幼児の下痢の原因は?元気なとき薬は?病院は?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/03/04
更新日:2019/03/18
幼児の下痢の原因は?元気なとき薬は?病院は?【小児科医監修】
監修
十河 剛先生
済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科副部長

子どもはさまざまな原因で下痢をします。なかには病気が原因で、早期に治療が必要な下痢もあります。いざというときに適切な対応ができるように、子どもの下痢の原因や受診の目安、ホームケアのポイントを小児科の先生に聞きました。

幼児の下痢の原因は?

胃腸炎などの病気や食物アレルギーなどさまざまな原因が考えられます

うんちの状態(やわらかさや色など)、量や回数は個人差が大きいものです。下痢とは、その子の「ふだんのうんち」とくらべて、あきらかにやわらかく、量も回数も多い状態です。

下痢が続くときには、ウイルス性胃腸炎や細菌性胃腸炎などの病気や食物アレルギー、離乳食の進め方の問題など、さまざまな原因が考えられます。下痢の症状がみられる病気のなかには、腸重積症など早急に治療が必要なものもあります。
下痢をしたときには、うんちの色や状態、回数、量などが「ふだんとどう違うか」をよく観察し、下痢以外の症状(熱や嘔吐など)や子供の様子(機嫌や食欲など)も、注意してよくみることが大切です。

幼児が下痢をしたときに疑われる病気は?

突然の下痢と嘔吐から始まる「ウイルス性胃腸炎」

子どもの下痢の原因としてもっとも多い病気です。ノロウイルスやロタウイルスなど、多くのウイルスが原因で起こります。突然の嘔吐と下痢、発熱が主症状です(子供によっては嘔吐が主症状で下痢の症状があまり見られない場合もあり、反対に下痢だけで嘔吐が見られない場合もあります)。
下痢のピークは症状が出始めてから3~5日ですが、2週間ほど続くことがあります。
下痢に嘔吐が重なると、体内の水分や電解質が急速に失われ、脱水症を起こしやすくなります。経口補水液によるこまめな水分補給を心がけましょう(詳しくは「幼児が下痢をしたときの自宅でのケアは?」を参照)。

ロタウイルス胃腸炎では白っぽいうんちが出ることがあります

せきや鼻水、鼻詰まりなどをともなう「かぜ症候群」

ウイルスなどが原因で起こる、いわゆる「かぜ」でも、感染したウイルスの種類によっては下痢をすることがあります。発熱や鼻水、鼻詰まり、せき、のどの痛みなどの症状をともなうときは、かぜの可能性が考えられます。
かぜを根本的に治す薬はなく、つらい症状をやわらげるための対症療法をして様子をみます。安静と水分補給を心がけましょう。

血便が出ることもある「細菌性胃腸炎」

細菌が原因で起こる胃腸炎で、サルモネラ菌、カンピロバクター、病原性大腸菌(O-157など)など、さまざまな細菌が原因となります。
下痢、嘔吐、発熱が主症状で、粘り気のある血便が出ることもあります。原因となる菌の種類によっては、ウイルス性胃腸炎より症状が重くなることがあります。

細菌性胃腸炎では粘り気のある血便が出ることが。

間欠的に泣き、イチゴジャム状の血便が出ることもある「腸重積症」

腸の一部が腸の中に入り込んでしまう病気です。突然激しく泣いたり、おさまったりを繰り返すのが典型的な症状ですが、ずっとグズグズと不機嫌な場合もあります。イチゴジャムのような血便が出ることがあります。
発症から24時間以上たつと、腸が重なり合った部分の血流が妨げられて壊死してしまう危険があり、早急な処置が必要です。間欠的に激しく泣く、顔色が悪い、吐く、などの症状がみられたら、夜間でもすぐ病院に行きましょう。

腸重積症では便全体が赤い血便が出ることがありますが、血便がみられないことも。

胃腸炎などの後に起こりやすい「乳糖不耐症」

赤ちゃんの病気です。母乳やミルクに含まれる乳糖を体内で分解できないために、下痢をします。生まれつき乳糖を分解する酵素が欠けているために起こる先天的なものと、ウイルス性胃腸炎などの後に腸の粘膜が傷つき、一時的に乳糖が消化吸収されずに起こる後天的なものがあり、多くは後天的なものです。
授乳のたびにすっぱいにおいのするうんちが出る場合や、胃腸炎が治ってもいつまでも下痢が続く場合、離乳食を食べているのにかたまったうんちが出ない場合などは、この病気の可能性があります。

食物が原因で起こる「新生児乳児食物蛋白誘発胃腸症(消化管アレルギー)」

特定の食べ物を食べることで、下痢や嘔吐などの症状が起こることをいいます。原因となる食品は、多くはミルクの原料である牛乳です。その他、卵、小麦、大豆などでも見られますが、離乳食開始前に発症した場合は牛乳であることがほとんどです。
通常の食物アレルギーと異なり、皮膚のかゆみ、赤み、じんましんなどは見られないことが多いです。下痢や嘔吐、哺乳不良、成長障害などの症状が出ることも。通常のアレルギーのように食べてから20分以内に起こるということはほとんどないため、食物アレルギーであるとわかりにくいことが特徴です。
即時型アレルギーの場合、複数の症状が急激に、かつ同時に起こる「アナフィラキシー」により、ショック状態に陥ることもあるため注意が必要ですが、消化管アレルギーではアナフィラキシーを起こすことはまれです。

幼児が下痢をしたときの受診の目安は?

発熱や嘔吐を伴うときは診療時間内に小児科へ

うんちが多少ゆるめでも、きげんがよく食欲もあり、下痢以外に熱や嘔吐などの症状がない場合は、しばらく様子をみてもいいでしょう。

発熱や嘔吐など下痢以外の症状がある、1日に何度も大量のゆるゆるうんちが出る、水のようなうんちやすっぱいにおいのうんちが続く、などの場合は、診療時間内に小児科を受診しましょう。

下痢が2週間以上続くときはもう一度受診を

ウイルス性胃腸炎では、ウイルスによって腸の粘膜が傷つくことで、母乳やミルクに含まれる乳糖を分解・吸収できなくなる乳糖不耐症になることがあります。通常、胃腸炎による下痢は、長くても2週間程度で治ります。胃腸炎が治ったのになかなか下痢が治らない場合や、下痢が2週間以上続く場合は、念のため小児科へ。

血便が出たときや脱水症状がみられたときは夜間でもすぐ受診を

イチコジャムのような血便が出た場合や、下痢だけでなく嘔吐もあり水分が全く取れない場合、呼びかけへの反応が鈍い、呼吸が苦しそう、口の中が乾いている、目が落ちくぼむ、痙攣をする、黄色や緑色の嘔吐をする、顔色や唇の色が悪いなど、明らかに様子がおかしい場合には、夜間でも大至急病院に行きましょう。

幼児が下痢をしたときの対処法は?

原因に応じた治療をすることが最優先

多くはウイルス性胃腸炎であり、2週間以内に自然に治ります。かぜやウイルス性胃腸炎は特効薬がないため、脱水症にならないように水分補給を心がけながら、とくに治療はせず自然に下痢が治るのを待ちます。下痢の症状はだいたい1~2週間ほどで治まり、元の体調に戻ることが多いでしょう。
細菌性胃腸炎の場合も、細菌を体外に出すために下痢を無理に止めることはせず、脱水に気をつけながら様子をみます。抗菌剤や整腸剤が処方されることもあります。

乳糖不耐症や食物アレルギーによる下痢の場合は、アレルギー用のミルクに替えたり、アレルギーの原因となる食物を避けたりすることで下痢は治まります。ただし、ミルクや食物の制限は、むやみにすると栄養不足につながることになるため、必ず医師の指示にしたがっておこないましょう。

腸重積症は発症後24時間以内に治療を

腸重積症は、発症後24時間以内に、造影剤や生理食塩水、空気などを肛門から高圧で注入する「高圧注腸」という治療をして腸を押し戻すことで、多くの場合は治ります。ただし、約10%が再発します。
再発した場合や、高圧注腸で治らない場合、治療までに時間がかかり腸閉塞や腸の壊死などが起こった場合などには手術をおこないます。

幼児が下痢をしたときの自宅でのケアは?

脱水予防のためにしっかり水分補給を

下痢が続く場合や、下痢に嘔吐が重なった場合などは、体内の水分や電解質が失われて脱水症を起こしやすくなります。ふだん通りに飲んだり、食べたりできていればおそらく心配はありませんが、そうでない場合にはこまめな水分補給を心がけましょう。
脱水予防のためには、水分と電解質が最も効率よく吸収されるように調整されている「経口補水液」がおすすめです。経口補水液をいやがる場合には、授乳中であれば母乳やミルク、卒乳後であれば飲めるものを飲ませてかまいませんが、糖分の多いジュースは下痢を悪化させることがあるため避けましょう。
離乳食や食事については、食物アレルギーによる下痢でなく、食欲もあるなら一段階戻す必要はなく、ふだん通りにとって問題ありません。

座浴などでおしりを清潔に

下痢のときは、うんちの刺激などでおしりがかぶれやすくなることがあるため、こまめにおむつを替えましょう。おしりふきなどでこするように汚れをふき取ると、それが刺激になることもあるので、座浴やシャワーなどでおしりを洗い流してあげるといいでしょう。
洗った後は、やわらかいタオルなどをおしりにそっと押しあてるようにして、やさしく水分をふきとり、よく乾かしてからおむつをします。

ウイルス性胃腸炎の場合は家庭内感染にも注意

ウイルス性胃腸炎による下痢の場合、うんちのおむつや汚れた衣類の処理をするときに家族が感染してしまうことがあります。うんちのおむつやおしりをふいたおしりふきなどはまるめてビニール袋に入れ、しっかり口をしばり、密閉して捨てます。おむつ替えの後は、すぐによく手を洗いましょう。
うんちで汚れた衣類やシーツなどは、ほかのものと分けて洗濯機で洗濯し、日光にあててよく乾かします。

文/出村真理子

写真出典/はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア

監修
十河 剛先生
済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科副部長
1995年、防衛医科大学校医学部卒業。複数の病院勤務を経て2007年に済生会横浜市東部病院小児科医長、13年より現職。専門は肝・胆道疾患。武道の有段者で、二児のパパでもあります。

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