妊娠初期の出血、下腹部痛について知りたい!【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/04/09
妊娠初期の出血、下腹部痛について知りたい!【産婦人科医監修】
監修
寺師恵子先生
けい子レディースクリニック表参道 院長

妊娠中に出血や腹痛を感じると、赤ちゃんに異変が起こっているのではないかと不安になりますが、あまり心配ないことのほうが多いものです。ただし、自分自身では何が原因なのかを判断できず、また、緊急性のある出血や腹痛の場合も考えられます。産婦人科医の寺師恵子先生に、妊娠中、特に初期の出血や腹痛の原因や対処法を教えていただきました。

妊娠初期に出血や腹痛が起こる原因が知りたい

妊娠中はおなかの赤ちゃんに十分な栄養を送るために、子宮の血液はふだんより多くなっています。ホルモンバランスの変化によって、粘膜がデリケートになっているため、妊娠中の子宮は出血しやすく、ちょっとした刺激や傷で出血することもよくあります。また、妊娠週数が進んで、子宮が大きくなるにつれて腹痛も感じやすくなります。中期以降になると、胎動による刺激でお腹が張るようになります。

妊娠中は全期に渡って、出血や腹痛が起こりやすいのですが、妊娠初期は流産の可能性もあるため、出血や腹痛があるととても心配になるものです。妊娠初期の出血や腹痛は生理的な現象や、緊急性のない場合がありますが、自己判断は禁物です。必ず主治医に診てもらいましょう。

妊娠初期に出血や腹痛が起こったときの対処法が知りたい

不正出血や腹痛の中には、着床出血のように、あまり心配のないものもありますが、心配なのは、腹痛に伴って不正出血があるとき。異常妊娠や切迫流産、婦人科系の病気などの可能性もあるため、早急に適切な処置が必要です。少量でも出血したり、気になる症状があれば、すぐに受診しましょう。

あまり心配のない場合

次にあげる出血は、妊娠の異常を知らせるサインではありません。しかし、自己判断はせずに、出血があったら、必ず受診しましょう。

月経様出血(着床出血)

受精卵が子宮内膜に着床するときに、少量の出血が起こること。生理が始まるときのような量の少ない出血で、1~2日で止まります。おなかの張りや強い痛みは伴いません。妊娠の心当たりがある場合は、月経様出血の可能性があるので受診してください。

内診などによる出血

内診やセックスのあと、血が混じったようなピンク色や茶褐色のおりものが出ます。膣がひりひりと痛むときは早めに受診しましょう。放っておくと傷から細菌感染を起こします。

子宮頚管ポリープ

子宮頚管にポリープができる病気のこと。ポリープのほとんどは良性ですが、不正出血の原因となることがあります。ポリープから出血しても、痛みはほぼありません。感染に注意しながら経過観察します。ポリープができる位置にもよりますが、妊娠には影響しないことが多いです。

子宮膣部びらん

外子宮口の周囲の粘膜が炎症して赤くなったように見える状態。多くは、ホルモンバランスの変化による生理的な変化です。受診して異常がなければ、そのまま経過観察します。

膣炎

膣炎は成人女性の1/3が経験する病気。雑菌感染によるものが多く、抗生物質などを使って、妊娠中でも治療ができます。少量の血が混じったピンク色や茶褐色のおりものが出ます。かゆみを伴う場合もあります。自覚症状があったら、早めに受診しましょう。

早急に受診して対処する必要がある場合

異所性妊娠(子宮外妊娠)

異所性妊娠とは、受精卵が子宮内膜ではなく、卵管、卵巣、腹腔、頸管などに着床すること。妊娠反応はあるのに、超音波で検査した際、受精卵が子宮内膜に確認できないときに異所性妊娠が疑われます。赤茶色のおりものや激しい下腹部痛があります。自然に流産することもありますが、卵管に着床した受精卵が成長すると、妊娠7~8週ごろに受精卵が破裂し、大量出血を起こし、妊娠を断念せざるを得ないことに。疑いがあれば急いで受診してください。

切迫流産

切迫流産とは、妊娠22週未満に性器出血や下腹部の張り、痛みなどがあり、流産のリスクがある状態のこと。ただし、赤ちゃんの心拍が確認できて、子宮頚管が開いていなければ、多少の出血や張りがあっても妊娠を継続させることができます。初期は痛みを伴わない出血のことが多いですが、すぐに受診し、安静にして経過観察していけば、妊娠の継続は可能です。

絨毛膜下血種

絨毛の元となる絨毛膜から出血し、絨毛膜と子宮内膜の間に血種ができること。張りや痛みを伴い、切迫流産につながることもあります。出血や張りがある場合と自覚症状がない場合もあります。妊娠の経過が順調なら、胎盤が完成するころには症状が治まりますが、血種が大きい場合は長期入院や流産のリスクがあります。

胞状奇胎

胞状奇胎とは、胎盤をつくる絨毛組織が増えて変化するもので、受精の段階で一つの卵子に複数の精子が入ってしまうことなどが原因と考えられいます。自覚症状はつわりがひどい程度です。流産手術と同様に子宮内容除去の手術を行います。その後、避妊をして経過観察が必要です。

子宮頸がん

子宮頸がんは一種の感染症で、原因の9割がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルス感染によるものです。自覚症状がないことが多く、進行するにつれておりものに血が混じったり、不正出血や下腹部の痛みが現れます。妊娠したことで、初期の検診時に発見されやすいため、早期発見できれば妊娠を継続することも可能です。

出典 :はじめてママ&パパの妊娠・出産※情報は掲載時のものです

監修
寺師恵子先生
けい子レディースクリニック表参道 院長
東海大学医学部医学科卒業後、国立国際医療センター産婦人科勤務、日野市加来産婦人科医院副院長を経て、03年、表参道に現クリニックを開院。

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