【小児科医監修】ハンドリガードとは?する時期は?しない子もいる?

 専門家監修
公開日:2019/06/29
【小児科医監修】ハンドリガードとは?する時期は?しない子もいる?
監修
渡辺とよ子先生
わたなべ医院院長

この記事は、赤ちゃんのハンドリガードについてまとめたものです。赤ちゃんの発達のプロセスの一つとして、とても大事なハンドリガード。「利き手がわかる?」「しない子はいる?」など、ママが気になるハンドリガードについての素朴な疑問について、説明します。

ハンドリガードとは何?

自分の手を見つめる行動

リガード(regard)とは英語で「見つめる」「ながめる」「注視する」などの意味。ハンドリガードは、赤ちゃんがじっと自分の手を見つめる行動です。

新生児期の赤ちゃんは、よく体を動かします。手足を伸ばす、縮める、もぞもぞする――。でも、これらは無意識の運動です。あるいは、大きな音にビクッとして反射的に両手を広げる(モロー反射)などの「原始反射」によるものです。

私たち大人が「あのりんごを取るために右手を伸ばそう」などと、意思を持って体を動かしているのとは違います。

そんな風に無意識に、あるいは反射的に体を動かすだけだった赤ちゃんが、自発的に意思を持ってする運動、それがハンドリガードです。

「この手は自分の一部なんだ!」

最初はたまたま動かした手が目の前に来て、「あれ? これは何だ?」「動いているぞ」というような気持ちでながめています。

目の前で動いている手が自分の体の一部だということも、初めはわからないでしょう。そのうちに手を口に持っていき、自分の手や指をなめるようになります。

こうした経験を繰り返して、やがて手が動いたときの感覚、目で見た手の動き、手をなめたときの感触などが、赤ちゃんの中でつながってきます。

そして、「この目の前で動くもの(手)は、自分の体の一部なんだ」とわかってきます。自分の体の発見です。視界に自分の体の一部が登場する! それは、赤ちゃんにとって画期的なことです。

もう少し発達が進むと、手を自分の意思で動かせることもわかってきます。つまりハンドリガードは、手で道具を使えるようになるための第一歩でもあるのです。

ハンドリガードで自分の不安をなだめる

ハンドリガードをし始める前の赤ちゃんは、混沌とした世界にいると言えるでしょう。

手足は動かせるけれど、それが自分の体の一部だとはわかっていません。自分の意思で動かしているわけでもありません。

赤ちゃんの気持ちは想像するしかありませんが、それはおそらく「おぼれている」ようなものではないでしょうか。体の軸が定まらずに落ちつかず、何とも心もとない、不安な気持ちでいっぱいです。

手の存在を発見し、それが自分の一部だと理解することは、おぼれる人がすがれるものを見つけたようなもの。心もとない状態から脱するときの安心感をイメージすると、赤ちゃんの感覚が少しわかるかもしれません。

事実、赤ちゃんがなかなか泣きやまないときに、赤ちゃんの手や指を口元にくっつけるようにして抱っこすると、不思議と落ち着きます。手指を口元に近づけることは、何かにつかまっているようで気持ちが安定するからです。

ハンドリガードをするのはいつごろ?

生後2ヶ月前後に始まる

ハンドリガードを始める時期の目安は、生後2ヶ月前後です。でも発達は個人差が大きいもの。もっと早い時期に始める子もいますし、もっと遅くならないとしない子もいるでしょう。

ハンドリガードがいつごろまで続くのかも同じです。「○ヶ月になったら、ハンドリガードはしなくなる」というふうに、終わりの時期をはっきり言うことはできません。

生後3~4ヶ月には、より盛んに

前述のように、ハンドリガードをする時期には個人差がありますが、多くの場合、生後3~4ヶ月ごろになると活発に手を動かし、ハンドリガードも盛んにします。

このころ、仰向けに寝かせた赤ちゃんの目の前にガラガラなどを差し出すと、手で握るようになるでしょう。つかんだものはなんでも口に持っていって、なめようとします。

目で見る→手でつかんで確かめる→なめるという一連の動作は、赤ちゃんが世界を理解しようとしている証です。目に見えたもの、手にふれたものがどんな性質を持っているのかを、赤ちゃんなりに確認しているのです。

ハンドリガードをしない子はいる?

行動として見えていないだけ

自分の手の動きを見るハンドリガードや指しゃぶりは、ほとんどの赤ちゃんがするものです。こう言うと、「うちの子はハンドリガードをしないみたい」と心配になる人もいるでしょう。

いくらかわいいわが子でも、24時間一瞬も目を離さずに見ているわけではありません。「ハンドリガードをしない」と親が心配する赤ちゃんのほとんどは、はっきりした行動として目についていないだけ、というケースです。

百歩譲って、やっぱりハンドリガードをしない――自分の手指に興味を示したりなめたりしない場合はどうでしょう。生後数ヶ月の赤ちゃんがハンドリガードをしないというだけで、「発達に問題がある」と言うことはできません。どうしても気になる場合は、乳児検診の際などにかかりつけ医に相談してみましょう。発育発達の異常は、何かひとつのことを「しない」だけで簡単に判断できるものではありません。成長の経過や全身の状態、その子の普段の様子などを見ながら注意深く観察していくものなので、先走って不安を募らせないでくださいね。

この時期の指しゃぶりは、ごく自然な発達のプロセス

一方で、「指しゃぶりはよくないもの」と思っている人もいるでしょう。

指しゃぶりが精神的なストレスのサインだったり、歯並びに影響を及ぼす癖だったりすることは、確かにあります。ただし、それはもっと大きくなってからのこと。生後数ヶ月の赤ちゃんの指しゃぶりは、ごく自然な発達のプロセスです。自分の手や指をじっと見つめ、それをしゃぶったりなめたりして遊ぶのは、健康に発達している証です。 

ハンドリガードで利き手がわかる?

どちらの手でするかは、向きグセが関係あり

ハンドリガードは片手だけの場合も、両手をじっと見つめる場合もあります。

片手でやる場合、ハンドリガードをする方の手が利き手なのでしょうか? 

答えは「?」です。

ハンドリガードを左右どちらの手でするかは、利き手かどうかよりも、頭の向き(向きグセ)のほうが大きく関係するからです。

赤ちゃんはママのおなかの中にいるときから、自分が心地いい、落ち着く姿勢の向きグセを持っています。生まれてからの赤ちゃんも一緒。

右側を向くクセのある赤ちゃんは反射的に右手を伸ばすので、手指をながめたり、口に持っていったりするのも右手が多いでしょう。たまたまそれが利き手だったということはあるかもしれません。でも、ハンドリガードをする側の手が利き手と決まっているわけではありません。

ハンドリガードをし始めた赤ちゃんの注意点

赤ちゃんの手指はいつも清潔に

赤ちゃんはエネルギーいっぱいなので、大人よりも汗っかき。特に手のひらと足の裏にはたくさんの汗をかきます。赤ちゃんはよく、ギュッと手を握りしめていますよね。その手をそっと開いてみると、ホコリやゴミ、ほわほわとした糸くずなどがくっついていませんか? 

赤ちゃんの手は汚れやすいので、いつも清潔にしてあげましょう。

でも、汚れるからとハンドリガードを制限するようなことはしないでください。自分の手や指をながめ、動かし、しゃぶるのは、赤ちゃんにとってとても楽しい遊びです。かきこわさせたくない湿疹ができているなどの特別な理由がない限り、ミトンも使わないほうがいいですね。

周囲を片付け、自由に手を動かせる環境に

ハンドリガードが始まる生後2ヶ月ごろは、まだ首を自由に動かせず、向きグセで同じ方向ばかりを向いていることが多いでしょう。ですから、どちらか片方の手でハンドリガードをすることが多いと思います。

そのうち首を左右に動かせるようになると、反対の方の手を伸ばしたり、動かしたりするようにもなるでしょう。ハンドリガードは「両手でしないといけない!」というものではありませんが、両手でできれば赤ちゃんはもっと楽しめます。存分にハンドリガードができるように、環境づくりを心がけてあげてください。

たとえば、

・ベビーベッドの上にはものを置かず、すっきりさせておく

手や体が自由に動かせるような状態で、寝かせる

もちろん、片方の手だけでハンドリガードを続けていても、何の問題もありません。「両手でできるともっと楽しいんじゃないかな?」と思うなら、いつもしない側のほうから声をかけてみてはどうでしょう。いつもとは反対側からおもちゃで誘ってみるのもいいですね。

監修
渡辺とよ子先生
わたなべ医院院長
札幌医科大学医学部卒業後、国立小児病院新生児科(NICU)や東京都立墨東病院周産期センター新生児科部長、同病院副院長をへて2014年より現職に。多くの乳幼児をみてきた渡辺先生ならではの、的確で親切な助言が好評。これまで『母乳育児 ミルク育児の不安がなくなる本』(主婦の友社)など監修に携わった育児本多数。

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