松田丈志さん(五輪競泳メダリスト) 子供が夢や目標を持ったら、そのモチベーションをキープできるようにするのが親の役目。肯定し、ほめることからスタートを ~PAPA’S LIFE Vol.2 第2回~

松田丈志さん(五輪競泳メダリスト) 子供が夢や目標を持ったら、そのモチベーションをキープできるようにするのが親の役目。肯定し、ほめることからスタートを ~PAPA’S LIFE Vol.2 第2回~

連載 PAPA'S LIFE〜Vol.2〜松田丈志さん

競泳選手として4回のオリンピックに出場、世界水泳選手権やアジア大会などで、数えきれないほどの輝かしい成績をおさめてきた松田丈志さん。現役引退後も多忙な毎日を送っている松田さんのPAPA’S LIFEとは? 前編に続き後編では、1歳のお子さんのことをはじめ、子供の夢や力を伸ばすポイントなどもおうかがいしました!


思ったことや感じたことを、きちんと言える子になってほしい

テレビ出演や全国でのイベントなど、日々異なるスケジュールで過ごす松田さん。お子さんが生まれてからは、家族との時間がより大切だと感じるようになったといい、日々のお子さんとのふれあいのなかでは、うれしい発見がたくさんあるようです。

「最近ぬいぐるみにギュッとすることが増えてきて、そんな姿を『やっぱり女の子なんだな』と思いながらほほえましくながめています。今年、娘がディズニーデビューしたときも、かわいいと思うものに対して手を振っていたり、そんな反応に少しずつ女の子らしさが出てきたなと感じます。これからどんなぶりっ子をしてくれるのか、楽しみです(笑)」

「変化がたくさんあってめまぐるしい」というお子さんの成長ぶり。最近はパパ&ママの真似も上手になったとか。

「妻がリップを塗ったあとに、上唇と下唇をあわせてなじませている動きを真似したり、ハンドクリームを塗ったら、同じように手を動かしたり。僕が飲み物を飲んだあとに『ハ~ッ』って息を吐いたら、それも真似して。先日、2週間ほど地方で仕事が続いたので、その間、妻と娘が妻の実家に里帰りしていたんですけど、その2週間だけでもかなり成長したなと思いました。周りの大人や親のこともよく見ているので、妻からは『今はヘンなことしないで』って言われています(笑)」

松田さんが水泳を始めたのは4歳のとき。ご自身が子供のころについては、「本当に悪ガキでしたよ、協調性もないし(笑)」と振り返ります。しかし、「自分のやりたいことしかやらない」まっすぐな性格が、のちの世界的な活躍につながります。松田さんの子育てのポリシーは、そんな経験も背景にありました。

「基本的なことですけど、子供に対して否定的なことは言わないし、しないようにしようと思っています。娘のありのままの感情を受け入れたいというのがいちばん大切に思うことで、娘には自分の思ったことをちゃんと言えるようになってほしい。好き嫌いもはっきり言っていいし、やりたいこと、やりたくないことも、ちゃんと言える子になってほしいなと思います。若い頃は活発でエネルギーもあります。僕は水泳というやりたいことが見つかったから、それは幸運だったと思うし、そのエネルギーを水泳に使えたのはよかったと思っているんです。時間もエネルギーも限られているからこそ、それをちゃんと自分のために使える人になってほしいなと思います」

トライしたことをまずほめる、子供の力を伸ばすには肯定から

東京五輪の開催を来年にひかえ、子供たちがスポーツにふれる機会が増えている今、もしも自分の子供が大きな夢や目標を持ったら、そのとき親としてどんなサポートをすればいいのでしょうか。

「僕自身の考えでは、もし子供が『これをやりたい!』という夢や目標を見つけ、それを自分で言い出したら、それだけでもラッキーだし、素晴らしいことだと思います。親としてできることはやりたいし、同時に『最終的に頑張るのは自分だよ』ということも言ってあげないといけない、言ってあげたいと思っています」

子供の夢を全力で応援したいのは、どの親も同じ。しかしその親の「熱量」が高まりすぎてもよくないと、松田さんは考えています。

「これまでいろいろな方を見てきたなかで、親のほうが前のめりになってしまうことは少なくないのですが、それは避けたほうがいいかなと思います。あくまで子供自身が好き、うまくなりたいと思うことが先。親が環境づくりなどでうまくモチベートした結果、最終的に子供自身が『うまくなりたい』と思っているならいいけれど、親の期待のほうが前に出てしまうと、子供はつらくなりますからね。親としては、子供のモチベーションが自然と上がるような機会を作ってあげるといいかもしれません。例えば、自分の子供よりも上手な人に会わせるとか、大会を見せるとか本物にふれさせるとか。そういった環境や言葉がけでやる気を引き出すことが大切だと思います。言葉がけも、頭ごなしに否定するのはダメで、まずはやったこと、頑張ったことに対して肯定から入ってほめてあげる。そして足りない部分を、そのあとに伝えてあげる、ということが基本的なことのような気がします」

「頑張りたい」と思う子供の気持ちに、ちゃんと応えてあげたい

現在、経営するジムでトレーナーとしても活動をしている松田さん。これまでも、そしてこれからも、スポーツの世界に携わる一人の人間として、こんな気持ちを抱いています。

「どんなスポーツをするにしても、子供たちには正しい指導を受けてほしいと思っています。今はどの競技でもそうですけど、こういうトレーニングしたほうがいい、こういう動作が理にかなっているなどのデータや科学的な検証があって、ある一定水準の理論は見えてきているんです。そこから極端に離れた指導を受けたり、トレーニングをしているケースは多く、やはりある程度スポーツを経験して、その分野について学んできた人たちが子供たちに教えるということを、もっと広めていかないといけないなと思っているんです。

ジムの経営を始めたのはそこにも理由があって、僕が指導する水泳教室やジムに通ってくれている子供たちも、その瞬間はそれを頑張りたいと思っているわけです。それに対してちゃんとしたものを返せるようにしたい、という気持ちはつねにあります」

最後に、娘さんにとってはどんな父親でありたい? という問いには、ちょっと恥ずかしそうにしながらもこんな答えが。

「現役の選手としての姿を娘には見せてあげられなかったけれど、僕自身はできるだけ運動は続けていきたいし、子供にとってかっこいいお父さんでありたいなと思っています。ジムのトレーナーとしても自分の体は作っておかなくてはいけないし、何歳になってもボディラインは自分の努力である程度は保てるし、変えられると思うので。そして娘が何かをやりたいと思ったとき、それをさせてあげられる状況や環境を作っていきたいので、そのためにも自分が頑張っていかなきゃいけないなと、感じています」

松田さんからメッセージ★

「子供のころから指導していただいた久世コーチからは、『あんたならやれる』とよく声をかけていもらいました。自分の可能性を感じさせてくれたし、失敗したときも、もう1回やってみようという気持ちにさせてくれた言葉です。そんな意味をこめて、僕なりにこの言葉を選びました」

PROFILE
松田丈志さん
五輪競泳メダリスト
1984年6月23日生まれ。宮崎県出身。4歳から地元のスイミングクラブで水泳を始め、元競泳選手の久世由美子氏の指導を受ける。五輪では、アテネ、北京、ロンドン、リオ大会に出場、2008年の北京大会では、200メートルバタフライで日本新記録をマークし、銅メダルを、2012年のロンドン大会でも200メートルバタフライで銅メダル、400メートルメドレーリレーでは銀メダルを獲得。続く2016年リオデジャネイロ大会では、800メートルフリーリレーで銅メダルを獲得するなど、数々の輝かしい成績をおさめる。2016年9月に現役を引退、同年に結婚。現在、テレビ番組出演のほか、仲間とともに立ち上げたトレーニングジム「CROSSFIT minatomirai」にてコーチをつとめる。また、全国各地でのイベントや水泳教室、講演などの活動も精力的に行っている。

オフィシャルサイト公式インスタグラム

撮影/土屋哲朗(主婦の友社写真課) 取材・文/長澤幸代


この連載について

競泳選手として4回のオリンピックに日本代表として出場、世界選手権やワールドカップなどの多くの大会でメダルを獲得した、松田丈志さん。現在は、テレビ番組の出演や講演、水泳教室などで全国を飛び回る忙しい毎日を送る、そんな松田さんのPAPA'S LIFEをお届けします。2018年に誕生したお子さんのことをはじめ、子供の夢や力を伸ばすコツもおうかがいしました!

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