【皮膚科医監修】苺状血管腫とはどんな病気?原因や治療法は?

 専門家監修
公開日:2019/10/07
更新日:2019/10/10
【皮膚科医監修】苺状血管腫とはどんな病気?原因や治療法は?
監修
馬場直子先生
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長

この記事は赤ちゃんの「苺状血管腫」についてまとめたものです。「苺状血管腫」という言葉を聞いたことがありますか? 赤ちゃんにできる赤いあざの一種で、今は「乳児血管腫」と呼ばれています。なぜできるのか、治療すれば消えるのかなど、気になる点について、ドクターに聞きました。

苺状血管腫とは?

生後すぐに現れる赤いあざ

「苺状血管腫」は、生後数日~1ヶ月ぐらいごろから目立ってくる赤いあざの一種で、女の子に多く見られます。見た目が赤く、ブツブツとしていて、半分に切った苺のように見えることから、以前は苺状血管腫と呼ばれていましたが、今は「乳児血管腫」という呼び方に変わっています。

苺状血管腫には3つのタイプがあり、成長とともに目立たなくなるものもありますが、直径が1cm以上で大きく盛り上がったものだと、シワやたるみが残ってあとになってしまうこともあります。

赤く、表面がブツブツとしていて、苺を半分に切ってのせたように見えます。

苺状血管腫以外の代表的な赤いあざ

赤いあざの代表的なものには、ほかに「サーモンパッチ」や「ウンナ母斑」「ポートワイン母斑(単純性血管腫、毛細血管奇形)」があります。

サーモンパッチ

まぶたやひたい、鼻背や鼻の下などに出る、うっすらと赤く平らなあざで、赤ちゃんの20~30%に見られるポピュラーなものです。あざの色が産卵期のサケのおなかの色に似ていることから、この名で呼ばれるようになりました。サーモンパッチの場合は自然に消えることが多く、ほとんどは1歳半ごろまでに消えていきます。1歳半を超えてもくっきり残っている場合は、レーザー治療を行うことできれいになります。

ひたいの中央から鼻の下にかけて、サーモンパッチが現れています。

ウンナ母斑

後頭部やうなじにできる平らなあざです。サーモンパッチとよく似ていますが、サーモンパッチに比べると自然に消えにくく、6歳ごろまでに消えるのは約半数で、そのころまでに消えない場合は、そのまま残る可能性があります。レーザー治療の効果が期待できますが、後頭部やうなじにできることが多いため、成長とともに髪が伸びて気にならなくなり、特に治療しないことがほとんどです。

後頭部やうなじに見られるウンナ母斑。成長とともに髪が伸びて目立たなくなることが多いあざです。

ポートワイン母斑(単純性血管腫、毛細血管奇形)

体中どこの皮膚にでもできる、生まれつきの平らなくっきりした赤いあざで、自然に消えることはありません。思春期以降は紫色がかった濃い色調になったり、少し厚みを増したりすることもあります。乳児期にできるだけ早くレーザー治療をすることがおすすめです。目の周囲に広範囲にあると、目の中にも脳の中にも血管腫があって、緑内障やてんかんを伴うこともありますので、できるだけ早く皮膚科や眼科、小児科を受診しましょう。

ポートワイン母斑は、体中どこの皮膚にもでき、自然には消えません。

苺状血管腫の特徴は?

円形や楕円形に盛り上がる

苺状血管腫は、通常の皮膚との境界がハッキリとした円形や楕円形のような丸みのある形に盛り上がるのが特徴です。数ミリの小さなものから、10cm以上になる大きなものまで、サイズはさまざま。1ヶ所にできるのが一般的ですが、複数の箇所にできることもあります。

「血管腫」という名前のとおり、血管がある部分であれば体のどこにでもできるので、おなかや腕などにも見られますが、多くの場合、頭や顔などに発生します。

苺状血管腫の原因は?

血管が増えたり、太くなったりする異常が起こる

苺状血管腫は、皮膚の浅い部分にある毛細血管が増えたり、太くなったりする良性の腫瘍です。そうした異常が起こると、血液中のヘモグロビンが皮膚を通して赤いあざとなって見えるのです。なぜ血管が増えたり、太くなったりするかは、残念ながらまだわかっていません。

一般的にあざは遺伝することはありませんが、中には兄弟や姉妹で同じ種類のあざが見られることもあります。でも、「妊娠中に火事を見ると赤いあざのある子どもが生まれる」などの言い伝えはただの迷信です。妊娠中の過ごし方であざができることはないので、気にしないで。

皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織の3層になっています。赤いあざの一種である苺状血管腫は、皮膚内部の毛細血管が増えたり、太くなったりする異常です。

苺状血管腫の症状は?

苺状血管腫は3タイプある

苺状血管腫には、「局面型」「腫瘤(しゅりゅう)型」「皮下型」の3つのタイプがあり、それぞれ見た目も経過も異なります。

局面型苺状血管腫

皮膚の表面が赤くなって扁平に盛り上がるもので、半分に切った苺をのせたように見える腫瘤型ほどには膨らみません。6才ごろまでに盛り上がりは小さくなって、色もあせていき、あまり目立つ痕にはなりません。

腫瘤型苺状血管腫

局面型と違って半球状に盛り上がり、半分に切った苺をのせたように見えるのがこのタイプです。生後半年から1歳ごろまではどんどん大きく盛り上がり、1歳を過ぎると徐々にしぼんで赤みも色あせてきますが、いったん伸びた皮膚がしぼんでたるんだようになり、シワや瘢痕(はんこん)が残ってしまいます。盛り上がりができるだけ大きくならないうちに(生後1~2ヶ月ぐらい)治療を始めることができれば、ピーク時の大きさを下げられるため、残る瘢痕も少なくなります。

皮下型苺状血管腫

皮膚の下の深い部分に腫瘤ができるタイプのため、皮膚表面に赤みがないことが多いですが、ときどき表面が扁平に盛り上がる局面型を合併している場合もあります。大きさは、さわるとふくらんでいることがわかる程度だったり、ふくらみが目立ったりとさまざまで、6~7歳ごろまでに目立たない程度にまで小さくなる場合もありますが、大きいと皮膚の隆起やシワが残ります。

苺状血管腫の治療法は?

近年は内服薬、またはレーザー治療が増えている

苺状血管腫は、成長とともに自然に目立たなくなることが多いため、以前は経過を見るだけで治療をしないのが一般的でした。ただ、大きく盛り上がったものはシワやたるみが残ることがあるため、近年では「ヘマンジオル」という薬を飲むか、「ダイレーザー」という赤いあざを目立たなくする効果のあるレーザー治療を行うことが増えています。

皮膚は成長するにつれて伸びるため、あざも大きくなります。あざが出てすぐ、ふくらみが大きく盛り上がる前に飲み薬を飲むか、またはレーザー治療を始めると、それ以上大きくなるのを防ぎ、あとが残るのも最小限にする効果が期待できます。

赤いあざやシミ・ソバカスを取るためのレーザー照射器。

目立つところにできた場合は、飲み薬による治療がおすすめ

レーザー治療だけでは盛り上がりが抑えられない場合には、2016年に保険適用となった「ヘマンジオルシロップR」という飲み薬で治療をします。特に、苺状血管腫がまぶたにできて目がふさがりぎみになる、耳の下にできて耳の穴がふさがれる、気道にできて呼吸しにくいなど、体の機能や命にかかわるような場合に処方される薬ですが、頭や顔など、あとが残ると目立つところに広範囲にできている場合にも処方されています。

ふくらみが始まってピークに達するまでの間(生後1~6ヶ月)に服用を始めると効果的で、半年~1年ぐらい服用を続けます。

ただし、この薬はもともと大人の高血圧のための薬で、血圧や血糖値を下げる作用をするため、脈が弱くなる、低血圧になる、低血糖になるなどの副作用があります。専門医の指導のもとで血圧や血糖値などの検査を受けて安全を確認しながら内服し、低血糖を防ぐために規則的に授乳しながら、定期的に診察を受けることが大切です。

外科的な手術が必要になることもある

治療の開始が遅すぎた場合や、早期に始めても、もともとかなり大きな血管腫だと、その後縮小しても目立つあとが残ってしまい、外科的な手術が必要になることもあります。「へマンジオルシロップR」の効果があっても、瘢痕をゼロにすることはできないので、よりきれいにするために手術をすることも。

赤いあざに気づいたら、まずは専門医を受診して、相談してみましょう。

写真出典/はじめてママ&パパの病気とホームケア
イラスト/福井典子
校正/主婦の友社校正室

赤ちゃんにできるサーモンパッチって? 原因や治療方法は?【専門医監修】
赤ちゃんにできるサーモンパッチって? 原因や治療方法は?【専門医監修】
赤ちゃんの顔にできる薄赤色のあざを「サーモンパッチ」と言います。この記事では、サーモンパッチの原因や治療方法、消えるのかどうか、などについてまとめました。症例写真も参考にしてくださいね。顔にあるため「消えるの?」「大きく広がらない?」など気になることも多いでしょう。受診や治療の目安にしてくださいね。
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馬場直子先生
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長
滋賀医科大学卒業。横浜市立大学皮膚科などを経て、1994年神奈川県立こども医療センター皮膚科医長、2002年より現職。日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会、日本臨床皮膚科学会会員。的確な診察とわかりやすい説明で、ママたちに信頼されています。

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