子宮外妊娠の手術後の生理や妊娠は?体験談あり【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/01/31
更新日:2019/04/16
子宮外妊娠の手術後の生理や妊娠は?体験談あり【産婦人科医監修】
監修
佐藤雄一先生
佐藤病院院長 産婦人科医

子宮外妊娠を経験すると、精神的なショックからなかなか回復できないこともあるかもしれません。けれども、子宮外妊娠になっても、その後の妊娠・出産は可能です。手術後の体調やその後の妊娠について、産婦人科医の佐藤雄一先生にうかがいました。

子宮外妊娠とはどういうものなの?

子宮外妊娠とは、受精卵が本来着床すべき子宮内膜までたどりつかずに、子宮以外のところに着床してしまうことです。妊娠のごく初期に、受精卵が子宮内に移動する過程で起きることで、卵管に着床してしまうケースが多く見られます。
一般的には「子宮外妊娠」という言葉で知られていますが、医学的には「異所性妊娠(いしょせいにんしん)」といいます。

子宮外妊娠では赤ちゃんが育つことができないので、残念ながら妊娠は継続できません。自然に流産するか、薬の投与や手術によって治療することとなります。

子宮外妊娠は治療をする必要がある?その治療方法とは

妊娠5週目頃になると、超音波検査で子宮内に赤ちゃんの入っている胎嚢(たいのう)を確認できるようになります。
妊娠反応が出ているにもかかわらず胎嚢が見えなければ何日かおいて再検査をしますが、それでも確認できない場合、卵管などに着床した子宮外妊娠の疑いが出てきます。
超音波検査のほかに、妊娠によってつくられるホルモンhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の値なども、子宮外妊娠を確定する要素となります。

子宮外妊娠は自然に流産することもあります。そのため、早期発見で体調が安定している場合は経過観察となりますが、そのままhCGの数値が下がらなければ薬での治療や手術を行うことになります。

薬で治療する

子宮外妊娠の治療として、MTX(メトトレキサート)という薬で、成長をとめて流産させる方法があります。

薬による治療は、hCGの値が落ち着いていて全身状態が良好である、手術を希望しないケースなどの場合に選択されます。薬での治療が有効な場合は、手術をせずに卵管を温存できるというメリットがあります。
1回の筋肉注射で終わる場合、様子を見て2回以上行う場合がありますが、効果が見られなければ手術に切り替えることもあります。
MTXの治療は欧米では一般的ですが、日本では子宮外妊娠での治療は保険適用外となっています。

手術による治療

卵管に着床した受精卵が成長して卵管破裂を起こすと、お腹の中に大量出血して貧血やショック状態が起き、卵管を切除する緊急手術が必要となります。

卵管破裂を起こす前であれば、手術方法は卵管を切開して胎嚢だけを切除する卵管線状切開術(卵管温存手術)、または卵管を切除する卵管切除術の二つの方法があります。どちらの手術も腹腔鏡手術、または開腹手術によって行います。
手術方法は胎嚢や腫れの大きさ、hCGの値といった体の状況、今後の妊娠の希望についてなど、さまざまな要素をふまえて決まります。

子宮外妊娠の手術後は?先輩ママの体験談!

実際に手術を受けたママに体験談をうかがいました。

「手術後は麻酔が切れてから丸1日痛くて、痛むときに自分でボタンを押して入れられる鎮痛剤を使いましたが、効かずにずっとうなっていました。血圧も上が50くらいしかなかったです。2日目以降も痛みはあったけど、なるべく歩くようにいわれたので痛みをこらえて歩いたりしましたね。仕事は退職して約2ヶ月はゆっくりと体を休めてから、また仕事を新たにはじめました。その後、体外受精に挑戦し、術後1年後ごろに妊娠。無事に出産しました!」(Tさん)

子宮外妊娠の手術後は出血があるの?

子宮外妊娠であっても妊娠した状態と同じなので、手術で妊娠を終わらせることで、厚くなっていた子宮内膜がはがれ落ちます。そのため、術後に生理のような出血があります。
術後の出血は少量ですが、人によっては1週間くらい少量の出血が続くケースもあります。

子宮外妊娠の手術後の痛みは?

手術そのものは全身麻酔で行うため痛みはありませんが、麻酔が切れてからは患部の痛みを感じるようになります。腹腔鏡手術でも患部の痛みは出ますが、開腹手術よりは痛みは少ないようです。

痛みをどの程度に感じるかは人それぞれですが、やはり手術の当日、翌日は痛みが出るため、痛み止めの薬を出してもらうこともできます。

子宮外妊娠の手術後はどれくらい入院するの?

子宮外妊娠の手術は、腹腔鏡手術の場合で3泊4日から1週間程度、開腹手術の場合は1週間から10日前後の入院となります。
腹腔鏡手術は体への負担が軽いため、手術翌日には普通に歩き回れるような人もいます。回復のスピードは個人差があるので、退院後は体の状態を見て無理のないように体を休ませるとよいでしょう。

回復が遅れるおもな原因としては、貧血があげられます。手術前にお腹への出血が多かった場合、極度の貧血が起こり術後もしばらくフラフラする状態が続いたり、1か月近く体調が悪かったという人もいるようです。
退院後も貧血がひどい場合は、薬を処方してもらうこともできます。回復を助けるためには、鉄分の多い食事を心がけるとよいでしょう。

子宮外妊娠の手術後は、生理は正常に来るの?

子宮外妊娠であっても妊娠に変わりはないので、体は妊娠反応を起こしています。そのため、多少は月経(生理)が不順になりますが、その後は戻るものです。
早い人で1ヶ月、遅くも1ヶ月半くらいで次の月経がきます。

子宮外妊娠の手術後に妊娠はできるの?

子宮外妊娠の手術で卵管切除をしても、もう片方の卵管は残っています。自然妊娠は十分に可能で、卵管が一つだからといって妊娠の確率が減るわけではありません。

子宮外妊娠を再発するなど、なんらかの理由でもう一方の卵管も切除した場合は、自然妊娠は望めなくなってしまいます。それでも、体外受精での妊娠は可能なので、希望がもてなくなってしまうわけではありません。実際に、卵管を切除してもその後に赤ちゃんを授かるケースはあるので、体調管理につとめて前向きに妊娠を考えてみましょう。

手術後は月経不順(生理不順)になっていることもあります。妊娠を計画するのは月経が1、2回きて順調になるのを待ってからがよいでしょう。性交渉はしてもかまいませんが、月経不順のうちに妊娠すると妊娠週数がわかりにくくなることもあるので、避妊することをおすすめします。
手術時の状況によっては貧血がひどかったり、体調が悪いこともあるので、体の回復具合も見ながら妊娠を計画するようにしましょう。

子宮外妊娠の再発の可能性はどれくらいあるの?

子宮外妊娠は妊娠全体の1~2%ほどの割合で起こるトラブルです。

子宮外妊娠になった人は卵管がつまりやすいなど、なんらかの原因が考えられるため、また繰り返す可能性はあります。卵巣、卵管などの手術経験は、子宮外妊娠になるリスクがあります。
実際に過去に子宮外妊娠になった場合、10%の確率で再発するといわれています。

子宮外妊娠は予防できるの?

子宮外妊娠の一因として、お腹や骨盤内の手術の経験、子宮外妊娠や子宮内膜症などがあるとされており、予防のための対応はむずかしいといえます。

原因のひとつとなる性感染症のクラミジアは、おりものが増えたり下腹部の痛みがあるものの感染に気づいていないケースもあります。治療せずに卵管に炎症を起こすこともあるので、検査・治療をすることは子宮外妊娠の予防につながります。
タバコもリスクを高めることがわかっているので、妊娠前からやめておくのがいいでしょう。

子宮外妊娠とは?その原因と症状は?子宮外妊娠になる確率はどのくらい?痛みはあるの? 次の妊娠への影響は?
子宮外妊娠とは?その原因と症状は?子宮外妊娠になる確率はどのくらい?痛みはあるの? 次の妊娠への影響は?
子宮外妊娠という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。子宮外妊娠は、医学的に正しくは異所性妊娠といい、妊娠のごく初期に起きるトラブルの一つ。原因は何なのか、どんな症状があるのか、ほうっておくとどうなるかなどについて、ご説明します。
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取材・文/宮野明子

監修
佐藤雄一先生
佐藤病院院長 産婦人科医
産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。女性の心身の健康を支援する医療を心がけ、予防医療の観点から妊婦さんの食事や栄養の大切さを指導している。

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