赤ちゃんが泣かない原因は?病院に行くべきか知りたい!【専門家監修】

 専門家監修
公開日:2019/07/17
更新日:2019/08/02
赤ちゃんが泣かない原因は?病院に行くべきか知りたい!【専門家監修】
監修
塩崎尚美先生
日本女子大学人間社会学部心理学科教授

赤ちゃんには、あまり泣かない子もいれば、ちょっとしたことですぐ泣く子、なかなか泣き止まない子などもいて、泣く様子はさまざまです。赤ちゃんがあまり泣かない場合には、ママは「助かる」「手がかからない子でよかった」と感じる反面、「赤ちゃんなのに、泣かなくて大丈夫?」「何かの病気のサインでは?」と考えることもあるようです。赤ちゃんの「泣く」「泣かない」について、臨床心理学の専門家、塩崎尚美先生に聞いてみました。

赤ちゃんが泣かないとき、原因は?

赤ちゃんの「泣かない」には2つの種類があります

赤ちゃんが泣かない場合、大きく分けて2つの理由が考えられます。

ひとつは、手がかからない赤ちゃんで、あまり泣かない場合。物音など、いろいろなことに敏感ではないとか、おっとりしているために、あまり泣かないこともあるでしょう。
また、おなかが空いたときや抱っこして欲しいときなどは泣くものの、おっぱいを飲んだり、抱っこしてもらったりすればすぐ満足するために、あまり泣かないということもあるようです。

もうひとつは、発達障害などがある場合。本来、赤ちゃんが泣くのは、まだ言葉が話せない時期に、「おなかが空いた」「抱っこして」「なんとかして」「助けて」など、まわりに自分の存在を知らせて助けてもらおうという本能的な働きによるもの。
ただ、発達障害がある子は、助けを求めるという反応が起こりにくいことがあり、おなかが空いても助けを求めない、つまり、「あまり泣かない」という様子がみられることがあります。

赤ちゃんが泣かないとき、問題があるかどう判断すればいい?

泣く、泣かないだけでなく、ほかの様子も見ることが大事

手がかからない赤ちゃんで泣かない場合、理由があって泣くときは泣いても、欲求が満たされればすぐ治まるということのほか、あやしたら笑う、話しかけた時などにママと目が合う、反応がしっかりある、表情が豊か、などの特徴があります。

一方、発達障害がある場合には、おなかが空いても泣かない、ずっと放っておいても泣かないなどのほか、表情があまり変わらない、話しかけても目が合わない、あやしても笑わないなど、働きかけに対してあまり反応がない、という特徴があります。

また、発達障害がある子は、あまり泣かない、いつもおとなしいという特徴がある一方で、ものすごく激しく泣く子、一度泣くといつまでも泣き止まない子もいて、どちらもやや極端な面があります。

ただし、あまり泣かない、おとなしい、激しく泣く、なかなか泣き止まないなどは、どんな赤ちゃんにでもみられることで、このような様子がみられるからといって、発達障害であるとは限りません。
何かのトラブルのサインかどうかを考えるときは、単に「泣く」「泣かない」だけでなく、赤ちゃんのほかの様子も総合的に見ることが大切です。

赤ちゃんが泣かないとき、病院に行くべき?

早い時期から適切な関わりをもつことが大事

泣かないことそのものは悪いことではありません。ただ、泣かないことの原因として、発達障害などがある場合には、早めの対応が大切と考えられます。

発達障害は、脳の機能障害により起こるもので、障害そのものがなくなることはありませんが、できるだけ早い時期からその子に合った適切な関わりを持つことで、発達を促すことはできると考えられています。

そのため、赤ちゃんが泣かないことに加え、ほかにも気になることがある場合には、早めに相談することが望ましいといえます。小児科を受診してもいいですが、まずは、乳児健診で相談してみるといいでしょう。

乳児健診では必ず発達のチェックをします

乳児健診では、毎回必ず赤ちゃんの発達を確認します。自閉症スペクトラム症に関しては、早ければ6~7ヶ月健診で、その兆候がわかります。軽度の場合は、もう少し成長してからでないと診断できないこともあり、1歳ごろまでは様子をみることもあります。

健診で、発達に遅れがみられると判断された場合は、家庭での関わり方のアドバイスをしたり、小児科や療育センターなどの医療機関につなげたりと、必要に応じて適切な対応をおこないます。
乳児健診をきちんと受けていれば、発達の遅れや病気などのサインを見つけられます。そういう意味でも、乳児健診を受けることには大事な意義があるのです。

赤ちゃんが泣かない場合、授乳のタイミングは?

時間を決めて授乳することで、生活のリズムができてきます

赤ちゃんがあまり泣かない場合には、時間を決めて授乳しましょう。
その子によって、飲む量や授乳の間隔が異なるため、まずは3時間ぐらいおきに飲ませてみて、よく飲むならそのぐらいの間隔で、あまり飲まないならもう少し間隔をあけるなど、飲み具合をみながら、その子に合う授乳間隔をつかめるといいですね。

そのように規則的に授乳をすることで、生活にリズム感ができてきます。
発達障害があり、おなかが空いたときに泣くことはなくても、「おなかが空いたらおっぱいをもらえて、おなかが満たされる(空腹が解消される)」ということは学習していくので、自分を理解すること、発達を促すことにつながっていきます。

「泣かない」=「放っておいていい」ではありません

泣かないから、おとなしいからといって赤ちゃんを放っておくのではなく、授乳以外でも、生活の中でできるだけ多くの働きかけをすること、関わりを持つことは大切です。

「何をどう働きかけたらいいかわからない」という人は、とりあえずママが赤ちゃんのお世話をするときに、それを口に出して伝えてあげるだけでもいいでしょう。
朝起きたら「おはよう」「いいお天気だね」「お着替えしようね」、おむつを替えたら「キレイにしようね」「サッパリして気持ちいいね」、おっぱいや離乳食のときには「おいしいね」「たくさん飲めたね」「おなかいっぱいだね」など、どんなことでもいいので、言葉をかけてあげましょう。

また、ガラガラなど音の出るおもちゃをふったり、見せたりして遊んでもいいですね。音を聞いたり、おもちゃを見たり、目で追ったりということが刺激になり、発達を促すことにつながります。
最初はポカンとしているだけだったり、あまり反応がみられなかったりしても、働きかけを続けるうちに、少しずつ慣れたり、反応がみられたりと赤ちゃんの様子が変わっていくでしょう。

文/出村真理子

監修
塩崎尚美先生
日本女子大学人間社会学部心理学科教授
専門は臨床心理学。あと追いや人見知りにもかかわりが深い、母子の分離不安が研究テーマ。1男1女の母。著書に『乳幼児・児童の臨床心理学』(放送大学出版社)など。

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