産後すぐの「睡眠」と「マタニティ―ブルーズ」は深~い関係が!【for 妊婦さん】

 専門家監修
公開日:2019/08/26
産後すぐの「睡眠」と「マタニティ―ブルーズ」は深~い関係が!【for 妊婦さん】
監修
愛波 文さん
子どもの睡眠コンサルタント

~赤ちゃんの寝ない泣き止まないを解決!~【連載第25回 子どもの睡眠コンサルタント愛波文】

科学的根拠に基づいた睡眠のためのメソッドは、今まで困っていた睡眠問題がすっきり改善するとママたちに評判。今回は産後すぐのママの睡眠とマタニティーブルーズの関係について、ご自身の経験もふまえて教えていただきました。妊婦さんやそのご家族は是非ご一読を!

マタニティーブルーズや産後うつ病って?

「マタニティーブルーズ」とは産後3~10日ごろに発症し、短期間で改善する一時的な精神症状のこと。日本では10~30%の産後ママが経験するそうです。情緒不安定、不眠、抑うつ気分、不安感、注意散漫、イライラ感などがあらわれます。症状のピークは産後5日目ごろで、10日目ぐらいまでには軽快していくことが多いようです。

ほとんどの場合は自然によくなるため、特別な予防や薬物療法などの医療介入は実施しないことが一般的。しかし、なかにはマタニティーブルーズが「産褥期うつ病(産後うつ病)」に移行することもあり、マタニティーブルーズは産褥期うつ病の発症リスクを上昇させるという報告もあります。

「産後うつ病」は産後数週間から数ヶ月以内に発症するケースが多く、産後ママの10~15%がなるといわれています。症状は一般的なうつ病と変わらず、気分が沈みがちになり、周囲に対する興味や喜びが感じられなくなります。不安、緊張、集中困難、不眠、などの症状もあらわれます。 未治療のまま放置されると、重症化・長期化しやすいため、その後の育児に悪影響を与えかねません。

ですからマタニティーブルーズの段階でとどめられるように、ママ自身も周囲の家族も産後のママの気持ちの変化には注意が必要です。

私が経験したマタニティーブルーズ

私は長男、次男と共にマタニティーブルーズを経験しました。長男のときは、なかなか寝てくれない・寝ぐずり・夜泣きなどの睡眠にまつわるトラブルがきっかけ、次男のときは母乳育児がきっかけでした。育児も二度目になるので、次男の時は「絶対に大丈夫!」という自信があったのですが、そう甘くはなかったようです。次男のときもマタニティーブルーズになってしまいました。

完全母乳にこだわりすぎたのが間違い。粉ミルクで乗り切った次男の黄疸

2015年に次男をニューヨークで出産しました。二人目だったこともあって妊娠後期にはすでに乳汁がよく出ていたので、産後直後に初乳をあげたときも乳首への吸い付きはとてもよく、母乳には問題ないだろと思っていました。

しかし、産後二日目になっても、なかなかうんちが出なく、「母乳が足りてないかも…」という不安が私のなかで徐々に大きくなっていきました。不安のあまり、ほとんど睡眠もとらず必死に次男に母乳をあげたり、搾乳をしたりして頑張っていました。

そんなとき、ナースに「粉ミルクをあげたほうがいいわよ」と言われ、その瞬間、いきなり号泣してしまいました。長男の時は入院中から完全母乳で、粉ミルクをあげたことがなかったので、自然と「完全母乳が当たり前。完全母乳じゃないとダメなんだ!」という思い込みが当時の私にはありました。

その後、ラクテーションコンサルタント(母乳コンサルタント)という母乳育児支援をする専門家に「粉ミルクをあげたほうがいい」と言われても、泣きながらあげたくないと伝えていました。母乳は出ていたのですが、次男が欲している量には全く達していなく、母乳コンサルタントと一緒にもっと出るように頑張りました。しかし、次男は十分栄養が取れていなかったため寝てもすぐ起きてしまい、私も睡眠がとれず、ストレスを感じていました。

そうしているうちに、次男の黄疸症状が悪化してしまい、6時間以上別室で光治療をしないといけなくなってしまいました。あのとき私がすんなり粉ミルクを与えていたらうんちも出て、黄疸を避けることができたのではないか?と思うと悔しくてまた号泣…。
私のせいで十分な母乳が出ない、私のせいで黄疸になってしまい6時間抱っこもできなくなった……と、自分を責めていました。今振り返ると、このとき私はマタニティーブルーズになっていたのだと思います。

写真提供:愛波 文 先生

光治療を行う前にナースが次男にミルクをあげると、ごっくんごっくんと勢いよくミルクを飲んでいて、その姿を見たときに「すっごくお腹が空いていたんだな、悪いことしたな…」と思いました。その後、抱っこすることも母乳を直接あげることもできない光治療の6時間がスタート。それでも、私は母乳を飲ませたくて別室で搾乳をして次男に届けていました。
粉ミルクを飲みながら6時間の光治療を終えた次男。やっとうんちとおしっこが出て、黄疸はだいぶ収まりました。そして、夜中の23時に無事退院することができました。(アメリカは入院費用が莫大な金額なので23時でも退院できます)

写真提供:愛波 文 先生

今振り返ると、「なんで産後あんなに完全母乳にこだわっていたんだろう?」と不思議に思います。だって、赤ちゃんが十分な栄養が取れていなかったり、脱水症状になっていたらもっと大変なことになってしまうのに!

慣れない夜間授乳+疲れ+産後ホルモン変化=ママ失格気分に陥る!?

産後ママの疲れやストレスは、母乳を押し出すオキシトシンの分泌を止めてしまうことがあり、母乳量に影響がでます。滋賀県立大学の「母子の夜間睡眠状況と授乳の関連の研究」*(1)では、夜間授乳の1 回にかける時間が長くなるとママのストレスレベルが高くなることがわかっています。

最も関連が強かったストレス項目は、「親としての有能感」の項目でした。
ママたちは、夜間の授乳によって自分の睡眠が分断されることよりも、上手く授乳が行えずに 1 回の授乳に時間がかかることのほうがストレスになっているようです。
そのせいで、「自分は育児が上手くできていない」と感じ、育児に対する“自己効力感(自分がそのときに必要な行動をうまく実行できているという認識)”が低下して、育児ストレスを感じたと考えられるという結果が出ています。

私自身も次男の母乳育児につまずいたときは「自分の子どもに十分栄養を与えられない私なんてママ失格!」と思いこんでいました。

1 回あたりの授乳時間を短くすることでママの自己効力感も高まると考えられます。ですから、母子ともにベストな授乳方法やタイミングを模索し、同時にママの精神面のサポートをすることで、産後ママが感じがちな「育児のストレス」を和らげることができるかもしれません。

産後は、女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少するなどの生理的要因があるので精神面が不安定になるのは仕方ないことかもしれません。ですが、だれでも産後はマタニティーブルーズになる可能性があるということを知っておくだけでも、心の準備ができるかもしれません。また、旦那様や産後サポートしてくれる人にも、マタニティーブルーズについての知識を持っておいてもらうとサポートの仕方がかわってくるでしょう。

*(1)母子の夜間睡眠状況と授乳の関連
瀬 潤子, 長尾 早枝子DOI:10.14986/shokuiku.10.283

写真:愛波 文先生と息子さんたち

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監修
愛波 文さん
子どもの睡眠コンサルタント
「ママと赤ちゃんのぐっすり本」(講談社)著者。 子どもの睡眠コンサルタント。APSCアジア/インド代表。IPHI日本代表。Sleeping Smart®代表。一般社団法人日本妊婦と乳幼児睡眠コンサルタント協会代表理事。慶應義塾大学卒業。2012年に長男出産。夜泣きや子育てに悩んだことから乳幼児の睡眠科学の勉強をはじめ、米国IPHI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。2015年に次男を出産。現在、2人の男の子の子育てをしながら、子どもの睡眠に悩む保育者のコンサルティングや個別相談を行い、日本人向けに睡眠を専門とするSleeping Smart®子育てサロンを運営。IPHIと提携し、オンラインで妊婦と乳幼児の睡眠コンサルタント資格取得講座の講師も務めている。
 

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