【症例写真あり】子供の手のひらにできた湿疹 原因と症状、対処法は?【医師監修】

 専門家監修
公開日:2019/01/24
更新日:2019/03/22
【症例写真あり】子供の手のひらにできた湿疹 原因と症状、対処法は?【医師監修】
監修
馬場直子先生
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長

子供の手のひらにできた湿疹についてまとめました。赤ちゃんや子供には湿疹ができることが多いもの。食べ物がつきやすい顔の周りや、汗がたまりやすい首、手足のくびれた部分などは湿疹ができやすい部位ですが、手のひらもその1つです。ただし、「湿疹だと思っていたら実は違った」という場合もあります。手のひらに湿疹ができる原因や、ほかの病気との見極め方、受診の目安などについてまとめました。

子供に湿疹が多い理由

赤ちゃんや子供は、大人に比べて頻繁に湿疹ができると感じたことはないでしょうか? その理由は、小さな子供と大人の皮膚に違いがあるからです。

きれいな肌の赤ちゃん赤ちゃんの肌は、実はとてもデリケートです

1. 皮膚が薄く、刺激を受けやすい

人間の皮膚は3層になっていて、外側から表皮、真皮、皮下組織と呼ばれています。一番外側にある表皮は、外からの刺激を防いだり、水分が体の外に出ていかないようにする働きをしています。

赤ちゃんや子供では、この表皮が大人の半分ほどの厚みしかありません。そのため、大人に比べると外からの刺激を受けやすくなっています。

皮膚角層と表紙細胞からなる表皮。小さな子供はこの表皮が、大人の半分ほどの厚さしかありません。

2. バリア機能が未熟で有害物質が入り込みやすい

外からの刺激をブロックしたり、体の中の水分が出ていかないようにしているのは、角質です。

角質は積み重なって角層を作っていますが、赤ちゃんや子供は大人に比べると角層そのものの厚みもありません。外の刺激から皮膚を守るバリア機能もその分弱くなっているため、細菌やウイルスなどの異物が入り込みやすく、トラブルになりやすいのです。

3. 体は小さいけれど汗腺の数は大人と同じ

皮膚には「汗腺」という汗の出る穴がありますが、赤ちゃんでも大人とほぼ同じ数の汗腺があります。赤ちゃんや子供は大人よりも体が小さいため、同じ面積で比較すると、大人より汗腺の密度が高くなり、それだけ汗をかきやすいのです。

汗をたくさんかくと皮膚がふやけて汗腺がふさがれるため、汗が体の外に出られなくなり、皮膚の内側にたまって炎症を起こします。これがあせもで、漢字では「汗疹」と書きます。赤いかゆみのある湿疹で、かきこわすと悪化することもあります。

子供の手のひらに湿疹ができる原因は?

手は、体の中でもよく使う部位です。まだあんよができない赤ちゃんにとっても、自由に動かすことができるのが手。なめたりして口の中に入れることも多く、汗腺の数も他の部位より多くて汗をかきやすいため、手のひらは湿気がたまりやすいところです。

実は、湿気がたまると湿疹ができやすくなります。これは、湿気の多いオムツに覆われた部分に肌トラブルが起こりやすいのと同じです。皮膚は蒸れた状態だと傷つきやすく、何らかの刺激が加わると炎症を起こしてしまうのです。

赤ちゃんの握った手握った手の中は湿気がいっぱい

ただし、湿疹だと思っていたものが実はそうではなく、「発疹」だったということもあるので、注意が必要です。

湿疹は主に外からの刺激で起こり、できる部位も限定的ですが、

発疹は主にウイルス感染や薬剤など体の内側からの要因で起こり、全身的な症状が出ます。また、病気によってできやすい部位はありますが、多くの場合左右に関係なく全体的に現れます。

湿疹と発疹の違いは、見た目ではわかりにくいこともあります。まずは熱があるかどうか、機嫌や食欲が普段と変わらないかどうかを確認しましょう。熱がある、ぐずる、食欲がない、咳や鼻水など普段と違う様子がある、などの場合は発疹の可能性が高いといえます。

湿疹と発疹の違いまとめ

●湿疹

・主に外からの刺激で起こる

・できる部位が限定的

●発疹

・主にウイルス感染など体の内側からの要因で起こる

・発熱などの全身症状が出ることも多い

・多くの場合、左右に関係なく全体的に現れる

赤ちゃんに発疹(ほっしん)が出たときの原因と症状と対処法は?【症例写真付&小児科医解説】
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赤ちゃん時代は、肌にポツポツと発疹が見られることがあります。すべすべしたきれいな赤ちゃんの肌に、発疹ができると心配ですね。発疹もは心配する必要のないものもありますが、病気のサインとして出ている場合もあり、病気の中には特徴的な発疹が出ることから診断がつくこともあります。今回は、病気が原因で出る発疹についてまとめました。発疹の種類や出方、発疹が出る病気などについて知っておき、正しく対処ができるようにしておきましょう。
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子供の手のひらに湿疹ができた! これは病気なの?

「発疹」ではなく「湿疹」の場合は、病気というよりも肌トラブルととらえたほうがよさそうです。たとえば、以下のようなものが考えられます。

乳児湿疹

赤ちゃんによくできる湿疹のことで、赤いポツポツができることが多いですが、1つ1つがつながって広い範囲が赤くなることもあります。一般的に手のひらにできるものは、それほどかゆみはありません。

ただ、炎症が激しい場合やアトピー性皮膚炎の場合は、かゆみが出てきます。暑い時期になるとかゆみが増してかきむしってしまうことも多いので、注意しましょう。

乳児湿疹生後3週間ごろにできた乳児湿疹。頬のほか、眉毛の上、髪の毛の生え際に目立ちました。

あせも

汗がたまりやすい場所にできる赤い湿疹です。おもに首まわりやひたい、手足、おなかや背中など汗をかきやすい部位にできますが、赤ちゃんの場合は手を握っていることも多く、手のひらに汗がたまってできることもあります。

かゆみがあり、かきこわすと「とびひ」といって、あっという間に全身に広がったり、細菌が感染して熱が出る「あせものより」になることも。

あせも6ヶ月の時。着せすぎたのか、背中にびっしりとあせもが。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は生後2~3ヶ月以降にジュクジュクした湿疹が出ることから始まります。顔や頭からだんだん体の下に下りていき、首、おなか、背中、手足の関節部分などに広がっていきます。

乳児湿疹との見分けが難しいのですが、アトピー性皮膚炎の特徴は以下の4つです。

1. よくなったり、悪くなったりを繰り返す

2. かゆみが強い

3. アレルギーを持つ家族がいる

(両親や兄弟にアトピー性皮膚炎、花粉症、ぜんそくなどの患者がいる)

4. 顔や頭から体の方に下りていく、関節部分に広がるなど、湿疹ができる部位に特徴がある

アトピーひざ裏にできたアトピー性皮膚炎。足首、手首などのくびれ部分、皮膚がこすれる部分に出やすい。

手のひらにブツブツが出る病気

肌トラブルではなく病気の場合、手のひらのブツブツは「発疹」と考えられます。手のひらに発疹が出る病気には、以下のようなものがあります。

手足口病

その名の通り、手のひらや足の裏、口の中などに発疹ができます。まわりが赤くて真ん中が白く、米粒ぐらいの大きさの水ぶくれができるのが特徴です。口の中の水ぶくれが破れてただれて痛むので、食べたり飲んだりを嫌がることが少なくありません。熱は38度ぐらいか、出ないこともあります。

かかりやすいのは生後6ヶ月~4、5歳の乳幼児で、夏によく見られます。コックサッキーウイルスやエンテロウイルスなど、複数のウイルスが原因で、それぞれ感染力が強いため、何回もかかることがあります。

手足口病(拡大)手足口病。水疱ができて3日目の手首

突発性発疹

生後6ヶ月~1歳ぐらいにかかりやすい病気です。特に症状がなく、39度ぐらいの高い熱が3~4日続き、その後熱が下がると同時におなかを中心に細かく赤い発疹が出て、全身に広がります。発疹にはあまりかゆみはありません。

原因はヒトヘルペスウイルス6型と7型の2種類。そのため、一度かかってもまたかかることもあります。特に流行する季節はなく、一年中見られます。

突発性発疹おなかを中心に発疹が。発疹は2~3日で少しずつ薄くなり自然に消えていきます。

はしか

はしかは「麻疹」ともいい、とても感染力の強い麻疹ウイルスが原因です。せきやくしゃみなどによる飛沫感染や空気感染でうつります。

生後6ヶ月未満の赤ちゃんはママからの免疫があるためかかりにくいのですが、それ以降は予防接種をしていないとほぼ100%の子供が感染します。

38度台の発熱、せきや鼻水などの症状から始まり、3~4日後に熱が一度下がったあと、半日~1日後に再び上がって39度台になります。同時に赤く細かい発疹が出始め、咳や鼻水のほかに目の充血なども見られます。

発疹は顔から次第に全身に広がり、発疹がいくつかくっつくこともあります。

はしか(拡大)直径1~2mmの細かい発疹が体全体に広がります

水ぼうそう

水ぼうそうの原因は、水痘帯状疱疹ウイルスです。麻疹ウイルスと同じようにとても感染力が強く、せきやくしゃみなどの飛沫感染や空気感染でうつります。

最もかかりやすいのは10歳以下の乳幼児と子供で、ママが水ぼうそうにかかったことがない場合は新生児でもかかることがあります。

最初は微熱程度の熱と、虫刺されのような細かく赤い発疹が出ます。発疹は頭皮や陰部などにもでき、そのうちに水ぶくれになって体全体に広がります。

水ぶくれは次第に乾いて1~2週間でかさぶたになりますが、かゆみが強いため、かきこわすと化膿してあとが残ってしまいます。

水ぼうそう(拡大)発熱と同時に出る直径1~3mmの発疹は、やがて白くにごった液が入った膿疱になり、その後かさぶたに

風疹

風疹ウイルスが原因で起こる病気で、せきやくしゃみによって飛沫感染します。

38度ぐらいの熱が出ると同時に赤く細かい発疹が全身に出ます。発疹は2日ほど、熱は3~4日で下がりますが、出ないこともあります。「三日ばしか」ともいわれ、はしかを軽くしたような症状ですが、耳の後ろや首のリンパ節が腫れるのが特徴です。

1歳以降小学校低学年までの乳幼児と子供がかかることが多く、1歳前の乳児にはあまり見られません。春から初夏にかけて多く見られます。

風疹細かい点のような発疹が全身に出ます

溶連菌感染症

「溶血連鎖球菌」という細菌によって起こります。せきやくしゃみによる飛沫感染でうつり、秋から春にかけて流行します。

39度近い熱とのどの痛みから始まり、のどの奥が真っ赤に腫れます。同時に赤く細かい発疹が体全体に広がりますが、手のひらや足の裏など一部にだけ出ることもあります。舌のボツボツが赤くなって目立つ「いちご状舌」も大きな特徴です。

最もかかりやすいのは4~7歳ぐらいの幼児~小学校低学年ぐらいの子供です。2~3歳児でも見られますが、1歳未満ではあまりかかりません。

溶連菌感染症(いちご舌)赤くて細かい発疹が全身に広がり、舌に赤いブツブツが出ることも

子供の手のひらに湿疹ができたときの対処法

乳児湿疹やあせもなどの肌トラブルが起きたときは、「清潔にして保湿する」スキンケアが基本です。

入浴して石けんできれいに洗う

1日1回はおふろに入り、汚れをしっかり落としましょう。入浴時には石けんを泡立てて、やさしく洗います。ゴシゴシこするのは刺激になるのでNG。

0歳台は石けんを泡立てた手で、1歳以降はやわらかい綿のタオルなどを使って洗ってもOK。手のひらを広げて、指の間も忘れずに洗いましょう。月齢が低い赤ちゃんの場合は、入浴時以外にも1日2~3回手のひらをふいてあげるとベターです。

洗うときの注意点

・石けんは泡立てる

石けんの泡立て具合石けんはよく手で泡立ててから洗います

・0歳台は手で、1歳以降はやわらかい綿のタオルなどで洗ってもOK

タオルで洗うとき石けんをよく泡立ててからタオルに移し、やさしく洗いましょう

・手のひらを広げて、指の間もしっかりと

手のひらの洗い方いつも握っている手のひらは開いて洗います

洗ったり、ふいたりしたら必ず保湿

きれいに洗ったりふいたりしたあとは、しっかり保湿することが大切です。保湿をしないと体の中の水分が蒸発して乾燥し、肌トラブルの原因になってしまいます。

おふろから出たあとは、5~10分以内を目安に保湿剤を塗りましょう。

子供の手のひらに湿疹 病院に行く目安は? 何科を受診?

機嫌や様子がいつもと変わらない場合⇒皮膚科へ

子どもの手のひらに湿疹ができた場合は「清潔+保湿」のスキンケアをしますが、ケアを続けて1週間しても治らない場合、悪化する場合には皮膚科を受診しましょう。

また、アトピー性皮膚炎かどうかは、医師が最低2ヶ月以上観察したうえで診断します。発熱がなく肌のトラブルがある場合は、まずは皮膚科を受診してください。

発熱などいつもと様子が違う場合⇒小児科へ

熱がある、ぐったりしている、機嫌が悪い、食欲がないなど、いつもと違う様子が見られた場合は、肌トラブルではなく感染症などの病気が考えられます。できるだけ早く小児科を受診します。

子供の手のひらに湿疹ができたときの治療は?

発熱などがなく、ふだんと様子がかわらない場合

乳児湿疹やあせもなどの肌トラブルで受診した場合は、炎症を抑える薬が処方されます。

乳児湿疹の場合、たいていはステロイドの入っていない軟膏が処方されますが、かきこわしたときには弱いステロイド剤が処方されることもあります。

あせもの場合は弱いステロイド軟膏が処方されることが多く、細菌感染をしている場合は抗菌薬入りのステロイド軟膏が出されることもあります。症状が軽ければ、非ステロイドの消炎作用のある塗り薬が出されることも。

手のひらに湿疹ができたときの治療まとめ

●乳児湿疹

通常           非ステロイドの軟膏

かきこわしたとき     弱いステロイド軟膏

●あせも

 通常           弱いステロイド軟膏

 細菌感染しているとき   抗菌薬入りステロイド軟膏

 軽めの症状        非ステロイドの消炎作用のある軟膏

病気の発疹の場合

発熱と発疹がある場合(イメージ)

小児科を受診し、手のひらのブツブツが湿疹ではなく「発疹」と判明した場合は、それぞれの病気によって治療が異なります。

手足口病や突発性発疹、はしか、風疹などウイルスによる病気の場合は、特別な治療は行いません。熱を一時的に下げる解熱剤など症状をやわらげる薬を使いながら、自宅で安静に過ごします。

水ぼうそうの場合は、発症後2日以内に抗ウイルス薬を飲めば、発疹や発熱などの症状が軽くなります。発疹のかゆみが強い場合には、かゆみ止めの軟膏が処方されます。

溶連菌感染症では、抗菌薬(抗生物質)が処方されます。症状がおさまったからといって服用をやめると再発することがあるので、処方された薬を飲み切ることが大切です。

イラスト/福井典子

症例写真出典/はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア

出典 :はじめてママ&パパの 0~6才 病気とホームケア※情報は掲載時のものです

監修
馬場直子先生
神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長
滋賀医科大学卒業。横浜市立大学皮膚科などを経て、1994年神奈川県立こども医療センター皮膚科医長、2002年より現職。日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会、日本臨床皮膚科学会会員。的確な診察とわかりやすい説明で、ママたちに信頼されています。

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