非ヘム鉄とは?食品で摂取?吸収をよくするには?貧血との関係は?

 専門家監修
公開日:2019/09/21
更新日:2019/10/01
非ヘム鉄とは?食品で摂取?吸収をよくするには?貧血との関係は?
監修
木下智恵先生
成城木下病院

「鉄分をとらなきゃ」と調べてみると、「非ヘム鉄」というちょっとむずかしい単語が出てきてとまどう方もいるかもしれません。今回は、非ヘム鉄について、産婦人科の木下先生にお聞きしました。

非ヘム鉄 とは?

食品に含まれる鉄分には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。
非ヘム鉄は、大豆製品や豆類、穀類、小松菜など野菜に含まれる鉄分のことです。
非ヘム鉄は、ビタミンCなどが含まれる食品をいっしょに摂取することによって、吸収率がアップします。ですから、食事のときに何を食べるかによって吸収率が変化するため、たくさん野菜を食べたからといって体内に多く吸収されるとは限りません。

非ヘム鉄は貧血に必要なの?ヘム鉄とどっちをとればいいの?

産院で血液検査をし、ヘモグロビンが11g/㎗未満の場合、「貧血」と診断されます。これは体中に酸素を運ぶ役割をしているヘモグロビンが少なくなっていて、酸欠になっているような状態のことです。めまいや頭痛、息切れなど、さまざまな体の不調を引き起こします。

また、「貧血」はママだけでなく、赤ちゃんにも影響することも。赤ちゃんは胎盤を通して血液から栄養や酸素をとり入れていますが、ママが貧血になると十分な酸素を赤ちゃんに送ることができなくなる場合もあります。
非ヘム鉄は吸収されにくいとはいえ、非ヘム鉄を含む食品はそのほかの栄養価がとても高いものが多くあります。ですから、食事では、ヘム鉄を多く含む食品を意識しつつ、非ヘム鉄の多い食品も取り入れながら、バランスよくいろいろな食材を食べるようにするといいですね。それに、体重増加を気にするあまり、タンパク質不足となっている人もいます。ヘモグロビンの元となるタンパク質も意識して摂取するようにしましょう。

非ヘム鉄とヘム鉄の違いとは? ビタミンAは?

非ヘム鉄=植物性食品に多く含まれる鉄分

●豆腐、納豆、油揚げ、きな粉などの大豆製品や豆類、穀類、小松菜、ほうれんそう、大根の葉、きくらげ、ひじき、あさりなどに含まれる鉄分。
●非ヘム鉄は吸収率がよくありませんが、ビタミンCを一緒にとると吸収率がUPします。

ヘム鉄=動物性食品に多く含まれる鉄分

●牛赤身肉やレバー、かつおなどの赤身の魚、あさりや赤貝などの貝類に多く含まれる鉄分。
ただし、レバーはビタミンAが多く、妊娠初期に過剰にとると体に蓄積されておなかの赤ちゃんに影響することがあるので、“毎日”食べる必要はありません。
【ビタミンAの1日の摂取基準】
・18歳~29歳の女性・妊娠初期~中期の妊婦さん……650μgRAE
・18歳~29歳の女性・妊娠後期の妊婦さん……730μgRAE
・30歳~49歳の女性・妊娠初期~中期の妊婦さん……700μgRAE
・30歳~49歳の女性・妊娠後期の妊婦さん…780μgRAE
耐容上限量は、ともに2700μgRAEです。

ちなみに、100g当りのビタミンA含有量は、鶏レバーが14000μgRAE、豚レバーが13000μgRAE、牛レバーが1100μgRAE。

動物性食品で鉄分を摂るときにみる「㎍RAE」って?

「㎍RAE」とは、レチノール㎍RAE活性当量のことです。レチノールはアンチエイジング化粧品で聞いたことがある方も多いと思います。レチノールはビタミンAの主要成分です。ビタミンAは脂溶性ビタミンで、レチノールのほか、体内でレチノールに変わるプロビタミンA(α-カロテンやβ-カロテン、クリプトキサンチンなど)の総称です。
ですから、ビタミンAの摂取基準は、レチノールだけでなくプロビタミンAのすべてを合わせた、レチノール活性当量(RAE)として算出した値を用います。

※文部科学省 日本食品標準成分表 参照

●ヘム鉄は食べ合わせによって吸収率が変わることはあまりなく、非ヘム鉄に比べると、効率的に安定して体内に吸収します。

非ヘム鉄が多く含まれる食品は?

・豆腐、納豆、油揚げ、きな粉などの大豆製品
・大根の葉、小松菜、ほうれんそうなどの野菜類
・ひじきや青のりなどの海藻類
・シジミ、あさりなど貝類
……などに非ヘム鉄が多く含まれます。
どの栄養素に関しても、同じ食材ばかりから栄養をとるのはあまりよくありません。偏りなく、いろいろな食材からバランスよくとるよう心がけましょう。

非ヘム鉄 ヘム鉄 ビタミンA ビタミンC レバー 妊婦

非ヘム鉄の吸収をよくするには?

ヘム鉄に比べ、吸収されにくい非ヘム鉄。これは、ヘム鉄の原子が人間の体に吸収されやすい形をしているのに対し、非ヘム鉄の原子は吸収されにくい形をしているから。
ビタミンCはこの形を吸収しやすく変えてくれます。吸収率をより高めてくれるビタミンCを含む食品といっしょに食べるといいでしょう。ブロッコリーや赤ピーマンなどの野菜や食後に果物を食べても。葉酸が豊富なアスパラガスやモロヘイヤ、パセリもオススメです。

非ヘム鉄に関する注意点は?

緑茶やコーヒーなどタンニンが含まれる飲み物は鉄の吸収を悪くするので、食事の前後はなるべく控えましょう。

構成・文/木村美穂

出典 :いちばんよくわかる妊娠・出産※情報は掲載時のものです

監修
木下智恵先生
成城木下病院
2001年、横浜市立大学医学部卒業。東京大学医学部産婦人科、順天堂大学医学部産婦人科勤務を経て2005年より現職に。専門は周産期学のほか、婦人科腫瘍、不妊症、月経異常。元気で気さくな1男2女のママドクターです。
成城木下病院

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