切迫流産になったら仕事は?復帰のタイミングは?【産婦人科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/01/29
更新日:2019/02/13
切迫流産になったら仕事は?復帰のタイミングは?【産婦人科医監修】
監修
小川隆吉先生
小川クリニック院長

仕事をしている妊婦さんが、突然「切迫流産」と診断されたら、どのように対応したらいいのか悩みますね。職場への連絡のしかたや仕事に復帰するときのタイミング、自宅での過ごし方などを知っておきましょう。

切迫流産とは

妊娠したにもかかわらず、妊娠の早い時期(妊娠22週未満)に、赤ちゃんが亡くなってしまうことを「流産」といいます。一方、「切迫流産」は、赤ちゃんが子宮内にとどまっているものの、流産のリスクがある状態をいいます。流産では妊娠を継続することができませんが、切迫流産の多くは妊娠を継続することが可能です。

切迫流産の症状と治療方法

切迫流産の主な症状は、出血や下腹部の痛みです。

妊娠12週未満の切迫流産は、はっきりとした原因がわからないことがほとんどです。流産を予防する有効な薬がないため経過観察になりますが、赤ちゃんの心拍が確認されていれば、たいていは症状が落ち着いてきます。子宮の中に血液のかたまりがあるような場合は、医師から安静を指示されることがあります。

一方、妊娠12週以降では、主な原因として、胎盤辺縁の剥離、子宮頸管の炎症、子宮頸管ポリープからの炎症、子宮筋腫、子宮頸管無力症(子宮を支える子宮頸管の組織が弱くなって子宮口が開いてしまう状態)などがあげられます。

治療は安静が第一で、症状によって「入院安静」もしくは「自宅安静」を指示されます。また、子宮収縮がある場合は、子宮収縮を抑える薬の内服や点滴が行われたり、細菌感染が疑われる場合は、抗生剤の膣内投与などが行われたりします。

子宮頸管無力症の場合は、子宮頸管を特殊なテープで縛る手術が行われることもあります。

【医師監修】切迫流産の原因・症状・治療法!腹痛や出血発症時期はいつ?
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切迫流産というトラブルがあることは知っていても、「どんな症状なの?」「流産しちゃうの?」実際にはどんなトラブルなのかわからず、不安になる妊婦さんも。しかし、「切迫流産」と診断されても、そのまま流産してしまうとは限りません。切迫流産の症状や安静と指示されたときの過ごし方について、ドクターが解説します!
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切迫流産になったら仕事は辞めるべき?

切迫流産になったからといって、仕事を辞める必要はありません。しかし、医師から「安静」の指示が出た場合は、ママと赤ちゃんの健康を第一に考えて、仕事は休むようにしましょう。安静を保つことで出血や下腹部痛などの症状を抑え、流産につながるリスクを下げることができます。
「デスクワークだけなら大丈夫では?」と思うかもしれませんが、仕事をしていれば疲労やストレスは避けられません。直属の上司とよく相談し、できるだけ休めるようにしてもらいましょう。

切迫流産後の仕事復帰のタイミングは?

切迫流産の症状は個人差が大きく、安静にしなければならない日数は人それぞれです。症状が回復し、流産の危険性がなくなったと医師が判断したら、仕事に復帰してもよいでしょう。

ただし、「休んでいた分を取り戻したい」と頑張りすぎないように。無理をせず、疲れたときは体を休めましょう。また、再び入院・自宅安静になったとき、いつでもほかの人に引き継げる準備もしておくと安心です。

切迫流産で仕事が休めないときは?

切迫流産と診断されたときは、「切迫流産で医師から安静の指示が出たので、仕事を休ませてください」と上司にきちんと伝えましょう。男女雇用機会均等法13条の規定により、事業主は休業の措置を実施する必要があります。口頭で伝えるだけでも休むことができますが、診断書が必要な場合は病院で書いてもらって提出します。

スタッフが不足していたり、繁忙期だったりすると、休みづらいですね。でも、ママが無理をして仕事を続けることは、赤ちゃんを危険にさらすことになります。ママと赤ちゃんの健康を優先しましょう。

母性健康管理指導事項連絡カードを利用する

妊娠中、体調を理由に仕事を休むときは、診断書と同じ効力がある「母性健康管理指導事項連絡カード(以下、母性健康連絡カード)」を医師に記入してもらい、事業主に提出する方法もあります。

このカードは、働く妊婦さんに対して医師から指導があった場合、その指導内容を事業主に明確に伝えるために作られたものです。職場の上司に言い出しにくいときは、母性健康連絡カードを提出するほうが早くて便利です。

母性健康連絡カードは厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます。また、病院で用意していたり、自治体によって母子手帳に添付されていたりする場合もあります。

傷病手当金を利用する

休職すると経済的な問題が出てくる人は、傷病手当金を利用する方法があります。

傷病手当金は、業務以外の病気やけがのため無給で仕事を休んだ場合に、休んだ日数に応じて給料の一部を支払ってもらえる制度です。支給額は、「標準報酬月額を30日で割った日給の3分の2相当額」で、休んだ日数だけ支給されます。休んだ日数は、連続して3日休んだあとの4日目を1日目と数えます。

健康保険組合や共済組合に入っていることが条件なので、詳細は勤務先の人事・総務もしくは健康保険組合に問い合わせてください。

切迫流産での仕事以外の注意点は?

切迫流産と診断され、自宅安静を指示された場合は、次のことに注意しましょう。

家事

安静の度合いにもよりますが、症状が軽い場合は、普段すごす部屋の掃除や、短時間でできる食事の支度ぐらいなら許可が出ることがあります。ただし、大掃除や布団の上げ下ろし、長い時間キッチンに立って作業をすることはやめましょう。食事は宅配弁当や、市販の惣菜、レトルト食品などを利用するといいですね。
買い物のおすすめはネットスーパー。横になったまま欲しいものが注文できるので楽です。

入浴

湯船につかるのは意外に体力を消耗するので、なるべくシャワーにしましょう。体調がよくないときはシャワーもやめて、タオルで体を拭いて清潔を保ちましょう。

車の運転

万が一、運転中に体調が悪化すると事故につながるおそれがあります。自分で車の運転をするのは、なるべく控えたほうがいいですね。家族に運転を頼むか、タクシーを利用するのがベストです。

性行為

性行為をすると子宮収縮が促されてしまうので、切迫流・早産の診断を受けているときはやめましょう。おさまったあとなら問題ありませんが、妊娠中は免疫力が低下しているので、菌の侵入で炎症が起きやすくなります。パートナーにコンドームの重要性について話し、協力してもらいましょう。性行為はママの体調や気持ちを優先し、おなかに負担がかからないよう、挿入は浅めにするなどの配慮や工夫が必要です。

上の子がいる場合

上の子がいると、ママは育児でなかなか安静にできませんね。できれば実家や親戚に上の子を預けたり、シッターさんにお願いしたりして、ママの負担が軽くなるようにしてください。
また、上の子の育児については、市区町村の母子保健課、子育て支援課などに連絡して、妊産婦のサポート事業があるか問い合わせてみましょう。保育園で上の子を受け入れてくれる場合もあります。

取材・文/小沢明子

監修
小川隆吉先生
小川クリニック院長
日本医科大学卒。都立築地産院産婦人科医長として勤務する傍ら、日本医科大学産婦人科講師を兼任。1995年小川クリニックを開設。医学博士、日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医。妊婦さんの疑問や悩みに真摯に応えてくれる、気さくで頼りになるドクターです。

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