【産婦人科医監修】流産の原因は?兆候や症状はどんなこと?

 専門家監修
公開日:2018/12/28
【産婦人科医監修】流産の原因は?兆候や症状はどんなこと?
監修
竹内正人先生

妊娠が判明してうれしい反面、「もし流産してしまったら……」と思うと心配になりますね。今回は流産の原因や症状、流産後の対処法などについて解説します。

流産とは?

流産とは、赤ちゃんがママのおなかの外で生きていけない妊娠22週未満に、妊娠が終わってしまうことをいいます。

流産の頻度はどのくらいかというと、医療機関で確認された妊娠の約15%といわれています。妊娠した女性の7人に1人は流産してしまう計算です。

初期流産の原因とは?

流産の主な原因は、起こる時期によって異なります。

流産は妊娠12週未満に起こる「初期(早期)流産」と、妊娠12週以降22週未満に起こる「後期流産」に分類され、そのうち初期流産が約9割を占めています。

初期流産の原因の多くは、赤ちゃん自体の染色体の異常です。染色体に異常が起きると、細部分裂がうまくできず、着床しても育たないことが多いのです。残念ですが、染色体の異常を薬で防いだりすることはできません。

また、流産はママが高齢になるにつれて、発生頻度が高くなります。35歳以上になると赤ちゃんの染色体異常が増えるというデータがあり、35~39歳での流産率は約20%、40歳以上では50%を超えるといわれています。

後期流産の原因とは?

後期流産は、ママの側に原因があることが多くなります。子宮口が緩んできてしまったり、膣内に炎症が起きたり、子宮奇形や子宮筋腫などの子宮のトラブル、子宮頸がんの円錐切除術(えんすいせつじょじゅつ)の影響、膠原病(こうげんびょう)などの自己免疫疾患などから引き起こされることがあります。

流産の兆候や症状は?

流産には、症状がない「稽留(けいりゅう)流産」と出血や下腹部痛のある「進行流産」があります。稽留流産は、子宮口が閉じているので、赤ちゃんは亡くなったまま、子宮の中にとどまっている状態です。自覚症状がないため、診察ではじめて確認されます。

進行流産の場合は、次にあげるような症状があります。

・ダラダラと鮮やかな色の出血が続く

・生理のときよりも出血量が多い

・出血のかたまりが出る

・強い下腹部の痛みが続く

・周期的な下腹部の痛みがある

さらに進行流産は、2種類に分けられます。1つは流産が進行した結果、すでに赤ちゃんや胎盤のもとになる組織などが体の外に出てしまった「完全流産」、もう1つは赤ちゃんや胎盤のもとになる組織などが完全に排出されず、一部分が残っている「不全(ふぜん)流産」です。完全流産と不全流産とは、流産後の治療法が異なります。

流産が起こってしまったときの対処法は?

流産が疑われるような症状があった場合、組織検査を行うことがあるため、可能であれば出血のかたまりをテッシュペーパーなどで包み、受診しましょう。

超音波検査で赤ちゃんの心拍の有無を確認したり、内診で出血の出具合いや子宮口が開いていないかなどを検査します。胎児心拍の確認は1回だけではなく、1~2週間後に再度超音波検査を行ったうえで慎重に判断されます。また、炎症があるような場合は、おりものの検査も行うことがあります。

残念ながら、流産と診断されると、完全流産の場合はとくに治療の必要はなく経過観察になります。流産後、自然に子宮収縮が起こり、子宮は元の状態に戻るからです。

稽留流産や不全流産では、赤ちゃんや胎盤のもとになる組織などを取り出す手術(子宮内容除去術)を行うか、自然に出てくるのを待つ「待機療法」を行います。

流産後の手術とは?

流産後の子宮内容除去術にかかる時間は5~10分ほどで、感染症などの異常がなければ日帰り、もしくは1日入院ですみます。待機療法では、まれに子宮内に内容物が残ってしまうことがあり、その場合は予定外の入院や、結局は手術が必要になることがあります。

手術か待機療法のどちらを行うかは、医師と相談して決めましょう。流産後に大量の出血や貧血、感染症を合併した場合はすぐに手術が必要になりますが、そうでなければ急ぐ必要はありません。流産から1週間ほど過ぎて、ママの気持ちが少し落ち着いてきたら、手術を受けるケースが多いようです。

後期流産の場合

後期流産では、赤ちゃんが大きくなっているため、子宮収縮を起こす薬を使って人工的に陣痛を起こし、亡くなった赤ちゃんを娩出します。翌日には退院するケースが多く、術後は手術時の妊娠週数や症状などに合わせて、子宮収縮を抑える薬や抗生薬などが処方されます。

また、12週以降の流産は「死産」とされ、死産の届出を提出する義務があります。退院時に病院から死産証明書が発行されるので、役所に提出してください。

流産を繰り返すときは?

連続2回の流産を「反復流産」、3回以上の流産を「習慣流産」といいます。さらに、もう少し広い概念で流産、早産、死産を繰り返して、妊娠はしても赤ちゃんに恵まれない状態を「不育症」といいます。この場合、パパもしくはママの染色体異常や免疫的な因子、血液の凝固障害、ママの持病などが原因として考えられます。さまざまな検査を行って原因を特定できた場合、必要があれば治療を行うことがあります。

流産の予防法は?

初期流産では、原因の多くが赤ちゃんの染色体異常です。染色体異常は、たまたま起こってしまうもので、予防法はありません。

後期流産では、流産の原因によって次の妊娠のとき流産を予防できるケースがあります。

子宮頸管無力症が原因で流産してしまった場合、次の妊娠では妊娠12~16週に子宮頸管を特殊なテープで縛る手術(子宮頸管縫縮術/しきゅうけいかんほうしゅくじゅつ)を行う場合があります。この方法で順調な妊娠経過をたどり、出産している人は多くいます。

また、子宮筋腫や子宮奇形が原因で流産してしまった場合は、症状によりますが、手術などの治療によって、次の妊娠での流産を予防できる可能性があります。

流産のリスクを少しでも低くするために、毎日の暮らしのなかで次のことに気をつけましょう。

長時間の仕事は避ける

普段より残業をしたり、長い時間立ち仕事をしたり、家事を頑張りすぎるなど、体に負担をかけないようにしましょう。

ストレスは解消する

精神的なストレスも体調に影響するので、不安や悩みは医師や家族、友人などに相談して早めに解消しましょう。

性感染症にかからない

クラミジア感染症や腟トリコモナス症など、妊娠中に注意が必要な感染症はたくさんあります。パートナーに協力してもらい、コンドームをつけてもらいましょう。

激しいスポーツはしない

テニス、ジョギングなどの運動量の多いスポーツは控えましょう。できれば旅行も、胎盤が完成する妊娠15週以降のほうが安心です。

体を冷やさないようにする

体が冷えると血液循環が悪くなってしまいます。ひざ掛けや靴下などを手元に準備しておきましょう。夏の冷房対策も万全に。

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文/小沢明子

監修
竹内正人先生
⽇本医科⼤学⼤学院修了。⽶国ロマリンダ⼤学留学を経て、葛飾⾚⼗字産院などに勤務。
よりやさしい「⽣まれる・⽣きる」をサポートするため、国や地域、医療の枠をこえて活動する⾏動派産科医。

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