妊娠初期のつわりの症状はいつまで続く?対処法は?【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/09/13
更新日:2019/10/01
妊娠初期のつわりの症状はいつまで続く?対処法は?【産婦人科医監修】
監修
楠木総司(くすのき そうし)先生
あらかわレディースクリニック院長

妊娠初期の妊婦さんにとって最大の悩みともいえるつわり。つわりの症状は、人によってさまざまですが、あまりにつらいと「どうしてこんなにつらいの?」と不安になるものです。その不安がストレスにならないよう、つわりに関するあれこれを理解して、上手に乗り切りましょう。

つわりってそもそも何?

つわりとは、妊娠初期に起こるさまざまな不快症状のことです。多くの妊婦さんにあらわれる現象で、典型的な症状としては、二日酔いや船酔いのときに感じる気持ち悪さに似た吐きけがあります。

つわりの原因は?

つわりが一体どうして起こるのか、その明確なメカニズムは未だに解明されていないのですが、「妊娠でホルモンのバランスに変化が生じ、脳の嘔吐中枢を刺激するからではないか」とする説があります。

つわりの症状があらわれる妊娠初期は、胎盤が作られ始める時期と重なり、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンの分泌が多くなります。このhCGの値が高いとつわりが重くなる傾向にあります。

また、hCGは自律神経にも影響を及ぼすため、眠けやだるさ、めまいなどを引き起こす原因にもなります。

つわりの種類と症状

つわりの症状は人によって異なります。同じ吐きけでも、朝起きるとムカムカする人もいれば、妊娠をきっかけに、においに過敏になって特定のにおいで吐き気を催す人、空腹時に症状があらわれやすくなる人など、さまざまな種類があります。

つわりでよくあらわれるのが、次のような症状です。

・食べると気持ち悪くなる

つわりの代表的な症状で、一般に「吐きつわり」と称されます。何かを口にしただけで吐きけを催したり、実際に嘔吐したりする人もいます。吐きけが起こる頻度やタイミングには個人差があり、食べられるもの、食べられないものも人によってさまざまです。

・においが気になる

特定のにおいに反応して気持ちが悪くなる症状で、「においづわり」と呼ばれています。生ゴミのように、いかにも悪臭と感じるにおい以外にも、妊娠するまでは好きだった食べ物、香水、洗剤や柔軟剤などの香りを受け付けなくなるケースもあります。

・空腹時に吐きけを催す

おなかがすくと気持ち悪くなるため、常に何かを食べていないと気がすまないという人もいます。いわゆる「食べつわり」と呼ばれる症状です。

・食欲がうせる

何を口にしても吐きけがするため何も食べたくないという人や、食べ物をイメージするだけで気持ち悪くなり、食欲がうせてしまう人もいます。

・眠くてたまらない

「眠りつわり」と呼ばれる症状で、睡眠時間は足りているはずなのに、昼夜を問わず眠くてしかたがないという症状に悩まされる人もいます。眠けに加えて、頭にもやがかかったようにぼんやりする人もいて、理解のない人からは「怠けている」と誤解されることがあります。

・頭痛が起こる

もともと頭痛持ちではなかったのに、「妊娠をきっかけに頭痛に悩まされるようになった」という人も珍しくありません。頭痛だけでなく、めまいが同時に起きる人もいます。

・熱っぽくだるい

体温を測っても熱はないものの、なんとなくポーッと体がほてったような状態が続いたり、だるさを感じてつらいという人もいます。

・よだれが出る

「すっぱいものを見たり、食べたりしたわけでもないのによだれがふえて困る」という症状に悩まされる人も少なくありません。一般に「よだれづわり」と称されます。妊娠前は気にならなかった唾液のにおいが気になりだす人もいます。

・げっぷが頻繁に出る

吐きけに伴って、「やたらとげっぷが出るようになった」という人も少なくありません。気持ち悪さをがまんする際に、つばといっしょに空気を飲み込む回数がふえることがその一因です。

・食べ物や飲み物の好みが変わる

妊娠をきっかけに食べ物や飲み物の好みが変わる人もいます。以前はそんなに食べたいと思わなかったものをむしょうに食べたくなる人や、大好物だったのに見ただけで吐きけがするようになったという人も多くいます。

つわりは症状のあらわれ方にも程度にも個人差があり、体調にまったく変化が起こらない人もいれば、日常生活に支障をきたすほどつらいという人もいます。ここにあげた以外の症状があらわれる場合もありますし、人によっては、複数の症状があらわれることもあります。

つわりはいつからいつまで続くの?

つわりは、一般的には妊娠5週くらいから始まって16週ごろまで続きます。また、つわりのピークは、だいたい妊娠8〜10週ごろとされています。

ただし、いつからいつまで続くかは人によって異なりますので、あくまでもおおよその目安と考えてください。

まれなケースではありますが、妊娠週数によって程度に変化はあったものの出産までずっと気持ち悪さが続いたという妊婦さんもいます。

つわりの症状は解消できる?

残念ながら、つわりの症状を完全に消し去ることはできません。しかし、食べ方を変えたり、食べる量を変えたり、タイミングを調整するなど、くふう次第で症状の程度を軽くすることは可能です。

つわりがつらいときの対処法は?

つわりの症状が人それぞれであるように、つらさを乗り切る方法も人によってさまざまです。次にあげるいろいろな方法を参考にしながら、自分に合った対処法を見つけましょう。

・食べると気持ち悪くなる場合の対処法

何かを食べたり飲んだりすると吐きけを催す「吐きつわり」の人は、「食べられるものを食べられるときに、食べられるだけ」を心がけましょう。妊婦さんは赤ちゃんのことを考えて栄養面も気になるでしょうが、つわりの時期は割り切っても大丈夫です。とはいえ、妊娠中は免疫力が低下し、細菌やウイルスに感染しやすくなります。妊婦さんに感染すると赤ちゃんに影響することもあるので、食べ方や食べ物には注意も必要です。生ものや非加熱食品(生肉や生魚、フレッシュチーズなど)はNGです。

・空腹時に吐きけを催す場合の対処法

おなかがすくと気持ち悪くなる「食べつわり」の場合は、空腹の状態にしないことがポイントです。しかし、常に食べ物を口にしていると体重増加も気になるところです。なるべく低カロリーのものを選び、一度に食べる量を少なくして食べる回数をふやすのがおすすめです。

起床時の空腹をまぎらわすには、起きてすぐ口に入れられるものを枕元に準備しておくといいでしょう。

・においが気になる場合の対処法

自分の苦手なにおいを把握して、可能な限り遠ざけるようにしましょう。そうはいっても、通勤時や就業時は、それができないこともあると思います。そんなときは、マスクをするなどのくふうで乗り切りましょう。

・眠くてたまらない場合の対処法

いつでも横になれる環境にある場合は、無理せず眠ってしまうのが一番です。けれども仕事中はそういうわけにもいきませんので、眠け覚ましに席を立って体を動かしてみる、外の空気を吸う、お茶を飲むなどして、気分転換でまぎらわすといいでしょう。あまりにつらい場合は上司に相談し、周囲の理解を得られるように努めましょう。

・よだれが出る場合の対処法

つわりの時期は、吐きけを抑えるためにつばが過剰に分泌される傾向にあります。人によっては、よだれを飲み込むのもつらくなり、さらに気持ち悪さが増すこともあります。そんなときは、よだれをティッシュに含ませて捨てられるよう、ジッパー付きの袋を携帯する、ペットボトルにカバーを付け、それによだれを吐き出すなどの対策を。

・「母性健康管理指導事項連絡カード」の活用

つわりがひどくて仕事をするのが困難な場合は、医師に相談してください。診断によっては、「母性健康管理指導事項連絡カード」(通称「母健連絡カード」)に記入してもらい、勤務時間の短縮や休業、作業の制限などの必要な措置を受けることができます。

母性健康管理指導事項連絡カードは、医師が行った指導内容を妊婦さんが勤務先に伝えるための書類で、診断書と同様に取り扱われます。費用は医療機関によって異なりますが、一般的には診断書よりも低価格です。このカードは、ほとんどの母子手帳に添付されていますし、産婦人科でもらうこともできます。また、厚生労働省などのWeb上からダウンロードしたものも使用できます。

不明な点は、お住まいの都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ問い合わせましょう。

つわりの時期の注意点は?

つわりの症状や程度は人によって異なります。生活のさまざまなシーンで周囲の理解と協力を得ながら、妊婦さんが過ごしやすい環境を整え、つわりの時期を乗り切りましょう。

・つわりの始まり(妊娠5週ごろ〜)

妊娠に気づく前に、胃がムカムカする、食べすぎや二日酔いでもないのに吐きけを感じるなどの症状があらわれるケースもあります。つわりの始まりは、単なる体調不良と勘違いしやすく、うっかり市販の薬を飲んでしまいそうになるかもしれませんが、月経が2週以上遅れたら、妊娠の可能性があることを忘れずに。

・つわりのピーク(妊娠8〜10週ごろ)

妊娠3ヶ月のこの時期に、多くの妊婦さんがつわりのピークを迎えます。栄養面にとらわれすぎて神経質になりすぎるとストレスが増してしまいます。基本的には、食べられるときに好きなものを食べて乗り切りましょう。ただし、妊婦さんにとってのNG食品には気をつけて。

また、嘔吐を繰り返すことにより、水分不足の可能性も高まります。しっかりと水分を補給するように心がけましょう。炭酸飲料を飲むとすっきりするという人も多いと思いますが、糖分のとりすぎには注意してください。炭酸でおなかがふくれると気持ち悪さが増す場合もあるため、一気飲みは避けましょう。

食べたり飲んだりするときは、「ちょっとずつにして、回数をふやす」のがおすすめです。

つわりが重く、水を飲むだけで吐いてしまう人や食事がまったくできない人は、脱水症状や栄養失調を起こす心配があります。トイレに行く回数が極端に少ない、体重が10%以上減るなどの症状が出た場合は、妊娠悪阻(消化器系の症状が重症化し、脱水や栄養がとれないなどの症状があり、治療を必要とする状態)になるケースもありますので、異変を感じた場合は必ず受診してください。

・つわりの終わり(妊娠12〜16週)

多くの妊婦さんが妊娠4ヶ月あたりを目安に、つわりから解放されます。いままでのつらさがうそのように食欲が出る人もいますので、今度は逆に食べすぎに注意しましょう。

取材・文/干場綾子
校正/主婦の友社校正室

監修
楠木総司(くすのき そうし)先生
あらかわレディースクリニック院長
平成16年順天堂大学医学部卒業、医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科学会内視鏡技術認定医、日本性感染症学会認定医。2019年6月にオープンした東京・町屋の「あらかわレディースクリニック」は、妊娠・出産だけでなく産後ケアによるママと赤ちゃんのサポートも行っています。また、婦人科疾患に対する腹腔鏡手術も備えた産科・婦人科施設です。

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