【産婦人科医監修】稽留流産の症状は?腹痛や出血はある?手術は保険適用になる?

 専門家監修
公開日:2018/12/28
【産婦人科医監修】稽留流産の症状は?腹痛や出血はある?手術は保険適用になる?
監修
竹内正人先生

赤ちゃんに会えるのを心待ちにしているママにとって、流産はつらいできごとですね。流産にはいくつかの種類がありますが、今回は流産の中で、自覚症状のないことが多い「稽留(けいりゅう)流産」ついて解説します。

稽留流産とは?

稽留(けいりゅう)流産とは、赤ちゃんは亡くなってしまったのに、子宮の中にとどまっている状態をいいます。

兆候や症状は?

出血や腹痛がない

流産では、出血と腹痛(下腹部の痛み)が主な症状ですが、稽留流産の多くは症状がなく、まれに少量の出血がある程度です。そのため、健診の超音波検査ではじめてわかるケースが少なくありません。ママに自覚症状がないため、診断されたときのショックははかりしれないものがあります。

稽留流産の診断

正常な妊娠では、早ければ妊娠4週の中ごろから胎嚢(たいのう/赤ちゃんが入っている袋)が確認されます。
次に、妊娠5週には卵黄嚢(らんおうのう/初期の赤ちゃんに栄養を送る袋)が見えるようになります。妊娠6週には赤ちゃんの心拍が確認できるようになり、経過が順調であれば妊娠7週以降では全例で確認できます。

妊娠7週以降の超音波検査で、次のような所見があった場合は、稽留流産の可能性があります。

「胎嚢や卵黄嚢は確認できるが、赤ちゃんの姿や赤ちゃんの心拍は確認できない」

「胎嚢や卵黄嚢、赤ちゃんの姿は確認できるが、赤ちゃんの心拍は確認できない」

また、このころの赤ちゃんは日に日に大きくなり、見えやすくなっていきます。一度確認できた赤ちゃんの心拍が確認できなくなったら、その後復活することはありません。心拍が確認できなくなった時点で稽留流産と診断されます。

ただし、胎嚢や赤ちゃんの心拍が確認できない場合、妊娠週数に誤差があることも考えられます。妊娠週数は最終生理開始日から算出しますが、排卵の遅れなどにより、実際の妊娠週数とずれを生じることがあるからです。
したがって、1回の検査だけで診断されることはなく、1~2週間ほど間隔をおいて再度超音波検査が行われます。

稽留流産の原因は?

稽留流産をはじめとする初期流産(妊娠12週未満の流産)の原因は、染色体異常など赤ちゃん側にあることがほとんどです。つまり、元気に生まれて育つことが難しい受精卵が、自然に淘汰されたということになります。ママが妊娠初期に行った仕事やスポーツ、食事や飲酒など口にしたものなどが原因となることは、まずありません。

稽留流産が起こりやすいのはいつ?

稽留流産を含む初期流産は、妊娠5~12週の間に起こりますが、その多くは赤ちゃんの心拍が確認できる前、妊娠7週までに起こることが多いでしょう。
妊娠8~9週になり、安定した心拍が確認できるようになれば、稽留流産の可能性はかなり低くなります。

稽留流産には手術が必要なの?

稽留流産後の治療には「待機療法」と「手術」の2つの方法があり、どちらかを選択することになります。

待機療法とは

流産が起きると、妊娠を終わらせるために自然に子宮が収縮します。その子宮の収縮によって子宮口が開き、赤ちゃんや胎盤のもとになる組織などが子宮の外に排出されます。

稽留流産は、まだ赤ちゃんが子宮の中にととどまっていて、子宮口が開いていない状態です。そのままにして、子宮の中の組織が自然に出てくるのを待つのが「待機療法」です。

待機療法では、まれに子宮の中に組織などが残ってしまうことがあり、その場合は、入院や子宮内容除去術が必要になる可能性があります。

流産後の手術とは?手術にかかる時間は?

流産後の手術は、「子宮内容除去術」いって、子宮の中に残った胎児や胎盤のもとになる組織などを取り出す手術です。この手術では、まず半日ほどかけて、ラミナリアやラミセル(水分を吸収して徐々にふくらむ細い円柱状の器具)などで子宮口を広げます。

手術には鉗子(かんし)やキュレットなどの専用の器具を使って内容物を取り出す「掻爬(そうは)法」と、吸引器を挿入して内容物を吸引する「吸引法」があります。

どちらの手術も、局部麻酔または全身麻酔で行い、手術そのものにかかる時間は5~10分ほどです。感染症などの異常がなければ、日帰りもしくは1泊入院ですみます。

医師と相談して決める

手術か待機療法かは、流産の診断がついたからといって、すぐに決める必要はありません。ママの気持ちが少し落ち着いてから医師と相談して決めましょう。

稽留流産の手術の費用は?保険は?

稽留流産の子宮内容除去術は健康保険が適用されます。医療機関によって異なりますが、自己負担額は1~3万円くらいです。ただし、症状や日帰りか入院かなどの条件によっても金額は変わります。手術を受ける場合は、あらかじめ病院に確認しておきましょう。待機療法のほうが、経済的な負担は少なくなります。

稽留流産後、妊活はいつからできる?

稽留流産に限らず、流産後はなるべく身体をいたわり、少しずつ回復させていきます。ずっと寝たままで過ごす必要はないので、無理のないペースで元の生活に戻していきましょう。

流産後の生理は、1カ月前後で来る人が多いようです。ただ、生理の再開には個人差があるため、それより早く来る人もいれば遅く来る人もいます。生理が1~2回来たら、子宮が元の状態に戻ったと考えて、妊活をスタートさせてもいいころです。

稽留流産は予防できるの?

稽留流産のいちばんの原因である染色体異常は、受精卵が細胞分裂していくときにたまたま起こります。治療や予防をすることはできません。

稽留流産のリスクを少しでも低くするために、日々の暮らしの中で次のことに注意しましょう。

喫煙

血液中のニコチン濃度が高くなるほど流産率が高くなり、ヘビースモーカーの流産率は、たばこを吸わない女性の約2倍といわれています。妊活中から禁煙しましょう。

飲酒

妊娠中の飲酒は「胎児アルコール症候群」といって胎児の発育に影響を与える可能性があります。妊娠中の飲酒はやめましょう。

カフェイン

カフェインは中枢神経を刺激して血管を収縮させる作用があります。コーヒーや紅茶はとりすぎないようにしましょう。

ストレス

仕事などで疲れたときやストレスを感じたときは、ゆっくり体を休めたり、友人やパートナーとおしゃべりをしたりして、心身ともにリフレッシュしましょう。

文/小沢明子

監修
竹内正人先生
⽇本医科⼤学⼤学院修了。⽶国ロマリンダ⼤学留学を経て、葛飾⾚⼗字産院などに勤務。
よりやさしい「⽣まれる・⽣きる」をサポートするため、国や地域、医療の枠をこえて活動する⾏動派産科医。

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