離乳食を吐いた!原因は?対策&対処法どうする?【小児科医監修】

 専門家監修
公開日:2018/12/22
更新日:2019/09/18
離乳食を吐いた!原因は?対策&対処法どうする?【小児科医監修】
監修
渡辺とよ子先生
わたなべ医院 院長

この記事は、離乳食を吐く赤ちゃんについてまとめたものです。張り切って作った離乳食なのに、口に入れたと思ったら吐いちゃった! こんな経験はありませんか? 離乳食を吐くのは何か病気があるから? それとも調理の問題なのでしょうか? うろたえる前に知っておきたい基礎知識です。

●離乳食を吐く原因は何?

・赤ちゃんの胃は吐きやすい形をしている

離乳食を吐く理由はいくつか考えられますが、ひとつ知っておいてほしいのは、赤ちゃんはそもそも大人にくらべて生理的に吐きやすいということです。

大人の胃にはくびれがあり、いちど入ってきたものを逆流させない機能もしっかりしています。ですから、食べた物が自然に出てきてしまうということはまずありません。しかし、赤ちゃんの胃のくびれは大人にくらべるとあまり傾斜がなく、寝返りをするなどの体勢の変化で食べた物が出てきてしまうことがあります。母乳やミルクの場合には、この現象に溢乳(いつにゅう)という名前がついています。特に初期の離乳食はドロドロしているために逆流しやすく、溢乳に近いことが起きる可能性があります。

胎児、赤ちゃん、大人の胃の形の比較胃の形のイメージ図。赤ちゃんの胃は大人にくらべてくびれが少なく、吐きやすい形をしている。

・量を食べ過ぎている

離乳食の量が多すぎると前述の「溢乳」のように、食べ物があふれ出てしまうことがあります。

・咳込んだ刺激で吐いてしまう

風邪をひいていたり、急に冷たい空気にふれたりしたときに咳込むと、その刺激で吐くことがあります。腹圧がかかることで、胃の中身が逆流するのです。

・食物アレルギーがある

特定の食べ物を体が「異物」と判断し、排除しようとして発疹や下痢、咳などの症状が出るもので、吐くこともあります。普段は問題がない食べ物でも、体調が悪いときに反応が出ることもあります。

・胃腸炎などの感染症にかかっている

吐き気をともなう病気にかかっていると、食べた物を吐くことがあります。赤ちゃんによく見られるのは、ウイルス性胃腸炎。ノロウイルス、ロタウイルスなど、原因になるウイルスにはいくつかの種類があります。吐き気とともに下痢、発熱などの症状が見られます。胃腸炎ではなく、風邪やインフルエンザで吐くことも。

・消化管の閉塞を起こしている

離乳食の時期の赤ちゃんの消化管閉塞で代表的なのは、腸重積(ちょうじゅうせき)です。腸重積とは、腸の一部が腸にもぐりこんでしまう病気です。突然不機嫌になり、激しく泣くのと泣きやむのをくり返すのが典型ですが、あまり泣かないケース、逆にずっと不機嫌でグズグズしているケースもあります。吐いたり、血便が出たりすることもあります。

離乳食時期ではありませんが、新生児の場合は先天性の腸閉塞や幽門狭窄症(ゆうもんきょうさくしょう)があります。先天性の消化管閉塞は出生後数日以内に症状が出て、緊急手術が必要になることも。幽門狭窄症による嘔吐は生後1ヶ月ぐらいの男児に多く、吐き始めると飲んだものをほとんど吐き続けます。小児科を受診して手術が必要となることもあります。

・脳内でトラブルが起きている

ウイルスや細菌が脳に入り込んで髄膜炎や脳炎を起こしている、頭を打って頭蓋内で出血しているなど、深刻なトラブルが起きている場合も吐くことがあります。

●離乳食を吐いたとき、病院に連れていく目安は?

・機嫌が普段と変わらないなら、まず心配ない

離乳食を吐いたからといって、それが必ずしも病的なものとは限りません。まずは、赤ちゃんの機嫌をチェックしましょう。吐いたあとケロッとしていて普段と変わらない様子なら、あまり心配しなくても大丈夫。念のためしばらくの間、食事の記録をつけてもいいでしょう。特定の食べ物をとったときだけ吐くようなら、食物アレルギーが疑われます。

・こんな症状があったら受診を

離乳食を吐いたときに、次のような様子が見られる時は受診しましょう。

熱がある/風邪やインフルエンザ、ウイルス性胃腸炎などの可能性

くり返し吐く/風邪やインフルエンザ、ウイルス性胃腸炎などの可能性

咳や鼻水が出ている/風邪やインフルエンザなどの可能性

機嫌が悪い、なんとなくいつもと違う/なんらかの感染症、痛みなどの可能性

発疹がある/食物アレルギー、なんらかの感染症などの可能性

吐くことが続き体重が増えない/栄養不良などの可能性

泣く赤ちゃん機嫌が悪い、いつもと様子が違うときは要注意。早めに受診しましょう。

夜間でも受診! 急を要する嘔吐

離乳食を吐いたときに次のような様子が見られたら、夜間でも急ぎ受診してください。

ぐったりする、非常に機嫌が悪い、どんどん機嫌が悪くなっていく/腸重積、脳内トラブル、嘔吐による脱水などの可能性

多量の血便が出た/ミルクアレルギー、腸重積などの可能性

水分がとれない、おしっこの量が減っている/嘔吐による脱水などの可能性

けいれんを起こした/脳内トラブルなどの可能性

呼吸がおかしい/アレルギーによるショック、脳内トラブルなどの可能性

●離乳食を吐くときに病院でする治療

・治療は症状に応じて

赤ちゃんが離乳食を吐く原因はさまざまです。病院ではまず吐く原因を探し、そのうえで治療を行います。

【風邪やウイルス性胃腸炎などの感染症の場合】

特効薬はありません。症状に応じて解熱剤(熱を一時的に下げて病気と闘う体力を回復させる)、整腸剤(乳酸などの善玉菌を増やして腸内フローラをととのえる)、吐き気止め(吐き気が強くて水分をとれないときに使う)などが処方されます。ただし、インフルエンザにはタミフルなどの抗ウイルス薬が処方されるでしょう。いずれも自宅では安静にして、こまめな水分補給を心がけます。

【食物アレルギーが疑われる場合】

原因となっている食べ物をつき止めた上で、治療方針を決めていきます。完全に除去する方法のほか、少しずつ食べさせながら様子を見る方法もあります。いずれも自宅で勝手に行うことは非常に危険なので、必ず専門医の指導を受けながら治療を進めます。「ママが卵アレルギーだったから」などと、自己判断で除去することも絶対にやめましょう。

【腸重積の場合】

発症から24時間以内なら、造影剤や生理食塩水などを肛門から高圧で注入する「高圧注腸」という方法で元に戻ることが多いです。ただし、10%程度は当日中に再発するので、入院して様子を見ることもあります。発症から時間がたって腸閉塞を起こしている場合、高圧注腸でも元に戻らない場合は手術になります。

【脱水を起こしている場合】

点滴で体に水分と電解質を入れます。

【髄膜炎、頭蓋内出血など脳内のトラブルが疑われる場合】

髄液検査、画像検査などを行い、並行して投薬、場合によっては手術が行われます。

●離乳食を吐いたときの対処法

離乳食を吐いたとき、吐き気が続いているときはどうすればいいのでしょうか。

・体の向きは横に。上体を起こすのもよい

吐いたものを気管に詰まらせないよう、吐き気が続いている間はあおむけを避け、横向きに。ベビーラックの背を起こす、背中の下にたたんだバスタオルを置く、縦抱きをするなど、上体を起こしておくのもいいでしょう。

横向きの赤ちゃん

・口のまわりをきれいにする

吐いたあとは赤ちゃんも気持ちが悪いはず。口のまわりについたものは、ぬるま湯で絞ったガーゼなどで拭きましょう。吐いた物が耳に入っていないかどうかもチェックします。

口をふかれる赤ちゃん

・においのついた衣服を着替える

吐いた物が衣類につくと不潔なうえ、そのにおいがまた吐き気を誘います。汚れた衣類はもちろん、吐いた物がついたシーツなども交換を。

着替えさせえられる赤ちゃん

・少しずつ水分補給を

感染症などでは、しばらく吐き気が続くかもしれません。吐いたあと、一度にたくさん飲ませるとまた吐いてしまったりするので、落ち着いたところで5~10分おきにスプーンで一口ずつ水分をとらせます。

スプーンでの水分補給する赤ちゃん

数さじ飲んでも吐かないようなら、次はおちょこなど小さな容器で飲ませてみます。一度にたくさん口に入れず、少量ずつ飲ませます。

小さなおちゃこでの水分補給をする赤ちゃん

吐かずに、30分間で100mlぐらい飲めるようなら一安心。いつも通りの水分補給に戻していきましょう。

水分は母乳、ミルクのほか白湯、麦茶、経口補水液など飲めるものを。ただし、大人用のイオン飲料を薄めたものや、オレンジジュースなど柑橘系の飲み物は、体内の水分バランスをくずしたり症状を悪化させたりするので飲ませないこと。

●離乳食を吐かなくするための対策は?

感染症や腸重積などの病気ではない場合、離乳食を吐かなくするためにはどうすればいいのでしょうか。

・食べたあと、少し静かにする

大人でも、食べたあとすぐに走るとおなかが痛くなったりします。大人にくらべると体の構造が吐きやすくできている赤ちゃんですから、食べたあとは少し静かにするといいですね。興奮させるようなダイナミックな遊びや外出は、食後30分ぐらい避けるようにしましょう。

・食品はよく加熱する

果物や淡色野菜など、大人は生で食べるものも、加熱して食べさせましょう。細菌感染予防のほか、食物アレルギー予防にもなります。

・初めて食べるものは少量をひとさじから

食物アレルギー予防のためにも、たとえ喜んで食べても初めての食品は少量をひとさじから。パクパク食べるからと、いきなり何さじも食べさせることは控えましょう。

・食べ物の硬さを変えてみる

赤ちゃんの発達と食べ物の硬さとが合っていないと、べぇーっと吐き出したり、うまく飲み込めなくて吐き戻したりします。初期には、少しのツブツブも嫌がって反射的に舌で押し出してしまうことがあります。また中期〜後期には、かまずに丸のみするものの飲み込めずに逆流、やわらかすぎるため大量に流し込んで吐き戻す、などのケースが。

あわただしくスプーンで流し込むこともやめましょう。一口ずつ、赤ちゃんがしっかりかんで飲み込んでいるのを確認しながら食べさせてあげてください。

イラスト/福井典子

一部写真出典/はじめてママ&パパの0~6才病気とホームケア

出典 :はじめてママ&パパの 0~6才 病気とホームケア※情報は掲載時のものです

監修
渡辺とよ子先生
わたなべ医院 院長
札幌医科大学医学部卒業。都立築地産院新生児科部長、都立墨東病院新生児科部長、同病院副院長をへて、2014年に医療法人社団わたなべ医院に赴任。2016年よりわたなべ医院本院院長。日本麻酔科学会専門医、日本周産期新生児学会功労会員、日本新生児生育医学会功労会員、日本周産期新生児医学会周産期新生児専門医元指導医。多くの乳幼児をみてきた経験による、的確で親切な助言が好評。これまで『母乳育児 ミルク育児の不安がなくなる本』(主婦の友社)など監修に携わった育児本多数。


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