妊娠中の飲酒の影響は? 流産の可能性は? 飲酒をしてはいけない期間はいつまで? 先輩ママの体験談も【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/03/19
 妊娠中の飲酒の影響は? 流産の可能性は? 飲酒をしてはいけない期間はいつまで? 先輩ママの体験談も【産婦人科医監修】
監修
升田春夫先生
三枝産婦人科院長

妊娠すると「お酒はやめましょう」と、医師から言われますね。でも、妊娠に気づく前に飲んでしまった場合は、赤ちゃんに影響しないかどうか心配になるでしょう。妊娠中の飲酒はどのような影響があるのか、専門医に聞いてみました。

妊娠中の飲酒についての先輩ママの体験談

「妊娠が判明する前にお酒を飲んだ」という3人のママの体験談です。

●妊娠が判明する前の週にお酒を飲んでいたので心配でした。初めて産婦人科を受診したとき相談したら「心配ないですよ」と言われました。(S・Sさん)

●結婚祝いでもらったシャンパンを大量に飲んだ翌週、妊娠がわかりました。そのときは妊娠6週になっていましたが、たぶん大丈夫だろうと思って気にはしませんでした。(はるさん)

●まさか妊娠していると思わなかったので、妊娠が判明するまでお酒を飲んでいました。心配しましたが、とくに問題はなかったです。(eichanmamaさん)

このほか、妊娠中に「洋酒入りのケーキを食べた」「甘酒を飲んだ」などの体験談がありましたが、いずれも「妊娠経過にも赤ちゃんにも影響はなかった」ということでした。

妊娠中に飲酒ができない期間はいつまでなの?

妊娠がわかったときから、赤ちゃんが生まれるまで飲酒はやめましょう。なぜかというと、ママが飲んだアルコールによって、赤ちゃんが「胎児性アルコール症候群」になり、成長が遅れたり、障害があらわれたりする可能性があるからです。

妊娠中にママの口から入ったものは、胎盤を通して赤ちゃんに送られます。胎盤にはフィルターのような役割があり、ウイルスなどの有害物質が送られてくると、それらをシャットアウトします。ところが、アルコールはそのまま胎盤を通過し、胎児に移行してしまいます。胎児の肝臓は未熟なので、アルコールの処理ができません。そのため、胎児の体内にいつまでもアルコールが残り、「胎児性アルコール症候群」を引き起こすおそれがあるのです。

ただし、1~2回の飲酒が赤ちゃんに影響するわけではないので、妊娠と知らずにアルコールを飲んだとしても心配ありません。とはいえ、妊娠が判明したらお酒はやめましょう。また、後述しますが、産後、母乳をあげている間もお酒はNGです。

妊娠中の飲酒の影響は?

胎児性アルコール症候群の症状

胎児性アルコール症候群とは、どのような病気なのでしょうか。その症状は、大きく分けて3つあります。

1.発育の遅れ

ママのおなかにいるときから低身長、低体重で、生後も発育が遅れます。また、手足の関節の異常などがあらわれることがあります。

2.中枢神経の障害

発達障害(学習障害、コミュニケーション障害など)、行動異常、小頭症(脳の発育が阻害され頭が極端に小さくなる病気)などがあらわれることがあります。

3.容姿への影響

次に挙げるような顔つきになることがあります。

・全体的に平たい顔つき
・小さいあご
・小さく低い鼻
・小さい目
・耳がうしろにそり返り、普通より低い位置にある
・鼻と上唇の間(人中)の溝が浅い
・薄い上唇

また、心臓や外性器の奇形があらわれることがあります。

妊娠中の飲酒の時期の影響

胎児性アルコール症候群の症状は、妊婦さんがアルコールを飲んでいた時期によっても違いがあります。赤ちゃんの器官がつくられる妊娠初期にアルコールを飲んでいた場合は、特徴的な顔つきや奇形などの症状があらわれるリスクが高くなります。一方、妊娠中期・後期では発育の遅れや中枢神経障害があらわれるリスクが高くなります。

さらに、生まれたときは健康上の問題がない場合でも、成長するうちに軽度から中等度の発達障害や運動障害などが出てくる可能性が指摘されています。学童期に入ってから発達障害があらわれたり、成人してからうつ病を発症したりするなど、子供の将来にまで影響を及ぼしてしまうのです。

飲酒の種類や量との関係

どのくらいアルコールを飲んだら、胎児性アルコール症候群になるのでしょう。
実は、「この程度なら妊娠中に飲酒してもかまわない」という安全基準値は、医学的に明らかになっていません。

妊婦さんの1日のアルコール摂取量が60~75ml以上になると、胎児性アルコール症候群がみられるという報告がありますが、量だけではなく、飲酒の期間、妊婦さんの栄養状態、遺伝的な素因にも影響されるため、安全基準値は存在しないといわれています。

妊娠中に甘酒を飲んだり、お酒の入ったお菓子を食べたりした場合、アルコールの摂取量はごく少量なので、影響が出ることはまずないでしょう。しかし、安全基準値は明らかになっていないので、やはりアルコールはとらないようにしたほうが安心です。

妊娠中に飲酒をすると流産につながるの?

妊娠22週未満に、胎児が子宮の中で亡くなってしまったり、子宮から娩出されてしまったりすると、流産と診断されます。妊娠12週未満の流産は、染色体異常など胎児側の原因がほとんどです。ママのお酒が原因で、妊娠初期に流産することはありません。しかし、妊娠12週以降、胎児性アルコール症候群で赤ちゃんに異常が起こった場合は、流産につながる可能性があります。

アルコールは母乳にも移行する

産後の授乳にも、アルコールは影響を与えます。ママが摂取したアルコールは血液中に含まれるため、赤ちゃんにもアルコールを飲ませることになります。また、飲酒はプロラクチン(母乳を促すホルモン)の分泌を抑制して、母乳の分泌量を低下させてしまいます。妊娠中に禁酒した分、産後はお酒が飲みたくなるかもしれませんが、卒乳まで飲まないようにしましょう。

ただし、母乳中のアルコール濃度は飲酒後2時間をピークにその後低下していきます。ママがお酒を飲むならば、飲む前に搾乳して冷凍しておくか、飲んでから2時間以上あけて授乳をするようにしましょう。

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取材・文/小沢明子

監修
升田春夫先生
三枝産婦人科院長
東京大学医学部卒業。周産期の研究と診察に長く携わってきたお産の専門医。妊婦さんの悩みや疑問に真摯に対応してくれる先生です。

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