新生児の風邪の症状は?うつらないの?薬は飲むの?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2019/03/11
更新日:2019/04/16
新生児の風邪の症状は?うつらないの?薬は飲むの?【小児科医監修】
監修
鈴木 洋先生
鈴木こどもクリニック院長

この記事は、新生児の風邪について解説しています。「新生児は風邪をひかない」とよく言われますが、それって本当? 生後0ヶ月~6ヶ月未満の低月齢の赤ちゃんの風邪の原因と症状、風邪を引いたら薬は使っていいのかどうかを小児科医に聞きました。低月齢で風邪を引いた赤ちゃんの体験談もご紹介します。

新生児にも風邪はうつる? 風邪を引く原因は?

ママから免疫をもらって生まれるけれど、病気になることもあります

赤ちゃんはママのおなかの中にいるとき、胎盤を通して、ママからさまざまな病気の免疫をもらっています。そのおかげで生後6ヶ月ぐらいまでは、風邪などの病気にかかりにくいと言われています。でも「ママからもらった免疫があるから、生後6ヶ月まで絶対に風邪をひかない」「風邪はうつらない」「病気をしない」というわけではありません。

そもそも低月齢の赤ちゃんが風邪を引きにくいのは、外出する機会が少ないので、風邪を引いている人と接することもあまりありません。しかし赤ちゃん自身が外出しなくても、パパやママなど身近にいる大人からウイルスや細菌をもらってしまうことはあります。

それでもウイルスや細菌のパワーより、赤ちゃんがママからもらった免疫力や体力の方が強ければセーフ! 風邪はひきません。逆に、赤ちゃんがママからもらった免疫の力が弱かったり、体力が落ちていてウイルスや細菌のパワーのほうが強かったりすれば、風邪の症状が現れるでしょう。

これは風邪に限ったことではなく、それ以外の感染症も同様です。新生児だからといって病気にかからないわけではないのです。

月齢が低いほど、病気に対する抵抗力は弱い

同じ赤ちゃんでも、生後1ヶ月までの新生児期、生後6ヶ月ぐらいまでの時期、1歳前後のころを比較すると、病気に対する抵抗力が違い、月齢が低ければ低いほど体も未熟です。そのため、単なる風邪でも、月齢が低いほど重症化しやすいと言えるでしょう。

たとえば昔は「生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38度以上の熱を出したら入院させる」というルールを作っていた病院もめずらしくありませんでした。それぐらい低月齢の赤ちゃんにとって、発熱は重要なサインなのです。

新生児が風邪をひくと、どんな症状が出るの?

熱が出る、機嫌が悪い、母乳やミルクの飲みが悪いなど

風邪の代表的な症状は発熱、鼻水・鼻詰まり、せき、下痢、嘔吐などです。基本的にこれら風邪の症状は、大人も子どもも赤ちゃんもいっしょ。

新生児(1ヶ月未満)が風邪をひいた場合は、発熱、機嫌が悪い、鼻が詰まって母乳やミルクの飲みが悪い、などの症状が目立つでしょう。

生後6ヶ月までの赤ちゃんが熱を出したら、すぐに受診!

発熱の原因は風邪のことが多いけれど

0~1ヶ月という新生児期に熱が出ることは、まれです。

発熱の原因は風邪の場合が多いのですが、風邪ではなく、ママからもらった免疫がきかないような病気にかかっている可能性もあります。6ヶ月未満の赤ちゃんの場合、風邪以外の病気が原因で発熱する確率が6ヶ月以上の赤ちゃんよりも高いのです。低月齢の赤ちゃんが熱を出したら、「たぶん風邪だろう」とママやパパが自己判断しないこと。必ず医師の診察を受けてください。

生後6ヶ月以上の場合は、多少熱があっても機嫌がさほど悪くなく、おっぱいやミルクが飲めていれば、急を要する病気ではないでしょう。おそらく風邪でしょうから自宅で安静にし、水分補給を心がけます。どんどん悪化する様子がなければ、あまり心配する必要はありません。

風邪以外の原因で熱が出る病気

新生児が発熱することは少ないのですが、逆に発熱したときは「細菌性の発熱」である確率が高くなります。細菌性の発熱については以下で簡単に説明しますが、最近は生後2ヶ月から肺炎球菌ワクチン、インフルエンザ菌b(Hibワクチン)を接種できるので、髄膜炎や敗血症の数は非常に少なくなっています。

●髄膜炎

脳や脊髄の表面をおおう髄膜にウイルスや細菌が感染して起こる病気。ウイルスが感染した場合の症状は高熱、頭痛、嘔吐、首の後ろの硬直(痛いので、抱っこをイヤがります)など。細菌が感染した場合はウイルス性より重症感があり、たちまち元気がなくなる、大泉門がはれるなどの様子が見られます。けいれんや意識障害を起こすこともあります。

●尿路感染症

大腸菌などの細菌が尿道や膀胱など尿路に感染して起こります。発熱、尿の回数が増えるなどの症状が出ます。

●敗血症

風邪などの感染症が引き金になり、臓器の機能不全を起こす病気です。発熱のほか、ふるえ、呼吸や脈拍が頻回になる、意識障害などの症状が見られます。

風邪に似た症状が出るRSウイルスは月齢が低いほど要注意

2歳までにほぼ全員がかかる感染症

生後1歳までに半分以上の赤ちゃんが、2歳までにはほぼ全員が感染するといわれているのがRSウイルスです。このウイルスに感染すると、鼻水やせきなどの症状が現れますが、いつ感染するかによって重症度が大きく異なります。

1歳過ぎてからなど、ある程度大きくなってからかかった場合は、いわゆる風邪の症状でおさまることが多いでしょう。

しかし6ヶ月未満で感染すると、細気管支炎や肺炎などを引き起こしやすく、呼吸困難に陥ることもあります。

低月齢で感染すると重症化

6ヶ月未満で入院している赤ちゃんの多くは、このRSウイルス感染症と言われています。RSウイルスに感染しているかどうかは、インフルエンザのときのように鼻汁検査をすればすぐにわかります。そのため、低月齢でRSウイルスに感染しているとわかったら、早めに入院させて、重症化を防ぐのです。

RSウイルスによる肺炎は熱が出ないことも多いので、昔は「無熱性肺炎」と呼ばれたことがありました。また呼吸困難からチアノーゼ(血中の酸素が不足して、顔や唇などが青くなること)を起こすことから「ブルー肺炎」と呼ばれることもありました。

小さく生まれた赤ちゃんは風邪が重症化しやすい

人混みに連れ出さないなど、感染予防を心がけよう

早産で生まれた赤ちゃん、満期産でも平均体重よりかなり小さく生まれた赤ちゃんは、出生時点で心臓や肺の機能が十分に発達していないことがあります。そのため、単なる風邪でも重症化しやすいことを覚えておきましょう。

低月齢の子をむやみに人混みに連れ出さない、赤ちゃんと接するパパやママが手洗いを習慣にして風邪の原因ウイルスを家に持ち込まないようにする、空気が乾燥する季節は部屋の湿度を適度に保ってウイルスの活動を少しでも抑える、などを心がけましょう。

新生児が風邪をひいたら、薬は飲ませるの?

1ヶ月までの新生児には対症療法の薬が使われないことが多い

風邪のウイルスを直接やっつける薬はありません。風邪をひいたら、赤ちゃんが自分の力で治せるようにサポートするのが、治療の基本となります。処方される薬は、対症療法の薬です。

対症療法というのは、病気そのものではなく、症状をやわらげることで回復をはかる方法です。

解熱剤(一時的に熱を下げてウイルスと闘う体力を回復させる)、

せき止め(咳で眠れないなどの症状を緩和して体力を回復させる)、

去痰薬(たんを出しやすくして呼吸をラクにする)

などが対症療法の薬です。しかし、生後1ヶ月までの新生児にこうした対症療法の薬を使うかどうかは、医師の間でも意見が分かれます。「新生児に対症療法の薬を使わない」という意見の理由は2つあります。

理由1 症状の本当の理由を見逃す可能性がある

新生児の発熱は、風邪とは限らない可能性がほかの月齢の子よりも高いものです。「熱が出たから解熱剤」「咳が出ているから咳止め」と目に見える症状を消してしまうと、風邪以外の重い病気だった場合に、その本当の原因を探れなくなることがあります。

理由2 風邪薬を使うクセがつくのを防ぐ

子どもは風邪をくり返し引きながら成長していきます。低月齢の頃から対症療法の薬を使うクセがつくと、その後も風邪を引くたびに風邪薬が欲しくなる「刷り込み現象」が起こる可能性があります。

新生児期を過ぎると、症状に応じて対症療法の薬が出されるようになってきます。医師の指示を守り、経過をよく観察しながら飲ませましょう。

また、風邪はひき終わって初めて「ああ、風邪だった」と診断がつく病気です。くり返しになりますが、赤ちゃんの月齢が低ければ低いほど、安易に風邪だと決めつけないこと。低月齢の赤ちゃんの場合、きちんと経過を見て大きな病気ではないことを確認するため、「たぶん風邪だろう」と小児科医が思っていても頻繁な受診をすすめられることがあります。

新生児が風邪をひいたときのホームケアは?

必ず受診させるのが大前提ですが、家庭でのサポートのポイントは次の通りです。

□安静に過ごさせる(室内で静かに過ごす)

□水分補給を心がける。母乳やミルクが飲めないようなら再度受診を

□部屋の温度(大人が快適だと思える温度)や湿度(50~60%)を適切に保つ

□ときどき換気をする

先輩ママの体験談 1

上の子がいるからか、生後2ヶ月で風邪をひきました

生後2ヶ月で風邪をひきました。初めは鼻水がちょろっと出るぐらいだったのですが、翌日に受診。上の子が初めて熱を出したのは7~8ヶ月ごろだったので「まさか、風邪!?」とすごく心配でした。病院では「お母さんからもらった免疫があっても、上の子がいると風邪をひくのよ」と言われ、「上の子に付き合わせて外出して無理させてしまったかな」と反省。病院では粉薬をもらいました。母乳育児だったので飲ませるのがちょっと大変。粉薬を水で溶いて、小さなスポイトで与えました。ホームケアでは、こまめに鼻水を吸い、もらった3日分の薬を飲み切る頃には、鼻水も気にならなくなりました。(1歳2ヶ月・女の子)

先輩ママの体験談 2

生後3ヶ月で39度の熱。鼻水を吸い、こまめな水分補給でケア

初めて風邪を引いたのは、生後3ヶ月のときでした。とくに機嫌は悪くなく、おっぱいの飲みもよかったのですが、外出先で顔が真っ赤に! 熱を測ってみたら39度の高熱で、あわてて病院に連れて行き風邪と診断されました。ひどい鼻水が3日間ほど続き、ずっと鼻吸い器で吸っていました。また医師から「水分補給をこまめに」と言われたので、夜中も2時間おきに起こして授乳したり水分を飲ませたり。よく寝る子だったので、夜中に起こすのはちょっとかわいそうでしたが、でもそのおかげで、ひどくならずにすんだのかも。(11ヶ月・女の子)

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鈴木 洋先生
鈴木こどもクリニック院長
信州大学医学部卒。東大病院、愛育病院勤務などを経て、90年に鈴木こどもクリニック(東京都墨田区)を開院。地域の子どもたちの頼りになるかかりつけ医として、「ぞうさん先生」のニックネームで親しまれている。

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