つわりを食べ物や飲み物で緩和!つらいときの対処法【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/09/05
更新日:2019/09/24
つわりを食べ物や飲み物で緩和!つらいときの対処法【産婦人科医監修】
監修
楠木総司(くすのき そうし)先生
あらかわレディースクリニック院長

「つわりは赤ちゃんが元気な証拠」とはいえ、現実はつらいもの。先輩ママたちはどうやってつらさを乗り切ったのでしょう? 「つらさを緩和する食べ物や飲み物は?」おすすめの食べ物や飲み物、食事の仕方について、先輩ママの体験談とともに紹介します。

つわりってなに?

つわりとは、妊娠初期にあらわれるさまざまな不快症状のことで、妊婦さんのほとんどが経験します。代表的な症状としては、吐き気、胸焼け、胃もたれ、嘔吐、食欲不振などがあげられます。

つわりの原因は?

妊娠初期につわりが起こる原因には諸説あり、はっきりとは解明されていないのですが、次にあげるような事柄が複合的に作用して起こるのではないかと考えられています。

・ホルモンの分泌量に変化が生じる

・血糖値が変化しやすくなる

・自律神経のバランスが乱れやすくなる

・ビタミン類が不足しがちになる

・亜鉛不足が味覚や嗅覚に影響を及ぼす

これらのうち、つわりの原因と特に関連が深いと考えられているのが、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンです。hCGは、妊娠を維持するうえでとても重要な役割を果たします。hCGの分泌は、受精卵が子宮内膜に着床して胎盤が形成され始めた直後から始まって、8〜10週ごろピークに達します。これは、ちょうどつわりの時期と重なります。そのため、hCGがつわりを引き起こす要因の一つではないかと考えられているのです。

つわりが起こる時期は?

妊婦さんによって個人差はありますが、一般的につわりが起こる時期は、妊娠5〜7週ごろ。そして、10週前後でピークを迎え、胎盤が完成する15〜16週には終わる人が多いとされています。

つわりにはどんな種類がある?

つわりでどんな症状があらわれるかは、妊婦さんによって異なりますが、先輩ママたちへのアンケート調査の結果、大きく5つのタイプに分かれました。

① 食べづわり

空腹時に吐き気をもよおすタイプのつわりです。お腹がすくとムカムカし始め、食べることによって症状が軽減されます。

② 吐きづわり

つわりの代表的な症状で、何かを食べると吐き気をもよおしたり、実際に嘔吐したりします。吐き気の頻度やタイミングは人によって異なり、食べられるもの、食べられないものも個人差があります。

③ 匂いづわり

妊娠がきっかけで匂いに敏感になり、特定の食べもの、香水などに反応して吐き気をもよおします。

④ 眠りづわり

睡眠不足でもないのに昼夜に関係なく眠いという症状に悩まされる人もいます。ついついぼんやりしがちになるため、理解のない人から「怠けている」と誤解されることも。

⑤ よだれづわり

唾液の分泌量が増えるタイプのつわりです。唾液そのものの匂いに過敏になって吐き気をもよおす人もいます。

つわりを緩和する食べ物は?

つわりを緩和するには、ビタミンB6が効果的であるとの研究報告があります。ビタミンB6は食品中のタンパク質からエネルギーを生成し、筋肉や血液を作るのを助けます。妊娠中は、おなかの中の赤ちゃんを育てるために、タンパク質の代謝が促進されます。すると、ビタミンB6が欠乏して嘔吐を引き起こすと考えられているのです。

つわりとビタミンB6の関連性や効果については、研究者によって意見の分かれるところですが、つわりが重症化した妊娠悪阻の妊婦さんにビタミンB6を補充すると、つわりの症状が軽減されることは実際にあります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、妊婦(18〜49歳)さんのビタミンB6摂取推奨量は、1日に1.4mgです。ビタミンB6は水溶性ですが、過剰摂取は健康被害にもつながるため、上限量は1日45mgとされています。

ビタミンB6を多く含む食べ物で、つわり時にオススメなのがバナナ(1本約90gに0.34mg)とドライプルーン(1個約8gに0.03 mg)です。調理の必要がなく手軽に食べられますし、常備しやすいため、先輩ママたちからも人気です。

その他にもビタミンB6を多く含む食材として、キハダマグロ、カツオ、鶏ササミ、鶏レバー、豚レバー、ピスタチオ、イチゴなどがあげられます。

つわりを緩和する飲み物は?

ショウガもつわりの緩和効果があると考えられている食べ物のひとつで、漢方では、吐き気を止める処方にショウガが用いられることもあります。
過去にはオーストラリアで、乾燥ショウガ粉を使った臨床試験も実施されており、対象者の半数以上で「つわり症状が軽くなった」という結果が出ています。

ちなみにこの試験で使われた乾燥ショウガ粉の量は1日分約1gで、すりおろしの生ショウガ小さじ1杯分に相当します。この程度の量であれば、紅茶やくず湯などに溶かして手軽に摂取できます。
炭酸水にショウガのすりおろしとハチミツ入れたものもスッキリと喉ごしが良く、おすすめです。
なお、乾燥ショウガは辛味成分が強く、胃や腸の粘膜を荒らす可能性がありますので、摂り過ぎには注意しましょう。

つわりを悪化させる食べ物は?

つわりを悪化させる要因として考えられるのが、食べ物の匂いや食感、味です。妊婦さんによって苦手なものには個人差があるでしょうから、一概に「これがNG」と示すことはできませんが、一般的には次のような食べ物がつわりを悪化させるとされています。

脂っこい食べ物

ステーキやハンバーグ、天ぷら、フライなどの脂っこい食べ物が苦手になったという声を多くの妊婦さんから聞きます。

これらの食べ物は、消化されにくく胃にもたれやすいので、つわりの期間中は控えた方が無難です。

生魚

匂いで吐き気が助長されるだけでなく、加熱されていない食品は食中毒につながる危険性がありますので、妊娠中は控えましょう。

匂いの強い野菜

ニンニクや玉ねぎ、ネギなどの匂いの強い野菜が苦手になる妊婦さんも多くいます。「自分は食べていなくても、家族が食べた後の息で吐いた」という人もいるほどです。

つわりがつらい時期の食事やレシピは?

つわりがつらい時期の食事の摂り方

つわりが起こる妊娠初期の赤ちゃんは、それほど多くの栄養をまだ必要とはしていません。ですから、あまり栄養バランスにとらわれず「食べられるものを食べればOK」と割り切って過ごしても大丈夫です。

ただし、妊婦さんにとってのNG食品(十分に加熱調理されていない肉や魚、フレッシュチーズなど)には気をつけましょう。

手軽なレシピで乗り切る

「調理をしているときの匂いで気持ち悪くなる」という人もいます。そんなときは、あまり時間をかけずに手軽に作れるレシピで乗り切りましょう。

また、つわり中の妊婦さんにおすすめのレシピを紹介しているサイトも多数ありますので、それらを参考にするのも良いでしょう。

つわり中におすすめの食事の仕方は?

つわりの時期を少しでも楽に乗り切る食事の仕方は、以下にあげる5つのポイントを心がけてみましょう。

①水分補給はしっかりと

何かを食べるとすぐに気持ち悪くなって嘔吐を繰り返す場合は、脱水症状に気をつけましょう。

②食べやすいもの、飲みやすいものを摂る

「これなら食べられる」「これはおいしく飲める」という自分の味方になるものを見つけましょう。

③苦手なものを避ける

つわりの時期は、「これを食べると気持ち悪くなる」といった相性の悪い食べ物や飲み物、匂いと距離を置きましょう。

④少量ずつ回数を増やす

満腹になると気持ち悪さが増して、吐きやすくなります。食事を摂るタイミングは、1日3回にとらわれず、回数を増やす食べ方がおすすめです。一度の食事量は腹8分目以下を目安にすると良いでしょう。

⑤食べやすい環境づくり

手軽に食べられるもの(クッキーやおせんべい、ゼリー、キャンディやガムなど)を携帯する、寝起きにサッと口にできるように枕元に準備おくなど、手軽に空腹を紛らわせるよう工夫しましょう。

気持ち悪くなったら無理をせず、自分に合った楽な姿勢で休むようにしましょう。

先輩ママたちがつわりを乗り切った食べ物・飲み物 

先輩ママたちにアンケートを実施し、「つわりを乗り切った食べ物や飲み物で、おすすめは?」と聞いてみました。

おすすめの食べ物

・フルーツゼリー

・もずく酢

・ヨーグルト

・バナナ

・ガム

・グミ

・そうめん、冷やし中華、冷製パスタなど

・冷やしたフルーツ(スイカ、パイナップル、グレープフルーツ、桃など)

・シャーベットやかき氷

・飴

・梅干し

おすすめの飲み物

・サイダーやコーラなど炭酸系の飲料水

・スポーツドリンク

・水や炭酸水など、味のないもの

・無添加のフルーツジュース

アンケート結果からは、いわゆる「さっぱりした物」や「冷やした物」が好まれる傾向が。
ほかにも「こんにゃくゼリーは最強」「ガムを噛んでいる間は吐き気を紛らわすことができた」といった声があがる一方で、つわりの期間中は苦手になる人が多いとされる「ラーメンや焼肉など、味の濃い食べ物」で乗り切った人や「スナック菓子を食べると吐き気がおさまった」という人もいました。

また、「炭酸水がおすすめと聞いたので飲んでみたら、悪化した」という人もおり、「つわりの症状に個人差があるのと同様、どんな食べ物や飲み物がつらさを軽減するかについても個人差がある」という結果になりました。

先輩ママたちの声も参考にしつつ、いろいろ試しながら自分に合った方法を見つけて、つらい時期を乗り切りましょう。

取材・文/干場綾子

監修
楠木総司(くすのき そうし)先生
あらかわレディースクリニック院長
平成16年順天堂大学医学部卒業、医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科学会内視鏡技術認定医、日本性感染症学会認定医。2019年6月にオープンした東京・町屋の「あらかわレディースクリニック」は、妊娠・出産だけでなく産後ケアによるママと赤ちゃんのサポートも行っています。また、婦人科疾患に対する腹腔鏡手術も備えた産科・婦人科施設です。

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