に必要なのでしょうか。

「そうですね。スキルはともかく考え方自体は、みんなが持っているようにしましょう…というのが日本に限らず、世界的に求められていることでしょうね。なぜかというと、私たちの身のまわりには、すでにコンピューターで動いているものであふれていて、仕事や生活の中で、ちょっとした課題解決をするにしても、コンピューターと切り離して考えられないですよね。そこで、プログラミング的な考え方を知らないと、これからの社会を生き抜くのに難しいといわれているのです

だからといって将来、全員がプログラマーになるかというとそうではありません。あくまでも考え方が必要であり、それが生きる力につながるということなのです」

萩原さんがおっしゃる通り、文部科学省の学習指導要領によると、小学校で行われるプログラミング教育は、プログラミング技能の習得を狙いとしているものではありません。思考力や判断力、表現力を育む中で、プログラミング的思考の育成につながるプログラミング体験を取り入れることを目的としているとあります。

MESHのプログラミング用画面難しいプログラミングを書くことなく、タブレットを指でなぞればプログラミングができるので、遊びの一環として挑戦することができそう。写真はIoT ブロック MESHのプログラミング用画面。

プログラミング教育は、小学校では各教科の中で教わることに

小学校で行われるプログラミング授業は、理科や算数、社会、家庭科、総合など、各教科にひもづいて行われます。

総合の授業で課題解決に挑戦する

「たとえば総合の授業で『学校のバリアを解消しよう』というテーマでは、以下のようなアイデアがでました。図書室で車いすの子が高い場所の本を取りたいときに、すぐに受付の人を呼べるようなボタンとか、階段で通行人を感知すると人感センサーで音を出してぶつからないようにする仕組みなどです。課題を解決するというところにプログラミング的思考が入ることで、これまでは調べて終わりだったのが、自分たちで解決策をつくって、それを試して、さらに結果を検証するという課題解決のサイクルがどんどん回っていくんですね」

現場の先生に聞くと、これまで発表が苦手だった子も授業中の発言がどんどん多くなったとか。萩原さんもプログラミングの意外な効果に驚いているそうです。

算数は図形をプログラミングで描いてみる

また授業の学びを深めるために、実際にプログラミングで図形を描くこともあります。

「たとえば算数で三角形を描くプログラムなら、ペンをおろして100進み、左に120度曲がる、というのを3回繰り返すと三角形が描けるんです。これはプログラミングが書けたというよりも、どういうふうに三角形が描かれているかを実践することで、三角形の外角は120度ということを、単に知識として覚えているのではなく、体験として覚えていけるということですね」

教室や教材は子どもの興味に合わせて

こうしたプログラミング教育導入にともない、プログラミングに関する教室や教材もさまざまにありますが、どうやって活用したらよいのでしょうか。

「プログラミング教育が始まるからどうしよう、とあわてる必要は全くありません。プログラミングも英語やスイミングといった習い事と同じような感覚で、お子さんの興味に合わせていろいろ試されることをおすすめします」

プログラミング初心者は、家庭でできる簡単な教材から入るのがおすすめ。教材は“年齢”と“目的”に合わせて選ぶとよいそうです。

年齢で選ぶなら…

「たとえば弊社グループ会社SIE商品の“toio(トイオ)”は、おもちゃ的なもので、6才以上を対象にしています。低学年で“toio(トイオ)”に親しんだら、高学年では“KOOV®(クーブ)”で、ロボット・プログラミングに挑戦してもいいかもしれませんね。“MESH(メッシュ)”は幅広く使える設計にしてあるので、使い方次第で簡単にも複雑にもなりますから、低学年の子どもから大人まで楽しめます。

目的で選ぶなら…

「目的は次のどちらかになります。

・プログラミングそのものを学びたい
・プログラミングを道具として課題解決や表現に使いたい

プログラミングそのものを学ぶ場合は、ある程度、用意されたブロックなど完結しているほうがやりやすいでしょうね。一方、課題解決や表現は、日常生活の中のどこかに組み込んだり、貼り付けたり、置いたりするものなので、無線でつながるものがよいでしょうね」

プログラミング教室は本気で取り組みたい子向きなら…

「いま人気のロボット・プログラミング教室は、3カ月から半年、1年といった長い期間かけて、ちゃんとプログラミングを学んでいくというもの。じっくりとプログラミングに挑戦してみたいというお子さん向けです」

いずれにせよ、それぞれに特性があるので、子どもがどういうものに興味がありそうか、じっくりと見極める必要がありそうです。

Koov Challenge 2019の様子ロボット・プログラミング学習キット「KOOV」を使った世界大会・KOOV Challenge2019の様子。今年は日本と中国、そしてオーストラリアからも子どもたちが参加しました。今年のテーマは「いっぱいチラかせ」、会場に設置されたフィールドの様々なシカケを読み解き、自分たちのアイディアや戦略をブロックとプログラミングで形にし、各チームで競いました。

親の問いかけが子どもをプログラミング好きにする

これから絶対に必要になるなら、プログラミング自体に抵抗を持たず、好きになってもらいたい……、そのために親が心がけておきたいことはどんなことでしょうか。

「親御さんは、お子さんにいろいろな“問いかけ”をするとよいですね。プログラミングは何かを生み出すツールですが、それ以前に課題を見つけないと、課題解決につながりません。そのためにはしっかりと観察することが大切。そうしないと表現することもできません。

ですから生活の中で当たり前にしていることも、これって自動でつくれるのかな、なんで人がいくと電気がつくんだろうなど、どんな小さなことでも子どもに問いかけてみましょう。それで子どもが興味を持ったら家でもやってみようかって、センサーを買ってきてつなげてみたり、他にもそういうものがあるのか探してみたり、さらに家の中だけじゃなくて、街に出て探してみようかって、そういうふうに生活とプログラミングをどんどんつなげていくと、子どもはどんどんプログラミングが好きになるでしょうね」

毎年人気の親子参加型のワークショップ Sony STEAM Studio 2019の様子。KOOVとMESHを使って、身近な日用品をしっぽのついた生き物に変身させようというテーマでした。大勢の小学生たちが、カバンやラケット、傘立てなどの日用品をよく観察して生き物化しようかとプログラミングする姿は真剣そのもの!

音に反応するとしっぽを振る…というプログラミングを組んだ装置。近くで音を鳴らすと水色のブロックが感知してしっぽが動くというしかけ。

プログラミング初体験の小学生でも簡単にプログラミング&セット完了!

正面からはこんな感じ。様々な日用品が生き物になった力作ばかりでした。子どもの個性が生き物に反映されていて、どれも楽しい仕上がりに。

子供向けのおすすめの教材

toioTM (トイオ)

https://toio.io/

ゲーム感覚で楽しめるので、最初に手に取りやすい商品。本体は32mm幅の小さなキューブ型ロボットと2人分のリング型コントローラー(写真参照)。キューブ型ロボットには絶対位置を検出するセンサーや姿勢検出、高性能モーターが搭載されています。専用ソフトと一緒に使えば、レース・パズル・シューティング・工作など、いろいろな遊びが対戦形式でもひとり遊びでも楽しめます。キューブ型ロボットをデコレーションすることで形やデザインを変えたり、位置情報を使って本格的なプログラミングをすることも可能。専用タイトルの中には、2019年度のグッドデザイン賞を受賞したものも。

©2019 Sony Interactive Entertainment Inc.
画像提供/ソニー・インタラクティブエンタテインメント

MESHTM(メッシュ)

https://meshprj.com/jp/

無線でつながるブロック(写真参照)を身近なものと組み合わせて、プログラムによってタブレット上のMESHアプリに新しい仕組みをつくるツール。プログラミング的思考はもちろん、問題解決能力やコミュニケーション力、論理的思考力が養われることから、学校教材としても多数取り入れられています。2015年度グッドデザイン賞未来づくりデザイン賞、2018年度キッズデザイン賞優秀賞を受賞。

画像提供/ソニー株式会社

KOOV®(クーブ)

https://www.koov.io/

シンプルなブロックを組み合わせて自由に形をつくり、プログラミングによって思い通りに動かせるロボット・プログラミング学習キット。子どもは試行錯誤しながら新しいものを生み出す喜びを味わえます。プログラミング自体に興味を持ち、自分でもロボットを作ってみたい!という子にぴったり。
キットを自宅で楽しむほかに、KOOVを教材として使用したプログラミング教室も全国で増えてきています。詳しくはこちらから。2016年度グッドデザイン賞金賞、2018年度第15回日本e-Learning大賞最優秀賞を受賞。

取材・文/池田純子
※取材内容は2019年9月現在の情報です。

Profile
萩原丈博
ソニー株式会社 MESHプロジェクトリーダー
2003年、ソニー株式会社に入社。ネットワークサービスの設計開発やサービス企画に従事後、スタンフォード大学訪問研究員として米国・西海岸シリコンバレーに滞在。2012年、ソニー研究開発組織にて社内起業「MESH project」を立ち上げ、プロジェクトリーダーに就任。
https://meshprj.com/jp/

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