【産婦人科医監修】子宮外妊娠になる確率は?初産や年齢との関係はあるの?

 専門家監修
公開日:2019/01/28
【産婦人科医監修】子宮外妊娠になる確率は?初産や年齢との関係はあるの?
監修
佐藤雄一先生
佐藤病院院長 産婦人科医

子宮外妊娠になってしまう確率は妊娠数全体の約1~2%とされています。
妊娠がわかったら早めに超音波検査などを受け、妊娠の状態を確認することが大切です。

子宮外妊娠とはどういうものなの?

子宮外妊娠は妊娠のごく初期に起きるトラブルで、子宮内膜以外の場所に受精卵が着床してしまうことです。医学的には「異所性妊娠(いしょせいにんしん)」といいます。

本来なら、受精卵は細胞分裂をしながら卵管から子宮へと進み、子宮内膜に着床して妊娠となります。このとき受精卵が子宮内膜まで進めず、卵管などに着床してしまうと子宮外妊娠となり、妊娠が継続できなくなるのです。

自然に流産する場合もありますが、薬で治療したり手術が必要となる場合もあります。

子宮外妊娠になる確率はどれくらいなの?

妊娠検査薬に陽性反応が出て超音波検査で子宮内に胎嚢(たいのう)が確認できると、妊娠がわかります。
妊娠の可能性があるのに子宮内に胎嚢が確認できない場合は、子宮外妊娠の疑いが出てきます。ただ、たまたま排卵が遅れてまだ胎嚢が見えていないだけということもありえるので、何日かおいて再度、検査をすることもあります。

さらに、血液検査でhCGの値も確認します。
hCGとは、受精卵が着床して妊娠の状態になるとつくられる「ヒト絨毛性(じゅうもうせい)ゴナドトロピン」というホルモンです。病院では血液からhCGの数値を調べられるので、数値が上がっているのに胎嚢が見えないとなると子宮外妊娠の疑いが強くなります。

子宮外妊娠になる確率は、妊娠数全体の約1~2%ほどです。低い確率ではありますが、誰にでもおこる可能性はあります。
子宮外妊娠は妊娠した状態ではあるのですが、赤ちゃんが成長できないので妊娠を続けることはできません。子宮外妊娠の診断が確定したら、治療を行うことになります。

初産か二人目以降かで子宮外妊娠になるリスクは変わる?年齢は関係あるの?

子宮外妊娠になるリスクは、初産か二人目以降の妊娠かという点では直接的な関係はないようです。ただし、子宮外妊娠の経験があると、約10%の確率で再発しています。子宮外妊娠をした人は、卵管がつまっているなどなにかしらの原因を持っている場合もあるためです。

子宮外妊娠の経験はなくても、二度目の妊娠までの間に卵巣や卵管などの手術を受けたり、初産で帝王切開をしたりという経験があれば、結果的に初産のときよりもリスクが高くなります。

また、体外受精でも子宮外妊娠になってしまうことはあります。体外受精の場合は子宮内に受精卵を戻すわけですが、子宮頸管に着床して子宮外妊娠(異所性妊娠)になってしまうケースがあるのです。

子宮外妊娠と出産年齢の関係

出産年齢が上がると、子宮外妊娠になるリスクは3倍に上がるとされています。年齢が高くなって加齢的な変化があること、手術の経験、既往症などが増える可能性があることが関係していると考えられます。

子宮外妊娠ってどんな症状が出るの?

子宮外妊娠になると、おりものが増えたり不正出血をする場合も。けれども、通常の妊娠でも不正出血などがある人もいるので、それだけで判断するのはむずかしいでしょう。

子宮外妊娠は妊娠した状態なので、妊娠検査薬で調べれば陽性反応が出て、基礎体温の高い状態が続くなど、さまざまな妊娠の兆候があらわれます。出血の量は個人差がありますが、出血を生理がきたものと勘違いし、子宮外妊娠に気づかない人もいるようです。
妊娠5~7週目には、通常の妊娠のようにつわりの症状が出ることもあります。

子宮外妊娠に治療は必要なの?

子宮外妊娠の治療は、妊娠週数と状況に合わせて決まります。

超音波検査によって早期に子宮外妊娠がわかっても、体調が安定している場合は経過観察となります。そのままhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の数値が下がってくれば、自然に流産することもあるためです。
自然に流産した場合は、妊娠によって厚くなっていた子宮内膜がはがれて出血します。生理よりも出血量が多く、お腹が痛むこともあります。これによって妊娠が終わるので、子宮外妊娠のための治療をすることはありません。

流産せずに受精卵が育ってしまうようなら、薬の投与や手術による治療を行います。卵管に着床した子宮外妊娠を放置しておくと、最悪の場合、卵管破裂でお腹の中に大量出血しショック状態になる危険もあるためです。

治療方法は、子宮外妊娠が確定した時期や状況により決まります。

薬で治療する場合

受精卵の発育がゆるやかで、すぐに手術しなくてもよい場合には、薬での治療も可能です。MTX(メトトレキサート)という薬を使い、成長をとめて流産させる方法です。
hCGの値が落ち着いていて状態がいいとき、手術を希望しないときなどに薬での治療がすすめられます。薬は1回の筋肉注射で終わることもありますが、様子を見て2回以上行ったり、効果が見られなければ手術に切り替えることもあります。
MTXの治療は欧米では一般的ですが、日本では子宮外妊娠の治療は保険適用外となっています。

手術をする場合

hCGの値が上がり続けるなど、卵管に着床した受精卵が成長している場合は、卵管破裂の危険性が出てくるので手術を行います。
手術方法は卵管を切開して胎嚢だけを切除する卵管線状切開術(卵管温存手術)、または卵管を切除する卵管切除術の二つの方法があります。
どちらの手術も、腹腔鏡手術または開腹手術が可能。最近では、ほとんどが腹腔鏡手術で行われることが多く、3泊から長くても1週間くらいの入院で終わります。

子宮外妊娠になってしまったとしても、早めに診断を受けて対処すれば危険を避けることができます。治療や手術を受けても、その後の妊娠も可能です。

子宮外妊娠とは?その原因と症状は?子宮外妊娠になる確率はどのくらい?痛みはあるの? 次の妊娠への影響は?
子宮外妊娠とは?その原因と症状は?子宮外妊娠になる確率はどのくらい?痛みはあるの? 次の妊娠への影響は?
子宮外妊娠という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。子宮外妊娠は、医学的に正しくは異所性妊娠といい、妊娠のごく初期に起きるトラブルの一つ。原因は何なのか、どんな症状があるのか、ほうっておくとどうなるかなどについて、ご説明します。
記事を読む

取材・文/宮野明子

監修
佐藤雄一先生
佐藤病院院長 産婦人科医
産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。女性の心身の健康を支援する医療を心がけ、予防医療の観点から妊婦さんの食事や栄養の大切さを指導している。

あなたにおすすめ

注目コラム