乳児湿疹の対策とケア、おすすめケア用品は?【症例写真付&医師監修】

 専門家監修
公開日:2019/03/11
更新日:2019/03/18
乳児湿疹の対策とケア、おすすめケア用品は?【症例写真付&医師監修】
監修
馬場直子先生
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長

「赤ちゃんの肌はスベスベと思っていたけれど、実際はよくトラブルになる」と感じているママは多いのではないでしょうか? なかでも、よく見られるのが乳児湿疹です。ジュクジュク、ブツブツ、カサカサ、かゆかゆと、いろいろな症状がありますが、適切に対処すれば、そのほとんどはきれいに治ります。乳児湿疹についてきちんと知って、少しでも早く赤ちゃんの肌トラブルを解消してあげましょう。

乳児湿疹とは?

乳児湿疹とは特定の症状をさす病名ではなく、赤ちゃん(乳児)にできる湿疹の総称です。乳児湿疹ができる部位やトラブルの様子は、月齢や原因によって違いがあります。

乳児湿疹の原因と症状

乳児湿疹が起きる原因の多くには、皮膚の表面をおおっている皮脂の量が関係しています。

肌図皮脂は肌の表面をおおい、外からのばい菌の侵入を防ぐなどのバリアになっています。

新生児期は、皮脂量が多すぎるために湿疹ができやすい

赤ちゃんは生まれてから2~3ヶ月までは、胎児時代にママからもらったホルモンの影響で皮脂の分泌が盛んです。そのため毛穴がつまりやすく、皮脂腺に脂がたまって湿疹ができやすくなっています。こうしてできる湿疹には、乳児脂漏性湿疹や新生児ニキビがあります。

ジュクジュクしたり、かさぶた状のものができたりする脂漏性湿疹

頭皮やひたい、まゆげ、耳の周辺、髪の生えぎわなど、皮脂の分泌量が多い部分に湿疹ができやすいのがこの時期です。顔回り以外では、首、わきの下やおなか、背中などにもできることがあります。

頭皮やまゆ毛など毛が生えているところには、「乳痂」という黄色くてベタベタした脂やフケのようなものがついたり、かさぶたのようになったりします。ひたいやほほなどに赤い湿疹ができてジュクジュクすることもあります。

脂漏性湿疹ひたいやまゆ毛、鼻の周りにできた脂漏性湿疹。黄色いかさぶた状になっています。

脂のかたまりのようなものがつく新生児ニキビ

「新生児ニキビ」といって、先端に脂のかたまりのようなものがついた赤いポツポツができる場合もあります。

新生児ニキビひたいにできた新生児ニキビ。赤いポツポツの先端に白い脂のようなものが。

これらの湿疹にはかゆみや痛みはほとんどありませんが、肌は外からの刺激に弱く傷つきやすくなっています。

生後3ヶ月以降は皮脂量が少ないために湿疹ができやすい

生後3ヶ月を過ぎると、ママからもらったホルモンの影響がなくなり、皮脂の分泌が急激に少なくなります。すると、今度は皮膚が乾燥してカサカサしやすくなります。

乾燥が引き金になる乳児湿疹

赤ちゃんや子供の皮膚には、大人の皮膚とは異なる点があります。それは、皮膚の外側の層である角層が薄くて外からの刺激に弱い――バリア機能が未熟だということです。皮脂の量が減って肌が乾燥すると、もともと弱いバリア機能がますます弱くなります。そのため、少しの刺激でも炎症を起こして湿疹ができてしまうのです。

この時期の乳児湿疹は、皮膚がブツブツ、ザラザラ、カサカサし、かゆみもあります。湿疹は衣服から出ている顔や手足など以外に、おなかや背中、太ももなどにもできます。

背中の湿疹背中にできた乳児湿疹。広範囲に赤く広がっています。

母乳と湿疹を安易に結びつけないで

赤ちゃんに湿疹ができると、「ママの食べたものが母乳を通じてトラブルを起こしているのでは?」「母乳をやめるべき?」と考える人がいるかもしれません。

湿疹にはさまざまな原因があります。母乳に含まれる成分が赤ちゃんになんらかの刺激を与え、それが湿疹につながっている可能性も全くないとは言い切れないでしょう。ただし母乳が原因と特定するには、検査や経過の観察などの医学的な対処が必要です。

赤ちゃんにとって理想的な栄養源である母乳を安易に湿疹に結びつけ、自己判断でやめてはいけません。不安なときにはきちんと受診し、医師に相談しながら湿疹の治療に努めるようにしてください。

乳児湿疹の予防&対処法

乳児湿疹の予防と、できてしまったときの対処法は、基本的に同じ。清潔にする、しっかり保湿する、肌にできるだけ刺激を与えないの3つがポイントです。

ポイント1 清潔にする

1日1回は入浴して、体についた汚れを洗い流します。脂漏性湿疹のような脂分の多い湿疹も、カサついた湿疹も、同じように石けんを使ってきれいにしましょう。

石けんはよく泡立てて、肌を包むようにやさしく洗う

液状のボディソープや固形石けんは、しっかり泡立てて使います。石けんを直接肌に当ててこすったりしないこと。0歳代は指の腹をつかってやさしく洗います。1歳以降はやわらかい綿のタオルなどを使ってもいいでしょう。

赤ちゃんは、首の皮膚が重なりあっていることが少なくありません。首、手首、ひざの内側、足首などがくびれて、輪ゴムを巻いたように見えることもあります。そうした部分にはホコリや汚れがたまりやすいので、入浴時には皮膚のシワを広げて、中までていねいに洗いましょう。指先でかきだすように洗うのではなく、指の腹を使ってやさしく洗うのが鉄則です。

くびれくびれた部分はシワを広げて中まで洗います。

体があたたまるとかゆみが増すため、お湯はぬるめがよい

かゆみがある湿疹は、体があたたまるとかゆみが強まりがちです。お湯の温度はふだんよりぬるめのほうがいいでしょう。

シャワーシャワーは大人の手で温度を確認して。

石けんの成分が残らないよう、洗ったあとはお湯でよく流す

手首や足首などくびれの間に石けんが残らないよう、洗うときと同様にシワをのばして丁寧に流しましょう。

入浴以外でもこまめに汚れを落とす

たとえば口周りは、食事やねんねのときにも清潔にしましょう。食前に口の周りに薄くワセリンを塗っておくと、汚れ防止になります。食後は口周りや手についた汚れをふきとりましょう。ねんねの間によだれが出て顔が汚れたときも、やわらかいぬれタオルでそっと汚れを落とします。

また、おむつ替えはこまめにし、暑い時期などはおむつ替えのたびにぬるま湯で汚れを流してあげると清潔に保てます。浴室でお湯を入れた洗面器で洗ったり、シャワーで流したりするのが基本ですが、時間がない場合は洗浄ボトルや霧吹きなどにぬるま湯を入れて汚れを流し、ふいてあげてもいいでしょう。

ポイント2 保湿する

肌をきれいにした後は、しっかり保湿します。

泡立てた石けんで洗った肌は、皮膚を保護する皮脂が落ちて外からの刺激に弱くなっています。また、皮脂でおおわれていないために肌の内側から水分が蒸発しやすく、乾燥からトラブルになりがちです。石けんで洗ったり汚れを拭いたりした後は、必ず保湿をしましょう。

脂漏性湿疹など脂分の多い肌トラブルも、洗ったあとは保湿します。

入浴後や汚れをふいたあと、5~10分以内に保湿剤を塗る

香料などの添加物が少ない、ベビー用のローションやクリームなどの保湿剤を常備しておきましょう。食用のオリーブオイルやココナッツオイルなどは、赤ちゃんの肌に思わぬ刺激を与える可能性があります。スキンケア用品として売られているものを使いましょう。

1円玉ぐらい(直径2㎝ぐらい)の大きさに出した保湿剤を、大人の手のひら2枚分の範囲を目安に塗ります。3~4ヶ月の赤ちゃんなら、大人の手のひら2枚分は上半身全体ぐらいに当たります。

入浴後や汚れをふいたあと、肌は無防備な状態になっています。汚れをとったら5~10分以内を目安に、できるだけ早く保湿剤を塗りましょう。

クリームなどの保湿剤を等間隔に置いてから、やさしくのばします。

顔だけでなく、おなかや背中、手足にも等間隔に保湿剤を置き、のばしましょう。

食後の口の周りにはワセリンが効果的

食べかすや調味料が肌につくと刺激になり、トラブルの原因になったりトラブルが悪化したりする可能性があります。食事の前には口の周りをワセリンを塗っておくと食べものが直接肌につかず、刺激になりません。食後、口の周りをきれいにしたら、今度は保湿のためにもう一度薄くワセリンを塗っておくといいでしょう。

食事の前や後、起きたときなどに、一度きれいにふいてからワセリンを塗ると、トラブル予防に。

ポイント3 肌になるべく刺激を与えない

赤ちゃんの肌は薄く、少しの刺激でもトラブルになりやすいもの。乳児湿疹ができているときはもちろん、予防のためにも、日ごろから肌への刺激をできるだけ少なくするように心がけましょう。

ゴシゴシ洗いは避ける

石けんを使うときは、泡で洗うイメージで。ゴシゴシこすったり、爪でひっかくような洗い方はしないこと。指の腹でやさしく洗いましょう。1歳以降はやわらかい綿のタオルなどを使ってもいいでしょう。

体をふくときもゴシゴシはせず、やわらかいタオルでそっと押すようにして水分をふき取ります。

体の水分は「押し拭き」でとりましょう。

ガーゼよりもタオルがよい

ガーゼはよほど使い込んだものでないと意外に肌当たりが強く、刺激になることがあります。赤ちゃんの顔や体をふくのは、綿100%のやわらかいタオルがおすすめです。

下着は綿100%のもの。洋服のデザインにも注意して

下着は綿100%のものが基本です。通気性がよく、汗を吸い取るものを選びましょう。

冬は、けば立ったセーターなどが手首や首の皮膚に直接ふれないように注意してください。

乳児湿疹で病院に行く目安は? どんな治療をするの?

ホームケアを続けてもいつまでも治らなかったり、湿疹がどんどんひどくなってくる場合には、皮膚科を受診します。治療は、清潔と保湿のホームケアに加えて、塗り薬を使うことが基本になります。

医師は、湿疹の状態に合わせて薬を処方します。たとえば

症状が軽くかゆみや赤みがほとんどない→「コンベック」「スタデルム」などの消炎塗り薬(少しでも赤みがあれば「ロコイド」「キンダベート」などのステロイドの塗り薬)

ジュクジュクしている→湿疹からしみ出す汁を吸収して乾燥させ、皮膚の再生を促す「亜鉛華軟膏」

炎症を起こして皮膚の赤みが強い→「ロコイド」「リンデロン」などのステロイドの塗り薬

皮膚の乾燥が強い→「ヒルドイド」「パスタロン」などの保湿剤

などです。いくつかの薬を組み合わせて処方することもあります。指示に従い、きちんと塗りましょう。

乳児湿疹の注意点

自己判断で薬をやめない

せっかく受診して塗り薬を出してもらったのに、勝手に薬をやめたり、塗る量を減らしたりする人がいます。特にステロイド剤が処方されたときに、この傾向が見られます。ステロイド剤は指示された量をきちんと塗らないと効果が期待できず、かえって症状が長引きかねません。

医師の指示を守り、正しくつかったステロイド剤で副作用が出ることはありません。不安なときは納得できるまで医師や薬剤師に聞き、疑問を解消しましょう。

ステロイド剤は、大人の人さし指の第一関節までしぼり出した量を、大人の手のひら2枚分の範囲に塗ります。少なすぎると、しっかり効果が出ません

かさぶたのようなかたまりを無理にとらない

脂漏性湿疹で黄色いかさぶたのようなものができた場合は、毎日入浴する前にベビーオイルをつけて、30分ほどふやかしましょう。かさぶたが浮き上がってきたら、おふろで洗い、取れる分だけを取りのぞきます。

かさぶた状のものは、その下にある湿疹が露出するのを防ぐ役割をしています。しっかりくっついていることが多く、無理にとろうとするとかえって悪化してしまうことも。1回できれいにとろうとせず、少しずつ1ヶ月ぐらいかけて取りのぞいていきましょう。

おすすめシーン別・乳児湿疹の保湿ケア用品 

乳児湿疹の予防とホームケアのために使う保湿剤には、ローションやクリーム、オイルなど、いくつかの剤型があります。それぞれ働きが異なるので、じょうずに使い分けましょう。

ローション・乳液/水分を補う

保湿剤の中ではもっとも水分が多く、さらっとした使い心地が特徴です。ベタベタするのが苦手な人や、夏の暑い時期には、ローションがいいでしょう。髪についてもべたつかないので、頭皮などにもおすすめです。

クリーム/水分を補うとともに、油分で乾燥も防ぐ

ローションより油分が多く、水分も補うことができます。保湿する働きはローションよりも高いので、冬に皮膚がカサカサした場合などに向いています。

オイル/油の膜で乾燥を防ぐ

油分が皮膚に膜を作り、体の中の水分が外に出ていかないように守る働きをします。水は含みませんが、もともとある水分の蒸発を防ぐことによって保湿・保護する効果が高いので、乾燥しやすい冬や、蒸れやすいおむつの中などに使うと効果的。ローションと重ね塗りして先に水分を補っておくと、さらに保湿効果がアップします。

ワセリン/高い保湿効果で皮膚を守る

ローションやクリーム、オイルよりも保湿・保護効果が高いのがワセリンです。傷があるところにも使え、食事の前に口周りに塗っておくと汚れをはじいて、トラブルを防ぐことができます。

イラスト/福井典子

写真出典/「はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア」「赤ちゃんが必ずかかる病気&ケア」

監修
馬場直子先生
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長
滋賀医科大学卒業。横浜市立大学皮膚科などを経て、1994年かながわ県立こども医療センター皮膚科医長、2002年より現職。日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会、日本臨床皮膚科学会会員。的確な診察とわかりやすい説明で、ママたちに信頼されています。

あなたにおすすめ

注目コラム