妊娠中の静脈瘤とは?原因と対策を教えて!【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/04/09
更新日:2019/05/10
妊娠中の静脈瘤とは?原因と対策を教えて!【産婦人科医監修】
監修
佐野麻利子先生
産科婦人科舘出張佐藤病院/フィーカレディースクリニック院長

静脈瘤(じょうみゃくりゅう)って、きちんと知っていますか?「ふくらはぎにボコボコ静脈が浮き出ている」だけじゃないんです。良性の病気ですし、ほうっておいても自然と治ることもあるので心配はいりませんが、妊娠によってなることもあるんです。産婦人科医の先生に詳しく教えてもらいました。

静脈瘤とは?下肢静脈瘤と陰部静脈瘤

静脈瘤とは、静脈に負担がかかり、静脈が蛇行してふくらんだり、血管がこぶのようにボコボコと盛り上がる病気のことです。妊婦さんだけがなるものではありません。
静脈瘤は、一般的に足の静脈瘤をイメージしますが、足にできたものを「下肢静脈瘤」といいます。足のほか、外陰部や肛門の内部にも静脈瘤はできやすく、これを「陰部静脈瘤」といいます。
下肢静脈瘤の症状は、足・とくにふくらはぎの血管がこぶのように盛り上がっているのが特徴。陰部静脈瘤の症状は、外陰部の静脈や太もも・膝・ふくらはぎにかけてボコボコと血管が浮き出るほか、鈍い痛みや熱感などを感じることも。ひどくなると炎症を起こし、腫れや痛み、熱を出すこともあります。

静脈瘤になる原因は?妊娠中になりやすい原因は?

静脈瘤の原因は、血液の逆流を防ぐ静脈の弁がなんらかの原因で壊れたり、働かなくなってしまったために、血液が逆流して静脈に滞ってしまったため。

妊娠して静脈瘤になりやすい原因は、子宮が大きくなることによって周囲の臓器を圧迫するためです。大静脈が圧迫されると、下半身の静脈の血流が滞って静脈内の圧力が大きくなり、逆流を防止する弁に負担がかかってしまいます。そのため弁が壊れたり、機能不全になると血液が逆流して静脈瘤を発症しやすくなります。
また、妊娠による血液量の増加も原因のひとつです。妊娠中は胎児に酸素や栄養を供給する必要があるため、血液量が増加して血管が拡張します。
静脈瘤になりやすい体質もあります。

妊娠中の静脈瘤の症状とはどんなもの?血栓は?

妊娠中の静脈瘤と妊婦さん以外の静脈瘤で症状には大きな違いはありません。
見た目の症状としては、色素沈着によって皮膚が黒ずむ、膝の裏や太もも・ふくらはぎの血管がボコボコと盛り上がったり、赤紫や青紫の血管が浮かび上がるのが特徴的です。
ほかには、足のむくみや慢性的な疲れがあったり、朝方、頻繁に足がつりやすくなります。患部周辺に湿疹ができて強い痒みをともなったり、ピリピリ痛む場合もあります。

大きくなった子宮の圧迫によって静脈瘤ができやすいため、妊娠中期・妊娠後期から静脈瘤になる妊婦さんが多いですが、妊娠初期から症状があらわれる場合もあります。

血栓を心配する人もいるようですが、静脈瘤と血栓は別ものです。血栓の心配はありません。

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妊娠中の静脈瘤の治療法は?

静脈瘤は良性の病気ですので、治療をしなくても健康を損なうことはありません。
妊娠中ではない、通常時の下肢静脈瘤で治療が必要な場合は、盛り上がった血管の見た目が気になったり、だるさや疲れ・足がつるなどの症状がつらい、また皮膚炎がある場合です。
治療法は、弾性ストッキングを使用する圧迫療法のほか、注射で静脈を固める治療や手術があります。

妊婦さんの場合は、出産するまで様子を見ることが多いです。とくに妊娠によって発症した静脈瘤の場合は、産後に治ることがほとんど。
妊娠中の治療は、妊婦さん用の弾性ストッキングなどの圧迫療法をメインに行い、産後の状態を見て治療方針が決められます。
外陰部にできた陰部静脈瘤は、出産の際に患部が破けて出血するおそれがありますが、妊婦さん用の弾性ストッキングなどの圧迫療法以外の治療はほとんどしません。悪化防止として、下半身を温めて血液循環をよくすることが大切です。水分摂取も重要です。1日2リットルを目安に、しっかりと水分をとりましょう。また、長時間同じ姿勢をとらないようにしましょう。

産後も静脈瘤の症状がある場合は、症状によって弾性ストッキングを使用する圧迫療法を続けます。手術治療もありますが、良性の病気ですので症状や程度を見て、適切な治療法を選択することが大切です。

妊娠中にできる、静脈瘤の予防法は?悪化防止法は?

妊娠中の静脈瘤の予防や悪化防止には、なにより血行をよくすることです。座ったまま、立ったままなど、同じ姿勢を長時間続けないように、ときどき体を動かして。体に負担をかけない程度のストレッチやウォーキング、マタニティヨガや下肢のマッサージを日常生活に取り入れましょう。
また、冷たい飲み物や食べ物はなるべく避け、体を温めて。こまめな水分補給を心がけてみてください。日常的に妊婦さん用の弾性ストッキングやレッグウォーマーを着用してもいいでしょう。

取材・文/木村美穂 校正/主婦の友社

出典 :はじめてママ&パパの妊娠・出産※情報は掲載時のものです

監修
佐野麻利子先生
産科婦人科舘出張佐藤病院/フィーカレディースクリニック院長
東京・日本橋にある、働く女性の健康を支援する「フィーカ レディースクリニック」。大きなオフィスビルの中にあり、とてもきれいで居心地のいいクリニックです。群馬県にある佐藤病院グループのレディースクリニックで、助産師相談もあります。佐野院長は日本産婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医。

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