安定期はいつから?過ごし方と注意点は?【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/02/20
更新日:2019/02/21
安定期はいつから?過ごし方と注意点は?【産婦人科医監修】
監修
小川隆吉先生
小川クリニック院長

「安定期に入るまで待って、まわりの人に妊娠の報告をした」という話をよく聞きますよね。そもそも安定期とは、いつごろのことなのでしょうか。また、どんなことに注意して過ごせばいいのでしょうか。先輩ママたちの安定期の過ごし方も含めて紹介します。

安定期とは?

安定期とは、妊娠16週(妊娠5ヶ月)から27週(7ヶ月)ぐらいまでを指します。妊娠16週ごろになると胎盤が完成し、赤ちゃんへ酸素や栄養を送るシステムが安定します。また、個人差はありますが、この時期になるとつわりがおさまってきます。ママ自身も少し余裕が出てくるでしょう。
妊婦さんが心身ともに落ち着いて過ごせる時期が「安定期」といえます。

安定期の切迫流産のリスクは?

切迫流産とは、妊娠22週未満に赤ちゃんの心拍は確認できるものの、流産のリスクがある状態をいいます。流産は妊娠初期に起こることが多く、安定期に入ると流産の可能性は低くなりますが、流産や切迫流産の可能性がゼロになるわけではありません。

たとえば、子宮筋腫のある人は、安定期に筋腫が大きくなると筋腫の内部まで血液が届かなくなり、腫瘍が壊死(えし)することがあります。そうなると強い痛みとともに子宮収縮を引き起こし、流産になるおそれがあります。
また、妊娠中はママの免疫力が落ちるため、細菌が増殖して感染症にかかりやすい状態になります。感染症が原因で膣や子宮頸管などに炎症が起こると、流産・早産になる可能性があります。

安定期に入ったからといって油断せず、出血や、おなかの周期的な痛みや強い痛み、においのあるおりものなどがあったときは、すぐに受診することが大切です。

安定期の過ごし方

安定期に入り、妊娠経過が順調であればスポーツなどを楽しめます。スポーツをはじめたいときは、まず医師の許可をとりましょう。妊娠中も楽しい思い出をつくりたいですね。

スポーツ

安定期は体を動かすチャンスです。医師に許可をもらったら、マタニティスポーツにトライしてみましょう。体を動かすと気分がリフレッシュできるうえに、安産のための体力づくりにもなります。また、血行もよくなるので、むくみや腰痛、便秘などのマイナートラブルの解消も期待できます。

スポーツをするときは、妊娠中に適したものを選びましょう。専門の施設で行うマタニティスイミングなどは、妊婦さん仲間ができて楽しく通えます。一方、ウォーキングやストレッチなどは、自分の都合のいい時間に、1人で気軽にできるのがメリットです。

ただし、どんなスポーツをするときも、無理は禁物です。おなかが張ったり、気分が悪かったり、「いつもと体調が違う」と感じたら、中止して体を休めましょう。

●ウォーキング

ウォーキングは全身を動かして脂肪を燃焼させる有酸素運動です。体重管理が必要な妊娠中にぴったりで、とくに専門的な指導も必要なく、手軽にできるのも魅力です。

ウォーキングをするときの服装は、体を締めつけず動きやすいものにし、靴は履き慣れたスニーカーなどを選びます。空腹時や満腹時を避けて、平坦な道を歩きましょう。

時間は、1日20~30分が目安。水やお茶を携帯し、こまめに水分補給をしましょう。また、はじめる前はストレッチで体をほぐし、歩いたあともストレッチでクールダウンをすることもポイントです。緑の多い公園や遊歩道などを歩くと、さわやかな気分になれますよ。

効果的な歩き方

……ひじは90度ぐらいに曲げ、わきを締めて、大きく前後にふりましょう。

姿勢……背筋をまっすぐに伸ばし、あごを引きます。

歩幅……いつもより大きい歩幅で、かかとから着地するように歩きます。

速度……少し汗をかく程度の速さで、リズミカルに歩きましょう。

●マタニティスイミング

マタニティスイミングは、全身をバランスよく使うスポーツ。水中でのカロリー消費は陸上よりも多いため、同じ運動でもダイエット効果が高まり、体重管理に役立ちます。また、水の中の運動は重力による負荷が軽くなるので、腰痛やむくみなどの改善にも役立ちます。

マタニティスイミングを行うには、医師の診断書が必要です。必ずインストラクターの指導のもとで行いましょう。水温や室温が適温に調整され、始める前に血圧測定などの健康チェックを行っている施設であれば安心です。

●マタニティヨガ

マタニティヨガは、ゆっくりとした動作で、呼吸を意識しながら行います。練習するうちに深い呼吸が身につき、心と体のバランスがととのってリラックスできるので、強い陣痛が来てつらいときも、落ち着きを取り戻すことができるようになります。

また、骨盤まわりを調整したり、出産時に必要な筋肉を鍛えたりすることで、柔軟性もアップします。股関節が開きやすくなったり、首や肩のこりをほぐしたり、腰痛の予防や解消にも効果があります。

マタニティヨガはインストラクターが指導をしてくれる施設で行うほか、自宅でDVDなどを見ながら行ってもよいでしょう。

母親学級

妊娠や出産の正しい知識や、新生児のお世話のしかたを教えてもらえるのが母親学級です。通っている病院のほか、市区町村の保健所などで開催されています。初めて妊娠した人はもちろん、数年ぶりに妊娠した人も、おさらいのつもりで受講すると新しい情報が得られるかもしれません。

近年、パパも参加して欲しいことから「両親学級」を開催するところが多くなっています。パパもぜひ参加して、ママの体の状態や赤ちゃんのことを知りましょう。立ち会い出産予定のパパは、出席が必須という病院もあります。

母親(両親)学級に参加するメリット

1 妊娠中の生活や出産・育児の情報が得られる

妊娠中の食生活の注意点や、お産の流れ、新生児のお世話のしかたなどをわかりやすく説明してもらえます。わからないことがあれば質問すると、不安や疑問を解消できます。

2 パパは父親の自覚が生まれやすくなる

パパも参加して、「妊婦ジャケット」などの体験指導を受けると、ママがいかに体力的に大変かを実感できるでしょう。また、人形を使って沐浴やおむつ替えの練習をすることもあので、パパになる自覚が生まれやすくなります。

3 ママ友がつくれる

参加者同士で話すグループディスカッションなどで、同じ時期の出産予定の妊婦さんと知り合いになることがきます。産後は赤ちゃんを一緒に遊ばせるなど、より交流を深めることもできるでしょう。

出産準備

安定期に入ったら、お産で入院したときに必要なものや、産後すぐに使うベビーグッズをそろえ始めましょう。かわいらしいベビーグッズを見ると、つい衝動買いをしそうになりますが、まずは情報を集めて、欲しいものをリストにしてみて。短期間しか使わないものはレンタルしたり、まわりに声をかけると譲ってもらえたりすることもあります。よく検討してから購入し、無駄なくそろえましょう。

ベビーグッズ選びを成功させるコツ

1 情報を収集してリストを作る

ネットや雑誌だけでなく、先輩ママの話も聞いてみましょう。とくに同じ季節に出産したママなら、その時期のポイントをよく知っているはず。その上で、必要なものをリストアップしましょう。

2 大物は使い勝手を確認して

色やデザインだけでなく、機能面もよく確認して選びましょう。とくにベビーベッドやベビーチェアなど値段の張る大物は、サイズや使い勝手をしっかりチェックして。チャイルドシートは自治体によって貸し出しをしている地域もあります。

3 出産前にそろえすぎず、迷ったら産後に

肌着やウエアは種類が豊富なので、迷ったものはリサーチにとどめておきましょう。赤ちゃんに合う・合わないもあるので、定番の肌着やウエア以外は、産後に買い足すほうがおすすめです。

マタニティフォト

大きなおなかは妊娠中だけだから、写真に残しておきたいですね。パパに撮ってもらうのもさることながら、スタジオでプロのカメラマンに撮ってもらうのも楽しいもの。最近はマタニティフォトを専門にしているスタジオも増えています。産後は撮れないからこそ、早めに検討してみて。

旅行

安定期のこの時期、妊婦さんのやりたいことリストに必ずあるのが旅行です。妊娠中の旅行は、体調がよければ問題ありませんが、あまり長時間の移動がなく、スケジュールに余裕を持たせるようにしましょう。あちこち移動をするよりも、1ヶ所に滞在するほうが妊婦さんに向いています。車で移動するときは、運転を家族にまかせ、車内の換気とこまめな休憩を忘れないようにしましょう。何かあったときに病院まで時間がかかるような秘境はおすすめできません。

遠方への旅行や帰省は、医師に相談してからのほうが安心です。また、妊婦さんをサポートしてくれる航空会社もあるので、予約や搭乗時に確認しておくといいですね。

行き先別アドバイス

温泉やスパ……あまり長湯をせず、疲れないようにしましょう。

遊園地……ジェットコースターなどの過激なアトラクションは避け、ゆったりとした乗り物に。くれぐれも歩きすぎないように。

海や山……マリンスポーツは避け、浜辺で水遊び程度にしましょう。また、本格的な登山ではなく、軽いハイキングぐらいならOK。

コンサート……座席が確保されている場合は大丈夫ですが、長時間立ちっぱなしのライブは避けたほうがベター。

観光地での散策……ゆっくり見てまわれば問題ないでしょう。歩きすぎず、坂道や階段の多いところは、なるべく避けたほうがいいですね。

安産祈願

日本では、多産でお産の軽い犬にあやかり、5ヶ月に入った「戌(いぬ)の日」に、神社や仏閣に安産祈願をする風習があります。戌年が12年に1回あるように、12日に1回、戌の日があります。安産祈願で有名な神社や仏閣は、12日ごとに法要が行われることが多いようです。ただし、お参りは、必ずしも戌の日でなくても大丈夫。

また、戌の日は「岩のように丈夫になる子どもが生まれてくるように」という願いを込めて「岩田帯」を巻く「帯祝い」の日でもあります(岩田帯のいわれには諸説あり)。腹帯は神社で購入したり、自分で持参した帯を清めてもらったりすることができます。詳しいことは参拝する神社に確認しましょう。

歯の治療

つわりのときは歯を磨くのもつらくなり、口の中のケアがおろそかになりがち。また、胸のムカつきを抑えるために、常に何かを口にしていると、食べカスが残って虫歯ができやすくなります。もともと虫歯のある人や、妊娠してから虫歯や歯周病が気になる人は、安定期に歯科を受診しましょう。治療を受ける際は、妊娠していることを必ず医師に伝えてください。

妊娠線のケア

安定期に入ったら、そろそろ妊娠線のケアもはじめましょう。おなかが大きくなると皮膚がのびて乾燥しやすくなるうえ、表皮が急激にのばされてしまうため、妊娠線ができてしまいます。妊娠線ができやすいのは、おなかやバスト、おしり、太ももなどです。皮膚を乾燥させないように、クリームやローションを塗って保湿しましょう。

安定期に外出するときの注意点

外出するときは、余裕をもった計画を立てて行動しましょう。服装は動きやすいもの、靴は履き慣れたもののほうが安心です。暑い季節は日焼け対策を万全にし、熱中症にも注意して、こまめに水分補給を。寒い季節は体が冷えないように注意しましょう。食事は栄養バランスよくとることを心がけ、食べすぎないようにしてください。

また、母子健康手帳、健康保険証、診察券を忘れずに。外出先で万が一、出血や破水をしたときのためにナプキンも持っていきましょう。

先輩ママの「安定期」の体験談

先輩ママに安定期にどんなことをしたのか、聞いてみました。

・思い出のデートスポットでマタニティフォトを撮りました。(K・Iさん)

・つわり中、長男にたくさん我慢させたので、とにかく長男とお散歩。長男の友だちともたくさん遊びました。(K・Aさん)

・水天宮への安産祈願。また、今のうちに上の子とできることをしたくて、動物園やディズニーランドに行ったり、誕生日パーティをしたり、上の子と2人でいろんなことを楽しみました。(T・Mさん)

・2人だけで出歩けるのは最後だからと、近場ですが旅行へ行ったり、ベビーグッズを見に行ったりと、週末は忙しかったです。(M・Eさん)

・つわりが終わり、安定期に入ったら絶好調! 友人の結婚式で「恋ダンス」を踊ったり、マタニティ雑誌の取材を受けたりしました。(Y・Yさん)

・夫と2人で最後の旅行。温泉につかって子どもの名前をふたりで考えました。マザークラスにも参加。友だちにも徐々に妊娠の報告。5ヶ月ごろ胎動を感じ、6ヶ月ごろには、夫がさわってもわかるようになり、赤ちゃんがいるってわかったのか、夫がめちゃくちゃやさしかった!(N・Sさん)

・赤ちゃんにクラッシックを聴かせました。とくにモーツァルト。また、名前を決めて、名前で呼びかけました。マタニティフォトの撮影、日用品の買いだめ、温泉旅行。ママになってから使えないもの(ヒールやミニのボトムなど)をネットで売りました。(H・Mさん)

・1人目のときは余裕がなかったけれど、2人目になると「今のうちに遊んでおこう」っていう気持ちが強くて、同僚と旅行に行ったり好きなアーティストのライブに行ったり、ディズニーランドに行ったり、仕事が休みの日はいっぱい遊びました。(K・Aさん)

・水天宮に安産祈願へ。会社帰りや休日はマタニティヨガに通い、呼吸法や筋トレ法を学びました。体調がよかったので会社帰りにウォーキングも。通勤は歩きやすいようにスリッポンを愛用。また、ネットで検索して、子連れでは行けないおいしいお店に行きました。(Y・Tさん)

・外出が好きなので、マタニティイベントへ行ったり、マタニティフォトを撮影したりしました。また、モニター活動で「プチ稼ぎ」や、趣味の布小物作りも楽しみました。(K・Tさん)

*一部画像出典:「はじめてママ&パパの妊娠出産」「Pre-mo」(主婦の友社刊)

取材・文/小沢明子

出典 :はじめてママ&パパの妊娠・出産※情報は掲載時のものです

監修
小川隆吉先生
小川クリニック院長
日本医科大学卒。都立築地産院産婦人科医長として勤務する傍ら、日本医科大学産婦人科講師を兼任。1995年小川クリニックを開設。医学博士、日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医。妊婦さんの疑問や悩みに真摯に応えてくれる、気さくで頼りになるドクターです。

あなたにおすすめ

注目コラム