【専門家監修】赤ちゃん返りとは?その症状や原因、対策が知りたい!

 専門家監修
公開日:2019/07/17
更新日:2019/08/02
【専門家監修】赤ちゃん返りとは?その症状や原因、対策が知りたい!
監修
塩崎尚美先生
日本女子大学人間社会学部心理学科教授

下の子が生まれたときなどに上の子にみられる「赤ちゃん返り」。よく聞く言葉ですが、どのような原因で起こる、どのような症状なのでしょうか。また、赤ちゃん返りしたときには、どのような対処をすればいいのでしょうか。臨床心理学の専門家、塩崎尚美先生に聞きました。

赤ちゃん返りとは?

「赤ちゃんに返る」=「少し前の状態に戻った行動をとる」こと

赤ちゃん返りとは、その名の通り、子どもが赤ちゃんに返ったような行動をとること。専門的な言葉では「退行」といい、行動などが少し前の発達段階に戻る状態をいいます。
だいたい、4~5歳ぐらい戻ると考えられているため、幼児期に起こる退行を「赤ちゃん返り」といいます。

いつから起こるもの?

ただ、強いストレスや環境の変化などにより、学童期以降の子どもや大人にも、退行は起こる可能性があります。多くみられるのは幼児期であり、成長するほど、多少の刺激では起こりにくくなりますが、例えば、震災や事故など、その人にとって大きなストレスとなるようなことが起こった後には大人にもみられることがあります。

赤ちゃん返りの症状は?

甘えるような行動や、できていたことができなくなることも

赤ちゃん返りをして、どのような症状が出るかはその子によって異なることがありますが、主に、以下のような症状がみられます。

・やたら抱っこをせがむ
・おっぱいを飲みたいという
・着替えや食事など、自分でできていたことを「やって」という
・ママにくっついて離れない
・指しゃぶりをする
・おもらしやおねしょをする

理解しておきたいのは、決して「わざとしている」「ママを困らせようとしている」わけではなく、自分でもコントロールできず「そうなってしまう」状態であるということ。

「なんでそんなことするの!」「もうお姉ちゃん(お兄ちゃん)なのに、なんでできないの!」と叱りたくなってしまうこともあるかもしれませんが、できればグッとこらえて、「どうしてそういう行動をとるのか」を考えてあげられるといいですね。

赤ちゃん返りの原因は?

ストレスや環境の変化などによる「不安」が原因

「赤ちゃん返り」といわれて思い当たるのは、下の子が生まれたときに、お姉ちゃんやお兄ちゃんになった上の子に起こるものではないでしょうか。
赤ちゃん返りは、環境の変化やストレスなどによる「不安」がいちばんの原因です。下の子が生まれたときに起こるものであれば、赤ちゃんが生まれたことで、「ママを取られてしまうんじゃないか」と自分の存在がおびやかされるような気になってしまうことが考えられます。

ほかにも、ママが仕事に復帰して保育園に預けられたり、自分が病気などで入院したり、引っ越したりして、「ママにもう会えないんじゃないか」と思ったときや、自分が安心できる場所がなくなるような気がしたときなど、環境の大きな変化や、それによるストレス、不安などが原因で、赤ちゃん返りの症状が起こると考えられます。

赤ちゃん返りの対策は?

言葉や態度できちんと伝えて、不安を取り除くこと

赤ちゃん返りのいちばんの原因は「不安」なので、その不安を取り除き、安心させてあげることがいちばん大切です。
ただし、それはわがままをなんでも聞き入れるとか、ただ甘やかすというのは違います。不安を和らげると同時に、きちんと「年相応の扱い」をすることも大事なのです。

「ママはあなたのことが大好きだし、とっても大切だよ」「赤ちゃんが生まれても、あなたのことをちゃんと見ているよ」「心配しなくても大丈夫だよ」と、その子が理解できる言葉できちんと伝えましょう。
子どもがそのことを理解し、安心、納得できれば、症状もおさまってきます。

イライラして叱ってしまったら、後でフォローを

手が離せないときに抱っこをせがまれたり、忙しいときに「やってやって!」といわれたり、トイレでできていたはずなのにおもらしをしたり……。こういったことが続くと、ママもつい、イライラして怒ってしまうこともあるかもしれませんね。子どもの気持ちは理解できても、ママ自身の気持ちに余裕がなくなってしまうこともあるでしょう。

そんなときは、後で気持ちが落ち着いてから、「さっきはごめんね。ママ、イライラしてダメだったね」とあやまればOK。ママの気持ちはちゃんと子どもに伝わるはずです。

「事前対策」も大切です

赤ちゃん返り対策として、「事前準備」はとても大切です。たとえば、下の子が生まれることや、ママが職場復帰して保育園に入れることなどは、事前にわかっていること。ですから、前もって、しつこいくらい何度も、「赤ちゃんが生まれても、あなたのことが大好きだからね」「ママはずっとあなたのこともちゃんと見ているからね」「ママはお仕事に行くから、あなたは保育園に行くけど、夕方になったら必ずお迎えに行くから待っていてね」などと伝えておくといいでしょう。

それでも実際に下の子が生まれたり、保育園に行くようになったりしたら、赤ちゃん返りはあるかもしれませんが、前もって伝えているのと、何もわからずいきなりそうなるのとでは、やはり心の変化には大きな差が生じるはずです。
前もってわかっていることについては、事前対策でできるだけ安心させてあげましょう。

文/出村真理子

監修
塩崎尚美先生
日本女子大学人間社会学部心理学科教授
専門は臨床心理学。あと追いや人見知りにもかかわりが深い、母子の分離不安が研究テーマ。1男1女の母。著書に『乳幼児・児童の臨床心理学』(放送大学出版社)など。

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