子供の熱が下がらない! 受診目安とホームケアの要点【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/05/22
子供の熱が下がらない! 受診目安とホームケアの要点【小児科医監修】
監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック

子供の熱がなかなか下がらないとき、どのような点に気をつけて対処すればいいのでしょうか?
この記事では受診のタイミングや、ホームケアのポイント、注意点などを取り上げています。

子供の熱が下がらないとき、体の中では何が起こっているの?

子供が熱を出すと、早く下がってほしい、と思いますよね。そもそもなぜ熱は出るのでしょうか。

まず、病気の原因となるウイルスや細菌などの病原菌には、「熱に弱い」という性質があります。これらの菌は、体温が高いほうが、増殖しにくくなるのです。

また、私たちの体に病原菌が侵入してくると、免疫細胞が働き出します。このとき、体温が高いほうが、免疫細胞の働きは活発になります。

つまり、熱は体内にいる病原菌を撃退するために出ているもの。熱が下がらないのは、体の中でまだ病原菌との闘いが続いていることを意味します。

熱は必要があって出ているものですから、むやみに下げようとするのはよくありません。子供自身の免疫力で病原菌を撃退できるように、サポートしていきましょう。

子供の熱が続く病気にはどんなものがあるの?

子供はよく熱を出しますが、いわゆるかぜの場合、2~3日で熱が下がることがほとんどです。熱が数日以上続くなら、かぜではない別の病気である可能性も。ここでは熱が続くことが多い病気を紹介します。

RSウイルス感染症

RSウイルスによる呼吸器の感染症で、2才までにほぼ100%の子がかかる、といわれています。症状は熱や鼻水、せきなどかぜと似ていますが、初めて感染した子の3割は重症化して、肺炎や細気管支炎(肺の中で、気管支から枝分かれした最も細い部分の細気管支に炎症が起きる病気)などに移行する可能性があります。

かぜのような症状なら受診後は安静に過ごして経過を見守りますが、せきがひどくなる、呼吸がゼーゼーするなど呼吸状態が悪くなった場合は、すぐに病院に向かう必要があります。

インフルエンザ

毎年、冬から春にかけて流行する病気で、インフルエンザウイルスが原因で起こります。突然の高熱、鼻水やせき、のどの痛み、関節痛、筋肉痛などの症状が出て、子供はぐったりして、つらそうな様子になることがほとんどです。

予防接種や抗ウイルス薬などで症状の軽減がはかれますが、受診のタイミングがおそくなると熱が長引く可能性もあります。

咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルスが原因で起こる感染症です。39度~40度の高熱が4~6日程度続き、のどの痛み、白目の充血や目やになど結膜炎のような症状が出ることがあります。

以前は、プールで感染することが多いと考えられていたため、「プール熱」と呼ばれていました。しかし今では、せきやくしゃみ、同じタオルを使うことなどで感染することがわかっています。

気管支炎

鼻水、くしゃみ、せきなど、かぜの症状に引き続いて起こることが多い病気です。主な症状は38~39度の熱と、たんがからんだしめった重いせき。せきで苦しい時期は4日間程度で、1週間ほどでよくなることがほとんどです。

熱やせきがあっても、比較的元気であれば、家で安静にして過ごしますが、呼吸が苦しそうな場合は入院しての治療となります。

肺炎

鼻水、くしゃみ、せきなど、かぜの症状に引き続いて起こることが多く、38~40度の高熱とせきが出ます。せきは次第にゴホゴホとたんのからんだ湿ったせきになっていくのが特徴です。原因となるのは、ウイルスや細菌、マイコプラズマなど。原因はなんであれ、呼吸状態が悪ければ、入院しての治療となります。

尿路感染症

腎臓で作られた尿が排泄されるまでの通り道に、細菌が感染しておこる病気です。大人だと排尿時痛や頻尿などの症状で気づくことが多いですが、小さな子供では発熱以外の症状がはっきりしないことが多く、長引く熱の原因となります。かぜのような症状が目立たないのに熱が続く場合は、尿の検査が必要かも知れません。

川崎病

全身の血管が炎症を起こす病気です。原因は不明で、2015年には年間1万5千人以上が川崎病を発症し、過去最高を更新しました。

「高熱が続く」「首のリンパ節がはれる」「赤い発疹が出る」「手足がむくむ、手のひらが赤くなる」「唇や舌が赤くなり、舌に赤いぶつぶつが出る」「白目が充血する」のうち、5つの症状があれば、川崎病と診断されます。

診断後は、すぐに入院して、炎症を抑え血液が固まるのを防ぐ治療などが開始されます。

子供が熱を出したときに、病院にいく目安は?

子供が熱を出したとき、熱はあるけれど、ほかに症状がなく元気で食欲もある、という場合は、1日程度なら様子をみてもいいでしょう。

しかし、次にあげるような様子が見られたら、診療時間内にかかりつけ医を受診しましょう。

・高熱が続く

・せきや嘔吐など、ほかの症状がある

・水分がとれない、食欲がまったくない

・機嫌が悪い、つらそうに見える

再受診の目安は?

熱が続くと、いつ再受診するか迷うことがあるかと思います。初回の受診で、「〇日経っても、熱が下がらなかったら、また来てください」などと医師から指示があった場合は、それを目安にしましょう。

何も言われなかった場合は、2~3日後に再受診を。嘔吐や下痢、ひどい咳、発疹など熱以外の症状が出てきたときは、その時点で受診します。

また、普段からいっしょにいるママやパパが、なんとなく「おかしい」「変だ」と感じるなら、受診することをお勧めします。

子供が熱を出したときの対策は? 
ホームケアで心がけたいこと 

子供の熱が続いているときは、次の3点に気を配ってホームケアを行いましょう。

1 安静にして過ごす

子供の体の中では、病原菌との闘いがまだ続いています。ですから、できるだけ安静に過ごして、体力の温存に努めましょう。

特に睡眠をしっかりとることは重要です。子供が少しでも快適に眠れるように、環境を整えて、眠りたいだけ寝かせましょう。

一方、子供が寝ない場合は、無理に横にならなくても大丈夫。眠らないのはそれだけ体力が残っている証拠でもありますが、だからといって活発に遊ぶのはNG。絵本を読み聞かせたり、歌を歌ってあげたりして、興奮させないように静かに過ごします。

2 水分を補給する

熱が続くと、汗をかき、呼吸もあらくなります。皮膚と呼気から水分が奪われるので、しっかり水分を補給して脱水症を防ぎましょう。

飲ませるものは、湯冷ましや麦茶、子供用もしくはベビー用のイオン飲料やジュースなど、なんでもかまいません。赤ちゃんの場合、母乳やミルクをいつもどおり飲めているなら、それでOKです。

子供が飲みたがらない場合は、1回量をごく少なくして、何度もくり返して飲ませます。反対に水分をほしがる場合は、飲みたいだけ飲ませて大丈夫。飲みすぎということはないので、安心してください。

食べることはどうしたらいい?

食欲がない場合、水分がとれているなら無理に食べなくても大丈夫。「これなら食べたい」と子供が言うなら、それを少しずつ食べさせましょう。

少量なら食べられるという場合は、水分と糖分が効果的に取れる食品を。例えば、フルーツゼリーやバナナなどは比較的食べやすく、栄養補給にもなります。

また食欲がある場合も、発熱時は胃腸の働きが悪くなるので、油っぽいものや肉など消化に時間がかかるものはひかえます。おかゆやうどん、果物などがお勧めです。

3 室温と衣類を調節する

室温は大人が快適と感じる温度にします。夏なら25~28度、秋から冬は23~25度を目安にするといいでしょう。エアコンの風が子供に直接当たらないように気をつけます。

空気が乾燥している時期は、加湿にも気を配りましょう。加湿器などを利用して、湿度は40~60%をキープするのが理想的です。部屋の中に洗濯物やぬれタオルを干してもいいでしょう。

そのうえで、熱の上がり下がりに合わせて、衣類などを調節します。熱が上がるときは、寒気がします。子供がふるえる、手足が冷たくなる、といった様子が見られたら、衣類や布団を重ねてあたためてあげましょう。

熱が上がり切ったら、今度は熱がこもりやすくなるので着せすぎに注意します。子供の顔が赤くほてっている、汗ばんでいるなどの様子が見られたら、衣類や布団を減らしましょう。

子供が熱を出したときの注意点は?

熱性けいれんに注意する

子供の発熱時に最も注意したいのは熱性けいれんです。熱性けいれんが起きると、体が硬直し、白目をむいたり、体が弓なりになったりします。その後に手足をぴくぴくふるわせることもあります。

その様子を見て、子供がどうにかなってしまうのではないか、とあわてるママやパパがほとんどでしょうが、単純型の熱性けいれんであれば、5分以内におさまります

ですから、できるだけ気持ちを落ち着けて、まずはけいれんの時間をはかりましょう。それと同時に衣服はゆるめ、吐いた場合にそなえて顔を横に向けます。

けいれんが治まって子供の呼吸が落ち着いたのを確認したら、病院を受診しましょう。

なお、5分以上けいれんが続く、または、けいれんが左右非対称という場合は、ためらわず救急車を呼んで、病院に向かいます。

着せすぎに注意

「汗をかかせて熱を下げるといい」といわれることがありますが、これは間違い。子供は体温調節機能が未熟です。着せすぎると体の中に熱がこもって、脱水症を招きやすい状態になる可能性も。子供の様子を見て、汗ばんだり顔が赤くほてったりしている場合は、衣類を1枚減らしましょう。

冷却シートは無理強いしなくてよい

おでこに貼る市販の冷却シートには、皮膚の表面温度を4度ほど下げる効果があります。ですから、子供が気持ちよさそうなら使うといいでしょう。

一方で熱を下げる効果まではないので、子供がはがしたりいやがったりする場合、無理強いする必要はありません。

また、太い血管がある首やわきの下、太もものつけ根を冷やすことには、一定の解熱効果が望めます。

ただし、熱は必要があって出ているもの。熱の原因となっている病気が治っていなければ、再び熱は上がってきます。ですから、これも子供の様子を見て行うといいでしょう。嫌がる場合、無理に冷やす必要はありません。

子供が熱を出したときの、清潔の保ち方&お風呂の入れ方は?

お風呂に入ることは、思いのほか体力を消耗します。病原菌と闘うためには体力が必要ですから、熱が続いているときは、基本的にはお風呂はやめておきます

お風呂に入れないとき、体を清潔にする方法

お風呂に入れないときは、ぬるま湯にひたしてしぼったタオルで、体をふくといいでしょう。部屋をあたたかくして、できるだけやわらかいタオルで、やさしく汗や汚れをふきとります。

髪の生え際、首筋、わきの下、またや足のつけ根など、汗をかきやすい部位や汚れがたまりやすい部位は特にていねいにふきます。

数日間お風呂に入れない日が続き、
どうしてもさっぱりさせてあげたいときは…

以下の条件がそろっているなら、ささっと短時間だけ入浴したり、シャワーで汗を流したりしてもいいでしょう。

・熱が上がりきり、下がってきたタイミングで、37度9分以下の熱になった

・子供の機嫌がよく、グッタリしていない

・水分がとれている

気温が低い時期は、湯船で体をあたためたほうがいいのでは、と思いがちですが、長い時間つかると体力を消耗します。冬であっても湯船に長くつかるのはひかえましょう。

お風呂や脱衣所はあたたかくして、体を冷やさないように気をつけてください。

監修
渋谷紀子先生
総合母子保健センター愛育クリニック
東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、山王病院、NTT東日本関東病院などの勤務を経て、現職。専門は小児アレルギー。私生活では四女の母でもある、やさしくパワフルなドクターです。

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