トキソプラズマ症は猫と関係がある病気?妊婦さんが注意することは?【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/09/05
トキソプラズマ症は猫と関係がある病気?妊婦さんが注意することは?【産婦人科医監修】
監修
楠木総司(くすのき そうし)先生
あらかわレディースクリニック院長

猫を飼っている人や実家に猫がいる人など、猫と接する機会が多い妊婦さんにとって、猫からうつる病気(特に、トキソプラズマ)は心配の種。でも、過度に神経質になるのも、無防備になりすぎるのもNGです。
マタニティライフを安心して送るためにも、トキソプラズマと猫にどんな関係があるのか、猫と接するときはどんなことに注意すべきかを理解しましょう。

どうして猫に注意しなければいけないの?

「妊娠中は猫との接しかたに注意が必要」という話は、おそらく多くの妊婦さんが耳にしていることでしょう。でも、「その理由はよくわからない」という妊婦さんも少なくないようです。なかには、「飼っている猫はどうしたらいいの?」「猫を飼っている人には近づかない方が良い?」と悩む妊婦さんもいらっしゃいます。

そのような不安や疑問を解決するためにも、一体どうして妊婦さんが猫に注意しなければならないのか、その理由を正しく理解して、安心、安全なマタニティライフを送りましょう。

はじめにお伝えしておきますが、猫を飼っている人と猫を飼っていない人で、トキソプラズマ症の発生率に差があるという結果は認められていません。ですから、「猫を飼っていると危ない」というわけではありませんし、「猫を飼っていないから安心」というわけでもありません。

「妊娠中は猫との接しかたに注意が必要」とされる理由は、猫とトキソプラズマが密接に関係していることにあります。そして、そのトキソプラズマに妊婦さんが初感染した場合、胎児に悪影響を及ぼし、先天性トキソプラズマ症を起こす可能性があるのです。

しかし、すべての猫やすべての妊婦さんにリスクがあるわけではありません。また、先天性トキソプラズマを予防するためには、猫以外にも注意すべきことがあります。その点について、詳しく説明していきましょう。

トキソプラズマ症とは? 

トキソプラズマ症とは、トキソプラズマという目には見えないほどの小さな原虫が原因で引き起こされる病気です。原虫とは、わかりやすくいうと単細胞の寄生虫のことです。

トキソプラズマの形態と感染経路について 

トキソプラズマそのものは決して珍しい存在ではありません。数ミクロンとあまりに小さいため、目にすることができないだけです。

たとえば、食肉用の動物である豚や鶏、牛、馬、羊、猪や鹿、鯨の体内にもいますし、私たちの身近にいるペットの犬や猫、鳥類などにも感染する可能性はあります。また、土の中でも生きられるため、庭や畑、公園の砂場にも存在します。

トキソプラズマの感染経路

トキソプラズマはたいていの哺乳類や鳥類に感染します。人間も例外ではありません。人間への主な感染経路は口からで、まれに目や鼻の粘膜から侵入する可能性もあります。その感染源になるのが、トキソプラズマが混在した生肉や猫科動物のフンです。

さすがに、豚肉を生で食べる人はいないと思いますが、生ハムやレアステーキは抵抗なく口にできるのではないでしょうか。しかし、妊娠中もしくは妊娠の約半年前は食べないようにしましょう。これらの十分に加熱処理されていない食肉には、トキソプラズマに感染するリスクがあります。

トキソプラズマは猫を介して繁殖する

ところで、「生の肉を食べると、トキソプラズマに感染するかもしれないというのはわかるけど、猫科動物のフンに感染のリスクがあるのはなぜ?」と思われるかもしれませんが、それは、トキソプラズマの繁殖方法と関係があります。

トキソプラズマは、動物の体内に寄生しながら成長しますが、猫科の動物以外に感染してもその体内から出てくることはありません。しかし、猫科の動物に感染したときに限っては、フンに混じって排出されます。この時のトキソプラズマの形態が、「オーシスト」と呼ばれるトキソプラズマの卵のようなものです(オーシストについては、この後詳しく説明します)。

しかも、フンに混じって排出されるオーシストは生命力がたくましく、水や土の中で数ヶ月も生き続けられます。
つまり、私たちの身近にいる猫のフンや猫のフンが触れた砂や土、水も感染源になり得るというわけです。

監修
楠木総司(くすのき そうし)先生
あらかわレディースクリニック院長
平成16年順天堂大学医学部卒業、医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科学会内視鏡技術認定医、日本性感染症学会認定医。2019年6月にオープンした東京・町屋の「あらかわレディースクリニック」は、妊娠・出産だけでなく産後ケアによるママと赤ちゃんのサポートも行っています。また、婦人科疾患に対する腹腔鏡手術も備えた産科・婦人科施設です。

あなたにおすすめ

注目コラム