食べづわりの症状って?原因と対策は?【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/09/04
更新日:2019/09/24
食べづわりの症状って?原因と対策は?【産婦人科医監修】
監修
楠木総司(くすのき そうし)先生
あらかわレディースクリニック院長

つわりの症状は人によってさまざまです。なかには、空腹になると気持ちが悪くなって吐いてしまう「食べづわり」に悩まされる人もいます。食べづわりの症状と食べづわりを乗り切る対策について、産婦人科医の楠木先生にアドバイスをいただきました。

食べづわりとは?

妊娠初期の吐き気を伴うつわりには、食べ物を口にすると吐き気をもよおすタイプと空腹になると気持ちが悪くなって何かを食べ続けていたいというタイプがあります。このうち、前者は一般的に「吐きづわり」後者は「食べづわり」と呼ばれています。

食べづわりは、ほかのつわりと同様で妊娠5週くらいから始まって10週頃にピークを迎え、16週あたりには終わるというのが一般的です。

ただし、妊婦さんによっては妊娠16週を過ぎても「ずっと何かを食べ続けていたい」状態が続き、食べづわりに悩まされることもあります。

食べづわりの原因は?

そもそもつわりが一体どうして起こるのか、そのメカニズムは明確にわかっていないのですが、吐きづわり、食べづわりのタイプを問わず、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが関係しているという説があります。

hCGは、妊娠を維持するうえで重要な役割を担うホルモンで、妊娠の成立とともに分泌が始まり、妊娠8〜10週ごろには分泌のピークに達します。これが、ちょうどつわりの時期と重なることから、hCGとつわりには因果関係があるのではないかと考えられているのです。

また、妊娠に伴って起こるホルモンバランスの乱れは、体と心に大きな変化をもたらします。それが自律神経にも作用し、結果的に嘔吐中枢が刺激されて、つわり症状が起こるとも考えられています。

さらにもうひとつの理由としては、低血糖との関係性があげられます。妊婦さんの体は、赤ちゃんを産み育てる環境を整えるために従来以上のエネルギーを必要とします。そして、取り込んだエネルギーは胎内の赤ちゃんへと優先的に送られるようになっています。そのため、妊婦さん自身は低血糖になりやすいのです。

妊娠していない人でもおなかが空いて低血糖状態が続くと、めまいや吐き気をもよおすことがあります。それが、低血糖になりやすい状態にある妊婦さんではなおのこと起こりやすくなるため、「何かを食べていないと気持ち悪くなってしまう」というわけです。

食べづわりの症状って?

空腹になるとムカムカと吐き気を感じたり、嘔吐したりするため、何かを食べ続けていないと落ち着かないというのが、食べづわりの特徴的な症状です。

特定のものが食べたくなる人、同じ食べ物でも温かいと無理だけれど冷たくすれば大丈夫という人、妊娠前と食べ物の好みが変わる人などさまざまです。「妊娠前はあまり口にしなかったいわゆるジャンクフードが無性に食べたくなった」「甘いものはどちらかといえば嫌いだったのに、ケーキやアイスクリームが欲しくなった」などのように、嗜好の変化が起こることも決して珍しくありません。

人によっては、実際には空腹でなくとも何かを食べ続けたい気持ちがおさまらないという症状に悩まされることもあります。また、空腹になったときに襲ってくるムカつきが頭から離れず、その状態を避けようとして食べ続ける人もいます。そうすると今度は、お腹がいっぱいになりすぎて気持ちが悪くなって嘔吐してしまうという悪循環に悩まされます。

食べづわりの対策は?

「食べられないよりも食べられるタイプのつわりなら楽なのでは?」と思われがちですが、ずっと食べ続けることでカロリーオーバーになり、体重が増えすぎてしまう可能性がありますので、食べづわりの人は注意が必要です。

かといってカロリーや体重のことを気にしすぎると、ストレスでよけいに食べたさが増してしまうこともあります。この点が、食べづわりの悩ましいところです。

そこで、食べづわりの対策をいくつかご紹介しますので、実践できそうなものを試してみてください。

一度に食べる量を減らし、回数を増やす

空腹になると気持ち悪くなってしまうのであれば、なるべく空腹の時間を減らすように努めましょう。そのためには、一度の食事を複数回に分けて少しずつ食べるのがおすすめです。

よく噛んでゆっくり食べる

空腹感を紛らわそうとして一気に食べ物を摂取するのはNGです。よく噛んでゆっくり食べることにより、満腹中枢が刺激されて満腹感を得やすくなるのに加えて、唾液の分泌が促進されます。唾液に含まれる消化酵素は、消化吸収を助ける役割も果たしますので、食べづわりの症状であるムカつき軽減にもつながります。

低カロリーの食品を選ぶ

どうしてもおやつが欲しくなったときは、低カロリーの食品を選びましょう。甘味をおさえた寒天やゼリー、小魚などはカロリーを気にせず食べられます。ナッツ類も噛み応えがあって、腹持ちが良いのでおすすめです。

おやつは、少しずつゆっくりと食べ、吐き気がおさまったら食べるのをやめるようにすると、食べ過ぎを防ぎやすくなります。

一口サイズでつまめるものを常備しておく

空腹で気持ち悪くなる前に、とりあえず何かを口に入れる場合の対策として、一口サイズで手軽につまめるものを常備しておくと便利です。出かける際もバッグに、クッキーやキャンディ、おせんべいなどを入れておくと安心です。

就寝前に軽食をとる

「晩ごはんを食べても寝るまでの間にお腹が空いて、眠ろうとしても気持ち悪くて困った」「夜中にお腹が空いて、気持ち悪くて眠れなかった」という声も多く聞かれます。このような場合は、寝る前の軽食が効果的です。

ただし、就寝前の食事は体重の増加につながりますので、カロリーの低いものを選びましょう。また、冷たいものよりも温かいものをお腹に入れた方が、寝つきが良くなります。

枕元に水と食べ物を用意しておく

食べづわりの人にとっては、起床時の空腹もつらいもの。朝起きてすぐに何か口に入れられるように枕元に食べ物を用意しておくと良いでしょう。朝食までのつなぎとして、枕元に水と小分けパックのお菓子を置いておくのもおすすめです。

虫歯や歯周病に注意!

妊娠中はホルモンの分泌量の変化や免疫力の低下によって、虫歯や歯周病になりやすい状態が続きます。さらに、食べづわりの人は四六時中何かを口にしていることが多くなるため、歯垢も付きやすくなりますので特に注意が必要です。

そうは言ってもつわりの期間中は、歯ブラシを口に入れるだけで吐き気がしてつらいこともあると思います。そのような場合は、食後にこだわらず、少しでもコンディションの良いタイミングを見計らって歯磨きをしても良いでしょう。

取材・文/干場綾子

監修
楠木総司(くすのき そうし)先生
あらかわレディースクリニック院長
平成16年順天堂大学医学部卒業、医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本婦人科腫瘍専門医、日本産科婦人科学会内視鏡技術認定医、日本性感染症学会認定医。2019年6月にオープンした東京・町屋の「あらかわレディースクリニック」は、妊娠・出産だけでなく産後ケアによるママと赤ちゃんのサポートも行っています。また、婦人科疾患に対する腹腔鏡手術も備えた産科・婦人科施設です。

あなたにおすすめ

注目コラム