【専門家監修】赤ちゃんの性格はいつから決まる?親から遺伝する?

 専門家監修
公開日:2019/07/16
更新日:2019/08/02
【専門家監修】赤ちゃんの性格はいつから決まる?親から遺伝する?
監修
塩崎尚美先生
日本女子大学人間社会学部心理学科教授

生まれたときから、赤ちゃんにはそれぞれ個性があり、「あまり泣かない子」「音に敏感な子」「一度泣くとなかなか泣きやまない子」「よく眠る子」「おっとりした子」「表情が豊かな子」など、そのタイプはさまざま。「それって、赤ちゃんの性格なの?」「赤ちゃんの性格は、いつ決まるの?」「性格は遺伝するの?」そんなママたちの疑問について、臨床心理学の専門家、塩崎尚美先生に聞いてみました。

赤ちゃんの「タイプ」はいくつあるの?

生まれたときは「性格」ではなく「気質」の影響が大きい

赤ちゃんのころには、まだ「性格」というほど固まったものはありませんが、生まれたときからの「気質」というものはあるといわれています。
気質とは、生まれながらにしてその子に備わっている性質のようなもので、遺伝とはまた別のもの。何によって決まるかということには諸説ありますが、持って生まれた脳の機能が関係しているといわれています。

気質には3タイプあります

気質には、「easy(育てやすいタイプ)」「difficult(気難しいタイプ)」「slow starter(マイペースなタイプ)」という3つのタイプがあります。
このことからわかる通り、気質は、「性格」のように、赤ちゃん側の視点によるものではなく、親(育てる側)の視点でタイプ分けされているものです。それぞれの特徴を以下に挙げます

・easy(育てやすいタイプ)

わりと穏やかで、あまり敏感すぎず、新しいことにもあまり抵抗がないタイプ。人見知りはしますが過度ではなく、あやしたときの反応もよく、機嫌がいいときはよく笑い、表情も豊かで好奇心も旺盛。泣くときは泣くものの、抱っこしてあやしたり、おっぱいを飲んだりすればご機嫌になり、離乳食やおむつ外しなどもわりとスムーズに進みます。このように、ママたちが育てるのにあまり苦労しないタイプといえます。

・difficult(気難しいタイプ)

easyと正反対なタイプ。ちょっとした物音などにも敏感で、あまり寝ない、一度泣くとなかなか泣き止まない、かんしゃくを起こしやすい、ということがあります。こだわりが強く、気難しいところもあるので、ママからすると育てにくいと感じることもあるかもしれません。

・slow starter(ゆっくりマイペースなタイプ)

とてもおっとりしていて、さまざまなことが、ほかの子とくらべてゆっくりのペースで進むタイプ。何かをするときにも時間をかけることが必要だったり、こだわりや抵抗が強かったりして、慣れるまでに時間がかかることがあります。その子なりのペースを見守ってあげることが大切です。

気質は環境や関わり方で変わるもの

気質は、生まれながらにして備わっているものと述べましたが、生まれた後、育っていく環境や周囲の関わりによって変わっていくものなので、ずっと変わらないものというわけではありません。

ですから、例えば「いつも泣いてばかり」「あまり寝てくれない」など、育児をするなかでママが大変だと感じることが、ずっとそのまま続くというわけではありません。これからの生活のなかで、関わり方の工夫によって変わっていくことも多いので、あまり心配しないで。
「これもこの子の個性」と、おおらかに受け止めてあげられるといいですね。

赤ちゃんの性格はいつから決まるの?

3歳ぐらいには性格の原型ができてくる

性格というものは、生まれつき備わっている気質に、育っていく環境や周囲からの関わりなど、さまざまな要因が加わって、作られていきます。

生まれたときは、その子のなかで気質の影響のほうが大きいですが、1歳、2歳と成長するにつれ、気質の影響より、環境や関わりなどによる影響のほうが強くなっていきます。そして、3歳ぐらいには、いわゆる「性格」の原型のようなものができてくると考えられています。ただ、その後もまだ、成長しながら変わっていきます。

性格は親から遺伝する?

性格は「遺伝」ではなく「環境」によって決まる

性格が形成されるときには、その子がどんな「環境」で育っているかの影響が大きく、両親からの「遺伝」はあまり関係ありません。
ただし、子どもが育っていくなかで、いちばん関わりが多いのは親であり、親の性格や行動の特徴も「環境」に含まれます。そのため、親の性格や行動の特徴的な部分が、環境として子どもに受け継がれることは多く、それを「遺伝」と勘違いしてしまうことは多いと考えられます。

例えば、親が感情的になりやすく、大きな声で怒鳴ることが多いと、子どもはそういう行動の特徴を学習して身に着けていくため、何かあるとすぐ感情的になって大きな声を出したりするようになることがあります。
一方、親がとてものんびりしていると、子どもものんびりした生活をするため、自然におっとりした性格になっていく、ということもあるでしょう。

難しい性格の赤ちゃんとの関わり方が知りたい

大事なのは一人で抱え込まないこと

「子育てが大変」と感じているママは、「ずっとこのままなの?」「どうしたら穏やかになってくれるの?」と思うこともあるでしょう。でも、前にも述べた通り、赤ちゃんの気質や性格は、環境や関わり方によって変わっていくものです。

そこで、環境の整え方や関わり方、心の持ち方のポイントをいくつかご紹介します。

・ママの育て方のせいではなく、持って生まれたものと考えて

一度泣き始めると、なかなか泣き止まない。物事に敏感で、すぐ泣いてしまう。気難し屋で、すぐかんしゃくを起こす。そんなことが続くと、落ち込んでしまったり、「自分の育て方が悪かったから、こんな子になってしまった」「私は母親失格」などと考えてしまうこともあるかもしれません。

でも、気質は赤ちゃんが持って生まれたもの。ママの育て方などのせいではないことを知っておいてくださいね。

・なるべく多くの人に子育てに関わってもらいましょう

育児の何もかもを一人でしようと思わないことも大事です。一人でなんとかしようと思うと、うまくいかないことで自信がなくなってしまいます。そして、「自分は親としてダメだ」というネガティブな感情が子どもに伝わると、子どももますます敏感になったり、感情のコントロールがうまくできなくなったりして、さらにママが大変になる、という悪循環に陥ってしまいます。

そうならないためには、パパを含め、できるだけ多くの人に育児に関わってもらうことが大切です。家で赤ちゃんとふたりきりで過ごすより、実家やきょうだいの家に行く、友人と会う、児童館や保健センターに行くなど、外に出て、人と関わる工夫をしてみましょう。

・その子に合った工夫を見つけてみて

赤ちゃんが気難し屋さんの場合、泣いたときに抱っこしてあやしても、すんなりおさまらないことが多く、なんとかしようとすればするほど火に油を注ぐことになる可能性も。そのため、かんしゃくを起こしたときは無理になだめようとせず、少し離れたところで様子を見るなど、おさまるまで少し待ってみたほうがいいかもしれません。

また、なだめて落ち着かせようとするよりも、例えばメリーや車のおもちゃなど、興味をひきそうなものを見せる、あるいは、抱っこしてちょっと外に出てみるなど、気を紛らわせたり、意識をほかに向けたりするほうがいいこともあります。その子に合ったあやし方、落ち着かせ方を見つけることができるといいですね。

文/出村真理子

監修
塩崎尚美先生
日本女子大学人間社会学部心理学科教授
専門は臨床心理学。あと追いや人見知りにもかかわりが深い、母子の分離不安が研究テーマ。1男1女の母。著書に『乳幼児・児童の臨床心理学』(放送大学出版社)など。

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