帝王切開の傷の痛みはいつまで?ケアはどうする?【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/06/21
更新日:2019/07/02
帝王切開の傷の痛みはいつまで?ケアはどうする?【産婦人科医監修】
監修
小川隆吉先生
小川クリニック院長

帝王切開は麻酔をかけて行う開腹手術。出産にまつわる心配事に加えて、術後の痛みの感じ方の変化など気になることがたくさんあります。産婦人科医の小川隆吉先生に詳しく教えていただきました。

帝王切開ってどういうもの?

帝王切開とは、妊娠中の母体か赤ちゃんに何らかの問題が生じて、経腟分娩(通常のお産)が難しいと判断される場合に、開腹手術で赤ちゃんを取り出す方法です。現在の日本では、約20%の妊婦さんが帝王切開で出産しています。

帝王切開の痛みはいつまであるの?

帝王切開は、麻酔をしておなかを開く手術なので、術後に痛みが生じます。痛みは2種類あり、ひとつは開腹手術による傷あとの痛み。もうひとつは、子宮収縮による痛みで、いわゆる「後陣痛(こうじんつう)」です。後陣痛は、経腟分娩でも痛みを感じるのですが、帝王切開では感じ方が違います。

開腹手術による傷あとの痛み

帝王切開の手術は、麻酔をして、下腹部の皮膚、皮膚の下にある脂肪組織、筋膜、腹膜、子宮壁を切開します。開腹してから5分前後で、赤ちゃんが子宮から取り出されます。胎盤も取り出したら、切開部を縫合し、手術が終了します。麻酔をかけてから1時間くらいです。

手術中は麻酔が効いているので痛みはありませんが、麻酔が切れたら縫合した部分がズキズキ、チクチクと痛み出します。

子宮収縮による痛み(後陣痛)

赤ちゃんを取り出したあとの子宮収縮による痛みを「後陣痛」といいます。胎盤を出したあとに起こり、その後も子宮が元の大きさに戻るために収縮し、そのたびに痛みます。帝王切開の場合は、麻酔が切れたあとに傷口の痛みとともに後陣痛を感じるようになります。傷あとがズキズキ、チクチクと痛むのとは違い、後陣痛は生理痛のような、下腹や腰の鈍い痛みを感じ、子宮内に溜まっている不要な分泌物(悪露・おろ)を排出します。悪露は産後すぐは赤色で、その後、茶色、黄色と色が変化し、4~6週間後には透明なおりものに変わります。

帝王切開は、陣痛を待たずに手術を行うことが多いので、後陣痛の痛みをより強く感じる傾向があります。また、開腹手術による傷が子宮にあるために痛みも強く感じやすいようです。時間経過とともにだんだん弱くなりますが、産後しばらくは授乳のたびに感じることもあります。これは赤ちゃんが乳首を吸う刺激で、脳から分泌されるオキシトシンというホルモンが子宮の収縮を促すからです。

帝王切開の痛みの感じ方の変化

入院中の痛みの感じ方

手術の麻酔が切れたら、注射や座薬などの鎮痛剤を投与します。硬膜外麻酔(※1)で帝王切開をした場合は、術中に使用したカテーテルに鎮痛剤を投与して痛みをコントロールします(術後疼痛除去・じゅつごとうつうじょきょ)。痛みは徐々に治まりますが、痛いときは我慢せず、医師やスタッフに伝えましょう。手術の傷あと、後陣痛ともに日が経つにつれ落ち着いてきます。帝王切開の入院は8日前後。入院最終日の診察で異常がなければ退院できます。

※1硬膜外麻酔 背骨の中にある脊髄周辺にカテーテルを入れ、手術時には麻酔薬、術後にはこのカテーテルを通じて鎮痛薬を注入して、痛みを和らげます。

退院後の痛みの感じ方

退院するころには痛み止めは必要ないことが多いのですが、心配な人は医師に相談して処方してもらいましょう。手術の傷口が完全に治癒するまでは6ヶ月~1年かかります。体質によって、傷あとがケロイド化してしまう人も。その場合は受診しましょう。

後陣痛は、術後数日で治まりますが、妊娠・出産によって変化した子宮は、一般的に産後約8週間で妊娠前の状態に戻る(子宮復古・しきゅうふっこ)と言われています。帝王切開の場合、産後の回復がゆっくりめですが、経腟分娩の場合と特別な違いはありません。退院したからといって無理せず、家族の協力を得て、1ヶ月健診までは安静に過ごしてください。

出典 :いちばんよくわかる妊娠・出産※情報は掲載時のものです

監修
小川隆吉先生
小川クリニック院長
日本医科大学卒。都立築地産院産婦人科医長として勤務する傍ら、日本医科大学産婦人科講師を兼任。1995年小川クリニックを開設。医学博士、日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医。妊婦さんの疑問や悩みに真摯に応えてくれる、気さくで頼りになるドクターです。

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