【皮膚科医監修】新生児の保湿剤でのケア、注意点は?

 専門家監修
公開日:2019/08/28
【皮膚科医監修】新生児の保湿剤でのケア、注意点は?
監修
馬場直子先生
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長

生まれたばかりの赤ちゃんの肌は、モチモチでつるつるというイメージを持っている人も多いはず。きめも細かく、理想の肌といわれますが、実はとってもデリケートで傷つきやすいので、きちんとケアしてあげることが大切です。新生児の肌の状態や、保湿の必要性、保湿剤の種類や選び方などについて、ドクターに聞いてみました。

新生児の肌の状態は?

赤ちゃんは皮膚の厚みが大人の半分しかない

一見すると、生まれたばかりの赤ちゃんと大人の皮膚は、まったく同じように見えますね。でも、そこには大きな違いがあります。

人間の皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層になっています。一番外側の表皮には、細菌やウイルスなど、外からの有害物質や刺激が入らないように防いだり、皮膚の内側の水分が外にでていかないようにする働きがあります。

ところが、赤ちゃんの皮膚は、この表皮の厚さが大人の半分ほどしかありません。その分、大人に比べて外からの刺激を受けやすく、有害物質も入り込みやすい=「バリア機能が低い」のが特徴です。

赤ちゃんの皮膚は、大人に比べると皮膚の一番外側・表皮が薄いので、刺激に弱い特徴があります。

また、皮膚の表面は、皮膚から分泌される皮脂で覆われていて、こちらも有害物質が入ったり、水分が出ていかないように働いています。赤ちゃんは生後2ヶ月ごろまでは、おなかの中にいたときにママからもらったホルモンの影響が残っていて、皮脂の分泌がとても活発です。

この時期の赤ちゃんの頭やまゆ毛などに黄色っぽい脂のようなかたまりがついていたり、顔回りに湿疹ができたりするのは、皮脂の分泌が多いことが原因です。

生後2~3ヶ月ごろまでは、皮脂の分泌が多く、「脂漏性湿疹」になることも多い時期です。

新生児の肌 保湿の必要性はある?

外気に触れて赤ちゃんの皮膚は急激に乾燥する

生後2ヶ月ごろまでの赤ちゃんは皮脂の分泌が盛んなのですが、皮脂が出てくるのは生まれてから生後1ヶ月ぐらいまでの間。生まれてすぐはまだ皮脂が分泌されていない上、生まれるまで周りを羊水に囲まれていた環境が一変し、体を覆っていた「胎脂」という油分も沐浴によって取れてしまうので、急激に肌が乾燥します。

そのため、皮膚がカサカサして、ボロボロとむけてくることがあります。これは、「新生児落屑(しんせいじらくせつ)」と呼ばれるもの。病気ではないので、心配しなくても大丈夫ですが、皮膚のバリア機能がとても低くなるので、保湿は必要です。

きれいに見える新生児の肌ですが、乾燥しやすい状態なので、必ず保湿を。

保湿はアトピー予防に効果がある?

保湿はアトピー性皮膚炎予防に効果的

「新生児落屑がはがれにくくなるので保湿はいらない」「デリケートな肌に保湿剤を塗るのが不安」など、新生児期からのスキンケアには否定的な意見も見られます。

しかし、2014年に発表された研究結果から、「新生児期からスキンケアを行なうことによって、アトピー性皮膚炎の発症を減らすことができる」ことがわかっています。

この研究は、両親やきょうだいにアトピー性皮膚炎がある新生児118人を対象とし、「毎日入浴して1日1回以上全身に保湿剤を塗る」グループと、「毎日入浴して、乾燥した部分にのみ保湿剤を塗る」グループとに分けて行われました。

その結果、全身に保湿剤を塗っていたグループは、乾燥した部分のみに塗っていたグループに比べて、生後32週までのアトピー性皮膚炎の発症を3割以上減らすことができたのです。

つまり、アトピー性皮膚炎のリスクがある赤ちゃんの場合、全身に保湿することがアトピー性皮膚炎の予防につながるといえます。

※Horimukai K et al., J Allergy Clin Immunol, 2014; 134(4): 824-830.
アトピー性皮膚炎は、顔から首、胸、おなかなどを中心に、手足の関節の内側などにも、強いかゆみのある湿疹ができる病気。新生児期の保湿が予防につながります。

アトピー性皮膚炎のリスクがない赤ちゃんにも有効

さらに、その後、両親やきょうだいにアトピー性皮膚炎がない新生児227人を対象にした研究も行われました。

これは、「毎日入浴して保湿しない」グループと、「2日おきに入浴して保湿をする」グループとに分けて生後3ヶ月まで行われ、その結果、保湿をしたグループは生後1ヶ月でのおむつによる皮膚炎が少なく、生後3ヶ月までの肌トラブルも少ないことがわかりました。

これによって、新生児期に保湿剤を使ったスキンケアを行なうことは、赤ちゃんの皮膚のバリア機能を高め、アトピー性皮膚炎だけでなく、通常の肌トラブルを予防するのにも効果があることが示されたのです。

新生児期から保湿剤を使って毎日スキンケアし、赤ちゃんの肌を守ってあげましょう。

※Yonezawa K, Haruna M, Matsuzaki M, Shiraishi M, Kojima R. (2017). Effects of moisturizing skincare on skin barrier function and the prevention of skin problems in 3-month-old infants: A randomized, controlled trial. The journal of Dermatology, In Press, Available online 30- Januar- 2017.

頬にできた乳児湿疹。保湿剤での毎日ケアには、こうした肌トラブルを防ぐ効果が。

新生児の保湿剤の種類は?

肌を保湿する保湿剤には、ローションタイプやクリームタイプ、オイルタイプなどがあります。赤ちゃんの肌の状態や季節によって使い分けるといいでしょう。
この3つ以外に、ワセリンも保湿剤として優秀なのでおすすめです。

【ローションタイプ】水分を補って保湿する

3つのうちで、もっとも水分が多く、軽いタイプの保湿剤です。べたべたせず、髪の毛につかないので、頭皮に使う場合や、夏などサッパリしたものを使いたい場合に適しています。

【クリームタイプ】水分を補って、油分で乾燥を防ぐ

ローションタイプより油分が多いですが、水分も補ってくれます。カサカサした肌をケアする場合や、冬の保湿におすすめです。

【オイルタイプ】油の膜で乾燥を防ぐ

油分が多く、皮膚に塗ると油分の膜を作って、皮膚の中の水分が外に出ていかないように守ってくれます。おむつに覆われて蒸れやすい部分や、乾燥しやすい冬の時期に使うといいでしょう。
ローションタイプを塗ってからオイルタイプを塗ると、さらに保湿効果が得られます。

【ワセリン】保湿効果が高く、肌をガードしてくれる

油分が多く、ローションタイプやクリームタイプ、オイルタイプよりも保湿効果が高くて肌をガードする力があります。

保湿する以外に、口周りの汚れを防止する目的で食事の前に塗るなどの使い方もできます。傷がある部分に使えるというメリットもあるので、おむつかぶれができているおしりなどにも使えます。

新生児に使う保湿剤の選び方

低刺激の保湿剤を選んで

保湿剤といっても、いろいろな製品があります。どんなものを選べばいいのか、迷うママやパパもいるでしょう。

そんなときは、まず低刺激のものを選ぶようにしてください。保湿剤の成分として、香料や防腐剤、合成着色料などが入っているものもありますが、そういうものはできるだけ避けて。「アレルギーテスト済み」と記載されているものがおすすめです。

ベビー用に作られているものは低刺激のものがほとんどですが、外箱やボトルの裏側に記載されている成分を確認してから購入しましょう。

大人用の保湿剤には、赤ちゃんに刺激になる成分が入っていることも。ベビー用でアレルギーテスト済みのものを選んで。

保湿成分にも注意

保湿効果がある成分には、セラミドやヒアルロン酸、グリセリン、スクワラン、コラーゲン、みつろう、ココナッツオイル、アロエなど、さまざまなものがあります。ただ、植物由来の成分の中には、アレルギーを引き起こす可能性のあるものも。

「ボタニカル」や「オーガニック」と記載されていると、体にいいような気がしてしまいますが、赤ちゃんの肌に安心とは言い切れません。

先に挙げた成分の中で、赤ちゃんにも安心しておすすめでき、保湿効果が高いのは、セラミドとヒアルロン酸。なるべくいろいろな成分が含まれていない、シンプルな処方の保湿剤を選んでください。

肌の状態に合わせる

健康な状態なのか、カサカサしているのかなど、肌の状態によって適した保湿剤は変わってきますし、全身か、頭皮やおむつの中など部分的か、使いたい箇所によっても違ってきます。

赤ちゃんの肌の状態をよく観察して、それに合った保湿剤を選び、1日1回入浴した後と朝起きたときの朝晩2回、保湿剤を塗ってください。

ブツブツができていたり、赤くなったりしている場合も、通常と同じように「清潔にして保湿する」スキンケアを続けます。ただし、1週間たっても症状がなくならなかったり、どんどん悪化するようなら、保湿剤のみで改善することはないので、皮膚科を受診して。

受診すると、ステロイド系の塗り薬や非ステロイド系の消炎鎮痛剤、保湿剤などが処方されます。医師の指示に従って使いましょう。

ロコイドやキンダベートは、弱めのステロイド薬。

アズノール軟膏は、非ステロイド系消炎鎮痛剤の一つ。

新生児の保湿剤を使う際の注意点

たくさんつけなくてよい

塗り薬や保湿剤を処方すると、よく「どのぐらい塗ればよいですか?」と聞かれます。答えは、「たくさんつけなくてよい」です。

たくさんつけると効果があるかというと、そんなことはなく、余分についた分は衣服や布団などについてしまってムダになります。クリームタイプやオイルタイプなどの場合は、ベタベタしているため、ゴミやホコリがくっついてしまうことも。

保湿剤は1円玉ぐらいの量を手のひらに出し、大人の手のひら2枚分の範囲にのせるようにして、薄く広げましょう。生後3ヶ月ぐらいの赤ちゃんだと、胸からおなかまでの胴体部分がちょうど大人の手のひら2枚分ぐらいに当たります。まずは塗りたい範囲に等間隔にちょんちょんと保湿剤を置き、まんべんなくのばすようにすると、うまく塗れます。

1円玉大の保湿剤を、大人の手のひら2枚分に塗るぐらいに薄く広げます。

生後3ヶ月の赤ちゃんの場合、大人の手のひら2枚分は胸からおなかにかけてにあたります。

使用期限を守って使う

薬と同じように、保湿剤にも使用期限があります。使用期限を少し過ぎたからと言って、すぐに悪い影響が出ることはありませんが、使い始めてから時間がたつほど、効果も薄れてしまいます。できるだけ早く使い切りましょう。

外箱の裏面や容器の下部、底面などに記載されているので、よく確認してくださいね。

写真出典/はじめてママ&パパの病気とホームケア

取材・文/荒木晶子 イラスト/福井典子

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監修
馬場直子先生
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長
滋賀医科大学卒業。横浜市立大学皮膚科などを経て、1994年神奈川県立こども医療センター皮膚科医長、2002年より現職。日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会、日本臨床皮膚科学会会員。的確な診察とわかりやすい説明で、ママたちに信頼されています。

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