つわりにビタミンB6!摂取量や飲み物・体験談【産婦人科医監修】


竹内正人先生
つわりがひどいときに病産院を受診すると点滴治療が行われます。そのときに点滴されるのがビタミンB6。つわりを軽減してくれる栄養素・ビタミンB6について、産婦人科医の竹内正人先生にお聞きしました。
目次
つわりに対してビタミンB6はどんな効果があるの?
妊娠初期の妊婦さんが経験するのが、つわりです。つわりの症状はいろいろあるのですが、主な症状は吐き気や嘔吐、食欲不振といった消化器系の不快症状。つわりが始まるのは、妊娠5~7週ごろで、9~12週ごろにピークを迎え、胎盤が完成する15~16週ごろに収まってくることが多いとされています。つわりを経験するのは、妊婦さんの7割ぐらいで、まったくつわりを感じない人もいます。つわりの現れ方には、個人差があるのです。
つわりが起こる原因はまだ解明されていませんが、妊娠によるホルモンバランスの変化が大きく影響しているようです。胎盤が作られるようになる妊娠初期に、hCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が多く分泌されるようになるのですが、このhCGの値が高いとつわりが重くなるといわれています。
つわりの症状の中でも、吐き気や嘔吐がひどいときは、ビタミンB6を摂取するとよいという説があります※1。
※1 日本産科婦人科学会によると、ビタミンB6を1日あたり5~60㎎摂取することが、嘔吐の軽減に役立つとされています。
Q 妊娠中、意識して摂った栄養素は何ですか?
先輩ママたちに、妊娠中、意識して摂った栄養素についてアンケートをとったところ、多かったのが葉酸と鉄分。葉酸は、妊娠初期に十分な量を摂ると、先天性疾患である神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)のリスクを減らせるとして知られています。鉄分は、妊娠中の母体は赤ちゃんに優先的に酸素や栄養素を届けるため、鉄分が不足しがちに。鉄分が足りないと、赤ちゃんに十分な酸素が送られず、発育に影響を及ぼすことがあるため、必要不可欠な栄養素です。先輩ママたちは、上記の栄養素を含む野菜や肉・魚などの食材を選んで食べたり、サプリを飲んで、赤ちゃんが健やかに生まれてくるのを心待ちにしていたようです。
妊娠中、特につわりがつらい妊娠初期に意識的に摂りたい栄養素があります。それが、ビタミンB6です。葉酸サプリには、ビタミンB6を含むものが多いので、無意識にビタミンB6を摂取している妊婦さんも多いはずです。
つわりに対して、ビタミンB6がなぜ効くの?
ビタミンB6は水溶性のビタミンで、食品の中に含まれているタンパク質からエネルギーを生成して、血液や筋肉を作る働きを持っています。
妊娠すると、おなかの中の赤ちゃんを育てるために、タンパク質代謝が促進されるため、ビタミンB6が欠乏し、嘔吐が誘発されるという説があります。ビタミンB6と嘔吐の具体的なメカニズムは解明されていません。しかし、つわりの重症型(妊娠悪阻)の妊婦さんを調べると、血中ビタミンB6濃度が低下しているため、ビタミンB6の補充することによって、つわりの症状が軽減することが示されています。
つわりのときにビタミンB6はどれくらい摂取するといいの?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、18~49歳の妊婦のビタミンB6の推奨例は1.4mg/日。ビタミンB6は水溶性ビタミンですが、過剰摂取による健康被害が報告されているので、摂取してもよい上限量は45㎎/日とされています。
ビタミンB6は様々な食品に含まれているので、バランスよく食事をしているだけでも適度に摂取することはできます。しかし、つわりの最中はいつものように食べられなくなる人も多いため、ビタミンB6を多く含む食材を意識的に食事に取り入れて、効率的にとるように心がけるとよいでしょう。
つわりに効くビタミンB6が多く含まれている食べ物は?
ビタミンB6が多く含まれている食材は、玄米やごまなどの穀類、豚肉や牛肉の赤身肉、レバー、鶏肉、かつおなどの赤身の魚、じゃがいもやとうもろこしなどのでんぷん質の野菜、ピーナッツなどの木の実類、いちごやバナナなどの果物などです。
食べるときに気をつけてほしいのは、レバー。レバーは、ビタミンAのレチノールを多く含んでいます。レチノールは脂溶性ビタミンなので、摂りすぎると肝臓や脂肪組織に蓄積されるため、妊婦さんが摂りすぎてしまうと、赤ちゃんに悪影響が出る場合があります。ビタミンB6を摂取するときは、ひとつの食材を偏ってたくさんとるのではなく、バランスよくとるように心がけましょう。
ビタミンB6について、先輩ママの体験談が知りたい!
どんな食材を食べて、ビタミンB6を補給していましたか?
「鶏肉やにんにくを積極的に食べていました」
「レバーを食べていました」
「ほうれん草、バナナを食べていました」
「豚肉が食卓に登場する回数が多かったです」
つわりに効くビタミンB6が多く含まれている飲み物は?
つわりのときは、固形物が食べにくくなる人が多いので、ビタミンB6をとるなら、いちごやバナナなどをスムージーにして飲むといいでしょう。ビタミンB6のほかに、葉酸、カルシウム、ビタミンCなど、妊婦さんに必要な栄養素も一緒に摂ることができます。
また、巷で「飲む点滴」として注目されている甘酒も、妊娠中のビタミンB6の補給に最適な飲み物。甘酒は、米麹で作るものと、酒粕で作るものがあります。どちらにもビタミンB6は含まれるのですが、妊娠中はアルコールは厳禁ですので、米麹で作る甘酒がおすすめです。
つわりに効くビタミンB6をサプリから摂取してもいいの?
つわりがひどくて、食品からビタミンB6を摂取することは難しいときは、ビタミン剤やサプリメントから摂取する方法もあります。しかし、摂取する際は、必ずかかりつけ医に飲んでも問題がないか確認してください。
ビタミンB6を過剰に摂取することで悪影響はあるの?
妊娠中に限らず、ビタミンB6を過剰に摂取すると、手足のしびれや神経障害を引き起こすことがあります。ただし、これは、毎日上限量を超える多量のビタミンB6を摂取し続けた場合。ビタミンB群は水溶性で、不必要な分はすべて汗や尿などから排泄されるため、普通に食事をしているだけなら、過剰摂取を心配することはありません。
つわりにビタミンB6が効かないときはどうしたらいいの?
つわりにビタミンB6は有効とされていますが、すべてのつわりがこれで解決するわけではありません。つわりの症状は十人十色。でも、時期が来れば必ず軽減されていくものなので、ビタミンB6が効かなければ、次の作戦、というふうにあれこれ試してみましょう。
構成・文/白木紀子

竹内正人先生
よりやさしい「⽣まれる・⽣きる」をサポートするため、国や地域、医療の枠をこえて活動する⾏動派産科医。
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