【小児科医監修】手足口病の感染力 新生児もかかるの?【症例写真あり】


渡辺とよ子先生
わたなべ医院 院長
この記事は、手足口病の感染力や新生児の罹患についてまとめたものです。手足口病は、小さい子供がかかることが多い病気です。耳慣れない病名ですが症状はさほど重くなく、風邪の一種とされています。症状や感染ルートはどうなっているのでしょうか。
手足口病とは
原因ウイルスは数種類ある
手足口病は、病気を引き起こすウイルスに感染することによって起こります。原因となるのは、腸の中にいるコクサッキ―A16ウイルスやエンテロウイルス71型など。原因ウイルスが数種類あるため、一度かかっても別のウイルスが原因で再び手足口病にかかることがあります。
暑い季節に流行りやすい
手足口病の原因となるコクサッキ―ウイルスやエンテロウイルスは、高温多湿の夏に活発になる性質があります。そのため、ヘルパンギーナや咽頭結膜熱(プール熱)と並び「夏風邪」と言われることも。ただし最近は、季節を問わず手足口病にかかるケースが見られます。
手足口病の症状
特徴的な部位に出る発疹
手足口病の特徴はその名の通り、手や足、口の中、舌などに、周囲が赤くて真ん中が白い、米粒大の水疱ができることです。普通、手足の水疱は痛みませんが、ときには痛みやかゆみを訴える子もいます(ウイルスの型によってはおなかや背中、ひじ、お尻、性器の周辺など、手足ではない部位に発疹が出ることがあります)。
口の中にできた水疱は破れてただれ、強い痛みを伴う潰瘍になるため、つばを飲み込むのもつらくなります。言葉で自分の体調を訴えられない赤ちゃんは、不機嫌になったり食欲が落ちたりします。
ふちが赤い米粒大の水疱が、手のひら、足の裏、指、口の中などにできます。水疱は1週間ほどで自然に消えていきます。
口の中にできた水疱はつぶれて潰瘍になり、1週間ほどで消えていきます。痛むので食べるのを嫌がることも。
熱はさほど高くならない
手足口病では熱が出ることもありますが、37度~38度ぐらいであまり高くはなりません。多くは1~2日で下がります。ただし、近年流行が見られるコクサッキ―A6というウイルスによるものは、39度台の高熱になることがあります。
熱とともに下痢やおう吐の症状が出ることもあります。
まれに髄膜炎を起こすことが
手足口病は「夏風邪」と言われるように風邪の一種とされていて、症状はさほど重くありません。水疱は1週間ぐらいで自然に消えていき、跡が残ることもありません。
ただ、ごくまれにですが髄膜炎を併発することがあります。高熱が出る、頭を痛がる、ひきつける、嘔吐をくり返すなどの様子がある場合はすぐに受診しましょう。
髄膜炎は子供の病気としては重症ですが、手足口病に併発するのはウイルス性の髄膜炎です。ウイルス性の髄膜炎は脳の細胞には影響しないことが多く、後遺症を残すこともあまりありません。
手足口病にかかりやすい時期は?
季節は夏
手足口病の原因になるウイルスは高温多湿の環境を好みます。このため、患者は夏に多く、ヘルパンギーナや咽頭結膜熱(プール熱)と合わせて夏風邪と言われることもあります。ただ、近年は夏以外にもかかるケースがあり、夏の病気とは言い切れなくなっています。
新生児もかかることがある
手足口病は5歳ごろまでの乳幼児に多い病気です。患者の半数は2歳以下で、赤ちゃんでもかかります。生後1~2ヶ月の新生児は、ママからもらった免疫があるので病気にかかりにくいのですが、絶対にかからないわけではありません。手足口病は比較的症状が軽い病気ですが、新生児は体のさまざまな機能が未熟なため、重症化しやすい傾向があります。世話をする人は手洗いを励行する、むやみに外に連れ出さないなど、病気の感染を防ぐ暮らしを心がけましょう。
大人はあまりかからない
手足口病は小学生でも時折かかる子がいます。それ以上の年齢になると多くの場合、原因ウイルスに一度は感染しているので、大人の発症はあまり見られません。
手足口病の潜伏期間
原因になるウイルスはいくつか種類がありますが、潜伏期間は3~6日です。
手足口病はどうやって感染する?
ウイルスはいろいろな方法で人の粘膜にとりつきます。粘膜にとりついたウイルスはそこから体内に侵入し、さまざまな症状を引き起こします。これが「感染」です。手足口病のウイルスは感染力が強く、いろいろなルートで人に感染します。
飛沫感染
感染ルートその1は、飛沫感染です。病気にかかった人のせきやくしゃみで飛び散ったウイルスが、別の人の粘膜にくっついてうつることを飛沫感染といいます。手足口病も飛沫感染します。
接触感染
感染ルートその2は、接触感染です。病気の人の皮膚や粘膜を直接さわることでウイルスに感染することを接触感染といいます。手足口病の水疱の中には多くのウイルスがいるため、破れた水疱をさわったりすると接触感染します。
経口感染
感染ルートその3は、経口感染です。病原菌のついた食べ物などを口に入れて感染することを経口感染といいます。手足口病の原因ウイルスは、長期間にわたって便から排出されます。おむつ替えの後、手をよく洗わずに調理したりすると経口感染を引き起こす可能性があります。
手足口病にかかったときの対策
特効薬はない
手足口病の原因ウイルスをやっつける特効薬はありません。熱もあまり高くならないため特に治療はせず、自然に治るのを待ちます。
口当たりのよいなめらかな食事を
口の中にできた水疱はしみて痛みますが、1週間ほどでよくなります。痛みで食欲がなくなることも多いのですが、痛くて食べられないのはせいぜい1~2日です。無理やり食べさせる必要はありません。
嫌がらないなら、つるんとした口当たりのよいプリンやゼリー、冷たいアイスクリーム、栄養のあるなめらかなスープなどを食べさせましょう。
一度にたくさん食べさせるより、何回かに分けて少しずつ食べさせるといいでしょう。
つるんとしたゼリーなどが飲み込みやすい
関連リンク⇒⇒⇒赤ちゃんが『手足口病』のとき食べやすい「おすすめ離乳食レシピ」3品
水分補給に注意
食べ物を無理にとらせる必要はありませんが、食事をしないと水分が不足しがちです。水分はしっかりと補給しましょう。手足口病にかかりやすいのは暑い時期でもあるので、脱水には十分注意します。
赤ちゃんなら母乳やミルク、白湯、麦茶など。もう少し大きい子は子供用のイオン飲料などを飲ませるのもいいでしょう。ただし、大人用のスポーツドリンクをそのまま、あるいは薄めて飲ませるのはよくありません。糖分や塩分のとりすぎになったり、体内の電解質のバランスをくずしたりします。
経口補水液はどの年代でも効率的に水分補給ができておすすめですが、味にややクセがあるので嫌がる子も少なくありません。液体よりゼリータイプの経口補水液のほうが、とりやすいかもしれません。
水分補給は「少しずつ、何回も」が基本です。一度にたくさん飲ませるのではなく、たとえスプーン1杯でもいいので、こまめに何度もとらせましょう。
症例写真出典/はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア
写真一部出典/Baby-mo

渡辺とよ子先生
わたなべ医院 院長
医療法人社団わたなべ医院
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