【産婦人科医監修】切迫流産で入院したときの費用や保険は?

 専門家監修
公開日:2019/02/01
更新日:2019/02/13
【産婦人科医監修】切迫流産で入院したときの費用や保険は?
監修
小川隆吉先生
小川クリニック院長

切迫流産と診断されると、赤ちゃんのことが心配になりますね。さらに入院が必要となれば、入院費はどのくらいか、保険は適用されるのかなど、気になることがたくさん出てくるでしょう。そこで今回は切迫流産で入院したときの費用について紹介します。

切迫流産とは

赤ちゃんがママのおなかの外では生きていけない妊娠21週以前に妊娠が終わってしまうことを「流産」といいます。これに対し、「切迫流産」は、赤ちゃんが子宮内にとどまっているものの、流産のリスクがある状態をいいます。切迫流産と診断されたからといって、すぐに流産につながるわけではなく、多くは妊娠を継続することができます。

切迫流産の主な症状は、性器出血や下腹部の痛みです。

妊娠12週未満の切迫流産は、はっきりとした原因がわからないことがほとんどです。流産を予防する有効な薬がないため経過観察になりますが、赤ちゃんの心拍が確認されていれば、たいていは症状が落ち着いてきます。切迫流産の中でも、子宮の中に血液のかたまりがあるような場合は、医師から安静を指示されることがあります。

一方、妊娠12週以降では、主な原因として、胎盤辺縁の剥離、子宮頸管の炎症、子宮頸管ポリープの炎症、子宮筋腫、子宮頸管無力症(子宮を支える子宮頸管の組織が弱くなって子宮口が開いてしまう状態)などがあげられます。

治療は安静が第一で、安静の度合いは症状によって異なり、「入院安静」や「自宅安静」を指示されます。

切迫流産で入院したときの費用は?

切迫流産で入院した場合、入院期間や治療内容は人によってさまざまです。治療費や1日3回の食事代のほか、個室など特別な部屋を利用した場合は「差額ベッド代」がかかる場合があります。

治療費

治療費の金額は、治療内容によって異なります。基本的な治療は安静にすることですが、子宮収縮がある場合には、子宮収縮抑制剤の服薬や点滴を行うことがあります。

また、子宮頸管無力症が原因の場合は、子宮頸管を特殊なテープで縛る手術が行われることもあります。どんな治療が必要なのか、あらかじめ医師に確認しておきましょう。

食事

入院にかかる食事は健康保険の適用になるため、1食あたりの負担額は460円になります(平成30年4月1日から)。住民税非課税世帯の場合は、事前に申請を行うと210円になり、入院期間が91日以上になると160円となります。詳しくは加入している健康保険の窓口に問い合わせてみましょう。

また、妊娠初期はつわりがあることが多く、妊婦さんが少しでも栄養がとれるよう、特別な食事を用意してくれる病院もあります。その場合は、食事にかかる費用も変わることがあります。

差額ベッド代

多くのベッドがある大部屋ではなく、1人部屋などの特別室(特別療養環境室)を希望すると差額ベッド代がかかり、全額自己負担になります。しかし、治療上の都合でどうしても特別室に入院する必要があった場合や、一般の入院室が満員で特別室しかあいていなかった場合は、実質的に患者の選択ではないため差額ベッド代はかかりません。

特別療養環境室とは、次のような条件を満たした入院室です。

・病室の病床数が4床以下である

・病室の面積が、1人当たり6.4平方メートル以上である

・病床ごとにプライバシーを確保するための設備を備えている

・少なくとも個人用の収納設備、個人用の照明、小机及び椅子を備えている

切迫流産で入院すると保険は適用される?

妊娠・出産は病気ではないので、基本的には健康保険は使えず自己負担となります。しかし、切迫流産のような医師の判断で入院が必要とされた場合は、健康保険が適用されるため、治療費の負担額は3割になります。

切迫流産の入院費用と高額療養費制度

切迫流産で入院期間が長くなると、費用がかさむのが気になりますね。その場合、高額療養費制度が利用できる可能性があります。

この制度は、ひと月(月のはじめから終わりまで)の医療費が決められた限度額を超えた場合、その分の医療費が払い戻されるという公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽの都道府県支部、市町村国保、共済組合など)の制度です。高額療養費制度の医療費の上限額は、年齢や所得によって異なります。

また、同じ世帯で複数の人が同じ月に病気やけがをして医療費がかかった場合は、それぞれ支払った医療費を合算することができ、その合算した額が自己負担限度額を超えた場合は、超えた額が払い戻されます。

さらに、直近の1年間に高額療養費を3回以上支給されていたら、4回目から自己負担限度額がさらに引き下げられる「多数該当高額療養費」などの仕組みもあります。

高額療養費制度は、医療費が月をまたいだ分は合算されません。また、入院中の食費や差額ベッド代は、支払った医療費としてカウントされないので、その点は注意しましょう。

詳しいことは、加入している公的医療保険の相談窓口に問い合わせてください。

医療費控除

支払った医療費の1年間(1月1日から12月31日まで)の総額(生計を共にする家族)が10万円を超える場合、確定申告をすることで税金の控除が受けられます。

医療費の総額には、入院中の食事代や通院にかかったバスや電車などの交通費なども含むことができますが、高額療養費や生命保険の入院給付金、出産一時金などがある場合は医療費の総額から差し引く必要があります。

戻ってくる金額は、所得によって異なります。詳しくは、国税庁のホームページなどで確認しましょう。

切迫流産で入院したときの費用の注意点は?

病院費用は病院に確認をとる

入院費用は病院の方針や診察内容によって異なるので、わからないことがあれば病院の担当者に質問しましょう。入院前におおよその入院費が確認できると安心です。

特別療養環境室を希望する場合、病院は同意書による同意の確認を行います。同意書には、室料などが記載されているので、署名をする前に内容をきちんと把握しておくことが大切です。特別室を利用していて入院期間が長引いた場合、負担が大きいようなら一般の病室に移れるかどうか相談してみましょう。

切迫流産で入院するとき準備するもの

すぐに入院の指示が出た場合は、入院中に必要なものを病院に確認して準備をします。

一般的に入院で必要になるのは、パジャマ、下着、スリッパ、洗面道具、ガウン(またはカーディガンなどの羽織るもの)などです。

安静の度合いによっては、病院の売店に行くこともできないので、必要なものが出てきた場合は、その都度家族や頼める人に持って来てもらいましょう。

また、入院中は時間を持て余すことが多いので、書籍や雑誌、パズルの本、スマートフォン(映画鑑賞などのため)、編み物などの手作り用品など、自分が楽しめるものも用意するといいですね。行動が制限されると、精神的につらくなることもあるでしょう。でも、産後は育児で忙しくなりますから、赤ちゃんのためだと割り切ってゆったりと過ごしてください。

赤ちゃんが生まれたおうちのかかったお金リアルレポート! 実際どれくらいかかるの?
赤ちゃんが生まれたおうちのかかったお金リアルレポート! 実際どれくらいかかるの?
妊娠中から産後まで、実際にどれくらいのお金がかかるのでしょうか。先輩ママがかかったお金と産前→産後の家計費の変化をセキララレポートしてくれました。 妊娠中から予習して、じょうずにやりくりしちゃいましょう!
記事を読む
妊娠中から産後までにかかったお金セキララレポート! これだけかかりました!
妊娠中から産後までにかかったお金セキララレポート! これだけかかりました!
赤ちゃんが生まれると、実際にはどれくらいのお金がかかるのでしょうか。先輩ママがかかったお金を妊娠中から出産、産後までレポートします。家計の変化も大公開! 節約ポイントをマネして失敗談を教訓に、妊娠中からお勉強しておきましょう。ほかにも先輩ママの失敗談を集めてご紹介します。
記事を読む

取材・文/小沢明子

監修
小川隆吉先生
小川クリニック院長
日本医科大学卒。都立築地産院産婦人科医長として勤務する傍ら、日本医科大学産婦人科講師を兼任。1995年小川クリニックを開設。医学博士、日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医。妊婦さんの疑問や悩みに真摯に応えてくれる、気さくで頼りになるドクターです。

あなたにおすすめ

注目コラム