妊娠中期の胸焼けの原因は?症状と注意点は?【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/09/04
妊娠中期の胸焼けの原因は?症状と注意点は?【産婦人科医監修】
監修
楠木総司(くすのき そうし)先生
あらかわレディースクリニック院長

つわりがおさまってようやく安定期に入ったと思ったら今度は「胸焼けが始まってつらい」という症状を訴える妊婦さんも少なくありません。「これって、つわりがぶり返したの?」「放っておいても大丈夫なの?」と気になるところです。産婦人科医の楠木総司先生に妊娠中期の胸焼けについて教えていただきました。

妊娠中期に起こる胸焼けの症状

多くの妊婦さんは、妊娠中期(16週〜)になるとつわりがおさまります。この時期は、胎盤の形成がほぼ完成し、いわゆる「安定期」とされています。

ところが妊婦さんによっては、妊娠中期になっても「つわりが全然おさまらない」「つわりが悪化した気がする」などと訴えるケースがあります。詳しく聞いてみると、「胃が圧迫される感じ」や「食後に胸焼けがする」といったつわりと同じような不快感であったり、「横になると吐き気が強くなる」といった症状であったりします。

ほかにも、妊娠中期以降の胸焼けに悩む妊婦さんたちから多く聞かれる声として、「ひんぱんにゲップが出る」「食間も胃がもたれたような感じがおさまらない」「みぞおちのあたりがスッキリしない」などがあります。

つわりがおさまる時期には個人差があるため、妊娠中期に入ってからの胸焼けを一概に「つわりではない」と断定はできません。

けれども、先ほどあげたような症状を訴える妊婦さんたちの話をさらによく聞いてみると、「つわりがいったん落ち着いたと思ったのに、しばらく経ってまたムカムカするようになった」「前は空腹になると吐き気がしていたけど、近頃は常にお腹いっぱいな感じがする」などのように、つわり期の症状とは変化していることがわかります。

妊娠中期に胸焼けが起こる原因は?

妊娠中期に胸焼けが起こる原因のひとつは、おなかの赤ちゃんが成長していることにあります。

妊娠中期は、胎児の成長に伴って子宮もどんどん大きくなる時期です。子宮底が妊婦さんのへそのあたりに達するくらいの大きさになって、おなかのふくらみが目立ち始めます。それに伴って、次第に胃が圧迫されるようになるために胸焼けが起こるのです。

もうひとつ考えられるのが、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の影響です。黄体ホルモンには、子宮内膜や子宮筋の働きを調節して赤ちゃんが育ちやすい環境を整えるほかにも、乳腺を発達させる、体内の水分量をキープする、食欲増進、基礎体温を上昇させるなどの働きがあって、妊娠を維持するうえでとても重要な役割を果たしています。その一方で、イライラや憂鬱、眠気などを引き起こすほか、胃腸の働きにも影響を及ぼします。人によってはその影響が強く出て、消化不良が起きやすくなります。

黄体ホルモンは、妊娠中期以降になると胎盤からも分泌されるようになります。その影響もあって、胸焼けをはじめ、胃がもたれる、胃痛、食欲不振、下痢や便秘など胃腸の不快症状が妊娠中期以降に出やすくなると考えられています。

ところで、逆流性食道炎をご存知でしょうか? 逆流性食道炎とは、胃酸を含む胃の内容物が食道へと逆流することによって、食道が傷つけられ炎症が起こってしまう疾患です。

実は、妊娠中は逆流性食道炎を発症しやすい時期でもあります。それは、大きくなった子宮が胃を押し上げると胃酸が逆流しやすくなるうえに、黄体ホルモンによって消化不良が引き起こされやすくなるためです。食べたものがなかなか消化されずにいると、頑張って消化を助けようと胃酸の分泌量も増えるので、ますます逆流しやすくなるというわけです。

監修
楠木総司(くすのき そうし)先生
あらかわレディースクリニック院長
平成16年順天堂大学医学部卒業、医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科学会内視鏡技術認定医、日本性感染症学会認定医。2019年6月にオープンした東京・町屋の「あらかわレディースクリニック」は、妊娠・出産だけでなく産後ケアによるママと赤ちゃんのサポートも行っています。また、婦人科疾患に対する腹腔鏡手術も備えた産科・婦人科施設です。

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